ヤコブ・ブロ・トリオ
2019年5月17日 音楽 1978年デンマーク生まれのジャズ・ギタリスト(2017年3月2日)の公演を、丸の内・コットンクラブで見る。彼のリーダー作5作品はECMから。そのディールは、ECM社主マンフレート・アイヒャーに直言できる米国人ドラマーだった故ポール・モーシャンのグループにブロが参画したことが端緒となったのではないか。
ファースト・ショウ。ベーシストのトーマス・モーガン(2012年6月24日、25日、2013年9月7日、2017年3月2日、2017年6月19日 )とドラマーのジョーイ・バロン(1999年9月24日、2011年1月30日、2017年3月2日)という辣腕米国人奏者とのトリオは前回来日時と同じで、5枚のリーダー・アルバム中3作品がその3人によりレコーディングされている。モーガンは晩年の菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)のトリオの一角を支えた人物であるが、菊地はモーシャンの紹介でモーガンとやるようになった。ブロの場合もまた同様かもしれぬ。なお、ブロのリーダー作群は、皆んな彼のオリジナル曲が取り上げられている。
日本語を勉強しているそうなブロは冒頭、長めに実直な日本語MCをする。そんな彼は、テレキャスター型のギターを弾くが、ジュリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日、2017年2月1日)、2017年11月13日、2018年12月11日)の印象もあり、現代ジャズ・ギタリストにはテレキャスターが似合うと思ってしまう?
ブロはピックを使わず、訥々とギターを弾いていくわけだが、エフェクター使用効果もあり、なかなか一筋縄では行かない。ジャズの流儀をちゃんと知ったうえで思うまま動こうとする達者なリズム・セクション音にのり、もう一つの隙間や溝を埋めていく様は興味深いし、面白い。パっと見た目はぜんぜん我の張ったタイプには見えないのだが、大好きなギターに関しては周りの目なんか気にせず頑固一徹にギターを抱き続けてきたんじゃないかと、ぼくは妄想。とにかく、いわゆる旧来のよく歌い、流麗でもあるギター奏法と比べると、エフェクターを使いつつも(アンコールのとき、入れてあった音断片が不用意に出てしまい、やり直しした。そこに、いろんな音マテリアルを仕込んでもいるのだろう。ギター音のループに生のギター音を重ねる曲もあった。とかあったが、前回と比べるなら今回公演はエフェクター依存率は低めだった)、生理的にはプリミティヴと思わせる部分がなんかあると感じた。それは技巧第一主義から逃れていることが、そう思わせるのか。
ところで、ブロはNYの人たちとやっていて同地在住かと思っていたら、本国コペンハーゲンに住んでいるそう。モーガンはNY在住(奥さんは日本人らしい)だが、かつてNYのダウン・タウン界隈でよく叩いていたバロンは住所不定気味で、今は彼女が住むベルリン在住が多いよう。いいなあ、そういう軽さ。相変わらず、彼は実に見事な演奏を聞かせていました。
▶︎過去の、ヤコブ・ブロ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
http://43142.diarynote.jp/201507091044561526/ インタヴュー
http://43142.diarynote.jp/?day=20160611 遺作について
▶︎過去の、トーマス・モーガン
https://43142.diarynote.jp/201207031322126509/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/?day=20130907 リー・コニッツ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
https://43142.diarynote.jp/?day=20170619
▶︎過去の、ジョーイ・バロン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm マサダ
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/ ロン・カーター ビル・フリゼール
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、ジュリアン・ラージ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
https://43142.diarynote.jp/201711141337544172/
https://43142.diarynote.jp/201812121252088734/
<︎今日の、考察>
ブロの創意に富む演奏に触れながら、ビル・フリゼール〜彼もECM育ちですね〜(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年6月19日)もそうだが、ポール・モーシャンはギター奏者を自己バンドに好んで入れもしたのだなとふと思う。だが、それも考えてみればあまりに当然。だって、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)、菊地雅章といったとてつもないピアニストとやったら、何かと不備に感じてしまい安易にピアニストを雇うのを憚られちゃうのは容易に想像できるではないか。
ところで、長年ジャズのメインストリームにおいてギターは傍系の楽器であった。積極的にギタリストを使ったソニー・ロリンズ(2005年11月13日)とかオスカー・ピーターソンとかは、例外になりますね。なぜ、そうであったか、ぼくは音楽の物書きの中でそれについては一番明快な見解を出してきている人間だと思うが(ここにそれを長々と書く余裕はないが、ようは王道にいたエリートのジャズ・マンはより直接的に男性器の感覚を持つ楽器であるギター〜それはより直にブルースとつながるものでもある〜を採用するのを生理的に避けた。そいう生々しくもプリミティヴな楽器をつかわずに、いかに発情や勃起の感覚〜原初的なブラック感覚を出すかが往年の名ジャズ・マンにとっては誉であり粋であったのである……)、そんな状況変化の発端にあったのがギター奏者をバンドに入れたマイルズ・デイヴィスやオーネット・コールマン(2006年3月27日)のエレクトリック・バンドの編成(それは、ソウルやロックの台頭に、ある意味リアル・ジャズが敗北/追従したことも意味した)だった。その後紆余曲折を経て、現代ジャズ表現においてギターは重要な楽器となっているのは間違いない。それはギターがメインの楽器となるのが当然のロックやソウルの先にあるものとしてジャズをやろうとしている人が多いことや、ギターという楽器がもともとエフェクトをかけやすい=かけても違和感の少なくない楽器であり(オレ、管楽器にそれをやられると基本イヤな心持ちを得る)、それが現代ジャズの表情を出すのにとても強みとなるということが大きい。一方、ECMは多大なジャズ美意識を出した突出した欧州ジャズ・レーベルであったが、当初からテリエ・リピダルをはじめギター奏者を優遇する傾向になぜかあった。それは、それまでギターが主役となり得なかったジャズの世界において、この身体と直接的に繋がった感覚を持つ弦楽器はおおいにコンテンポラリーなジャズを形作る際の武器になるというアイヒャーの慧眼があったからではないだろうか。
▶過去の、ビル・フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201706190940184750/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶過去の、ロニー・ロリンズ
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
ファースト・ショウ。ベーシストのトーマス・モーガン(2012年6月24日、25日、2013年9月7日、2017年3月2日、2017年6月19日 )とドラマーのジョーイ・バロン(1999年9月24日、2011年1月30日、2017年3月2日)という辣腕米国人奏者とのトリオは前回来日時と同じで、5枚のリーダー・アルバム中3作品がその3人によりレコーディングされている。モーガンは晩年の菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日、2004年11月3日、2012年6月24日、2012年6月25日、2012年10月26日)のトリオの一角を支えた人物であるが、菊地はモーシャンの紹介でモーガンとやるようになった。ブロの場合もまた同様かもしれぬ。なお、ブロのリーダー作群は、皆んな彼のオリジナル曲が取り上げられている。
日本語を勉強しているそうなブロは冒頭、長めに実直な日本語MCをする。そんな彼は、テレキャスター型のギターを弾くが、ジュリアン・ラージ(2005年8月21日、2009年6月24日、2011年7月20日、2017年2月1日)、2017年11月13日、2018年12月11日)の印象もあり、現代ジャズ・ギタリストにはテレキャスターが似合うと思ってしまう?
ブロはピックを使わず、訥々とギターを弾いていくわけだが、エフェクター使用効果もあり、なかなか一筋縄では行かない。ジャズの流儀をちゃんと知ったうえで思うまま動こうとする達者なリズム・セクション音にのり、もう一つの隙間や溝を埋めていく様は興味深いし、面白い。パっと見た目はぜんぜん我の張ったタイプには見えないのだが、大好きなギターに関しては周りの目なんか気にせず頑固一徹にギターを抱き続けてきたんじゃないかと、ぼくは妄想。とにかく、いわゆる旧来のよく歌い、流麗でもあるギター奏法と比べると、エフェクターを使いつつも(アンコールのとき、入れてあった音断片が不用意に出てしまい、やり直しした。そこに、いろんな音マテリアルを仕込んでもいるのだろう。ギター音のループに生のギター音を重ねる曲もあった。とかあったが、前回と比べるなら今回公演はエフェクター依存率は低めだった)、生理的にはプリミティヴと思わせる部分がなんかあると感じた。それは技巧第一主義から逃れていることが、そう思わせるのか。
ところで、ブロはNYの人たちとやっていて同地在住かと思っていたら、本国コペンハーゲンに住んでいるそう。モーガンはNY在住(奥さんは日本人らしい)だが、かつてNYのダウン・タウン界隈でよく叩いていたバロンは住所不定気味で、今は彼女が住むベルリン在住が多いよう。いいなあ、そういう軽さ。相変わらず、彼は実に見事な演奏を聞かせていました。
▶︎過去の、ヤコブ・ブロ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、菊地雅章
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/?day=20041103
http://43142.diarynote.jp/201207031322126509/
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/
http://43142.diarynote.jp/201507091044561526/ インタヴュー
http://43142.diarynote.jp/?day=20160611 遺作について
▶︎過去の、トーマス・モーガン
https://43142.diarynote.jp/201207031322126509/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201207031323242844/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/201210271744294415/ 菊地雅章
http://43142.diarynote.jp/?day=20130907 リー・コニッツ
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
https://43142.diarynote.jp/?day=20170619
▶︎過去の、ジョーイ・バロン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/september1999live.htm マサダ
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/ ロン・カーター ビル・フリゼール
https://43142.diarynote.jp/201703081443314613/
▶過去の、ジュリアン・ラージ
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/200906300951327850/
http://43142.diarynote.jp/201107230819362417/
http://43142.diarynote.jp/201702021523283237/
https://43142.diarynote.jp/201711141337544172/
https://43142.diarynote.jp/201812121252088734/
<︎今日の、考察>
ブロの創意に富む演奏に触れながら、ビル・フリゼール〜彼もECM育ちですね〜(2000年7月21日、2006年5月14日、2009年5月8日、2011年1月30日、2017年1月12日、2017年1月13日、2017年6月19日)もそうだが、ポール・モーシャンはギター奏者を自己バンドに好んで入れもしたのだなとふと思う。だが、それも考えてみればあまりに当然。だって、ビル・エヴァンス、キース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)、菊地雅章といったとてつもないピアニストとやったら、何かと不備に感じてしまい安易にピアニストを雇うのを憚られちゃうのは容易に想像できるではないか。
ところで、長年ジャズのメインストリームにおいてギターは傍系の楽器であった。積極的にギタリストを使ったソニー・ロリンズ(2005年11月13日)とかオスカー・ピーターソンとかは、例外になりますね。なぜ、そうであったか、ぼくは音楽の物書きの中でそれについては一番明快な見解を出してきている人間だと思うが(ここにそれを長々と書く余裕はないが、ようは王道にいたエリートのジャズ・マンはより直接的に男性器の感覚を持つ楽器であるギター〜それはより直にブルースとつながるものでもある〜を採用するのを生理的に避けた。そいう生々しくもプリミティヴな楽器をつかわずに、いかに発情や勃起の感覚〜原初的なブラック感覚を出すかが往年の名ジャズ・マンにとっては誉であり粋であったのである……)、そんな状況変化の発端にあったのがギター奏者をバンドに入れたマイルズ・デイヴィスやオーネット・コールマン(2006年3月27日)のエレクトリック・バンドの編成(それは、ソウルやロックの台頭に、ある意味リアル・ジャズが敗北/追従したことも意味した)だった。その後紆余曲折を経て、現代ジャズ表現においてギターは重要な楽器となっているのは間違いない。それはギターがメインの楽器となるのが当然のロックやソウルの先にあるものとしてジャズをやろうとしている人が多いことや、ギターという楽器がもともとエフェクトをかけやすい=かけても違和感の少なくない楽器であり(オレ、管楽器にそれをやられると基本イヤな心持ちを得る)、それが現代ジャズの表情を出すのにとても強みとなるということが大きい。一方、ECMは多大なジャズ美意識を出した突出した欧州ジャズ・レーベルであったが、当初からテリエ・リピダルをはじめギター奏者を優遇する傾向になぜかあった。それは、それまでギターが主役となり得なかったジャズの世界において、この身体と直接的に繋がった感覚を持つ弦楽器はおおいにコンテンポラリーなジャズを形作る際の武器になるというアイヒャーの慧眼があったからではないだろうか。
▶過去の、ビル・フリゼール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200905101005501321/
http://43142.diarynote.jp/201102091715522875/
http://43142.diarynote.jp/201701131141476377/
http://43142.diarynote.jp/201701141241544133/
https://43142.diarynote.jp/201706190940184750/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/
▶過去の、ロニー・ロリンズ
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/