音楽雑誌ラティーナが企画/提供する、4組の日本人が出る音楽フェスティヴァル。広義の南米の音楽に魅せられ、(ある意味)困難な道を胸を張って歩んでいる担い手が選ばれていると、取ることができるか。渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール。

 一番目は、松田美緒&ビスコイット・グローポ(2012年6月13日)。生/電気ギターの鬼怒無月(2003年6月30日、2004年1月16日、2005年4月11日、2006年1月21日、2009年10月8日 、2010年3月20日、2012年2月10日、2012年6月13日、2012年6月28日、2012年11月21日、2013年2月11日)、電気ベースの佐野篤(2006年3月24日、2012年6月13日)、パーカッションのヤヒロトモヒロ(2007年11月14日、2009年2月8日、2009年10月12日、2010年7月22日、2011年10月26日、2012年6月13日)からなるバンドのサポートのもと、しょっちゅう南米各国に行っているはずの松田(2005年7月11日、2010年4月19日、2010年10月16日、2012年6月13日)が歌う。オープナーは自作曲を披露したが、他は南米の6カ国の曲を歌いますと言っていたか。なんか同好の士とともに、南米諸国の生活感やもろもろの記憶〜彩や揺らぎや埃の感覚などを確かな個を持つ自分のなかで覚醒させているという印象も得る。

 2番目はパラグアイと日本を行き来(パラブアイの文化功労賞も受けているようだ)する、アルパ(ハープ)奏者のルシア塩満(2010年6月1日)がいろんな楽器を操る高橋マサヒロと菱本幸二を従えて登場。彼女はパラグイの曲を中心に、自分の曲や日本人恩師(ロス・インディオスのチコ本間)の曲も取り上げる。こちらは、優美さや繊細さとフォルクレールが持つ敷居の低さを兼ね備える方向で演奏。最後の曲では、塩満は生ギターを手にしながら歌う。それにしても、ギターやチャランゴのような弦楽器から複数の笛/息吹き込み系楽器まで、いろんな楽器を悠々と扱うサポートの男性2人は何気に実力者。彼らもまた、南米には何度も行って研鑽を積んでいるだろうな。MCで、菱本はエクアドルに住んでいたと紹介されたか。楽器間の垣根がなく、いろいろな楽器を平然と演奏しちゃったり歌ったりしちゃうという流儀も、南米フォークロアの世界にはある?

 3番目は一般的な知名度は一番持つだろう、Saigenji(2006年6月27日、2007年11月27日、2009年3月14日, 2009年8月9日、2012年6月13日、2013年1月7日、2013年2月11日 、2013年4月12日)のソロ・パフォーマンス。フルートとヴォーカルを披露するベネズエラ民謡で始まったショウは、ブラジル曲、アルゼンチン曲、エクアドル曲、そしてもちろん今様ポップ要素までにまたがるイナセな自作曲などを、自在に送りだす。基本ギター弾き語りのSaigenjiの楽器遍歴のスタートは「コンドルは飛んで行く」にヤラれて9歳のときに手にしたケーナから始まったようだが、そんな歩みを持つ彼のこれまでの経験や南米音楽への思いがすうっと溢れ出ていたパフォーマンスではなかったか。

 最後に登場したのは、ケーナ他いろいろな笛系楽器を操る岩川光。ちらしを見たら、彼も9歳にしてケーナを手にし、音楽活動が始まっているよう。みんな、早熟ですね。今回の出演者の中では一番若いだろう彼は、ボリビアを経て、現在はアルゼンチンに住んでいるそうで、そんな彼をアコーディオンの佐藤芳明(2009年10月8日、2010年9月11日、2012年2月10日、2013年8月29日)、ギターの鬼怒無月、パーカッションの岡部洋一(2000年7月29日、2000年9月14日、2001年2月3日、2004年5月28日、2004年6月2〜3日、2004年6月9日、2004年11月19日、2005年2月19日、2006年7月7日、2006年8月27日、2006年12月3日、2008年1月31日、2011年2月10日、2010年12月28日、2011年8月22日、2013年2月11日、2013年2月19日)がサポート。この顔ぶれでやるのは1年ぶりのようだが、阿吽の呼吸で演奏は流れていく。そう、その4人の演奏はしなやかな流動性が在するもので、それだけでオリジナリティを有するか。演目はすべて岩川のオリジナル曲で、それもまた演奏にある飛躍の感覚を増させる。で、その総体はなかなかに洗練されていて、インプロヴィゼーショナル。フォークロア経験を根っこに起きつつ枠組みから解き放たれた自らのインスト表現を提出している様は、先日見たコロンビア人アルパ奏者のエドマール・カスタネーダ(2014年1月12日)の演奏と重なる部分があるかもしれない。そんな逸材はこの11日に、佐藤芳明とデュオで渋谷・Li-Poでもライヴを行う。

 ああ、遥かなる南米……。しかし、皆さん、日本から距離的に遠く、英国圏の音楽ほどは情報が入りづらい南米の音楽に耽溺し、そこに情熱たっぷりに身を投じて、音楽の自由や自らの存在性を獲得しようとしている様に頭が下がる。酔狂とも言えるだろうけど、ほんと皆楽しそう。生理的な豊かさを、山ほど感じてしまったな。“新・世界音楽祭”は今回が1度目、次回はどんな人が出るのだろう?

▶過去の、松田
http://43142.diarynote.jp/200507161355250000/
http://43142.diarynote.jp/201004211621084144/
http://43142.diarynote.jp/201010191403189326/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、鬼怒
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100320
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
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http://43142.diarynote.jp/201207031352302181/
http://43142.diarynote.jp/?day=20121121
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
▶過去の、佐野
http://43142.diarynote.jp/200603281333540000/
http://43142.diarynote.jp/201206141343402196/
▶過去の、ヤヒロ
http://43142.diarynote.jp/?day=20071114
http://43142.diarynote.jp/200902102121513506/
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http://43142.diarynote.jp/201007241308021448/
http://43142.diarynote.jp/201111141210356758/
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▶過去の、塩満
http://43142.diarynote.jp/?day=20100601
▶過去の、Saigenji
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http://43142.diarynote.jp/200711290932200000/
http://43142.diarynote.jp/200903161734533723/
http://43142.diarynote.jp/?day=20090809
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http://43142.diarynote.jp/201301151819527787/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/?day=20130412
▶過去の、佐藤
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
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▶過去の、岡部
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 2000年7月29日、2000年9月14日、2001年2月3日
http://43142.diarynote.jp/?day=20040608
http://43142.diarynote.jp/200406111859060000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20040609
http://43142.diarynote.jp/200411231717590000/
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http://43142.diarynote.jp/200607100307170000/
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http://43142.diarynote.jp/200612060136540000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20080131
http://43142.diarynote.jp/?day=20101228
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http://43142.diarynote.jp/?day=20110822
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/201302201720351212/
▶過去の、カスタネーダ
http://43142.diarynote.jp/201401171004104264/

<今日は、……>
 明けては、晴天。ライヴを見る前に、都知事選挙の投票に行く。雪がとても残る道すがら、雪だるまも散見される。ニコっ。ぼくも子供のころ、雪が積もったら嬉々として雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりしたよな。今日も、がつっとスノウ・ブーツをはく。下をあまり気にせず歩きながら、今日もチェーンを巻いてジャラジャラ走っている車のようなものかと思う。
 冬期オリンピックが始まったようだが、毎度のごとく興味がまったく持てない。ぼくん家は地上波TV放送が映らないので、その中継が見ることができなくて、興味が持てないのかにゃーとも一瞬思う。でも、ワールド・カップやユーロなんかのサッカーの国際大会にはけっこう夢中になるぼくである(その放映は、お店や友人宅で見ようともしますね)ので、中継が家で映るか映らないかは関係ないな。ぼくのオリンピックと同様、ワーツドカップに興味を持てない人もいるであろうことは自覚したほうがいいだろう。人にはいろいろな考え方や好みがある。
 それにしても、あ“ー。

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