在NYのカナダ人ギタリストであるマシュー・スティーヴンス(2009年1月31日、2013年6月4日、2014年8月7日、2015年1月22日、2015年9月5日、2016年5月31日、2017年3月27日)の自己トリオ公演はパット・メセニー(1999年12月15日、2002年9月19日、2010年6月12日、2012年1月25日、2012年3月3日、2013年5月21日、2015年9月27日)のツアーに駆り出されていたアコースティックな黒人リズム隊を起用した前回来日公演(2015年1月22日)から一転して、新作『プリヴァーバル』(Crystal Math、2017年)のノリを披露するもので、鍵盤ベースとエレクトリック・ベースのザック・ブラウン(2014年9月16日)、そしてドラムのエリック・ドゥーブ(2017年2月1日)という白人の奏者を同行させた。

 そして、真摯な現代ジャズ・ギタリストであることをまっすぐに示した前回公演とは位相が異なるパフォーマンスを、マシューズは悠々と披露した。ベース奏者は鍵盤ベースを弾く場合の方が多かったかもしれず、実際そっちの方が味が良い。そして、ドラマーも過剰ではないが、そのベース音と噛み合う叩き口のもと、スティーヴンスをバックアップする。曲調にしてもソロにしても、スティーヴンスの演奏からはもう一つ現代ジャズ・ギター手法から飛び出したいという意志は身終え隠れ。だが、ギターの刻みやソロがジョン・スコフィールド(1999年5月11日、2001年1月11日、2002年1月24日、2004年3月11日、2006年3月1日、2007年5月10日、2008年10月8日、2009年9月5日、2012年10月10日、2013年10月21日、2015年5月26日)を思い出させたのには少し驚く。妙な筋道で、スコフィールドの先進性を感じてしまったなー。

 しかし、鍵盤ベースを用いた違和感のないジャズ演奏に触れるのは、これが初めてではないか。やはり、時代は動いていくなー。

▶過去の、マシュー・スティーヴンス
http://43142.diarynote.jp/200902030206339619/
http://43142.diarynote.jp/201306060730086224/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201501230914317086/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
http://43142.diarynote.jp/201606101027587993/
http://43142.diarynote.jp/201703281829079078/
▶過去の、パット・メセニー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://43142.diarynote.jp/201006181520054406/
http://43142.diarynote.jp/201201271245417497/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201305260927026044/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335
▶︎過去の、ザック・ブラウン
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
▶︎過去の、エリク・ドゥーブ
http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
▶過去の、ジョン・スコフィールド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 5.11
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-1.htm 1.11
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.htm 1.24
http://43142.diarynote.jp/200403111821250000/
http://43142.diarynote.jp/200603011148430000/
http://43142.diarynote.jp/200705181809270000/
http://43142.diarynote.jp/200810111558046727/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090905
http://43142.diarynote.jp/201210111837516874/
http://43142.diarynote.jp/201310210730403296/
http://43142.diarynote.jp/201505271549266046/

 続いては南青山・ブルーノート東京で、ドラマーのハーヴィー・メイソン(2002年8月11日、2010年7月9日、2011年6月21日、2014年5月28日、2016年4月5日)のリーダー・バンドを見る。過去、”カメレオン”という名のもと彼は3度来日。1度目は彼が参加したハービー・ハンコックの『ヘッド・ハンターズ』表現を土台に置いた表現を披露しようとしたていたが、その後は今のLAジャズ界を闊歩する(比較的)若手を鋭意起用して今のジャズの表情を模索するライヴ・プロジェクトとなった……と、書いていいだろう。

 4度目となるカメレオン・バンド、今回の顔ぶれは以下のとおり。前回も同行したピアノやキーボードのマーク・ド・クライヴ・ロウ(2006年3月9日、2016年4月5日)、R&B/ヒップホップ系表現にも関与しているトランペットのジョセフ・ライムバーグ、テナー・サックスとソプラノ・サックスとフルートの浜崎航、エレクトリック・ベース(フレットレットレスの5弦。左利きで、右利き用のそれをヘンンドリックスのように逆さに用いる)ドゥエイン“モノニオン”トーマスJr.。この日は出なかったが、翌日と翌々日はDJクラッシ(2011年3月7日、2012年4月25日 )もターンテーブルで加わったはずだ。

 はみだし度では、前回の中盤以降の方が興味深かったが、今回はメイソンとクライヴ・ロウの関係が密になり、その二人の絡みを基に、他の奏者が重なっていくという所感もぼくは得た。今回、メイソン(スネアを二つ置いていた)のドラム音にエフェクトがかかる場面があったが、それはクライヴ・ロウがオペレートしていたようだ。

 日本で活動している、浜崎は善戦。ちゃんと絡んでいたし、フィーチャーされる時間はライムバーグより長かった。それから、ぼくが何気に注視してしまったのは、小柄で派手なヤンキー・ファッションに身を固めつつ根暗であるのがぞわぞわ伝わってくるモノニオン。生理的な異臭、アリ。1990年メンフィス生まれの彼の自主制作によるミニ・アルバム『Selfie Quickie 2wooo - EP』は多重録音でP-ファンクとテラス・マーティン(2016年6月2日、2016年9月3日)をチープに交錯させたような混沌盤で、https://dywanethomasjr.bandcamp.com/album/selfie-quickie-2wooo で聞くことが可能だ。ロバート・グラスパー(2007年10月3日、2009年4月13日、2009年12月19日2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月8日、2016年12月20日、2017年6月5日)もよくやるハンコック1974曲「アクチュアル・プルーフ」は彼のソロから始まったが、途中で取ったソロはジャコ・パストリアス流儀であった。

▶過去の、ハーヴィー・メイソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-8.htm 8月11日、トム・スコット
http://43142.diarynote.jp/201007110625087085/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110621
http://43142.diarynote.jp/?day=20140528
http://43142.diarynote.jp/201604060850393487/
▶過去の、︎マーク・ド・クライヴ・ロウ
http://43142.diarynote.jp/200603100922500000/
http://43142.diarynote.jp/201604060850393487/
▶︎過去の、DJクラッシュ
http://43142.diarynote.jp/201103101345364557/
http://43142.diarynote.jp/201205080617258733/
▶過去の、︎テラス・マーティン
http://43142.diarynote.jp/201606121215168031/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
http://43142.diarynote.jp/201506091124003170/
http://43142.diarynote.jp/201612211059578863/
http://43142.diarynote.jp/201706061756141899/

<今日の、自覚>
 メイソンのドラムは、やはりうまい。が、ときに感覚がちょい古いなあと、ぼくは思ってしまうところがある。1から10まで正しいと思いつつも、なんかフレイズのまとめ方とかに、そう感じてしまうのだ。なんでだろうと考えたのだが、今のジャズ・ドラマーって打ち込みビートやヒップホップ流れの感覚で妙な隙間や歪みやズレの感覚を盛り込む傾向にあるところ、メイソンにはそれが一切ない。いや、別になくてもいいし、そっちの方がナチュラルとも思うのだが、ぼくはメイソンの正しくもタイトなドラミングにどこかしっくり来ない部分を感じてしまう。あー。ぼくの耳も動いている。   でも、スティーヴ・ガッド(2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2004年1月27日、2010年12月1日、2012年11月26日、2013年9月3日、2016年2月19日、2016年12月6日、2017年6月12日)のそれには古くささは感じないか。それ、どこかで、生理としての胸騒ぎ感覚を持っているから?
▶過去の、スティーヴ・ガッド
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/201012051903113851/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201410220711345595/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/201612091513593556/
http://43142.diarynote.jp/201706130913351348/