濱口祐自

2014年4月11日 音楽
 和歌山県那智勝浦町をベースに我が道を行く活動をしている、ギタリストの濱口祐自のソロ・パフォーマンスを、代官山・晴れたら空に豆まいて で見る。昔(大学には体育科に入学した、運動会系だそう)はライ・クーダーが好きで、その流れの先に現在の形があるうようだが、ブルースをはじめとする米国ルーツ・ミュージック語彙を自然児的スタンスのもと悠々とギター1本で束ねる様はお見事。堂にいっていて、渋味ギター・マンとしては王道、という感想を導きもする。

 その技アリのソロ・ギターの演奏(けっこう、チューニングを変えていた)はちょっとした1ストークや1フレーズにあるものが生理的に太く、濃く、雄弁。そして、そこには、オイラの工夫や温かさや人間くささといったものが付帯する。技量と情が見事にバランスのとれたパフォーマー、そんな言い方もぼくはしたくなるか。用いたギターは3本、うち1本はドブロで当然スライド・バーをはめて演奏。草の薫りがするものやブルース曲から、スタンダードの「ムーン・リヴァー」、ルイス・ボンファやエリック・サティ曲まで。みんなインストだが、自ら訥々と歌うフォークぽい曲も一つやった。

<今日の、名言>
 俺サマと謙虚さがいりまじった、率直にして面白いMCを熊野弁(?)ばりばりでする人。ライヴ・ショウでのMC嫌いを公言するぼくも、これには笑えて、つきあえちゃった。お客さんの反応も、温かかったなあ。内容は他愛なくもあるんだけど、そのなかにキラリと光る発言もまじる。酔っぱらって聞いていたぼくが記憶に残っているのは、以下の二つ。
「糸巻きのついた楽器は、無限」(チューニングをしながら)
「都会の自然は、“人間”」(代官山でワイン片手にくつろいでいて街角を見ていて、というような話の後に)
 そして、こじつけぽくなっちゃうが、彼の演奏にも、先人ギター弾きから引き継いだ金言が散りばめられている。