6年ぶりにリリースした新作『ひつじ雲』(朝日蓄音)をフォロウする、女性シンガー・ソングライターの単独ライヴ。渋谷・サラヴァ東京。2部制にて持たれ、新作収録曲はすべてやったよう。会場はびしっと椅子が並べられ、フル・ハウス。趣味の良い洋楽享受を日本語のポップスに昇華させる、この才人のパフォーマンスを見るのはいつ以来か。オネストで見たのは15年ぐらい前? でも、そんなに昔の印象はないかな。それは、シーンにおいて、もう一つのところに無理なく位置しているというイメージがあるためか。
ピアノやキーボードを弾きながら歌う彼女に加え、新作をプロデュースもしている高橋健太郎(ギター)ほか、レコーディングにも参加している人たちがサポート。バンドネオンの北村聡(2012年6月17日、他)、ベースの千ヶ崎学、ドラムの楠均という面々がつき、北村以外はときにコーラスも取る。このリズム隊、2人でキリンジのサポートをしているそうだが、心地いい質量感を持っていて、うなずく。一方、かなりうまくポップ・ミュージック傾向のバンド・サウンドと重なり、濡れた温もりを与えていた北村聡は半数強の曲で加わり、その際の朝日はすべてグランド・ピアノを弾く。北村とのデュオ曲もあれば、ピアノ弾き語り曲もあった。
コード使い/メロディの妙と日常への閃きある視点を有した詩作が、豊かな音楽享受を下敷きとするサウンドのもと、瑞々しく浮き上がる。生理的に、輝いていると思わせる部分もいろいろ。でもって、ライヴだとスティーリー・ダンぽい曲調と思わせられものもあり、それは高橋のギター演奏が時にそれっぽいことも一因か。それを認知し、<スティーリー・ダン+キュートな女性ポップ=朝日美穂>という説明もアリかとふと思って見ていたが、セカンド・ショウのほうは、あまりスティーリー・ダンぽいとは感じず。随所で耳をひく部分がある、しなやかなのに個を持つポップ表現であるのは変わりがないが。
音楽をする歓びが、きっちりあった公演。そして、その端々から、音楽を作る日常の正の機微も透けてみえるような気がした。別な言い方をすれば、自然で実のある音楽献身、音楽愛好に満ちる。そして、それはアルバムにもまぎれもなく流れるものだろう。現在ネットののみで販売されている『ひつじ雲』(ここ数年の間に作られ、録られた曲群が磨かれ、収められている)は、春が終わるとちゃんと店頭販売もされるようだ。
<今日、という日>
あったかい、満開。花見最適日。
ピアノやキーボードを弾きながら歌う彼女に加え、新作をプロデュースもしている高橋健太郎(ギター)ほか、レコーディングにも参加している人たちがサポート。バンドネオンの北村聡(2012年6月17日、他)、ベースの千ヶ崎学、ドラムの楠均という面々がつき、北村以外はときにコーラスも取る。このリズム隊、2人でキリンジのサポートをしているそうだが、心地いい質量感を持っていて、うなずく。一方、かなりうまくポップ・ミュージック傾向のバンド・サウンドと重なり、濡れた温もりを与えていた北村聡は半数強の曲で加わり、その際の朝日はすべてグランド・ピアノを弾く。北村とのデュオ曲もあれば、ピアノ弾き語り曲もあった。
コード使い/メロディの妙と日常への閃きある視点を有した詩作が、豊かな音楽享受を下敷きとするサウンドのもと、瑞々しく浮き上がる。生理的に、輝いていると思わせる部分もいろいろ。でもって、ライヴだとスティーリー・ダンぽい曲調と思わせられものもあり、それは高橋のギター演奏が時にそれっぽいことも一因か。それを認知し、<スティーリー・ダン+キュートな女性ポップ=朝日美穂>という説明もアリかとふと思って見ていたが、セカンド・ショウのほうは、あまりスティーリー・ダンぽいとは感じず。随所で耳をひく部分がある、しなやかなのに個を持つポップ表現であるのは変わりがないが。
音楽をする歓びが、きっちりあった公演。そして、その端々から、音楽を作る日常の正の機微も透けてみえるような気がした。別な言い方をすれば、自然で実のある音楽献身、音楽愛好に満ちる。そして、それはアルバムにもまぎれもなく流れるものだろう。現在ネットののみで販売されている『ひつじ雲』(ここ数年の間に作られ、録られた曲群が磨かれ、収められている)は、春が終わるとちゃんと店頭販売もされるようだ。
<今日、という日>
あったかい、満開。花見最適日。