矢野顕子(2011年12月11日、他)の新作『荒野の呼び声-東京録音-』はここのところのライヴ曲を集めたもので、その半数は2009年と2010年にブルーノート東京で録られたブツだ。その曲群のパーソネルはいずれも矢野にくわえ、ベースのウィル・リー(2009年8月19日、他)とクリス・パーカー(2009年8月19日)。そして、この晩の顔触れもまったく同じ。そして、そんな不動の3人できっちりと“トリオ”と名乗り、彼女たちは生の場で自在かつやんちゃに協調表現を育むことを楽しみながら求めている。……そう、書いてもなんら嘘にならない起伏とウィットに富むパフォーマンスを享受。途中、彼女は中央に出てきて、マイクを持って歌ったりもした。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 そして、続いて六本木・ビルボードライブ東京で、1990年代にソウル・シーンを席巻し、解散をはさみ今年5年ぶりのアルバムをリリースした女性コーラス・グループを見る。ぼくは基本、そんなにコーラス・グループに熱を上げたりはしないのだが、彼女たちは別格。とにかく、天使の歌声といいたくなる清らかなソウル・ヴォイスが思うまま重なるそれは、誘い度抜群だもの。同時期の同系のグループのなかでは一番好きだな。

 少しは腰回りが太めになったシスターたち(グループ名は、シスターズ・ウィズ・ボイシズの略)だが、やっぱり無条件ににっこりできちゃう、絹の手触りのような感触をそのコーラスは持つ。ゆえに、ヒップホップ要素が入っていないしっとり目の曲のほうが、ぼくの頷き度は高い。バンドは簡素に、キーボード、ベース、ドラム。そりゃ、もっと奏者がいたほうが細やかさや密度の濃さは出るだろう。だが、3人の魅惑の声の重なりを存分にアピールするためには、この行き方もマイナスではないと好意的に思えた。それにしても、中央に立つココの声の輝きにはためいき。

<今日の、お答え>
 ときに、ブログに写真はいれないんですか、と問われる。ハイ、入れる気ゼロです。入れたほうが、絶対に分りやすくなるとは思う。が、入れれば、それにたより、文章が雑になる。間違いなく。もともと外国に行ったときにも、写真を撮らない〜だって、写真を撮る事が第一義になってしまっている???な人を見たりして、ああはなりたくないと思うから〜人間であるし、ライヴに行って写真を撮らなきゃと思うのもイヤ。メンドクセー。だいいち、PCにいまだ不慣れなぼくは、ここへの写真の入れ方もよくわからない。いや。分らないようにしている? ともあれ、ちゃんと文字だけで完結する文章を書きたい。決して保守的なほうではないと思うが、それが文章を書いて生計を立てているぼくのささやかな自戒だということにしておこう。