オーケー・ゴー

2015年2月19日 音楽
 結成15年と少しの、ソウル要素もうまく使うポップ・ロック4人組を見る。今のロック界における好趣味の洒脱英知派というイメージを、ぼくが彼らに持ってしまうのは、わざわざ千葉県でヴィデオ・クリップを撮影した近曲「アイ・ウォント・レット・ユー・ダウン」に代表されるように、アイデアと手間に富みまくったヴィデオ・クリップを、酔狂にという形容も可能な感じで、次々に送り出しているからである。それらには、バカみたいにコストもかかっているんだろうなというブツもあったりして、そういう所に着目をするのなら、彼らは受け手にたいしての利益還元率の高いバンドであるとも言えるのではないか。ただし、痛し痒しと感じてしまうのは、そのヴィデオ・クリップほど曲作りはクリエイティヴではないところ。なんか、いまいち起伏やフックに欠けると、ぼくは思ってしまったりもする。が、基本のあり方において、オーケー・ゴーがとっても正のスタンスを持つ貴重な存在であるのは間違い。

 赤坂・ブリッツ。例のヴィデオ・クリップの好評もあってか、これは追加公演日。で、結論から言ってしまえば、今年のロック公演五傑に入るだろうと、ぼくは思った。

 冒頭、映画や記録映像から“OK”とか“GO”と言っている映像を抽出してつなげた映像がステージ背後に置かれたヴィジョンに流される。どうってことはないが、気持ちたかまる。そして、4人のメンバーがでてきて演奏しだすと、紙吹雪がステージ左右袖に配置された大砲のような機械からゴンゴンと放出され(それは、ショウの間、何度もなされた)、エンターテインメントな空間としての色彩/動的感覚を増させる。ボクたちの公演にようこそ、目一杯キミたちを楽しませるよ、そんなホスピタリティは最後まで一貫して送り出された。

 たとえば、2度ほど、通訳を交えて観客との質疑応答の項目を設けたり、観客の足音や手拍子や擬音をその場でサンプリングし、それを元にリズムを作り曲につなげていったり、リード・シンガー/ギタリストのダミアン・クーラッシュが生ギターを手に客席フロアに降り観客に囲まれながら弾き語りを聞かせたり。映される映像はそのヴィデオ・クリップの水準の高さからすると突出はしていないが、グラフィックなものからその場でとった映像までいろんなパターンのものを使用。ただし、周知のヴィデオ・クリップ映像に頼ったものはなく、それは正解と思えた。

 それから、あれれれ〜と驚いたのは、彼らはビート・ポップの秀でたライヴ・バンドであったこと。とにもかくにも、楽器の腕が皆たつ。ドラマーがいいのは、さすがに米国の中堅バンドであるなあ。また、コーラスも良質。その音だけを聞くと、実演においてはプリセットの音を併用しそうなのに、彼らは生音だけで見事にアルバムの音を再現する。いや、きっちり4人が噛み合って送り出すそのバンド・サウンドはアルバム以上に凹凸や肉感性を持つもので、ぼくが先に書いた<いまいち起伏やフックに欠ける>というマイナス項目をそれなりに補うものであったのだから!

<今日の、夕方>
 だいぶ、日が長くなってきなあ。まだ、寒いが、春が少しづつ近づいていることが実感でき、素直にうれしい。てな、ことは過去にも書いたことがあるかなあ。今年は例年以上に寒いとも感じているが……。