復活したディアンジェロ(2015年8月18日)に起用されたドラマー(2009年4月13日、2009年12月19日 、2010年12月16日、2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日)のリーダー公演。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。

 やはりディアンジェロに重用されたギタリストのアイザイア・シャーキー(2012年9月21日、2013年9月28日、2015年8月18日)を擁する過去のリーダー公演と異なる編成を率いる。ベースのニック・マナック(2013年9月28日)、キーボードのボビー・スパークス(2007年12月13日、2012年12月5日)、トランペットのキーヨン・ハロルド(2014年1月10日)、今回が初来日という打楽器のフランク・モカという顔ぶれにてパフォーマンス。皆、アフリカ系だ。彼がキーボード奏者、トランペッター、パーカッション奏者を擁するのは、今回公演が初めてとなる。

 頭と最後に、デイヴはステージ中央に立ち、謝辞をしつつメンバー紹介をする。そんなことするの、初めてのような。パっと見た目は眼鏡をかけた、只のあんちゃんだな。←彼一派が関わり、デイヴが制作者クレジットも1曲受けたアンダーソン・パークの2016年盤『Malib』(OBE)は今年のブラック ・ポップにおけるベスト10に入るかもだな……。で、オープナーはキーヨン・ハロルドの詠唱から始まるそれなりに構成を持つ曲で、セッション風でもあった過去の公演とは少し違うかも、と思わせたが……。徐々に、過去と似たような感じ、マイルス・デイヴィス、ジミ・ヘンドリックス、フェラ・クティらの曲のモチーフを繋ぎ、それでソロを取る……という、過去見せたパターンに近づく。だが、奏者の人数が多く、よりカラフルでもあり、なかなかに興味深い。

 とともに、今回の現代ドラミングの匠のビートはガチでそれと重なるパーカッション音付きなので、違う感興を聞き手に与える。パーカッション奏者はラテンやブラジル系ではなく、完全にアフリカン・マナーで叩く。音がデカく、かなりガチンコな質感を持つ叩き手ナリ。それから、ドラムにおいて音によってはエフェクトが適切にかかっていたので、専任のエンジニアが同行していると思えた。デイヴのトレ—ドマークたる輪切りのシンバルは今回も並べるが、ほぼ使わず。ただし、隣りにいたモカは、その片方をよく使っていた。

 スパークスはコルグのデジタル・キーボード以外はアナログ・シンセ、クラヴィネット(それで、ギターの音も引き受けていた)、オルガン、エレクトリック・ピアノはヴィンテージもの並べる。一度、彼が無伴奏のソロを取ったら、皆入れなくなり、長〜いソロ・パートとなる場面があって笑った。
 
▶過去の、クリス・デイヴ
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
▶過去の、アイザイア・シャーキー
http://43142.diarynote.jp/?day=20120921
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
http://43142.diarynote.jp/201508200741137207/
▶過去の、ニック・マナック
http://43142.diarynote.jp/?day=20130928
▶過去の、ボビー・スパークス
http://43142.diarynote.jp/?day=20071213
http://43142.diarynote.jp/?day=20121205
▶過去の、キーヨン・ハロルド
http://43142.diarynote.jp/201401161534392423/

 その後、渋谷O-イースト。結成10年、ここのところ数枚はサブ・ポップからプロデクツを出している、東海岸ボルチモアをベースとする女男ユニットのビーチ・ハウスを見る。2組前座出演者があったので、ばっちり見ることができた。

 フランス出身であるヴィクトリア・ルグランはキーボードを弾きながら歌い(ギターを持って歌うことも)、アレックス・スカリーは黙々とギターを弾く(一部、鍵盤も)。そして、そこにサポートのベーシストとドラマーが加わる。髪が長いヴォクトリア嬢は弾けたキャラを表に出すときがあった。

 しかし、海の家というグループ名はある意味、最高だな。晴れやかな部分はゼロ(照明も暗かった)。ひたすら、響き、漂う、淡〜いポップ・ロックを聞かせる。が、その“陰”な部分が今様な心象風景を浮かび上がらせるし、どこか記憶の底にあるむずむずをノックするところもある。ライヴではギター音が効いていて、もっとエッジィな部分を増幅させ出していたか。そういう部分も含めて、実演を見て、生理的な伸びやかさや健やかさも、ぼくは感じた。満場の客からの拍手も大きかった。しかし、場内の暖房、効き過ぎ。

 たぶん新作曲中心、かつキャリアを伝える曲もあり。昼間に彼らのウェッブサイトを見たら、25日公演で聞きたい曲をリストのなかから3曲選んでというアンケート項目があった。←各公演ごとに、募っている。それ、活用されたのかな。

<今日の、献本>
 高橋健太郎さんの小説「ヘッドフォン・ガール」(アルテス・パブリッシング刊)が送られてきた。おお。音楽の素敵と時空の旅と人間関係の綾をマジカルに交錯させる、冴えた長編。って、まだ読んではいないが。7、8年前に、この準備稿を本人からもらったことがあり、こりゃすげえと唸ったことがあったのだ。その後、時を経て、整理され直し、こうして形になったことを、心から喜ばしく思わう。大昔、小説第2弾にもう取りかかっていると言っていたと記憶するが。
▶過去の、高橋健太郎
http://43142.diarynote.jp/201105191057129864/
http://43142.diarynote.jp/201303260919193369/