在NYのジャズ・ピアニストであるヴィジェイ・アイヤー(2014年6月17日、2014年6月19日、2014年6月20日)の公演は、丸の内・コットンクラブ。ファースト・ショウとセカンド・ショウを、続けて見る。

 ファースト・ショウの冒頭、アイヤーは「やっと戻ってこれた。5年もかかったよ」と言う。おお、前回公演時のMCの動き(http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/ 欄外参照)を思わず思い出してしまい、感無量。本当に、ぼくも待っていたよ!

 1時間のミュージカル・ジャーニーを聞かせるよと言ったファーストはまじ1時間強を、自作曲やスタンダードやマイケル・ジャクソン曲などを思うまま繋いで切れ目なしに続ける(+アンコール的に5分強の曲〜これも曲を繋いでいた)。20年来の付き合いで多くのアイヤーのプロジェクトに関わるベースのステファン・クランプ( 2014年6月19日、2014年6月20日)、そしてまだ20代半ばのヒューストン出身ザ・ニュー・スクール大卒のジェレミー・ダットン(ドラム)がそれに何なくついていく。アイヤーが講師として関わったカナダの音楽サマー・キャンプで出会ったときダットンは18歳だったそうで、彼がよく使うマーカス・ギルモア(2007年11月21日、2010年7月24日、2010年8月22日、2014年5月15日、2014年6月19日、2014年6月20日、2015年4月7日、2016年9月16日、2017年4月18日)やタイショーン・ソウリーが売れっ子になってしまい、ダットンを使う機会がごんごん増えているんだそう(今まで200回は、一緒にやっているそう)。なんにせよ、ドラマーは皆アフリカ系ですね。

 一部の冒頭、ダットンはずっとマレットで叩いていた。キックは終始連打していて、今様のジャズ・ドラマー。もちろん、美味しいズレも続々送り出す。ファースト・ショウはレギュラー・グリップで叩くことが多く、セカンド・ショウはマッチド・グリップで叩く時間が増えていた。1部では、クランプは最初と最後は弓弾きをする。また、彼はファーストにせよセカンドにせよ、ソロを取る際を中心にスキャットをかます。前回は気づかなかったが?

 セカンド・ショウも曲をやはり繋げるのだが、30分強のを1つと、あともっと短い尺のものを二つか三つ。そうしたトリオ演奏が孕むものは、前回公演時に感じたものと大きく変わらず。確かな知見とがった意識を自在に開き、そこからある種の美しさや今の機微を彼はつくり出す。アイヤーはここのところ5作続けてECMからアルバム発表しているが、弦ユニット使用、トリオ、トランペッターのリオ・スミスとの双頭作、3管を擁するセクステット、クレイグ・テイボーンとのピアノ・デュオとすべて異なる設定のアルバムを出している。さて、次はどんな内容になるか。とともに、別の設定によるライヴも見てみたいなー。

▶過去の、ヴィジェイ・アイヤー
http://43142.diarynote.jp/201406180853065508/
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/
▶︎過去の、ステファン・クランプ
http://43142.diarynote.jp/201406201008164250/
http://43142.diarynote.jp/201406210910441716/

<今日の、懺悔>
 1985年以降現役で唯一の絶対服従のバンドと言い続けてきたのに、そちらフィッシュボーン(2000年7月28日、2007年4月5日、2007年4月6日、2009年11月25日、2010年7月31日、2011年8月8日、2013年6月3日)のコンサートを反故にして、アイヤー公演を選ぶ。フィッシュボーンの皆んな、ごめんよう。だって、アイヤーには翌日インタヴューすることになっちゃったから。アイヤーはトップ級にインタヴューしたいジャズ・マンなのだからしょうがない。やはり、可能な場合は取材の前に実演を見ておくのは礼儀。それによって、本人の人間的なノリがなんとなく掴めるし、取材のときに前日のライヴ見ましたと言って、一言コメントをつけると、それでよりフレンドリーになる人もいるし。

追記)翌日の公演前にコットンクラブの楽屋でアイヤーの取材をしたのだが、彼はすでに一人で来ていて、1時間じっくりピアノの練習をしていたのだそう。そういう、努力もするのか。ものすごーく、せっかちじゃなくゆったり喋る人。スティーヴ・コールマンはといろいろな経緯があって(例えば、面識をちゃんと得る前にあるハコで、彼からギタリストのファリード・ハークに間違えられて声をかけられたことがあったそう。コールマンとハークはともに、スティング〜2000年10月16日〜の悪名高い個人レーベル“パンジア”所属だったことがある)。コールマン(彼からブループ入りを誘われなかったら、理科系の学者の道を歩んでいた可能性大)やA.E.O.C.のロスコー・ミッチェルは最たるメンターであるよう。
 最新作で一緒にやっているテイボーンはミッチェルのグループに一緒に入っていた間柄で、そのECM盤がアイヤーの初同社レコーディング参加であったという。アイヤーは何気にエリントン他の先達表現とのつながりを重視しているが、自らをジャズ・マンとは思っていない。いや、ジャズというジャンルは売るための括りであると考え、ジャズという今の枠組みを否定している。実は、昨日のファースト・セットはまだこの会場での機微が掴みきれず、いろんな部分を確認しながらやるために、本編一発にしたのだそう。そして、その奥ではドラマーとの目に見えぬリズムに対する戦いがあったとのこと。ほうっ。
 親しんだECMのアルバムは、クラシック好きであるにも関わらずまずアート・アンサンブル、ドン・チェリー、ジャック・ディジョネット(2001年4月30日、2003年8月23日、2007年5月8日、2014年5月22日、2015年9月5日)らいろいろ黒人ミュージシャン奏者の名前を出した。そしてその後に、キース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)の名も出す。同社耽美系の作品は出さなかった。あ、話の仕方や例え方が、アヌーナ(2007年12月15日、2009年12月12日、2011年12月7日、2011年12月10日、2014年12月4日、2014年12月6日)のマイケル・マクグリンとすこし重なるかもしれない。

▶過去の、フィッシュボーン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm フジ・ロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200704112101130000/ 豪バイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200806121400260000/ 豪ベイロン・ベイ
http://43142.diarynote.jp/200911281704335025/ アンジェロ単独
http://43142.diarynote.jp/?day=20100731 フジ・ロック
http://43142.diarynote.jp/201108101638376353/
http://43142.diarynote.jp/201306060729285922/
http://43142.diarynote.jp/201412310727087161/  NY実演のライヴ配信。
▶︎過去の、スティング
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm
▶過去の、ジャック・ディジョネット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
http://43142.diarynote.jp/201405231458349566/
http://43142.diarynote.jp/201509211331298145/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶過去の、アヌーナ
http://43142.diarynote.jp/200712161423560000/
http://43142.diarynote.jp/201001051620426983/ マイケル・マクグリンのインタヴューも
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/?day=20111210
http://43142.diarynote.jp/201412151250144917/
http://43142.diarynote.jp/201412221527313725/