6弦のエレクトリック・ベース奏者がメンバーに入っているショウをはしごした。六本木・ビルボードライブ東京と南青山・ブルーノート東京。

 まずは六本木で、今様UKジャズのキーボード中心奏者のヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムスの実演を見る。テナー・サックスの栗原 健(2011年6月16日、2012年12月6日、2013年5月24日、2013年6月6日、2017年3月9日、2018年6月2日)、電気ベースのマーロン・スピアーズ 、ドラムのグレッグ・ポールを伴ってのもの。当初サックス奏者も外国人の名前が案内されていたが、日本で調達することになったよう。その栗原をはじめ、皆んな譜面をおかず。プリセットの音は一切用いず、4人でカタマリ感と伸縮性を併せ持つライヴ演奏を披露する。

 ウィリアムズの電気キーボードやピアノの演奏は想像していたよりも、線が太かった。存在感、あり。とともに、あまり新奇な要素を入れず穏健でもあった。達者なリズム隊(彼らはジャマイカ系かアフリカ系)を伴うそれは、リズムがアップデイトされたパワー・フュージョンという感じ。栗原も堂々と絡み、このままずっとツアーを一緒にやっちゃえばとしっかり感じる。彼、おいしい役どころを得ていた。

 途中、ステディなビートの曲で、日本人の3人のダンサーが出てきて踊る。おお、雑誌「ストレイト・ノー・チェイサー」を作ったポール・ブラッドショウとか、ザ・ジャズ・ディフェクターズといった名前が頭のなかで蘇り、1980年代後期に<ジャズで踊る>ムーヴメントがロンドンにしっかりあったことを思い出す。そして、その流れに続いたのが、ポール・マーフィーやジャイルズ・ピーターソン(1999年5月21日、2002年11月7日、2004年1月16日、2008年9月18日、2012年9月13日、2013年11月1日、2016年10月8日)ら新しい感覚を持ったDJたちだった。あの頃、それほどタイム・ラグもなく日本に英国の新しいジャズの捉え方や態度が紹介されていたんだよなー。

 実は開演時間を間違え、頭の25分間は聞いていない。ウィリアムスはエレクトリック・マイルズをヒップに再提出したような「スニッチズ・ブリュー」という曲を発表しているが、それはやったろうか。ロニー・リストン・スミス(2003年10月16日)を思い出させる場面や、最後の曲はハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日、2018年9月1日)のヘッドハンターズのりのメロウ曲だった。そこここに、俯瞰の視点を伴う英国人らしさはありました。

▶︎過去の、栗原健
http://43142.diarynote.jp/?day=20110616
http://43142.diarynote.jp/201212131541413347/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130524
http://43142.diarynote.jp/201306111556299464/
http://43142.diarynote.jp/201703111127396253/
https://43142.diarynote.jp/201806051311346158/
▶過去の、ジャイルズ・ピーターソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 1999年5月21日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
http://43142.diarynote.jp/201610140945007657/
▶︎過去の、ロニー・リストン・スミス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
https://43142.diarynote.jp/201809051532324111/

 一方、カルロス・サンタナ(2013年3月12日)の嫁(2008年12月16日、2013年3月12日)である豪腕ドラマーの実演は笑っちゃうぐらいにパワフル。見た目も若々しくスリムで(ジムで鍛えているんだろうなー)、とても今年還暦になるなんて思えない。こちらはキーボードのザッカイ・カーティス、エレクトリック・ギターのオーレリアン・バディネック 、エレクトリック・ベースの長身フェリックス・パストリアス(2014年1月15日)がつく。3人とも、白人。弦楽器の二人は譜面を前にする。

 ビートがもうゴツゴツした質感を持つこと、ロッキッシュな弾き方もするギターがメロディ楽器の中では一番前に出されることもあり、これはハイパーなジャズ・ロックだという印象を終始持つ。だが、ボンボン聞こえるベース・ドラムは頭には入れないし、ハイハットも足での開閉はしてもスティックではあまり叩かず(ともに、8ビート登場後に出てきた奏法だ)、レギュラー・グリップでことにあたる彼女はやはりジャズの流儀を持つ奏者なのだと悟るナリ。やはり、1番の影響源はトニー・ウィリアムスか。いろんなロールを介し、高速でスネアやタムを叩き倒していく様に触れると、彼女は手首を痛めたりしないのと誰もが思ってしまう? 何気に入り組んだ曲をやるのだが、そのドカスカ叩く塩梅から部分的にはカルロス・サンタナとバディ・マイルスのハワイのダイアモンドヘッドでの1972年ライヴ盤も思い出させる? いやー、妙な米国ミュージシャンの凄さを感じさせられました。

▶︎過去の、シンディ・ブラックマン・サンタナ
https://43142.diarynote.jp/200812281442184528/
https://43142.diarynote.jp/201303211531189619/
▶︎過去の、フェリックス・パストリアス
https://43142.diarynote.jp/201401171005571275/

<今日の、覚書>
 セカンドは今まで通り21時半開演だが、ビルボードライブの平日ファーストの開始時間は18時半になったよう。間違えないようにしなければ。オレ、ここのところ開演時間の変わる休日や平日のセカンドに行っていたのかなー? ところで、ロンドンに遊びにいっていた知り合いの音大生が、わざわざスコットランドにイヴニン・グレニー(2004年5月31日)のライヴを観に行っただけでなく、マネージャーに突貫連絡の末、個人レッスンをうけてきたそう。おお。体験であったそう。
▶︎過去の、イヴニン・グレニー
https://43142.diarynote.jp/200406090118170000/