1970年南部生まれ、ジャズ界のスター・ドラマー(2000年12月6日、2001年8月3日、2002年8月25日、2004年2月9日)、と言っていいのかな。80年代末からケニー・ギャレット(2003年8月19日)、ジョシュア・レッドマン(2003年1月16日)、ブラッド・メルドー(2005年2月20日、他)なんかに重用され売れっ子になるとともに、ロック界の名制作者ダニエル・ラノアに気に入られ、ボブ・ディラン作ほかラノアがプロデュース関与するアルバムで叩いたり、ジョニ・ミッチェルやエミールー・ハリス他ポップ系作にも参加しているドラマーだ。リーダー作はブルーノートやヴァーヴなどに残している。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。

 自己グループを率いてのものだが、<おお、ジャズは時代とともに生きている>と思わせるものだったのではないか。拍手拍手。というか、あんなにリーダーとして優れている御仁とは。2人のサックス(一人はバスクラも吹く)、ピアノ(彼のみ白人。一部キーボードも弾く)、ベースを従えてのもので、サイドマンは若めながらそれなりに興味深い活動歴を持つ人たち。で、大きく頷かされたのは、けっこう抑制された美意識を持つ〜それは、ストーリー性や詩的な感覚をたっぷり持つとも書ける〜ものながら、一方ではしっかりと即興に則った前を見た確かなジャズとなっていたことだ。比較的がっつり系の局面のときは、なぜかジョン・コルトレーンを思い出させるときもあり。それは、彼が正統にジャズの過去を受けている証左になるだろう。とにかく、リアルなジャズということでは、去年のゴンサル・ルバルバカ(2007年11月21日、他)の公演もかなり秀逸なものだったが、彼の演奏は“新主流派”と呼ばれた60年代の冒険心に満ちたジャズの様式に多大に負っているのに対し、ブレイド表現はもっと最初から自分のフォーマットでジャズを展開しようとしているところがあり、そこが素敵と思う。まあ、ルバルバカ・グループの圧倒的な奏者間のジャズマンシップの噛み合いも凄いの一言ではあるのだが。ともあれ、そういうまっとうなジャズ公演にちゃんと人が入っているのもうれしかった。冒頭に書いたように、あまりにリーダーとしての高い力量を見たのでそっちのことばかり書いてしまったが、ブレイドのある意味オーセンティックなんだけど、どこか自分流なジャズ・ドラミングも目を見張らせるものだった。