ノルウェーの電気効果経由の今様ジャズの実力者であるブッゲ・ベッセルトフト(2001年5月27日、2002年5月8日、2008年9月21日、2010年1月24日、2012年4月29日)の公演を、南青山・ブルーノート東京で見る。

 <“ニュー・コンセプション・オブ・ジャズ” 2016>という名目を、今回の来日公演は持つ。“ニュー・コンセプション・オブ・ジャズ”というのは彼が1996年にリリースしたアルバムの表題であり、リアル・ジャズ要素とエレクロニクスやダンス・ビート、を交錯させる彼の指向は“ニュー・コンセプション・オブ・ジャズ”というキャッチのもと一世を風靡。彼が主宰するジャズランド・レーベルはユニヴァーサルがインターナショナルに配給をした。

 ステージに登場したミュージシャンは5人。キーボード、ピアノ、PCを担当するベッセルトフト以外は全員女性。テナー・サックス、ギター、タブラ、ドラムという布陣で、彼女たちは皆20代。タブラ奏者はインドの血が入っているか。そのサンシュリィティ・シュレッサはタブラを叩きながら口タブラを披露する場面も。また、ドラマーのシヴ・ウン・ジェンスタが歌う曲もあった。

 基本、プリセット音も併用しつつ、楽器音を重ね合う。女性陣は力量やイマジネーションが追いついていない部分もあったが、汚いオトコでないのというのはステージ上ではやはり武器。“普通の設定や見てくれではない”というのは、見る方にしてもやる方にしても新鮮な所感を導き、けっこう意味のあるポイントだと思う。ベッセルトフトは淡いピアノ・ソロを披露する場合もあり。ビートもので繰り出す彼の鍵盤演奏は瞬発力を持つとともにキャッチー。それは昔からで、ハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日)調な指使いを鷲掴みにしてグワっと出す傾向がある。

▶︎過去の、ブッゲ・ベッセルトフト
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200809231132339668/
http://43142.diarynote.jp/201001251710004302/
http://43142.diarynote.jp/201205080620235237/
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、リッキー・リー・ジョーンズ(2004年3月26日、2005年12月31日、2010年5月23日、2012年9月27日、2013年8月7日)公演を見る。前回の来日公演はチェロ奏者とのデュオだったが、今回は一時ジャム・バンドとして名を鳴らしたクリターズ・バギン(2004年6月13日、2000年7月19日)の怪人的と言いたくなる打楽器奏者でもあったマイク・ディロンとのデュオだ。

 もう気まま、手癖100パーセントのパフォーマンス。荒すぎ、ワタクシ度溢れすぎという見方もできるかもしれないが、米国シンガー・ソングライター100人という選に間違いなく入るだろう逸材の持ち味は、無防備に出される。アコースティック・ギター弾き語りだけでなく、例により中盤以降にはピアノを弾きながら歌う場面もあり。彼女は昨年3年ぶりとなるアルバム『The Other Side of Desire』(好盤。ニューオーリンズ録音で、ジョン・クリアリー〜2007年4月6日、2008年10月15日、2009年9月5日、2013年5月20日、2013年10月14日、2014年10月25日〜も参加)を自主リリースしたが、そこからの曲はやったかな? 過去曲主体の選曲だった。

 ヴァイブラフォン、簡素なドラム・キット、グロッケンシュピール(よりも、小さいものだったか)などを扱うディロンは軽い伴奏という感じのサポート。右手はシンバルやスネアを叩き、左手はヴァイブラフォンを叩くという曲もあった。彼は『The Other Side of Desire』に入っていない。

▶過去の、リッキー・リー・ジョーンズ
http://43142.diarynote.jp/200403261054430000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20051231
http://43142.diarynote.jp/201006031536173725/
http://43142.diarynote.jp/201210021332368431/
http://43142.diarynote.jp/201308110827534904/
▶︎過去の、クリッタ−ズ・バギン/マイク・ディロン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200406140713270000/
▶︎過去の、ジョン・クリアリー
http://43142.diarynote.jp/?day=20070406
http://43142.diarynote.jp/200810170628196746/
http://43142.diarynote.jp/200909120648439512/
http://43142.diarynote.jp/201305260926059486/
http://43142.diarynote.jp/201310150811404538/
http://43142.diarynote.jp/201410301511243448/

<今日の、電気>
 泉邦宏(2006年7月3日、2011年7月10日、2012年4月21日)の新作『solo live IN TUBO』(KITAKARA K-27)が届く。今年2作目となるアルバム(前作は、http://43142.diarynote.jp/?day=20160404 参照)で、今年8月27日のソロ・ライヴの実況盤だ。内ジャケ˜に<おれの音楽にエレクトロニクスがやっと融合した夜であった。>と記しているが、なるほどもともと電波な泉が電気でもあるパフォーマンスを収めた一作と言えるか。ベッセルトフトのようにプリセット音は使用せず、その場の人間力で賄う1作。一部、口タブラみたいなのも出てくるな。
▶過去の、泉邦宏
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703
http://43142.diarynote.jp/201107111327576732/
http://43142.diarynote.jp/201204221307297965/