フィルム、ドロウイング、写真なども絡めて、サーフィンが導く周辺文化をくくろうとするイヴェント(と、取っていいのかな?)。ゆえにいろんな出し物があり音楽はメインでありつつもあくまでその一部(どんなアーティストも出演時間は40分)というスタンスを立てているが、今年からクリエイティブマンが関与するようになり、規模が大きくなり、出演者が少し豪華になった。そのため、会場の横浜・大桟橋にフェス敷地が占める面積も飛躍的に増えて、野外ステージやDJ会場なども新たに設営された。

 開催2日間のうち初日だけ行ったが、前回行ったとき(2007年5月26日)と同様に、会場ありきのフェスだと痛感しちゃう。もう海に突き出た桟橋にまったり座り、ちんたらレゲエが流れてきたらそれでOKとなってしまうもの。タフ・セッションやクール・ワイズ・マンら日本人レゲエ/スカの担い手やヘザー・ノヴァの弟のミシュカなど、その手の野外ステージ(音が悪い室内系ステージより、格段に音が良かった)出演者には気持ちよく触れました。夜景も綺麗だよなー。で、それを満喫するには晴天であることが条件なのだが、雨天予報にもかかわらず、雨はほとんど降らず。そういう意味では、運があるフェス。ぼくは“マーフィの法則的おまじない”という感じで、折りたたみ傘ではなく普通の傘を持っていった。

 それから、うれしさを感じるのは、なんとなくな緩さ。さすがにパス・チェックはあるものの、持ち込み物のチェック等はいっさいないというのは生理的によろしい。ま、そんな感じなので、もし触れられればという感じでそれなりに他に見たのは、オーストラリアのミクスチャー系のカスタム・キングス(間口を広げすぎるという感じはあるけど、人なつこくてよい。ヴォーカルの声質がいいナ)、トーマス・キャンベル監督(2005年6月2日参照)が関わりいかにも今回のフェスにお似合いのレイ・バービー&ザ・マットソン2(実演は期待はずれ。スーツを来て出てきた4人は格好良かったんだが、なんか正当な即興性に欠けた。バービーの音楽性のほうによりすぎか。ジョン・マッキンタイアも参加したザ・マットソン2のアルバムは音響ジャズの好盤だったのになー)、スイス人シンガー・ソングライターであるというリー・エヴァーソン(わりと普通の生ギター弾き語りだったような)、質のあるUA(2004年7月6日、8月12日)など。東京スカパラダイスオーケストラ(2003年10月10日)は見ようとしてすぐに退散。前にも書いたが、ここの床はデッキを模したようにすべて板張りなため鬼のように揺れる。特にスカパラのときは演奏がはじまったとたん尋常じゃない揺れ方ですぐに気分が悪くなってしまった。あれを経験しちゃうと、ここは音楽をやってはいけない場所ではないかという思いが頭をかすめます。

 その後、せっかく近所まで来たのだしと、会場の近くにある赤レンガ倉庫のモーション・ブルー・ヨコハマに行く。とってもとっても、久しぶり。出演者はヴェテラン・サックス奏者の土岐英史(2004年8月20日。彼の娘は、土岐麻子)。ギター、電気ベース、キーボード、ドラムがサポート。総じて、ソウルっぽいフュージョンを披露。気温は高くなかったが、湿度が滅茶高い日だったと帰り道に思う。