まず、六本木・アスミック試写室で、2017年英/伊映画「バンクシーを盗んだ男」を見る。2007年にパレスチナのベツレヘムにある米国/イスラエルによる巨大な隔離壁(“アパルトヘイト・ウォール”という呼び方もあるようだ)に描かれたバンクシーの絵の行方を追ったドキュメンタリーだ。けっこう、みんな英語をしゃべっているナ。ある英国の団体が企画し、現代アートの担い手たちにいろいろ壁に描いてもらったのが発端。そのさい、バンクシーは6、7人のスタッフにて、毎日変装して作業をすすめたという証言も入れられている。
壁のバンクシー作品は勝手に切り取られ、売買に出される。そんな経緯をフォローし、パレスチナの住民感情なども介しつつ、ストリート・アートの価値や投機に対しての問いかけがなされていく映画。見ている途中で、バンクシー作品は一部の資産家たちが結託し高額売買し合うことで取引価格の高騰を招かせ、さらなる富を生んでいる、なんて説も出てきたら面白いのにと思ってしまった。ハハ。なんとナレーションは、真正ロッカーのイギー・ポップが担当。彼がしゃべることで、どこかバンクシーを取り巻く環境の奇妙さや不毛さを浮き彫りにする部分はある? 日本公開用のちらしにも、彼の名はけっこうデカくのせられていて、うれしい。
▶︎過去の、バンクシーを扱った映画(一番下部)
http://43142.diarynote.jp/201603170929502385/
続いて、京橋・テアトル試写室で、2017年タイ映画語「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」を見る。1981年生まれのナタウッド・プーンピリヤ(写真を見ると、イケ面ぽい)が監督し、タイで大ヒットするとともに近隣諸国でも高成績を収めたを作品のよう。お金持ち私立高校を舞台とするもので、受験戦争を背景に、カンニングを請け負う秀才と高額を払いそれを受ける高校生たちの人間群像が青春映画タッチで描かれる。試験会場で答えを教える手口の数々は、この映画の才気発露の肝となるものか。亜熱帯圏の作品かもと覚えたのは、映画のテンポや編集が、どこかゆっくりしているところ。それゆえ、長さは130分もある。最後のマジメな終わり方は、へえそうするんですかと、ぼくは思った。
最後は、丸の内・コットンクラブに回る。ジャズ・ベーシストのクリスチャン・マクブライド(2000年11月1日、2006年9月17日、2007年12月18日、2009年8月30日、2012年9月8日、2014年9月7日、2016年6月26日、20016年9月3日、2016年9月7日)の新カルテットのセカンド・ショウを見る。そしたら、過去見た中で一番、ハードで真摯なジャズを展開。やればできるぢゃんと、ぼくは喝采を送った。前日は新宿のブルックパーラーでフィリー・ソウルの曲をかけながら電気ベースを弾くというDJをマクブライドはやったらしいが、それに接していたら、余計にその落差(と、そこから生まれる米国黒人音楽の不可解な連続線の面白さ)に感激したろうな。
トランペットのジョシュ・エヴァンス(2017年12月22日)、テナー・サックスのマーカス・ストリックランド(2007年12月18日、2012年1月13日、2013年9月28日)、ドラムのナシート・ウェイツ(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日、2018年1月24日)という実力者を擁しての、ピアノレス(!)のカルテット。当然、マクブライドはダブル・ベースだけを弾く。すでにこの顔ぶれで録音も済ませているらしいが、その編成だけで、マクブライドの覇気は露になりますね。
セロニアス・モンクやアコースティック期オーネット・コールマン(2006年3月27日)表現の綾などにも言及する意思を見せる、研ぎ澄まされた黒さと含みを抱えたリアル・ジャズを悠然と展開。到達点を皆んなで共有しつつ、自在にほつれ、流れる……。みんなイケた演奏を開くが、これは今のジャズ以外の何物でもないのだと思わせる決定的な要素が、ウェイツのドラミング。このカルテットを自動車に比喩するなら、ドラムは高出力のハイブリット・エンジンと言いたくなる感じで、いかに外見が古くても(いや、そちらも現代要素はいろいろ練りこまれている)、走りは今のもになると思えてしまったもの。マクブライド、ア・ゴー・ゴー!
▶過去の、クリスチャン・マクブライド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200609190457510000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071218
http://43142.diarynote.jp/200909120642135954/
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201606281735457440/
▶︎過去の、ジョシュ・エヴァンス
http://43142.diarynote.jp/201712221459383586/
▶︎過去の、マーカス・ストリックランド
http://43142.diarynote.jp/200712190953140000/
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
http://43142.diarynote.jp/201310041548056608/
▶︎過去の、ナシート・ウェイツ
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201801251404591913/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
<今日は、幕開け>
映画の試写会に行くというのは、少し余裕があるバロメーター。20日間ぐらい続いた“仕事 死のロード”(←少し、大げさ)がこの火曜で終わりをみたのは事実で、この日は気分転換ごっこもしたくなり、試写を二つはしごした。そして、コットンクラブの後、そこで会った悪い友人にそそのかされ、電車で動きたかったものの、3時近くまで飲んじゃう。ここらあたりからタクシーで帰る際、高速を勧められたことはなかった。だが、今回勧めに従い、霞が関から高速に乗ったら、確かに早かった。というのはおいといて、ワールドカップ初戦のロシアvs サウジアラビアの試合は所々お店のデカいヴィジョンに映されていたものを見る。ロシアがあんなに点をとっちゃうとは。あれで、世界の人はアジアの水準の低さをまた認識するのか。ああ、またワールドカップが始まってしまった。家でTV観戦できないぼくは、試合放映をもとめてジプシー生活を始めることとなる……。とはいえ、多忙にならざるを得ない懸案が待ってもいて、どのぐらい酔狂生活に没入できるか。前回大会のときは、こんなことも書いていた。http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/ 。そこで記してあるストリーミング放映、それを多用すると、なっぜかうちのPCはどれも動作が悪くなるのと、やはりデカい画面がいいので、結局それほど頼らなかった。
壁のバンクシー作品は勝手に切り取られ、売買に出される。そんな経緯をフォローし、パレスチナの住民感情なども介しつつ、ストリート・アートの価値や投機に対しての問いかけがなされていく映画。見ている途中で、バンクシー作品は一部の資産家たちが結託し高額売買し合うことで取引価格の高騰を招かせ、さらなる富を生んでいる、なんて説も出てきたら面白いのにと思ってしまった。ハハ。なんとナレーションは、真正ロッカーのイギー・ポップが担当。彼がしゃべることで、どこかバンクシーを取り巻く環境の奇妙さや不毛さを浮き彫りにする部分はある? 日本公開用のちらしにも、彼の名はけっこうデカくのせられていて、うれしい。
▶︎過去の、バンクシーを扱った映画(一番下部)
http://43142.diarynote.jp/201603170929502385/
続いて、京橋・テアトル試写室で、2017年タイ映画語「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」を見る。1981年生まれのナタウッド・プーンピリヤ(写真を見ると、イケ面ぽい)が監督し、タイで大ヒットするとともに近隣諸国でも高成績を収めたを作品のよう。お金持ち私立高校を舞台とするもので、受験戦争を背景に、カンニングを請け負う秀才と高額を払いそれを受ける高校生たちの人間群像が青春映画タッチで描かれる。試験会場で答えを教える手口の数々は、この映画の才気発露の肝となるものか。亜熱帯圏の作品かもと覚えたのは、映画のテンポや編集が、どこかゆっくりしているところ。それゆえ、長さは130分もある。最後のマジメな終わり方は、へえそうするんですかと、ぼくは思った。
最後は、丸の内・コットンクラブに回る。ジャズ・ベーシストのクリスチャン・マクブライド(2000年11月1日、2006年9月17日、2007年12月18日、2009年8月30日、2012年9月8日、2014年9月7日、2016年6月26日、20016年9月3日、2016年9月7日)の新カルテットのセカンド・ショウを見る。そしたら、過去見た中で一番、ハードで真摯なジャズを展開。やればできるぢゃんと、ぼくは喝采を送った。前日は新宿のブルックパーラーでフィリー・ソウルの曲をかけながら電気ベースを弾くというDJをマクブライドはやったらしいが、それに接していたら、余計にその落差(と、そこから生まれる米国黒人音楽の不可解な連続線の面白さ)に感激したろうな。
トランペットのジョシュ・エヴァンス(2017年12月22日)、テナー・サックスのマーカス・ストリックランド(2007年12月18日、2012年1月13日、2013年9月28日)、ドラムのナシート・ウェイツ(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日、2018年1月24日)という実力者を擁しての、ピアノレス(!)のカルテット。当然、マクブライドはダブル・ベースだけを弾く。すでにこの顔ぶれで録音も済ませているらしいが、その編成だけで、マクブライドの覇気は露になりますね。
セロニアス・モンクやアコースティック期オーネット・コールマン(2006年3月27日)表現の綾などにも言及する意思を見せる、研ぎ澄まされた黒さと含みを抱えたリアル・ジャズを悠然と展開。到達点を皆んなで共有しつつ、自在にほつれ、流れる……。みんなイケた演奏を開くが、これは今のジャズ以外の何物でもないのだと思わせる決定的な要素が、ウェイツのドラミング。このカルテットを自動車に比喩するなら、ドラムは高出力のハイブリット・エンジンと言いたくなる感じで、いかに外見が古くても(いや、そちらも現代要素はいろいろ練りこまれている)、走りは今のもになると思えてしまったもの。マクブライド、ア・ゴー・ゴー!
▶過去の、クリスチャン・マクブライド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200609190457510000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071218
http://43142.diarynote.jp/200909120642135954/
http://43142.diarynote.jp/201209191209186663/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201606281735457440/
▶︎過去の、ジョシュ・エヴァンス
http://43142.diarynote.jp/201712221459383586/
▶︎過去の、マーカス・ストリックランド
http://43142.diarynote.jp/200712190953140000/
http://43142.diarynote.jp/201201141645353138/
http://43142.diarynote.jp/201310041548056608/
▶︎過去の、ナシート・ウェイツ
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201801251404591913/
▶︎過去の、オーネット・コールマン
http://43142.diarynote.jp/200603281335030000/
<今日は、幕開け>
映画の試写会に行くというのは、少し余裕があるバロメーター。20日間ぐらい続いた“仕事 死のロード”(←少し、大げさ)がこの火曜で終わりをみたのは事実で、この日は気分転換ごっこもしたくなり、試写を二つはしごした。そして、コットンクラブの後、そこで会った悪い友人にそそのかされ、電車で動きたかったものの、3時近くまで飲んじゃう。ここらあたりからタクシーで帰る際、高速を勧められたことはなかった。だが、今回勧めに従い、霞が関から高速に乗ったら、確かに早かった。というのはおいといて、ワールドカップ初戦のロシアvs サウジアラビアの試合は所々お店のデカいヴィジョンに映されていたものを見る。ロシアがあんなに点をとっちゃうとは。あれで、世界の人はアジアの水準の低さをまた認識するのか。ああ、またワールドカップが始まってしまった。家でTV観戦できないぼくは、試合放映をもとめてジプシー生活を始めることとなる……。とはいえ、多忙にならざるを得ない懸案が待ってもいて、どのぐらい酔狂生活に没入できるか。前回大会のときは、こんなことも書いていた。http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/ 。そこで記してあるストリーミング放映、それを多用すると、なっぜかうちのPCはどれも動作が悪くなるのと、やはりデカい画面がいいので、結局それほど頼らなかった。