山中千尋エレクトリック・トリオ。マット・ビアンコ
2017年8月27日 音楽 まず、丸の内・コットンクラブで、NY在住ピアニストの山中千尋(2005年8月21日、2009年6月7日、2010年3月14日、2011年8月6日、2013年3月3日、2015年5月31日、2015年9月6日)のトリオ公演を見る。エレクトリック・トリオと名乗っているが、ベーシストはダブル・ベースを弾く曲の方が多かったし、山中もエレクトリック・ピアノも弾いたが、グランド・ピアノの演奏の方が印象強かった。ゆえに、”エレクトリック・バンド”というのは看板に偽りあり、だな。後述するが、ドラマーは完全に4ビート流儀で叩いていたわけだし。
だが、その一方でこのトリオは大きく目を引くものがあり。それはリズム隊も女性でかためた、フィメイル・グループであったこと。同性の奏者は刺激を受けるだろうし、それにはぼくも興味がわく。なお、山中の2017年新作はモンクにトリビューションした『モンク・スタディーズ』というアルバムで、今回はモンク曲をいくつも演奏した。
ベーシストはドイツ人で今はロンドンに住んでいるというインガ・アイヒラで、ドラマーはイスラエル人のカレン・テパーバーグ。もともと3人はバークリー音楽大学の仲間であったよう。アイヒラーはおとなしい演奏をするのにダブル・ベースの音程が甘くて、少し戸惑う。小さなキットを用いていたテパーバーグはいろいろとアクセント繰り出す人で、面白い奏者だなあと頷く。山中はときにこんなに強い弾き方をしていたっけと思わせるところあり。また、あんなにグリッサンドを多用する奏者であったか? 気の許せる、旧知の同性との演奏ということは、多少それと関係あったかもしれない。
▶過去の、山中千尋
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130303
http://43142.diarynote.jp/201506031918248506/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150906
その後は、南青山・ブルーノート東京で、UK洒脱ポップ・ユニットのマット・ビアンコ(2001年2月5日、2013年8月24日、2016年4月19日)の実演を見る。長年キーボード奏者を務め闘病生活に入っていたマーク・フィッシャーが昨年12月に亡くなってしまい、シンガーのマーク・ライリーの単独プロジェクトとなったマット・ビアンコの2017年新作『ギラヴィティ』は約3年越しで進めていた、アコースティック・ジャズ志向作。意外なほど1950〜1960年代の王道2管コンボの音を通ったなかでマット・ビアンコ節が展開される同作について、かなり秀逸なジャジー・ポップ盤とぼくは評価しているが、今回は同作に関与していた英国ジャズ・ミュージシャンを従えて来日した。
コンボのまとめ役でもあるテナー・サックスのデイヴ・オ・ヒギンズ、トランペッターのマーティン・ショウ、昔インコグニートに入っていたこともあるピアノと電気ピアノのグラハム・ハーヴィー、ダブル・ベースのジェフ・ガスコイン、ドラマーのセバスティアン・デ・クロムという面々は皆なかなかの実力者。彼らだけの公演を持っても、ぼくは楽しめルノではとも思った。そして、そこに、女性コーラスのエリザベス・トロイも加わる。
『グラヴィティ』の味の良さをそのまま伝えるパフォーマンス。そこで書き下ろされた新曲だけでなく、「フーズ・サイド・アー・ユー・オン?」や「イエー・イエー」などの人気曲もよりジャズ化された設定のもと披露。それも堂に入り、ライリーの歌も溌剌。お客からも熱烈に受けていて、送り手にとっても受け手に取ってもまさにウィン・ウィンな出し物ではなかったか。ぼくは今回の路線をもう少し続けてもいいと思うが、ライリーはどうするつもりだろうか。
▶過去の、マット・ビアンコ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201605140738083056/
<今日の、ご近所さん>
少し前にちょい近所を散歩したら、前から近くにあった音楽学校のメイザーハウスの場所が少し変わっていた。かつて、菊地成孔が橋本一子に習ったこともあった学校。昔はもっと立派なビルに入っていたが、今はかつてポリドールの洋楽部が分室としてあった(同社はちゃんと労働組合が機能していて、その事務室が一番階上にあると聞いたことがあった)、漬物屋さん所有のわりとこじんまりとしたビルに看板が出ていた。ああ規模が小さくなっているのだなと思ったら、同校は2020年3月をもって閉まるそう。それ、少子化が一番の理由か。それとも、他の音楽専門学校の攻勢や音大の非クラシック系カリキュラムの整備が要因だろうか。
だが、その一方でこのトリオは大きく目を引くものがあり。それはリズム隊も女性でかためた、フィメイル・グループであったこと。同性の奏者は刺激を受けるだろうし、それにはぼくも興味がわく。なお、山中の2017年新作はモンクにトリビューションした『モンク・スタディーズ』というアルバムで、今回はモンク曲をいくつも演奏した。
ベーシストはドイツ人で今はロンドンに住んでいるというインガ・アイヒラで、ドラマーはイスラエル人のカレン・テパーバーグ。もともと3人はバークリー音楽大学の仲間であったよう。アイヒラーはおとなしい演奏をするのにダブル・ベースの音程が甘くて、少し戸惑う。小さなキットを用いていたテパーバーグはいろいろとアクセント繰り出す人で、面白い奏者だなあと頷く。山中はときにこんなに強い弾き方をしていたっけと思わせるところあり。また、あんなにグリッサンドを多用する奏者であったか? 気の許せる、旧知の同性との演奏ということは、多少それと関係あったかもしれない。
▶過去の、山中千尋
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
http://43142.diarynote.jp/201003191715113498/
http://43142.diarynote.jp/201108101632022013/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130303
http://43142.diarynote.jp/201506031918248506/
http://43142.diarynote.jp/?day=20150906
その後は、南青山・ブルーノート東京で、UK洒脱ポップ・ユニットのマット・ビアンコ(2001年2月5日、2013年8月24日、2016年4月19日)の実演を見る。長年キーボード奏者を務め闘病生活に入っていたマーク・フィッシャーが昨年12月に亡くなってしまい、シンガーのマーク・ライリーの単独プロジェクトとなったマット・ビアンコの2017年新作『ギラヴィティ』は約3年越しで進めていた、アコースティック・ジャズ志向作。意外なほど1950〜1960年代の王道2管コンボの音を通ったなかでマット・ビアンコ節が展開される同作について、かなり秀逸なジャジー・ポップ盤とぼくは評価しているが、今回は同作に関与していた英国ジャズ・ミュージシャンを従えて来日した。
コンボのまとめ役でもあるテナー・サックスのデイヴ・オ・ヒギンズ、トランペッターのマーティン・ショウ、昔インコグニートに入っていたこともあるピアノと電気ピアノのグラハム・ハーヴィー、ダブル・ベースのジェフ・ガスコイン、ドラマーのセバスティアン・デ・クロムという面々は皆なかなかの実力者。彼らだけの公演を持っても、ぼくは楽しめルノではとも思った。そして、そこに、女性コーラスのエリザベス・トロイも加わる。
『グラヴィティ』の味の良さをそのまま伝えるパフォーマンス。そこで書き下ろされた新曲だけでなく、「フーズ・サイド・アー・ユー・オン?」や「イエー・イエー」などの人気曲もよりジャズ化された設定のもと披露。それも堂に入り、ライリーの歌も溌剌。お客からも熱烈に受けていて、送り手にとっても受け手に取ってもまさにウィン・ウィンな出し物ではなかったか。ぼくは今回の路線をもう少し続けてもいいと思うが、ライリーはどうするつもりだろうか。
▶過去の、マット・ビアンコ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm
http://43142.diarynote.jp/201308281519499994/
http://43142.diarynote.jp/201605140738083056/
<今日の、ご近所さん>
少し前にちょい近所を散歩したら、前から近くにあった音楽学校のメイザーハウスの場所が少し変わっていた。かつて、菊地成孔が橋本一子に習ったこともあった学校。昔はもっと立派なビルに入っていたが、今はかつてポリドールの洋楽部が分室としてあった(同社はちゃんと労働組合が機能していて、その事務室が一番階上にあると聞いたことがあった)、漬物屋さん所有のわりとこじんまりとしたビルに看板が出ていた。ああ規模が小さくなっているのだなと思ったら、同校は2020年3月をもって閉まるそう。それ、少子化が一番の理由か。それとも、他の音楽専門学校の攻勢や音大の非クラシック系カリキュラムの整備が要因だろうか。