ジャズ路線とポップな現代クロスオーヴァー路線の二つのヴォーカル表現作法をとり、ここのところは後者の行き方を主に見せていたホセ・ジェイムズ(2008年9月18日、2010年11月11日、2011年1月12日、2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年7月27日)の新作『イエスタデイ、アイ・ハド・ザ・ブルース』(ブルーノート)は純ジャズ路線のもと、ビリー・ホリデイの音楽にせまらんとしたもの。実はそのプロジェクトを2011年から当人はライヴで持っており、YouTubeで2012年の1時間半のアコースティックなショウを見ることが可能。そこには、クリス・バワーズ、ソロモン・ドーシー、リチャード・スペイヴェン、黒田卓也らポップ路線で助力していた面々がサポートしていた。新作の内容は、その積み重ねを受けたと説明することが可能なわけだ。
六本木・ビルボードラブ東京、ファースト・ショウ。その『イエスタデイ、アイ・ハド・ザ・ブルース』はピアノのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日)、ウッド・ベースのジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日、2014年2月12日、2014年4月14日)、ドラムのエリック・ハーランド(2005年5月11日、2007年10月3日、2008年4月6日、2013年1月6日)というピアノ・トリオがついてのもの。が、ツアーでは、ピアノがなんとアーロン・パークス(2002年7月3日、2005年8月21日、2008年11月22日、2009年2月3日、2012年5月31日、2014年2月5日)! そして、リズム隊はジェイムズのクロスオーヴァー路線の助力者である、おなじみのソロモン・ドーシーとリチャード・スペイヴェンがつく。ドーシーはダブル・ベースに専念し、ベース・ソロの際はそこにスキャットをかませる。スペイヴェンの4ビート・ドラミングはちょいおっかなびっくりという叩き方だった。
途中からは、古いトランペットを持った黒田卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日)も出て来て、伴奏に加わる。黒田の2014年ブルーノート盤はジェイムズのプロデュース盤だが、ジェイムズはその前に日本のシンガーのNOONの『FULL MOON』(ビクター、2013年)をプロデュースしているんだよな。それが、彼の初制作盤だ。
途中、ジェイムズはアコースティック・ギターを手にし前作ポップ曲を歌ったり、エリントン曲「キャラヴァン」をおもしろいアクセントを施して(その際はスペイヴェンの妙味が前に出る)披露したりも。そういえば、ビリー・ホリデイとともに、ヴェテランのジャズ・ピアニストのジュニア・マンス(2009年6月7日)への謝辞を出した。両者って、関わりはないよな? ジェイムズのファースト作『ザ・ドリーマー』にはマンスが参加していたわけだが。あれれ、ホリデイ・トリビュートという焦点がボケてくるぢゃん。
アンコールは、なんとサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を、ベーシストのドーシーとデュオで(彼のハーモニー・ヴォーカルが効いていた)聞かせる。差別のない社会への変化を心待ちにする、米国黒人音楽史における重要十指に入るだろうこの凛とした美曲を最後に持って来たことによって、ショウのカタマリ感がぐっと上がった。「ストレンジ・フルーツ」に代表されるように、ジェイムズはホリデイ表現が映し出していた弱者差別の流れは全然変わっていないという認識をもっているから……。
▶過去の、ジェイムズ、さらにパワーズ、ドーシー、スペイヴェンら
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201011140051119042/
http://43142.diarynote.jp/201101131336421886/
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201408051020111821/
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
▶過去の、パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm 2001年8月3日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201402140843255048/
▶過去の、エリック・ハーランド
http://43142.diarynote.jp/200505141717440000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20071003
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
▶過去の、パークス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-7.htm テレンス・ブランチャード
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/200811241224271906/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090203
http://43142.diarynote.jp/?day=20120531
http://43142.diarynote.jp/201402071150071550/
▶過去の、黒田卓也
http://43142.diarynote.jp/201202200901013744/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201302181044151204/
http://43142.diarynote.jp/201405271755563079/
http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
▶過去の、ジュニア・マンス
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
<先日のジェイムズの、アーロン評>
今回やったインタヴューで、アーロン・パークスを選んだ理由を、ジェイムズは次のように言っていた。
「アーロンは特別な才能を持つ人と思う。今度の『イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース』の曲を演奏するピアニストは、やはり個性が際立った人でなくてはならない。今作においてピアノがもっとも重要な楽器だと思うからね。実は、アーロンとはこれまで一緒に仕事をしたことはなかった。でも、話をしたら、彼にすごい強い絆を感じてしまったんだ。ビリー・ホリデイが過去やっている曲というのはメロディが強く、情も濃い。だけど、最近のジャズ・ピアニストの多くはハーモニーとかテクニックの面を重視する人が多いので、それをやるには適しているとは言いがたい。彼女の曲を表現するためには、ピアノでリリカルに弾くというユニークさを持っていなければならない。僕はメロディが大好きだし、美しいピアノの音色が大好きなので、そういう面でもアーロンは適したピアニストだと思うな」
六本木・ビルボードラブ東京、ファースト・ショウ。その『イエスタデイ、アイ・ハド・ザ・ブルース』はピアノのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日)、ウッド・ベースのジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日、2014年2月12日、2014年4月14日)、ドラムのエリック・ハーランド(2005年5月11日、2007年10月3日、2008年4月6日、2013年1月6日)というピアノ・トリオがついてのもの。が、ツアーでは、ピアノがなんとアーロン・パークス(2002年7月3日、2005年8月21日、2008年11月22日、2009年2月3日、2012年5月31日、2014年2月5日)! そして、リズム隊はジェイムズのクロスオーヴァー路線の助力者である、おなじみのソロモン・ドーシーとリチャード・スペイヴェンがつく。ドーシーはダブル・ベースに専念し、ベース・ソロの際はそこにスキャットをかませる。スペイヴェンの4ビート・ドラミングはちょいおっかなびっくりという叩き方だった。
途中からは、古いトランペットを持った黒田卓也(2012年2月18日、2012年9月13日、2013年2月15日、2014年5月25日、2015年1月30日)も出て来て、伴奏に加わる。黒田の2014年ブルーノート盤はジェイムズのプロデュース盤だが、ジェイムズはその前に日本のシンガーのNOONの『FULL MOON』(ビクター、2013年)をプロデュースしているんだよな。それが、彼の初制作盤だ。
途中、ジェイムズはアコースティック・ギターを手にし前作ポップ曲を歌ったり、エリントン曲「キャラヴァン」をおもしろいアクセントを施して(その際はスペイヴェンの妙味が前に出る)披露したりも。そういえば、ビリー・ホリデイとともに、ヴェテランのジャズ・ピアニストのジュニア・マンス(2009年6月7日)への謝辞を出した。両者って、関わりはないよな? ジェイムズのファースト作『ザ・ドリーマー』にはマンスが参加していたわけだが。あれれ、ホリデイ・トリビュートという焦点がボケてくるぢゃん。
アンコールは、なんとサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を、ベーシストのドーシーとデュオで(彼のハーモニー・ヴォーカルが効いていた)聞かせる。差別のない社会への変化を心待ちにする、米国黒人音楽史における重要十指に入るだろうこの凛とした美曲を最後に持って来たことによって、ショウのカタマリ感がぐっと上がった。「ストレンジ・フルーツ」に代表されるように、ジェイムズはホリデイ表現が映し出していた弱者差別の流れは全然変わっていないという認識をもっているから……。
▶過去の、ジェイムズ、さらにパワーズ、ドーシー、スペイヴェンら
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
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▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
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▶過去の、パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm 2001年8月3日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm 2002年8月25日
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▶過去の、エリック・ハーランド
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▶過去の、パークス
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▶過去の、黒田卓也
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http://43142.diarynote.jp/201501310942048841/
▶過去の、ジュニア・マンス
http://43142.diarynote.jp/200906091637138003/
<先日のジェイムズの、アーロン評>
今回やったインタヴューで、アーロン・パークスを選んだ理由を、ジェイムズは次のように言っていた。
「アーロンは特別な才能を持つ人と思う。今度の『イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース』の曲を演奏するピアニストは、やはり個性が際立った人でなくてはならない。今作においてピアノがもっとも重要な楽器だと思うからね。実は、アーロンとはこれまで一緒に仕事をしたことはなかった。でも、話をしたら、彼にすごい強い絆を感じてしまったんだ。ビリー・ホリデイが過去やっている曲というのはメロディが強く、情も濃い。だけど、最近のジャズ・ピアニストの多くはハーモニーとかテクニックの面を重視する人が多いので、それをやるには適しているとは言いがたい。彼女の曲を表現するためには、ピアノでリリカルに弾くというユニークさを持っていなければならない。僕はメロディが大好きだし、美しいピアノの音色が大好きなので、そういう面でもアーロンは適したピアニストだと思うな」