昨年出た久しぶりのウェイン・ショーター(2001年8月3~5日、2002年8月25日、2004年2月9日)の新作『ウィズアウト・ア・ネット』(ブルーノート)はやはり屈指の現代ジャズ作品であり、ショーター半端ねえと痛感させるもの。くわえて、ええええと思わせるのは、そのカルテットの顔ぶれはずっと10年強同じであること。“変化”を求めずに、成熟その他をつうじて鮮やかな“変化”を引き出す、そのメンバー選びの審音楽家眼は度を超してすごいとしか言えません。

 というわけで、不動のメンバー(ぼくは、見ていないが、昨年の来日公演はドラマーは代役だった)は、ピアニストのダニーロ・ペレス(2001年8月3〜5日、2002年8月25日、2004年2月9日)、ベーシストのジョン・パティトゥッチ(2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2006年9月3日、2012年6月13日、2014年2月12日)、ドラマーのブライアン・ブレイド(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日、2008年9月4日、2009年7月20日、2011年5月12日、2012年1月16日、2012年3月15日 、2012年5月22日、2014年2月12日)という面々。ショーター御大はソプラノ主体に、時にテナー・サックス。30分ぐらいやった1曲目はテナーを手にした。

 他は長くても10分ほどの曲だったはずだが、構成と即興が一緒になるような感じで悠然と流れて行く演奏は、どこを取っても秀でたジャズであり、“電波”の人=ショーター以外の何ものでもなく、大きくため息しつつ、おおいに堪能。80歳を超えた彼、さすが吹きまくるという感じではないが、要所で繰り出す箍が外れたようなソロにはとても夢心地になれる。やっぱり、ジャズってすごい表現だという、漠然とした感想がもくもくと湧いてもくる。サポート陣もクリシェに陥ることなく妙味を繰り出したが、この2月に一緒に来ているリズム・セクションの輝きや渋さや強さがその際とは段違いなのにも驚き、ショーターの神通力を思い知らされた。

▶過去の、ショーター
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
▶過去の、ペレス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/framepagelive.htm
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
▶過去の、ブレイド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200605160543260000/
http://43142.diarynote.jp/200809071429250000/
http://43142.diarynote.jp/200908061810483865/
http://43142.diarynote.jp/201105140859559227/
http://43142.diarynote.jp/201201171011033219/
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
http://43142.diarynote.jp/201205301327209613/
http://43142.diarynote.jp/201402140843255048/
▶過去の、パティトゥッチ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2001年8月3日、2002年8月25日
http://43142.diarynote.jp/200402091738240000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
http://43142.diarynote.jp/201402140843255048/

<今日の、予期せぬ問いかけ>
 冷蔵庫を買い直した。入れ替え作業は、粛々と終了。帰り際に業者のおにいちゃんが、居間を見渡し「レコード、売ってるんですか?」。「いや、趣味で……」、と消え入るような声で答えるぼく。彼が仕事部屋を見たら、なんと言ってくるだろう? 寝室だけは音楽アイテムを置くのを避けているが、それだけは徹底しようと決意を新たにした。