ロシアのサンクトペテルブルクからやってきたトラッド系バンドを、青山・月見ル君想フで見る。ワールド・カップ自国開催中にわざわざ訪日とはなんと酔狂なと一瞬思ったが、ほとんどのミュージシャンはやはりそうするか。初来日となれば余計に。

 グスリというロシアの多弦楽器とジャレイカという縦笛とバグ・パイプと歌(MCは英語で彼がした)、フィドル(すごいボディが厚い無骨なものを弾いていた)と歌とジャレイカ、フィドルと歌(紅一点)、エレクトリック・ギターと歌、エレクトリック・ベース、パーカッション(バス・ドラム、タラブッカ)という陣容からなる6人組、30代から50歳がらみぐらいか。まずは、もうその外見(なにげにロックぽい?)だけで引きつけるものあり。

 で、音が送り出されると、もっと引きつけられる。のっけからズールー・ジャイヴ調のギターの調べが出てくるなど、参照する世界が広い。フィドル2本が活躍する曲はもろケルト調となったりするのをはじめ、ロシア外のいろんな手作り表現に発展のネタを求めているのが、”一聴瞭然“。楽しくも、技あり。ロシアのトラッド音楽の歌詞やメロディを柱に置きつつ、好奇心旺盛に四方八方に広がり、なんとも愉快な手作り世界を笑顔とともに送り出す様にはおおいに頷く。妙な臭みやユーモアも持つが、そんな彼らのノリ/楽器編成でレッド・ツェッペリンの「カシミール」をカヴァーしたら滅茶イケるはずとも、ぼくは思った。
 
 2部の途中で、南青山・ブルーノート東京に移動。キューバ出身、在NY のアルト・サックス/クラリネット奏者(2013年10月26日、2014年10月5日)のショウを見る。サイドは、アルゼンチン出身のディエゴ・ウルコラ(トランペット、バルブ・トロンボーン)、アレックス・ブラウン(ピアノ)、ペルー出身のオスカル・スタグニャーロ(6弦エレクトリック・ベース)、マーク・ウォーカー(ドラム、カホンなど)というレギュラー・コンボの面々。今回のライヴはクラッシック曲を洒脱なジャズ流儀のもと開いた『 Meets the Classics』(Sunnyside、2014)の方向でなされると聞いていたが、ふたを開けてみれば、クラシック曲はベートーヴェンの曲一つだけだったのではないか。「エスタモス・アイ」や「黒いオルフェ」といったブラジル曲を2曲やったりと、ある種広義の中南米性を淡く出しているところはあったか。また、「ナイト・イン・チュニジア」なんていうベタなジャズ曲もやっていたのだが、どこかほっこりするようなメロウネスがあって、そこらあたりはこの出し物のポイントか。まあ、それはパキートの演奏にも通底することであるのだが。
 
 ピアニスト以外いい年齢の奏者たちは、皆手だれ。デリベラは今月70歳になったそうだが、見た目はもっとおじいちゃんに見えた。最後の方、パーカッション奏者の木川保奈美がパンデイロで加わる。ステージの笑顔と照度が強まった。

<今日は、3回目の日本戦>
 ブルーノート東京のショウ後、知人との会話を振り切り、すぐに別の知人宅へ。日本の予選リーグ成績は、1勝1敗1分け。で、ギリで決勝リーグへ。はい、土下座します。