昼間、代官山・晴れたら空に豆まいてで、ノルウェーのピアノ・トリオのイン・ザ・カントリーを見る。3人ともエフェクターやPCを傍らに置き、音色に留意したり、サンプリング音や同期音を用いたりもするわけで(専属エンジニアも同行させていた)、ピアノ・トリオとさらりと書くには少し躊躇するところもあるけれど。ピアニストのモッテン・クヴェニルはスザンナ&ザ・マジカル・オーケストラ(2004年10月8日)で来日したことがあり、ジャガ・ジャジスト(2014年9月6日)やシャイニング(2008年10月6日)に参加していたこともあったという。

 1曲目は単純なリフを機微ありげに重ねて行くタイプの曲で、かなり所謂ポスト・ロック的な演奏と思う。他にもポスト・ロック的と感じさせる局面があったが、一方では鮮烈なジャズ感覚や眩しい飛躍も持っていて、ほうと思わせる。ピアノのソロはブラッド・メルドー(2002年3月19日、2003年2月15日、2005年2月20日)的と少し言いたくなるものであったか。ジャズとロック的音響の綱引きという部分において、今はなきスウェーデンのE.S.T.(2003年6月17日、2007年1月13日)を思い出させるところもあるが、その自然な噛み合いは若い彼らのほうに分がある? でも、得難いパッションやストーリー性はE.S.T.が勝る?。

 途中からは、クヴェニルとは15年だかの付き合いとか紹介される女性シンガーのソールヴァイ・シュレッタイエルが出て来て、彼女がフィーチャーされる。シュレッタイエルは立派な体格を利した、立派な声量で歌い上げる。ジャズ性は皆無で、レディオヘッド(2001年10月4日、2004年4月18日、2008年10月4日)とか、欧米曲カヴァーも披露。ちゃんと実力を持つ人ではあるが、ぼくの好みからは外れ、演奏陣だけのパフォーマンスにもっと触れたいと思った。

▶過去の、スザンナ&ザ・マジカル・オーケストラ
http://43142.diarynote.jp/200410162214500000
▶過去の、ジャガ・ジャジスト
http://43142.diarynote.jp/201409100929108025/
▶過去の、シャイニング
http://43142.diarynote.jp/200810081601372821/
▶過去の、メルドー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200502232041270000/
▶過去の、E.S.T.
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
▶過去の、レディオヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200404180058130000/
http://43142.diarynote.jp/200810061856366600/

 そして、夜は九段下・イタリア文化会館で、NY在住イタリア人ギタリストのマルコ・カッペリ率いるトリオ・バンドを見る。そのイタリアン・サーフ・アカデミーは普段前衛系のジャズ・ギターを弾いているカッペリの“外し”プロジェクトで、エンリオ・モリコーネをはじめとするマカロニ・ウェスタン(カッペリはスパゲッティ・ウェスタンと言っていた)映画の曲を演奏する主旨を持つ。サイドを務めるのは、ルカ・ロ・ビアンコ(電気ベース。縦も弾くのは明らかな弾き味を持つ)とフランセスコ・クサ(ドラム)。もしかすると、彼らはイタリア在住者かもしれない。なんか雰囲気から、そう思わせたりもする。

 耳なじみのある哀愁系曲をとぼけた感じと、ときに尖った感じも介しつつ、ざっくり披露。ぼくがCD で過去聞いたカッペリはかなり繊細な演奏をする人物という印象もあったが、くだけたテーマもあったためか神経質と感じさせるところはゼロで、いろんなヤマを持つ演奏を悠々と披露して行く。007のテーマ曲もやったな。ステージ背後にはイタリア産映画を主にモチーフを置く処理映像が音楽に会わせるように流される。それ、フツーに質をもっていた。その同行オペレイターも、最後ステージにあがり紹介されていた。卓をやっていたのは、オノセイゲン(2000年3月12日、2009年1月17日、2011年8月4日、2012年6月7日、2013年1月30日、2014年4月20日、2014年7月28日)。

 今日見た2組の非英語圏育ちの奏者たち、なんか初々しい。皆さんの前で演奏できてうれしい、という喜びを、両組とも存分に出していたナ。

▶過去の、オノ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200901181343426080/
http://43142.diarynote.jp/201108101630438805/
http://43142.diarynote.jp/201206110945571082/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130130
http://43142.diarynote.jp/201404251643448230/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140728

<今日は、祭日>
 代官山駅をおりると、すごい人。なんか、お店(飲食店なのではないかな?)に入るために列をなしているところもあったりして、大げさに言えば、おののく。せっかくのゴラクのひととき、列に並んだりしたら、台無しとぼくは感じてしまうタイプであるから。日中は半袖で歩いていて、少し汗ばんでくるような天候。秋分の日となる今日は、とってもいい天気であった。