スライ&ロビー(1999年12月6日、2003年7月25日、2009年3月7日、2011年11月4日、2014年10月10日)の屈強にして戦闘性の高い人間基準法違反のレゲエ・ビートは“ミリタント・ビート”という呼称を与えられているが、マルコス・スザーノ(1999年8月11日、2001年12月19日、2002年7月21日、2005年2月15日、2005年10月30日、2006年8月11日、2006年8月24日、2006年12月28日、2007年8月11日、2007年8月23日、2008年10月10日、2009年9月25日、2009年9月26日、2013年1月7日)のブラジルの何かと繋がった豊富なニュアンスと鼓舞力の高いビートもなんらかの専売特許的な呼び名を与えられるべきではないのか。この晩のスザーノの、やっぱり魔法のようなパンデイロ裁きを見ていて、ぼくはそう思わずにはいられなかった。

 ブラジル音楽/ポルトガル語の妙味を知り、そしてその美点を経由しているアダルト派シンガーのTOYONO(1999年6月3日、2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日)のワーキング・バンドと、彼女ととっても親しいマルコス・スザーノが一緒にやる公演。たまプラーザ・3丁目カフェ。

 ギターの竹中俊二、ピアノ/ピアニカの宮川剛、エレクトリック・ベースの岡雄三、ドラムの宮川剛からなるバンドに、スザーノは最初から最後まですっと絡む。メンバーは皆譜面を置いているのに、スザーノだけは置かず。一緒にレコーディングをし、何度もライヴ共演するなどしているにせよ、パっとバンドの音に合わせ、最良のパターンを叩いていき、決めにも悠々と合わせる彼の能力はすごいとしかいいようがない。しかも、そのビートが精気と表情と多彩性に満ち、かつグルーヴィでエネルギッシュなんだもの! パンデイロの音はベース・アンプを介して出されていたようで、なるほどそりゃ低音もちゃんと出せるよな。ほんと、すごい、歴史に残るべき奏者。まあ、この晩の場合は、ドラムの宮川との噛み合いの良さも特筆すべきものであったわけだが。2人は、宮沢和史のGANGA ZUMBA(2007年8月11日)でコンビを組んでいた。

 TOYONOのオリジナルを中心に、「おいしい水」や「イパネマの娘」なども披露。その2つのブラジル有名曲のアレンジし具合にいささか驚く。特に後者のモダンにイっている変換し具合は凄い。そして、その超難しくなったラインを難なく歌うTOYONOもすごい。また、竹中と彼女が作った「トレス・マリアース」は本当にいいしっとり曲と再認識。それ、ちょいゴスペル的/ブルージィなところも持つ曲なのだが、そういう系統にあるメロディアス曲として、スクイーズ「テンプテッド」、渡辺貞夫「マイ・ディア・ライフ」とともに、その三傑に入る名曲と思った。

 2部制。スザーノ、馬鹿みたいにうれしそうに演奏していたなー。最後のアンコール曲は、彼がレニーニ(2000年6月16日)とつるんでいたころの共作曲で、そこでスザーノは歌も担当。ラップっぽいそれ、素敵すぎます。なんか、録音物になってほしい。

▶過去の、マルコス・スザーノ
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
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http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/
▶過去の、スライ&ロビー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/200903122225149470/
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▶過去の、TOYONO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
http://43142.diarynote.jp/200708270314500000/
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http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140723
▶過去の、レニーニ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm

<今日の、初めて>
 たまプラーザ駅初体験。二子多摩川駅以降、駅と駅の間隔が短くなり、カーブも細かいのか電車のスピードもぐっと落ちて、げんなりしちゃう。←どこまで、せっかちなんだか。なんか、ホームの端から隣の駅のホームが見える井の頭線みたいだと思わずにはいられず。←三軒茶屋の人身事故でダイヤが乱れ、急行で行くはずが普通列車に乗らなければならず、それで認知できたのかもしれないが……。そこらへん、昭和初期の路面電車をルーツとするという路線特性が見事に残っていると感じた。東急の威信をかけた新興住宅地としてかつてブイブイ言わせていた たまプラーザの駅舎(そんなに昔じゃない時期に立て直しを受けた、という感じか)もなかなか立派。改札口で近くに住む知人たちと待ち合わせたのが、一人がパンデイロを持っていたせいで、ライヴ会場からの迎えを待っていたスザーノの奥さんと娘さんに声をかけられていた。毎年末年始をわざわざ寒い日本に来て過ごしている彼だが、今年はもっと日本に滞在したいという気持ちを持っているようだ。そして、駅から5分ぐらいの所にある3丁目カフェにもとうぜん初めて行くが、グランド・ピアノがおいてある会場だった。通り側はガラス面が多いが、音もそこそこ出せるよう。