有望若手が軒並み入ることで知られるテレンス・ブランチャード(2002年7月3日、2005年8月21日)のバンドを経て知名度を得た、在NYの俊英ピアニスト(2002年7月3日、2005年8月21日、2008年11月22日、2009年2月3日、2012年5月31日)のトリオ公演をまず見る。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。何気に、客入りはまっとう。ぼくは常々注目したいと思っていたが、パークスって日本で人気あるの?

 パークス本人が皆に聞かれてもいいと思えるリーダー・アルバムはこれまで2作出ていて、2008年ブルーノート作と2013年ECM作。それ以前に5作品だか自主リリースしてもいるが、それは葬りたい内容と本人は感じている。というのはともかく、ブルーノート盤はギター付き同世代カルテットでの録音であり、ECM盤はソロ録音。で、今回はトリオで、ベン・ストリート(ジェシー・ハリスのワンス・ブルーやカート・ローゼンウィンケルのバンドにいた彼はパークスとお手合わせしてもおかしくない位置にいる御仁)と大御所ビリー・ハートという面々が同行。バンコクでも3人でギグをしているらしいが、これはアレレという顔ぶれではあるよな。

 パークスならでの美意識の発露を感じるのであれば、やはりコットンクラブで予定されている翌日(6日)のソロ公演に接した方がめちゃ“適”であるだろう。だけど、ぼくは1940年生まれのビリー・ハートの風体/演奏にもふれたかった。ソウルぽいものから純4ビート、はてはブっちゃけたほうまで、デカい存在感で彼はジャズ表現をいろいろ網羅してきている偉人。リーダー作もA&M、グラマヴィジョン、エンヤなどから10枚強リリース。そういえば、エスペランサ・スポルディング(2008年9月5日、2008年12月1日、2010年9月4日、2011年2月17日、2012年3月7日、2012年9月9日)もその近作『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』(ヘッズ・アップ)でハートに部分たたいてもらっていて、取材したときに、それが実現したことを本当に喜んでいたっけ。

 で、そのハートの新作『All Our Reasons』(ECM)はピアノのイーサン・アイヴァーソン(2003年8月1、2日。2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日)、ベースのベン・ストリート、テナーのマーク・ターナというカルテットによる録音。その流れとかもあり、今回のトリオの顔ぶれが決まったと思われるが、やはりアーロンはハートのことを丁重に扱っていたな。なお、彼の演奏は今回触れぶんには、うれしかったし妙な存在感はあったけど、まあこんなものかという感じも。変な形のシンバルを並べたりとか、シンバル使いにはこだわりを持っているよう。

 そんな3人による演奏はもちろん、パークスのブルーノート盤ともECM盤ともまったく異なる。だって、両盤ともオリジナルでかためていたのに、この晩のセットはソニー・ロリンズとかキース・ジャレットとかジャズ巨人たちが作った曲を取り上げ、それをトリオ編成で開いて行ったもの。その様は、ジャズの積み重ねと改めて向き合う気持ちがパークスの中でわいて来ているのかと思わせるものであったか。いや、まじに、ぼくはそう感じてしまった。

 とはいえ、やはりパークスの両手のバランスは一筋縄では行かなく、耳馴染みであるはずの曲をやってもかなり自分化はされている。とともに、あっさり弾くようで、彼の指さばきは遅れるというか、かなりの溜めを持つ。それが、黒さやグルーヴィさに結びつかないあたりが彼の真骨頂であるとも思わせられ、何かと興味深かったな。アンコールは一人で、スタンダードの「酒とバラの日々」をかなり崩して披露した。用事できちゃって無理なのだが、ソロ公演にも触れたかったな。なお、パークスは来月頭に、カート・ローゼンウィンケル(2009年3月1日、2010年3月12日、2013年11月20日)のサポートでまたやってくる。って、そこそこ日本通の彼、このまま滞日したりして……。パークスはローゼンウィンクルの2012年作で弾いている。

 そして、六本木・STB139に行って、『ダブル・レインボウ』というデュオ・アルバムを出したギタリストの小沼ようすけ(2004年11月30日、2010年10月12日、2011年3月28日、2011年3月31日、2011年7月25日、2013年7月1日)とピアニストの宮本貴奈(2012年6月19日)の公演を見る。会場入りしたときは、1部最後の曲で、シンガーのギラ・ジルカと歌とフリューゲルホーンのTOKU (2000年2月25日、2001年9月6日、2004年3月10日、2006年2月16日、2008年8月19日、2011年3月16日、2012年6月19日、2013年9月22日)も加わっていた。そして、休憩を挟んでの2部は90分以上やったんじゃなかったか。

 あまりピアノと生ギター(小沼はガット・ギターを中心に弾く)というデュオの編成のジャズの出し物が多くない(よな?)ように、過剰にジャズ文脈に寄りかかることなく、ジャズを拠り所とする両者の歌心を相乗とともに滑らかに出そうとする公演であったと言えるか。オリジナルにしてもジャズ曲カヴァーにしても、2人がお手合わせしたからこその、優しい誘いがあったはず。

 そして、途中からTOKUが、最後にはジルカがまた加わるが、本当に彼らは仲がいいのだな。密な信頼ありきのなかから、機智に富んだやりとりが気安くもいろいろと溢れる様はなかなか楽しい。音楽が生む仲間や場の重要性を再認識させられたりもしました。ただ、皆の話は長すぎ。彼らの出会いや関係性を伝えるところもあって有益な部分もあるし、喜ぶ人が多いのでそうしているのだろうけど、ぼくにはやはり余分すぎる。

▶過去の、パークス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2002年7月3日
http://43142.diarynote.jp/?day=20050821
http://43142.diarynote.jp/200811241224271906/
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▶過去の、エスペランサ
http://43142.diarynote.jp/200809071430380000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081201
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http://43142.diarynote.jp/201209191229057579/
▶過去の、アイヴァーソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2003年8月1、2日
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
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http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
▶過去の、カート
http://43142.diarynote.jp/200903031751323247/
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▶過去の、小沼
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▶過去の、宮本
http://43142.diarynote.jp/201206210944302024/
▶過去の、TOKU
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年2月25日、2001年9月6日
http://43142.diarynote.jp/200403101442170000/
http://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20130922

<今日の、不吉>
 マックブック・プロのファンがすぐに回るようになってしまった。なんか、変な負荷がかかるようになってしまったか。過去の経験上、トラブルが起きる兆候のような。一回、リセットしなおしたほうがいいかもしれぬが、目先のやることにかまけてしまい、メンドくせ〜となってしまう……。税理事務所に送る領収書もそろそろまとめなきゃいけないしな。←手間のかかることではないのに、こういう事務仕事に感じるストレスと言ったなら。ところで、昨日からとっても寒い。これで風があったら、もう限界ギリギリという感じ。今日はライヴを2つハシゴしたあと、軽く流れようとしたが、あまりの寒さに帰りに遭難しちゃイカンと自粛。そして、大江戸線六本木駅のホームに降りたら鳥の擬音みたいなのが効果音として流されていて、生理的に悲しくなる。やめたほうがいいのでは。それとも六本木駅は荒れるので、少しでも利用者の心に平静をひきだすめにそれが効果的となっている? 土曜までは寒波が入り込む日々で、土曜はけっこう降雪があるとも予報されている。やだな、土曜に取材が入っているんだよなー。