飯田橋・東京日仏学院/ラ・ブラスリー(お、ステージの位置が変わったのだな)での、短めのショーケース・ライヴ。主役は、モロッコ出身で、13歳以降はパリで育っている女性シンガー・ソングライター。ベルベル人の血を引きそのことにとても自負を抱いているという情報があったり、高校を出てルーブル美術館の監視員としての職を得たり&25歳を過ぎてちゃんとシンガー・ソングライターの道を目指したりという経歴など、興味を引く項目を持つ人。終わったあと少し言葉を交わしたら、とてもいい人そう。とともに、オトナというか、ちゃんと自分を持ってしなやかに生きているノリを感じさせられた。

 生ギターを弾く優男がサポート(日本盤も出ている、パリでボサノヴァ・ユニットをやっているトム&ジョイスの人だそう)。マイナー・キー多用の襞を持つ曲はときにアシャ(2008年9月10日、他)やモリアーティ(2009年5月31日)のそれを少し想起させる場合も。今のパリの多国籍性の確かな欠片、な〜んてね。アルバムを聞くとアクセント/打楽器音が個性あり(←それは、どこかベルベルの血を想起させる?)と思わせるので。パーカッション奏者も同行させてほしかったかな。

 この16日に、長老ジャズ・ピアニストのハンク・ジョーンズがNYで亡くなったという報道。死因は発表されていないようだが、91歳だし、天寿をまっとうしたと言っていいのだろう。今年の矍鑠さと粋さを持つ来日パフォーマンス(2010年2月22日)に触れておいて、本当に良かったという思いが頭のなかに渦巻く。