10月6〜12日の東京(渋谷・ユーロスペース)をはじめ、大阪、京都、浜松と11月2日まで各都市で開かれる<ブラジル映画祭2012>の上演作品を2つ、北青山・ブラジル大使館で見る。どちらも実在の人物を題材とするドキュメンタリーとドラマで、前者は作詞家/弁護士/国会議員(1915〜1979年)で後者はサッカー選手(1920〜1959年)が主人公。ともにリオに住んだ人たちで、彼らが音楽やサッカ−で活躍した1940年代後期はブラジリア遷都前で、リオがブラジルの首都であったのだなあと思いつつ、その2つの映画を見た。
映画「バイアォンに愛をこめて」はバイアォンの代名詞的偉人シンガー/アコーディオン奏者/作曲家のルイス・ゴンザーガ(1912〜1989年)の作詞パートナーとして知られるウンベルト・テイシェイラの生涯を追うドキュメンタリ−映画。興味深い往年の映像や娘をはじめいろんな証言者映像を組み上げ、インテリでもあったテイシェイラ、ひいてはバイアォンという北東部に根を持つ表現のブラジル音楽にしめる存在のデカさを語っていく。とにかく、見ているといろんな扉があけられる思いも得たし、自分がブラジル文化初心者であることを思い知らされた。
会場で会った伊藤温仁さん(今はブラジル音楽探求家だが、かつてはUKバブ・ロック大家だった)は、バイアォンはアメリカのR&Bヘ影響も及ぼしたはずで、それを研究してみたいんだよね、なぞと言っていた。へえ、そうなの。なるほど、著名米国音楽データーのサイトであるAMGをひくとゴンザーガの詳細なバイオと膨大なディスコグラフィーが出てくるわけで、けっこう米国でバイアォンが流通したのは間違いのないことのよう。
一方、映画「サッカーに裏切られた天才、エレーノ」はボタフォゴの天才型スター選手(アタッカー)だったエレーノ・ヂ・フレイタスの光と影を描く映画。ぼくは彼の存在をこの映画で初めて知ったが、へーえ。リオの風土を満喫していた彼は1948年にボタフォゴの経済的事情でアルゼンチン・ブエノスアイレスの人気クラブであるボカ・ジュニアーズに移籍させられちゃい、そこから女と酒を愛した、この色男のボタンはかけ違えられ……お、まさに映画を感じさせるストーリーだな。ボタフォゴもリオの名門チームとして知られるが、映画ではボカ・ジュニアーズ(かつてマラドーナが欧州で活躍する前後に所属したチーム。2000年代アタマにはドイツに行く前の高原直泰も1年所属)がお金を持っていたチームに描かれる。その時期のアルゼンチンは、“アビータ”と呼ばれた嫁を持つフアン・ペロンが大統領として独裁政治をやっていた時代だった。
ボタフォゴのチーム・カラーは白と黒だが、映像もモノクロ。まあ、それは1940〜50年代をスタイリッシュに描かんとするとともに、ヂ・フレイタス(死因は、梅毒のよう。時代を感じさせますね)のある種の優美さや闇を表現しようとするためであると推察する。ともあれ、サッカー選手が主人公の映画なのに、チャラチャラ遊ぶシーンはいろいろ出てくるのに、サッカーの場面はあまり出てこない。それだけ数奇なキャリアや人間性に焦点をあてきっているとも言えるのかもしれない。
そして、夜は、“スキヤキ・トーキョー”という昨年から開かれているワールド・ミュージックの帯公演に行く。渋谷・クラブクアトロ。
まず、GOMA& The Jungle Rhythm Sectionが出て来て実演。疾走する3人の打楽器/ドラム演奏にディジュリドゥ。GOMA(2006年11月26日、他)は2009年に首都高での追突事故で記憶を失い(一方、それまで絵筆を握ったことがなかったのに、印象的かつ訴求力ある絵を描くようになった)、それはいまだ完治していないようではあるが、よりフィジカルなパフォーマンスを見せるようになっていると感じる。快活に客をあおるとともに、ヨガ流れの三角倒立を彼はしたりもする。MCによれば、秋に彼を追った3Dのドキュメント映画「ブラッシュバックメモリーズ」が公開されるという。
その後は、昨年に続き、アルジェリアの凸凹をフランスから送り出すアマジーグ・カテブ(2011年8月24日)の出演。ただし、ソロ名義ではなく、今回は彼がリーダーだったグナワ・ディフュージョン(2004年6月10日)を再結成してのもの。そのショウは、会場後ろのドアから登場したメンバーたちが鳴り物(カルカベ)をならしフロアを歩くことから始まった。
意気とスキルに富んだグナワの現代的展開、とうぜんアリ。プリミティヴな民俗弦楽器ゲンブリを弾きながら歌うカテブに加え、7人のバンド員がつく。演奏時間は約90分と(昨年と比すなら)おさえ気味だったが、なんか前回よりも、ぼくは質が高いと感じた。前回あまり聞こえなかったDJ音も今回は聞こえたし、カデブの声も心なしか今回のほうが説得力を持っているようにも思えた。彼は曲のなかにフクシマという言葉を歌い込んだりもした。
<今日の、突発的行動>
渋谷で飲み屋をハシゴしたあと、3時を回った深夜に、なぜか元気に歩いて帰る。家の近くまで来て、暑いィ〜喉もかわいたぜえ〜という感じで、24時間営業のマクドナルドに入り、唐突にマック・シェイクを購入しちゃう。おいちい、退行している(^.^)。マック・シェイクをすするのって、いつ以来か。その微妙なお店の雰囲気で、ぼくは大昔からマクドナルドが好きじゃないんだよなー。
映画「バイアォンに愛をこめて」はバイアォンの代名詞的偉人シンガー/アコーディオン奏者/作曲家のルイス・ゴンザーガ(1912〜1989年)の作詞パートナーとして知られるウンベルト・テイシェイラの生涯を追うドキュメンタリ−映画。興味深い往年の映像や娘をはじめいろんな証言者映像を組み上げ、インテリでもあったテイシェイラ、ひいてはバイアォンという北東部に根を持つ表現のブラジル音楽にしめる存在のデカさを語っていく。とにかく、見ているといろんな扉があけられる思いも得たし、自分がブラジル文化初心者であることを思い知らされた。
会場で会った伊藤温仁さん(今はブラジル音楽探求家だが、かつてはUKバブ・ロック大家だった)は、バイアォンはアメリカのR&Bヘ影響も及ぼしたはずで、それを研究してみたいんだよね、なぞと言っていた。へえ、そうなの。なるほど、著名米国音楽データーのサイトであるAMGをひくとゴンザーガの詳細なバイオと膨大なディスコグラフィーが出てくるわけで、けっこう米国でバイアォンが流通したのは間違いのないことのよう。
一方、映画「サッカーに裏切られた天才、エレーノ」はボタフォゴの天才型スター選手(アタッカー)だったエレーノ・ヂ・フレイタスの光と影を描く映画。ぼくは彼の存在をこの映画で初めて知ったが、へーえ。リオの風土を満喫していた彼は1948年にボタフォゴの経済的事情でアルゼンチン・ブエノスアイレスの人気クラブであるボカ・ジュニアーズに移籍させられちゃい、そこから女と酒を愛した、この色男のボタンはかけ違えられ……お、まさに映画を感じさせるストーリーだな。ボタフォゴもリオの名門チームとして知られるが、映画ではボカ・ジュニアーズ(かつてマラドーナが欧州で活躍する前後に所属したチーム。2000年代アタマにはドイツに行く前の高原直泰も1年所属)がお金を持っていたチームに描かれる。その時期のアルゼンチンは、“アビータ”と呼ばれた嫁を持つフアン・ペロンが大統領として独裁政治をやっていた時代だった。
ボタフォゴのチーム・カラーは白と黒だが、映像もモノクロ。まあ、それは1940〜50年代をスタイリッシュに描かんとするとともに、ヂ・フレイタス(死因は、梅毒のよう。時代を感じさせますね)のある種の優美さや闇を表現しようとするためであると推察する。ともあれ、サッカー選手が主人公の映画なのに、チャラチャラ遊ぶシーンはいろいろ出てくるのに、サッカーの場面はあまり出てこない。それだけ数奇なキャリアや人間性に焦点をあてきっているとも言えるのかもしれない。
そして、夜は、“スキヤキ・トーキョー”という昨年から開かれているワールド・ミュージックの帯公演に行く。渋谷・クラブクアトロ。
まず、GOMA& The Jungle Rhythm Sectionが出て来て実演。疾走する3人の打楽器/ドラム演奏にディジュリドゥ。GOMA(2006年11月26日、他)は2009年に首都高での追突事故で記憶を失い(一方、それまで絵筆を握ったことがなかったのに、印象的かつ訴求力ある絵を描くようになった)、それはいまだ完治していないようではあるが、よりフィジカルなパフォーマンスを見せるようになっていると感じる。快活に客をあおるとともに、ヨガ流れの三角倒立を彼はしたりもする。MCによれば、秋に彼を追った3Dのドキュメント映画「ブラッシュバックメモリーズ」が公開されるという。
その後は、昨年に続き、アルジェリアの凸凹をフランスから送り出すアマジーグ・カテブ(2011年8月24日)の出演。ただし、ソロ名義ではなく、今回は彼がリーダーだったグナワ・ディフュージョン(2004年6月10日)を再結成してのもの。そのショウは、会場後ろのドアから登場したメンバーたちが鳴り物(カルカベ)をならしフロアを歩くことから始まった。
意気とスキルに富んだグナワの現代的展開、とうぜんアリ。プリミティヴな民俗弦楽器ゲンブリを弾きながら歌うカテブに加え、7人のバンド員がつく。演奏時間は約90分と(昨年と比すなら)おさえ気味だったが、なんか前回よりも、ぼくは質が高いと感じた。前回あまり聞こえなかったDJ音も今回は聞こえたし、カデブの声も心なしか今回のほうが説得力を持っているようにも思えた。彼は曲のなかにフクシマという言葉を歌い込んだりもした。
<今日の、突発的行動>
渋谷で飲み屋をハシゴしたあと、3時を回った深夜に、なぜか元気に歩いて帰る。家の近くまで来て、暑いィ〜喉もかわいたぜえ〜という感じで、24時間営業のマクドナルドに入り、唐突にマック・シェイクを購入しちゃう。おいちい、退行している(^.^)。マック・シェイクをすするのって、いつ以来か。その微妙なお店の雰囲気で、ぼくは大昔からマクドナルドが好きじゃないんだよなー。