毎年恒例、8月下旬に持たれる渋谷・wwwで開かれるワールド・ビート系の音楽会。今年は2日間の開催だが、そのラインアップの個人的な興味の惹かれ具合は例年以上。イエイ。初日のこの晩は、アフリカとつながった3組が出演。

◆サハラ・ハルガン・トリオ(ソマリランド/フランス)
 ソマリランドの国旗を終始持ちながら、心を込めて歌う。少し汚れたその旗を彼女はロードに出るときに持って出て、いつもそれを手にしてステージに立つのだという。エレクトリック・ギター(あれ、レギュラー・チューニングなのだろうか?)と打楽器/コラを担当する二人のフランス人男性を従えて、悠々。手拍子だけで3人で歌を重ねたりとか、表現に幅をもたせ、見せ方にもいろいろと留意。地声の強そうな歌はまれにアフリカを印象づけるアクロバティックな歌唱を繰り出すときもある。

◆ダミリー(マダガスカル)
 男性ヴォーカル、電気ギター、電気ベース、ドラム、女性ヴォーカル(ステージに、出たり入ったり)という5人編成で疾走感のある表現を送る。辛気なスロウなどやらず、弾け系で行くのが良い。構成員は黒のTシャツとパンツで短髪というお揃いの見てくれだが、ドレッド・ロックス頭のギター奏者だけは赤いパンツと黒のジャケットを着用。一人でええ格好しいをアピール。ふふ、西欧ロック文脈的にギタリストっぽい。実際、彼の演奏がグイグイ進む表現総体を引っ張っているところはあったはず。リード・ヴォーカリストはYouTubeで聞くより滑らかでたっぷりした質感をもつ。女性歌手は、声は大きいものの滋味に欠けるが、いた方が当然よろしい。

◆ヴォードゥー・ゲーム(トーゴ/フランス)
 トーゴ人シンガー/ギタリスト、ピーター・ソロが仏リヨン組んでいるグループ。エレクトリック・ベース(半分スパニッシュ)、キーボード(チリ出身)、ドラム(チュニジア出身)、アルト・サックス、トロンボーン(ともに仏人でパーカッションも担当)。上半身は裸の彼、格好いい。JB好きと思わせるところは、いろいろ。彼の叔父は1970年初頭にJBモロ調表現をやっていたロジャー・ダマウォザン。ヴォードゥとは、ヴードウのこと。で、アフロ・ビートとエチオピアン歌謡要素が掛け合わされたと説明できそうなことをやるのだが、外野からエチオピア的と指摘されるものこそは、彼らのヴォードゥ音楽要素であるのだという。翌日、彼にインタヴュー(フランスに住む前にロンドンに住んだことがあり英語にて)したが、イメージ通りのやんちゃさん。が、一部オフレコを申し出たりし、細いところも持つ。フランス人を中心とするバンドの面々はなんかお揃いのとっぽいツナギを着ていた。

<今日の、認知>
 一番最初に出てきたハルガンさんは、後に続く2組のライヴを熱心にご覧になっていた。スペースシャワー経営のライヴ・ハウスであるwwwの2号店ができるというのはおぼろげに知っていたが、場所は1号店の上階で、この9月から開店するのか。