ウィル・リー

2018年11月22日 音楽
 NY在住のエレクトリック・ベース奏者/ヴォーカリストのウィル・リー(2000年6月21日、2003年6月12日、2008年12月7日、2009年8月19日、2012年8月21日、2012年11月26日、2013年12月5日、2014年8月7日、2015年8月20日、2018年8月27日)のリーダー・グループ公演を、丸の内・コットンクラブで見る。セカンド・ショウ。

 同行者はイスラエル出身であるギタリストのオズ・ノイ(2007年7月3日、2016年3月29日)、オルガンとキーボードとヴォーカルのジェフ・ヤング(2017年7月30日)、ドラムのチャーリー・ドレイトン(2003年6月12日)。実は今回一番楽しみだったのは、ストーンズやキーズ・リチャーズ(2003年3月15日)のレコーディングやライヴ(リチャーズのバンドである、エクスペンシヴ・ワイノウズ)にも兄貴分のスティーヴ・ジョーダン(2005年11月13日、2006年11月20日、2006年12月22日、2010年10月26日)流れで堂々参加していたドレイトンを見ること。1965年生まれの彼はそんなに老けてはいないが、アフリカ系というよりはラテン系の血が強いように今回接して感じられた。彼のおじいちゃんはベン・ウェブスターやコールマン・ホーキンスらに仕えたベーシストであり、父親はジョン・コルトレーン他の録音に関与したエンジニアですね。

 とっても大きな口径のベース・ドラムを用いていた彼の叩き口は、まさにスティーヴ・ジョーダン流れの奥行きの深い気をてらわぬそれで、わりとシンプルにロッキッシュ。音だけを聞くと必然性を感じないが、彼はマッチド・グリップではなくレギュラー・グリップですべて演奏をこなしていた。一拍一拍の間(ま)がデカいというか、深いと感じさせるのは大きなアドヴァンテイジだ。

 おおまかに言えは、インストゥメンタルもやるが歌がはいる曲も結構あり。ヴォーカルはヤング(彼のオリジナルもやったはず)とリーがとる。アフリカ系であるヤングはちゃんと歌える人だな。曲はジミ・ヘンドリックスの「ドリフティン」やザ・ビートルズの「エイト・デイズ・ア・ウィーク」などのカヴァーも。前にも触れたことがあるが、リーはずっとザ・ファブ・フォー(The Fab Faux)というザ・ビートルズのカヴァー・バンドをやっていて、それはお手の物。『アビー・ロード』を片面まんまやっている映像とか、ユーチューブで見ることができる。あちらではなんか人気あるらしくて、ギャラの問題でコットンクラブでやるのは不可能なのだそうだ。彼らは12月にマンハッタンのワイナリーで“ホワイト(・アルバム)・クリスマス”と題したショウをしたりもするが、即ソールド・アウトであるよう。

 ぼくが見たショウはサプライズもあり。ちょうど来日中の大御所セッション・ベーシストであるチャック・レイニー(2011年6月21日)がなんと客席にいて、リーは「センセイ」と呼び込み、1曲レイ・チャールズの「アイ・ガット・ザ・ウーマン」(だったかな?)のインストをツイン・べースで披露する。演奏自体は別にどってことないが、これはうれしい。レイニーはとても元気そう、終演後も彼は鷹揚に寄って来た観客に応対していた。

 アンコールは、24丁目バンド(リーの初来日は、1980年のそれだった)の同僚だった故ハイラム・ブロック(2000年6月21日、2003年6月12日、他)の「ダ・アレイ」。ノイのギター演奏はまんまブロック流儀、つまりソロは40年前のジョー・ウォルシュ(2011年3月5日)風であった。

 来年4月下旬に東京国際フォーラム ホールCで3日間にわたる<EAST MEETS WEST>という催しのミュージック・ディレクターを、リーは大々的に行う。ウィリー・リー祭り? 参加者はサム・ムーア(2006年11月14日、2008年8月31日、2010年12月15日、2011年7月27日、2015年12月2日)、ランディ・ブレッカー(2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2016年2月19日、2016年9月29日)、マイク・スターン(2009年3月23日、2009年6月18日、2010年6月6日、2012年6月13日、2015年6月5日、2016年6月4日)、矢野顕子(2004年7月20日、2008年8月3日、2008年12月14日、2009年8月19日、2009年9月4日、2009年12月13日、2010年12月12日、2011年9月9日、2011年12月11日、2012年8月21日、2013年8月11日、2013年11月30日、2014年8月7日、2015年8月20日、2016年9月15日、2017年12月10日、2018年8月27日)、日野皓正(2005年6月5日、2006年11月3日、2011年3月28日、2011年7月25日、2011年9月2日 、2013年9月22日、2014年4月4日、2015年3月10日、2017年9月3日、2018年8月11日)、渡辺香津美2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日)、桑原あい(2013年9月8日、2016年12月7日、2017年7月8日、2017年9月29日)他多数。

▶過去の、ウィル・リー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm ハイラム・ブロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm ハイラム・ブロック
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090819
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/201212101904379741/
http://43142.diarynote.jp/201312171510083393/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
▶︎過去の、オズ・ノイ
http://43142.diarynote.jp/200707041026510000/
http://43142.diarynote.jp/201603300704079868/
▶︎過去の、ジェフ・ヤング
https://43142.diarynote.jp/201708081430263083/
▶過去の、スティーヴ・ジョーダン
http://43142.diarynote.jp/200511130413390000/
http://43142.diarynote.jp/200611221236140000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061222
http://43142.diarynote.jp/201010301012548114/
▶︎過去の、チャーリー・ドレイトン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm ハイラム・ブロック
▶︎過去の、チャック・レイニー
https://43142.diarynote.jp/201106270438075311/
▶︎過去の、ハイラム・ブロック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
▶過去の、ジョー・ウォルシュ
http://43142.diarynote.jp/201103091707591166/
▶過去の、サム・ムーア
http://43142.diarynote.jp/200611190319380000/
http://43142.diarynote.jp/201012160928249431/
http://43142.diarynote.jp/201107310730365740/
http://43142.diarynote.jp/200809011923060000/
http://43142.diarynote.jp/201512030957287514/
https://43142.diarynote.jp/201810281058039311/
▶過去の、ランディ・ブレッカー
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160219
http://43142.diarynote.jp/?day=20160929
▶過去の、マイク・スターン
http://43142.diarynote.jp/200903260425159549/
http://43142.diarynote.jp/200906190812191379/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
https://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
▶過去の、矢野顕子
http://43142.diarynote.jp/200407200015350000/
http://43142.diarynote.jp/200808090220110000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200908221621447408/
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/
http://43142.diarynote.jp/201001051622194305/
http://43142.diarynote.jp/201012131714372906/
http://43142.diarynote.jp/201109151818437240/
http://43142.diarynote.jp/201112191449196187/
http://43142.diarynote.jp/201209180912154167/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130811
http://43142.diarynote.jp/201312051627467488/
http://43142.diarynote.jp/201408091058201133/
http://43142.diarynote.jp/201508210809254412/
http://43142.diarynote.jp/201609201813357761/
http://43142.diarynote.jp/201712111145326498/
https://43142.diarynote.jp/201808291108033102/
▶過去の、日野皓正
http://43142.diarynote.jp/200506120639310000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20061103
http://43142.diarynote.jp/?day=20110328
http://43142.diarynote.jp/201107310727152406/
http://43142.diarynote.jp/?day=20110902
http://43142.diarynote.jp/201309260930584072/
http://43142.diarynote.jp/201404070654593139/
http://43142.diarynote.jp/201503110740041978/
http://43142.diarynote.jp/201709101639096076/
https://43142.diarynote.jp/201808120917002515/
▶過去の、渡辺香津美
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101120
http://43142.diarynote.jp/201203260803216950/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
https://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、桑原あい
http://43142.diarynote.jp/?day=20130908
http://43142.diarynote.jp/201612100926461885/
http://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
https://43142.diarynote.jp/201710011917499392/

<今日の、好漢>
 チャーリー・ドレイトンはドラムだけでなく、ベースやギターも演奏する御仁。とくに、キース・リチャーズの諸作ではスティーヴ・ジョーダンと仲良く楽器の持ち替えを交互にしていた。のであったのが、リチャーズの新作『クロスアイド・ハート』(ヴァージン、2015年)にドレイトンは参加していない。それについては、残念なことにジョーダンとドレイトンが喧嘩をして袂を分かつことになったと聞いたことがある。ジョーダンはミーガン・ボス、ドレイトンは故クリッシー・アンプレット(https://www.youtube.com/watch?v=eCU64jCdntU、途中からドレイトンも出てくる)と白人のロック・シンガーと結婚していることも両者は共通していたわけだが。ジャズ/フュージョン(渡辺貞夫のツアーで来日したことがあったかも)とロック(近年は、リトル・スティーヴンのバンドに入っている)の2方向で堂々活躍して来た彼はアイヴァン・ネヴィル(2013年2月3日)やフォオナ・アップル(2000年5月8 日)、アンプレットが在籍した豪州バンドのディヴァイニルズ、パフィらのプロデュースにも関与。蛇足だが、ドレイトンが劇中音楽作りに部分制作/演奏関与した2011 年米国映画「The Music Never Stopped」は音楽をテーマに置く映画の10指にはいるかもしれない好作。字幕なしのを見て全部分かったわけではないが、音楽(ここでは1960年代ロック。映画表題は、グレイトフル・デッドの曲名でもありますね。ライノ発のサウンドトラックにはデッドをはじめ、ディラン、ドノヴァン、C.S.N.&Y曲らがずらり)の記憶がもたらすえもいわれぬ素敵を親子の絆をとおして描く(映像にもうれしいロックねたはいろいろ出てくる)内容は音楽が好きで良かったあと痛感させるにあまりある。
▶︎過去の、アイヴァン・ネヴィル
https://43142.diarynote.jp/201208091321435870/
▶︎過去のフィオナ・アップル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm