青山・プラッサオンゼ。ブラジル音楽を中心とする風や土の感覚を持つ語彙を自分のなかでしっかりと共振させた先にあるシンガー・ソングライター表現を提示するシンガー/ギタリスト(2006年6月27日、2007年11月27日)のギグは気心の知れたベーシストと打楽器奏者を伴ってのもの。たっぷり、思うまま、悠々と。やはり感じずにはいられないのは、優しいけど、とっても強いオトを聞かせる人であるということ。もう歌声は聞く者の鎧を解いでしっかりと入り込んでくるし、ギターは洒脱なのにとっても切れと芯を持っていて聞く者を揺らすし(ギター仕事が少ないのも納得ですね)。まず、そういう基本の能力が確か。何をやってもこの人は聞き手を引き寄せられる、と思わせられちゃうところがあるな。でもって、そこに当人ならではのお茶目だったりテンダーだったりするナイス・ガイな持ち味が存分に溶けているのだから、そりゃ味は余計に良くなる。場のヴァイヴの良さもあり、浮き浮き見れました。あ、それから……彼は先月にコットンクラブで弾き語りのライヴをやったはずだが、それどうだったのか。彼が表出する有機性や精気は、そんな思いをぐびぐびと誘発するものだった。