近年、7月上旬に都立大学・めぐろパーシモン・ホールで持たれている音楽イヴェントを見る。例により、小ホールでの昼の部と大ホールでの夜の部が開かれた。

昼の部)
+Tokyo Django Collectiveフィーチャリング北床宗太郎
 河野文彦(ギター)、手島大輔(ギター)、阿部恭平(ベース)、北床宗太郎(ヴァイオリン)の4人が演奏。そのグループ名にあるように、ジャンゴ・ラインハルトを根に置くが、いろいろと洗練をまぶしていたのが印象的。日本人がのぞむマヌーシュ・スウィング基調表現として、その指針は間違っていないと思う。

+喜多直毅&黒田京子デュオ
 ヴァイオリンの喜多直毅(2018年1月6日)とピアノの黒田京子(2018年1月6日)のデュオは、完全生音にて披露される。確かな技量のもと送り出される楽器音の多彩さ、訴求力にはうなる。素晴らしい。喜多はとくに、生音であるにも関わらず<ヴァイオリン・ヘンドリックス>という風情を持つ演奏にまで突入。音響がいいため、自らが求める音色を存分に獲得できた結果から、今年頭に見たデュオ・パフォーマンスよりアヴァンギャドな印象も得た。
▶︎過去の、喜多直毅
http://43142.diarynote.jp/201801071035098671/
▶︎過去の、黒田京子
http://43142.diarynote.jp/201801071035098671/

+仲野麻紀 with ヤン・ピタール
 仏ブルターニュに拠点を起き、アフリカやアラブに出向いてもいる、日本人“ノマド型”リード奏者とウード奏者のヤン・ピタールのデュオ演奏はいろんな曲を披露した。エリック・サティ、エジプト、日本民謡、ケルトなど、いろんなものが素材となる。半数近くで中野は歌も歌い、またアルト・サックスだけでなくクラリネットも吹いた。一方、足下にエフェクターを置いていたピタールはウードのサンプリング・シークエンスに生ウード音を乗せる場合もあったし、エレクトリック・ギターを弾く曲もあった。自由な視点の置き方を介する奔放さあり。

+岩川光トリオ
 ケーナ奏者でブエノスアイレスを拠点に置く岩川光(2014年2月9日)は、アコーディオンの佐藤芳明(2009年10月8日、2010年9月11日、2012年2月10日、2013年8月29日、2014年2月9日、2017年7月8日)、ピアノの林正樹(2013年9月6日、2015年9月27日、2015年12月17日、2016年7月16日、2018年5月13日)という二人の鍵盤奏者と実演する。林が弾く詩情ある調べを土台に置き、佐藤がコード音中心で奥行きや佇まいを加え、そこに岩川は6穴を駆使する自在の演奏をのせる。岩川は尺八みたいな大きさのケーナも吹いた。この単位でやるのは1年ぶりとのことだが、阿吽の呼吸を持ち、妙味もあり。
▶︎過去の、岩川光
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
▶過去の、佐藤芳明
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
http://43142.diarynote.jp/?day=20130829
http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
http://43142.diarynote.jp/201707101243147840/
▶過去の、林正樹
http://43142.diarynote.jp/201309121810294280/
http://43142.diarynote.jp/201510021129591335/
http://43142.diarynote.jp/201512271306411506
http://43142.diarynote.jp/201607191312426603/
http://43142.diarynote.jp/201805150750157494/

夜の部>
+RS5pb(類家心平5ピースバンド)
 トランペットの類家心平(2011年5月5日、2011年7月31日、2014年6月13日、2014年9月25日、2014年12月28日、2015年5月20日、2017年6月21日、2017年9月2日、2018年1月19日、2018年5月13日)、ピアノとキーボードの中嶋錠二、ギターの田中"tak"拓也、ダブル・ベースの鉄井孝司、ドラムの吉岡大輔(2004年11月22日)という面々による。途中には、テナー・サックスを手にする菊地成孔(2001年9月22日、2002年1月5日、2002年11月30日、2004年7月6日、2004年8月12日、2005年6月9日、2006年1月21日、2007年11月7日、2009年7月19日、2010年3月26日、2011年4月22日、2011年5月5日、2011年7月31日、2013年3月26日、2013年7月27日、2014年2月20日、2014年4月3日、2014年9月7日、2016年10月28日、2017年9月2日、2018年5月13日)が加わる。縦ベースと狼藉系ギターが同居していることが示唆するように、尖り傾向にあるリフを基調とするヴァイタルなジャズ路線を標榜していた。
▶過去の、類家心平
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
http://43142.diarynote.jp/201108101624025366/
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201412301043067796/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
http://43142.diarynote.jp/201609201648546159/
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
http://43142.diarynote.jp/201801200930278094/
http://43142.diarynote.jp/201805150750157494/
▶︎過去の、吉岡大輔
http://43142.diarynote.jp/200411231724240000/
▶過去の、菊地成孔
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-9.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-1.ht
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200407062149440000/
http://43142.diarynote.jp/200408120238330000/
http://43142.diarynote.jp/200506120644360000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200711101236210000/
http://43142.diarynote.jp/200907221011377741/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100326
http://43142.diarynote.jp/?day=20110422
http://43142.diarynote.jp/?day=20110505
http://43142.diarynote.jp/?day=20110731
http://43142.diarynote.jp/201303290751204240/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130727
http://43142.diarynote.jp/201402210802184994/
http://43142.diarynote.jp/201404050818444425/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201610311054183284/ 
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
http://43142.diarynote.jp/201805150750157494/

+浜田真理子
 松江在住のピアノ弾き語り系シンガー・ソングライターである浜田真理子(2018年1月6日)は、いろんな設定や選曲で、澄んだ歌声や歌心を披露した。最初と最後の曲は弾き語り、昼の部に出た喜多直毅(2018年1月6日)とのデュオ、さらに黒田京子(2018年1月6日)も入ってのトリオもあり(その際、浜田は中央に立ち歌に専念)、普段一緒にやっているというアコーディオンの檜山学とベースの加瀬達がサポートする曲もあり。その際は、サックス奏者も入る曲もあったっけ?
▶︎過去の、浜田真理子
http://43142.diarynote.jp/201801071035098671/

+チャボロ・シュミット・トリオ
 天下無双のフランス人マヌーシュ・ギタリストのチャボロ・シュミット(2003年1月8日、2003年8月30日、2008年6月23日)の実演は、マヨ・ユベール(リズム・ギター)とクロディウス・デュポン(ベース)を従えたワーキンギ・トリオでなされる。シュミットは蝶ネクタイ、黒色スーツの正装なり。マヌーシュ・スウィングのギターはアコースティック・ギターの形ながらスティール弦が張られるが、今回そのごりごりした質感がなんか印象に残ったか。とともに、皆が一致団結して刻みを追求していくような様式に触れ、欧州の規範の外でサヴァイヴしていくための彼らのユニティの必然性の顕われを感じずにはいられなかった。

 途中で、彼の近作にも入り深い歌唱を聞かせていた赤いドレスを着た女性シンガーのマリー・クリスティーヌ・ブランビーリャが2曲で歌う。また、ヴァイオリンの太田恵資(2001年3月24日、2003年5月22日、2004年10月10日、2005年2月19日、2016年9月27日)が入った曲もあるし、終盤はギターの渡辺香津美(2004年12月15日、2010年9月1日、2010年9月5日 、2010年11月20日、2012年3月20日、2016年6月4日、2016年9月4日、2017年9月2日、2018年4月6日)も加わる。さらに、太田恵資ももう一度。そのアンコールには、昼の部出演者や浜田真理子のサポート陣も出てきて、ソロを回した。

▶︎過去の、チャボロ・シュミット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-1.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm ジプシー・サマー
http://43142.diarynote.jp/200806241306330000/
▶過去の、渡辺香津美
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/201009030955539620/
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101120
http://43142.diarynote.jp/201203260803216950/
http://43142.diarynote.jp/201606121224129353/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712
http://43142.diarynote.jp/201804071041255956/
▶︎過去の、太田恵資
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-3.htm シカラムータ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm ハシケン
http://43142.diarynote.jp/?day=20041010
http://43142.diarynote.jp/200502232040290000/
http://43142.diarynote.jp/201610100849458472/

<今日の、昼下がり>
 いよいよ佳境、W杯TV観戦で寝不足でーす。都立大学に行く前に原宿・Bookmarcに寄って、石田昌隆の「JAMAICA 1982」写真展をのぞく。会場は、親日家でブラジル人好きと言われるファッション・デザイナーのマーク・ジェイコブスが作った本屋さんらしい。同名の写真集(OVERHEAT/The Riddim刊)刊行に端を発するもので、その写真集に収められた写真の抜粋が地下スペースに展示されていた。会場では、そのプリントも販売。表題にあるように、1982年にジャマイカに行った際に撮った写真群をまとめたものだが、あのときあの場にいたからこその貴重さは山ほど。ミュージシャンの写真よりも日常を撮影したショットのほうが、ぼくは印象に残った。ぼくがジャマイカに行ったのはその約10年後だが、そのときとも街の様はけっこう違う。ぼくのジャマイカ行きは、この写真集の発行者であるECさんと一緒。←ゆえに、楽だった。当時NYにもアパートを借りていたカメラマンの仁礼博さんと最初に会ったのも、そのときだったな。