グリフ・リース

2015年3月2日 音楽
 英国ウェールズ起点ロック・バンドのスーパー・ファリー・アニマルズ(2001年10月19日、2005年10月18日、2008年8月10日)のフロント・マンであるグリフ・リースの公演は、渋谷・クラブクアトロにて。昨年出した自己作『アメリカン・インテリア』をベースにおく、ソロによるパフォーマンス。次の野暮用のため最後まで見ることはできなかったのだが、へーえ、こりゃ今まで接したことのない実演ではあったなー。それは、本人の我が道を行く様、解き放たれ具合を、明解に示すものであったか。

 なんでも、リースの先祖にあたる人に、ジョン・エヴァンスとウェールズ人がいたんだそう。他者との物差しがちょっと違っていた彼は20ちょいのとき独立したばかりの米国に苦労して渡り、ウェールズと米国の数奇な合衆国の旅をする。上陸した東部ボルチモアから中西部に行き、南下し、最後はフロリダへ。そんなエヴァンスにルーフは興味をひかれ、米国をツアーしつつ、彼のアメリカの旅をリサーチする。そして、その好奇心はアルバムだけでなく、書籍、ドキュメンタリー映画、アプリという4つのメディアに結実した。まあ、そういう流れは、スーパー・ファリー・アニマルズの結成時からウェールズ語で歌うなどしてきたリースらしいと思わせる。とともに、なんかその成り行きと結果の出し方は、在米アイリッシュ・トラッド・バンドのソーラス(2012年6月14日、2014年6月2日)が米国に移民した血筋の人を追った“シャムロック・シティ”プロジェクトを思い出させるではないか。
 
 冒頭、本人がステージにふらりとあがって来たと思ったら、「拍手」とか「もっと!」とか書かれたスケッチブックを掲げて観客を沸かせ、つかみを取る。で、すぐに引っ込み、平凡な風景が続く映像が10分ほど流される。あ、これが作ったフィルムの一部なの?

 そして、再び出て来たリースは、スライド(資料絵図や、狂言回し的役割を担うジョン・エヴァンス模した人形の写真〜彼は途中で、それをステージ上においた〜や、日本語字幕など)を自ら手元で扱いつつ背後スクリーンに映し、エヴァンスにまつわる雲をつかむような話を訥々と続ける。そして、その合間にという感じで、アコースティック・ギターの弾き語り表現も聞かせる。ときに、彼は効果音的断片を付けたり、メトロノーム音やプリセット音をやんわり併用するときもあった。

 まあ、本人のとぼけた佇まいが引き出す部分もあるが、不思議な味わいを持つ、<ユーモラスなレクチャー+音楽の夕べ>、なり。18世紀後期のアメリカって、まだ縦割りの西側約7分の4はスペイン領だったなんて、リースのこれに触れなかったら、死ぬまで知らなかったかも(それ、ホントだよな?)。

 純粋な音楽の部分の時間は、半分にも満たなかったか。でも、その音楽は十全に素晴らしかった。やっぱり、音楽家として、一級と思わせる。そして、その事実を導いた、彼のもやもやが示されていたんだもの、少なくても彼のファンならみんなニッコリ接することができたショウではなかったか。

▶過去の、スーパー・ファリー・アニマルズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200510230259030000/
http://43142.diarynote.jp/200808110417320000/
▶過去の、ソーラス
http://43142.diarynote.jp/201206181341313130/
http://43142.diarynote.jp/201406110834215934/

<今日の、悲しみ>
 あることを、当人から伝えられ、驚き、とっても悲しくなる。えええ、神よ、あなたは……という気持ち、100%。その際、ぼくはちゃんとココロある対応ができただろうか。でも、きっと、きっと。。。。。