この節分にぐうぜん見て、<今年最大の出会い>とぼくを驚嘆させた、ギタリストの さいようりょうじ(2013年2月3日)のパフォーマンスを見に行く。ピアニストのヤマザキタケルとのデュオ、青山・月見ル君想フ。5組出るイヴェントのなかの1組目としての出演で、2人で5曲をパフォーマンス。頭と終わりが穏健ソウル曲カヴァー(1曲目はザ・スタイリスティックスの「ユー・メイク・ミー・フィール・ブランド・ニュー」だった)をインストで披露し、あとの3曲ではヴォーカルもさいとうは堂々取る。

 2曲目は、自作で自らの育った環境を歌ったろう「川崎」というフォーク調の曲で、この際はほとんどギターを弾かない。あと、ぼくの知らない日本語の曲とジェイムズ・テイラーの「ドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイト」も歌う。後者に触れて、ものすごくメロディアスなスタンダードを<さいとう崩し>のもとぶっこわれギター演奏込みで取り上げると面白そう、と思う。

 やはり、すんごいギタリスト。今回聞いて、その飛躍のヴァリエーションは何気に狭いところもあるかもと感じもしたが、やはり超怒級のイマジネーションと歌心と起爆力を持っていて、ぼくはとっても生理的に発汗。その楽器に向かう姿勢の強さの鮮やかな発露に接し、ジャズ・ピアニストの板橋文夫(2009年1月22日、他)と一緒にやったらすこぶる感銘を受けるのではないかと、感じたもした。両者は常人離れした重なる回路を抱えているところがあるのではないのか。うぬ、やっぱり今なら、ぼくはビル・フリゼール(2011年1月30日、他)よりもさいとうりょうじを取る。ドンっ。

 この日、ピアノで相手役をしたヤマザキはバークリー音楽大学に行っていた関係もあるのだろう、デイヴィッド・フュージンスキ(2012年2月10日)の変てこ迷宮作『デイヴィッド・フュージンスキズ・プラネット・ミクロジャム』(Rarenoise、2012年)にジャック・ディジョネット(2007年5月8日、他)なんからとともに、キーボード奏者として名を連ねている。

<今日の、新作>
 アイヴァン・ネヴィル率いるニューオーリンズの力づくファンク・バンド、ダンプスタファンク(2012年7月30日)の新作『Dirty Word』(Louisiana Red Hot)を朝起きて、大音量でかける。快感。やはり力づくではあるが、きちんと練ってあたっただろうスタジオ録音作だ。なんか、グレッグ・エリコ(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)制作のベティ・デイヴィス(マイルズ・デイヴィスの元嫁)の1973年ハード・ファンク曲みたいなのも入っている。イエイっと、聞きながら終始かけ声あげっぱなし。知らない人に見られたら、けっこうまずいシチュエーションだな。新作と言えば、トゥール(2007年2月9日)のドラマーのダニー・キャリーが中心となったハイパーなインストゥルメンタル・バンドのヴォルト!の第一作はファンタジー/コンコード発だ。なんか、聞いた事のあるバンド名だと思って買っちゃったのだが、LAに住む知人が、今年の晩冬に知り合いがいる彼らのライヴを日本でできないかなあとメールしてきたことがあったのだ。そこには、ギャラも書いてあったなー。