バンド(かつては、ロウアー911というバンド名が付けられていた。今は名前はないよう)が変わり、当人(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日)に加えて、トロンボーン、オルガン、ギター、ベース、ドラムという布陣にてパフォーマンス。リズム・セクションの2人はアフリカ系だ。当人を含めキーボード奏者が2人になったということもあり、ザ・ブラック・キーズのダン・オーバック制作のどろどろ怪しくもサイケな2012年新作『ロックト・ダウン』(ノンサッチ)の内容が反映されるのかと、期待。そしたら、新作からの曲はやったかもしれぬが、基本はあまりそういう所感は持たせず。ロウアー911 のときとグルーヴの感覚は違うが、大きく印象が変わるものではない。

 女性トロンボーン奏者のサラ・モロウが曲の出だしでリズムの指示を出したりし、音楽ディレクター的だと思ったら、御大のMCでもそう紹介された。彼女のことは2002年の斑尾のジャズ・フェスティヴァルに自己カルテットで出演した際の演奏に触れているが、レイ・チャールズ・バンド出身という触れ込みではあったものの、わりとフツーの白いジャズを聞かせたという印象がある。で、今回いまいち切れが悪い彼女のトロンボーン演奏を聞いて(吹かないときも多い)、いい人そうだけど、彼女がこのバンドに加入する意義を見いだせず。ドクターとの間に、情交の関係があるや否や。

 本人はグランド・ピアノやクラヴィネット系音色を設定したノード・エレクトロを曲によって使い分けつつ、ほいほい歌って行く。鍵盤が2人だと、「ライト・プレイス・ロング・タイム」とか「ライフ」(これ、ドクター・ジョン作曲でなく、プロデュースをしたアラン・トゥーサン〜2012年10月15日、他〜の曲だよな)とか、『イン・ザ・ライト・プレイス』(アトコ、1973年)収録曲は映えるナ。彼らはセットでけっこう曲目を変えるようだが、あとやはり同作収録の「シュー・フライ・マーチズ・オン」をやってくれれば最高だった。蛇足だが、ロバート・パーマーの「イン・ウォークス・ラヴ・アゲイン」(1978年作『プライド』収録)は「シュー・フライ・マーチズ・オン」のノリの見事な咀嚼モダン化曲ですね。純ブルースも1曲やり、ドクター・ジョンはギターを持って歌い、ギター・ソロも聞かせる。そのとき、思いのほか、客席がわいたな。最後は「聖者が街にやってくる」と「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」のニューオーリンズ有名曲2連発。

 彼はほんの少しやせたかも。出で立ち(鮮やかな薄紫色のスーツを着用)、小道具はこれまで通り。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。

<今日の、気まぐれ>
 トラムが走っている、ゆったり時間が流れている風情を持つ都市に住めたらいいかも、とふと思った。だったら、欧州? もー、大都会が好きなくせに。。。路面電車にはどこか甘美な思いを持つかな。