昨日に続いてブラジル映画祭に出展される映画の1本を、やはり北青山・ブラジル大使館で見る。昨日の2作品はブラジル映画だったが、こちらは日本人監督(中村真夕、津村公博の連名による)による日本の作品。スズキやヤマハを抱える浜松市が舞台で、そこに住む日系ブラジル人の若者たちを追ったドキュメンタリーだ。興味をひかれる題材ではあり、無理矢理時間を作って見に行く。これ、夏前に渋谷や浜松で公開されていたようだ。

 親の出稼ぎについてきて日本で育ち、宙ぶらりんな状況で働き、娯楽を享受している数人の男女の発言や日常映像をまとめる。やはり、ぼくが普段触れている日常とは離れているのは確か。なんか、日本じゃないみたいと書くと、誇張にすぎるが。当初、映画は浜松の取材で完結するはずであったよう。だが、2008年のリーマン・ショックに端を発する不況で多数の出稼ぎ労働者が帰国をしいられ、それを受けて家族とともにブラジル各地に戻った彼らの生活も追っている。結果、両方の属性を持ち、双方の文化をかかえる若者たちが背負わざるを得ないブラジルと日本の距離はより見えやすくなったのかもしれぬ。

 ここに出てくる数人の青少年はみんなポルトガル語も日本語も上手にしゃべるが、多くのジャパニーズ・ブラジリアンは日本語が不自由であったりもするそうで、この映画に出てくる人たちは少数派だろうと、映画が終わった後に雑談しているとき数人の識者が言っていた。なんにせよ、ボランティアをしたり英語も学んでいそうだったりと一番ツカえそうだった青年がマリファナで捕まり、強制送還のための出頭日の朝にトンずらしちゃうという事実(その前夜の取材映像も収められる)に、言葉や生理を超えた彼らをとりまくモヤモヤを実感させられたか。

 そして、夜は昨日に続き<スキヤキ・トーキョー>で、渋谷・クラブクアトロ。この晩はコロンビアの電波系現代クンビアの担い手、ペルネットの出演。PCと小鍵盤を前に歌う彼に加え(ときに、縦笛を吹くときも)、ベース(鍵盤ベースを弾く曲のほうが多い)、打楽器、ドラム奏者を擁しての実演だったが、アルバム音に比すと、PC音も下敷きにしているのに、かなり生っぽく、どんくさくて下世話で……。歌も飾り気なく、うまくない。と、書いて行くと、なんか否定的な思いを受けているような感じになるが、実際は逆。なんか、妙にまっつぐで、ドキドキするぐらい民衆のポップ・ミュージックという手応えを感じさせられ、ぼくはゲラゲラ笑いながら感じいっってしまった。楽しく、身体も揺れた。そこには、音楽の不思議な素敵があったなー。

<今日の、移動販売車>
 昼間映画を見に行ったブラジル大使館前に、ブラジルの食べ物からDVDまでを品ぞろえした移動販売車が来ていた。丸の内のブラジル銀行前とか、いろんな所に出没するらしい。大使館勤務らしい人も、それを利用していた。そのカスタム店舗車は、やはりブラジルからの出稼ぎ者が多い地域がある群馬のナンバー。売っているパンは浜松製だった。