アンジェラ・ガルッポ
2013年8月23日 音楽 「アイ・フィール・フォー・ユー」という楽曲は、プリンス(2002年11月19日)が1979年発表のセカンド作『プリンス』に入れていた曲だ。その8曲目に収められていたシンセ・ポップ曲で(って、当時の彼の楽曲は皆そう形容できるが)シングル・カットはされていない。そして、その曲を5年後に鋭意カヴァーしてみせたのが、チャカ・カーン(2012年1月10日、他)。ラップのグランドマスター・メリ・メルとハーモニカのスティーヴィー・ワンダー(2012年3月5日、他)を一緒に起用したカーンのヴァージョンはアルバム名にも冠されて、まっさきにシングル・カットされ(同作からは3曲、切られた)、総合3位チャート/R&Bチャート1位と大ヒットした。プロデュースはアリフ・マーディン、ここでの歯切れある当時のメインストリーム先端にあるデジタル音色の響きは翌年、やはりマーディン制作のスクリッティ・ポリッティの『キューピッド&サイケ85』で完全に花開くこととなる。
レビー・ジャクソンやザ・ポインター・シスターズなど、この曲をカヴァーしたアーティストもいなくはないものの、カーン・ヴァージョンが印象的すぎるためか、有名曲のわりにはこの胸高鳴るような気分を持つ曲はその後それほど取り上げられていない(はず)。
ところが、ここに来て、なんとも見目麗しい新たな「フィール・フォー・ユー」が発表されて、ぼくはちょっと驚いている。アンジェラ・ガルッポというカナダのモントリーオールに住むジャズ(とポップの両刀で、来ているよう)歌手のヴァージョンがそう。ゆっくりジャジーに崩されたそれはなんとも巧みで曲の持つ綾のようなものを広げ、また彼女の清楚な歌い口はそのラヴ・ソングにある純な思慕の情に鮮やかに焦点を当てるものとなり……。こんなに味わい深くていいの?
そんな彼女の、生の「アイ・フィール・フォー・ユー」は馬鹿みたいにグっと来た。よくもまあ、こんな秀逸しっとりアレンジを編み出し、それと合致する歌声/節回しを載せたものだ。赤のワンピースを来た当のガルッポ嬢はびっくりするほど、性格が良さそうな人。それは、MCやちょっとした態度の端々から伝わる。でもって、ジャケ写よりもずっとキュート、足首も奇麗。ときに音程が少し不安定になるときもあり、純ジャズ・シンガーとしてきっちり見れば個性ある歌い手としての要件を満たすものではないがが、そうであっても、気持ちと品のあるショウに触れたという満足感をぼくは得た。アルバムはスタンダード(「ティー・フォー・トゥ」や「スワンダフル」他)を中心に、ザ・ビートルズやウィルコ(2013年4月13日、他)などのポップ曲も取り上げる。ショウでは、ロジャー/ハマースタインの著名曲「マイ・フェイヴァリット・シングス」も複数のテンポが混在する凝ったアレンジで披露していた。
なんか、もっといろんな音楽を感じたい……。この晩の「フィール・フォー・ユー」を聞きながら、そんなこともふと思った。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。書き遅れたが、ピアノ・トリオがサポートした。
<今日の、もわあ〜>
とにもかくにも、バカみたいに蒸し暑い日。今日は、ライヴを見る前に、2つのインタヴューをこなしたのだが、一つ目のそれの場となる建物に入ったとたん、豪雨。後から来た女性編集者は気の毒なぐらいびしょびしょ。極悪な罰ゲームを受けた、という感じィ? しかし、間違いなく、今日の湿度の高さは東南アジアのそれを超えていたはずで、ちょうど来日している外国人は這々の体ではなかったか。10月まで気温が高めという長期予報も、出されている。いやはや、ニッポン……。
レビー・ジャクソンやザ・ポインター・シスターズなど、この曲をカヴァーしたアーティストもいなくはないものの、カーン・ヴァージョンが印象的すぎるためか、有名曲のわりにはこの胸高鳴るような気分を持つ曲はその後それほど取り上げられていない(はず)。
ところが、ここに来て、なんとも見目麗しい新たな「フィール・フォー・ユー」が発表されて、ぼくはちょっと驚いている。アンジェラ・ガルッポというカナダのモントリーオールに住むジャズ(とポップの両刀で、来ているよう)歌手のヴァージョンがそう。ゆっくりジャジーに崩されたそれはなんとも巧みで曲の持つ綾のようなものを広げ、また彼女の清楚な歌い口はそのラヴ・ソングにある純な思慕の情に鮮やかに焦点を当てるものとなり……。こんなに味わい深くていいの?
そんな彼女の、生の「アイ・フィール・フォー・ユー」は馬鹿みたいにグっと来た。よくもまあ、こんな秀逸しっとりアレンジを編み出し、それと合致する歌声/節回しを載せたものだ。赤のワンピースを来た当のガルッポ嬢はびっくりするほど、性格が良さそうな人。それは、MCやちょっとした態度の端々から伝わる。でもって、ジャケ写よりもずっとキュート、足首も奇麗。ときに音程が少し不安定になるときもあり、純ジャズ・シンガーとしてきっちり見れば個性ある歌い手としての要件を満たすものではないがが、そうであっても、気持ちと品のあるショウに触れたという満足感をぼくは得た。アルバムはスタンダード(「ティー・フォー・トゥ」や「スワンダフル」他)を中心に、ザ・ビートルズやウィルコ(2013年4月13日、他)などのポップ曲も取り上げる。ショウでは、ロジャー/ハマースタインの著名曲「マイ・フェイヴァリット・シングス」も複数のテンポが混在する凝ったアレンジで披露していた。
なんか、もっといろんな音楽を感じたい……。この晩の「フィール・フォー・ユー」を聞きながら、そんなこともふと思った。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。書き遅れたが、ピアノ・トリオがサポートした。
<今日の、もわあ〜>
とにもかくにも、バカみたいに蒸し暑い日。今日は、ライヴを見る前に、2つのインタヴューをこなしたのだが、一つ目のそれの場となる建物に入ったとたん、豪雨。後から来た女性編集者は気の毒なぐらいびしょびしょ。極悪な罰ゲームを受けた、という感じィ? しかし、間違いなく、今日の湿度の高さは東南アジアのそれを超えていたはずで、ちょうど来日している外国人は這々の体ではなかったか。10月まで気温が高めという長期予報も、出されている。いやはや、ニッポン……。