スティーヴ・ウィンウッド(2003年7月27日)のトラフィックにちらっといたりした英国人ロッカーで、70年ごろには米国に渡り、ブルー・サムやCBSからリーダー作をいろいろ出した、ロック顔役の一人と言えなくもない御仁。中野サンプラザ。

 今年もっともオーディエンスの年齢層の高いコンサートになる? 普通じじいの公演であっても若い人がちらほら見受けられるものだが、この日はマジ年長者だけ。だけど、メイソンの外見もすごいもんがあったなー。大昔のアーティスト写真に重なるものは皆無で、ステージに登場したのは、スキンヘッドの太ったおじいちゃん。格好もプア。MCで65歳と言っていたが、もっと年長のようにぼくには思えた。が、歌うと実に朗々、声が出る。それには、感心。ギタリストとしての評価も持つ人だが、ぼくの嫌いなタイプのギター・ソロを取る人で、それにはゲンナリ。表面(おもてづら)は整っているが、スケールに沿って安全パイのフレイズをつなげているだけ。

 電気ギターや生ギターを手に歌う当人に加え、ギター、キーボード、ベース、ドラム、打楽器(曲によってはギターや鍵盤も触る)という編成。普段のバンドなのか、良くまとまっている。コーラスもきまる。おもしろいのは、リズム・セクションが黒人であること。右利き用のベースを逆さに構える左利きベーシストは大昔からやっていると紹介されたっけ。なるほど、ソウル感覚を消化したふくよかだったり弾む味も彼は出してきていた。あと、そうかと頷いたのは、トラフィック時代(ウィンウッド曲「ディア・ミスター・ファンタジー」は気持ち悪くブルージィにリアレンジ)の曲を歌うと英国人情緒がさあっと出て、一方では太平楽な米国産業ロック的なテイストも存分に出すこと。自在に、“アトランティック・クロッシング”する持ち味を持つ人であり、その不思議なスケール感がこのヴェテラン・ロッカーの持ち味なのだと納得しました。

 即売はすでに売り切れです。という、場内アナウンスが終演後にあった。おお、レコード/CDの主購買層を知る思い。


<今日のレトロ>
 中野に行くのは、2003年5月2日いらい、かな。やはりサンプラザでやったジャクソン・ブラウン公演を見たときだ。その公演はブログで罵詈雑言の数々をはいたので、覚えている。夕方の用事があっさり早く済み、昼間あたたかかったこともあり、少し懐かしさを覚え、早めに中野に向かい、北口側を探索。店は大きく様変わりしているんだろうけど、基本的な建物とか、その配置とかはぜんぜん変わっていないような。その再開発のされなさに、逆に驚く。ブロードウェイの横のほうに広がる、店がごんごん連なる飲み屋/飲食店区域をうれしい心持ちを得て探索。そしたら、飲み屋に挟まれるように、昔ながらの、と形容するしかない、小さな“昭和の”レコード屋を発見。まじ、そこだけ時間が止まっているような。○○堂(名前失念。こういうとき、携帯でおさえればいいのだナ)という看板があったが、一体アレは? それを見つけたのは開演時間が近くなっていて、中に入るのは断念したが、とてもノスタルジックな気持ちになった。そういえば、中野に行く時に、JR新宿駅のホームから見える小田急線ホームに、赤色が基調の先端がパノラマ席になっているロマンスカー旧車両が停まっていて、わお。たまに青銀色の味気ない形の新しいロマンスカー車両は見かけていたけど、いまだ生理的に派手な昔の車両も走っていたのか。子供のころ、ハイカラなイメージ満載のロマンスカーに乗ったときは本当にうれしかった。確か、その頃のロマンスカーの車内の食べ物販売(注文すると、座席まで運んでくれた)はミルキーの不二屋が請け負っていたと記憶するが。音楽も目にするもののも、何かとレトロな1日でした。ぽわ〜ん。