在シカゴのクロスオーヴァー型ドラマー/クリエイターのマカヤ・マクレイヴン(2017年12月12日)のリーダー公演を、南青山・ブルーノート東京で見る。セカンド・ショウ。

 サースティ・イアー他から作曲に凝ったリーダー作を出すグレッグ・ウォード(アルト・サックス)、響き系の演奏を聞かせるマット・ゴールド(ギター)、5弦フレッテッドを弾くジュニアス・ポール(電気ベース)という陣容なり。シカゴの音楽仲間のなかから、選んだ顔ぶれであるという。闊達でジャストなマクレイヴンのドラム(ヤマハを叩いていたが、設定はパっと見フツーながら、スネアの置き方とか変てこだった)を土台に、サイド・マンたちが音を連ねる。一発セッション風ながら、おっという構成〜変化を見せたり、スパっと終わる場合もあり、彼の大傑作現代ジャズ盤『イン・ザ・モーメント』(インターナショナル・アンセム、2015年)とまったく異なる編成ながら〜同作におけるヴァイブラフォン扱いはまさに慧眼の極みと言いたくなるものであったが、それはヴァイブを使いたかったというより、ヴァイブ奏者のジャスティン・トーマスが愛い奴だから彼を入れたそう〜、何気に整備されている単位でやっていると思わされるか。サックスとギターは小さな鍵盤や機材を前におき、それをいじるときもあった。彼らがちょい歌う場面もあったっけ? 

 先達トニー・ウィリアムズの曲やフリー・ジャズ・ドラマーとしてぶいぶい鳴らした父親のスティーブン・マクレイヴンの曲も披露。総じてリアルなジャズ色やヒップホップ色は出さないハード・ドライヴィングなフュージョンと、この編成による実演に接してぼくは言いたくなったか。彼の『イン・ザ・モーメント』にしろ『ハイリー・レア』(インターナショナル・アンセム、2017年)にしろ、ジェフ・パーカーの『ザ・ニュー・ブリード』(インターナショナル・アンセム、2016年)もそうだが、ポスト・プロダクションを経ての秀でた聞き口であったわけで、逆説的にマクレイヴンの編集能力の冴えをリアルに感じまくったのは疑いがない。古くはテオ・マセロやフランク・ザッパの才覚を受け継ぎ、今のノリ言うならヒップホップのエディット感覚の恩恵を存分に彼は受けている。けっこうライヴ音は録っているそうだが、この晩の演奏が彼のポスト・プロダクションを経ると、どういうものになるのかとも考えを巡らしもした。

▶︎過去の、マカヤ・マクレイヴン
http://43142.diarynote.jp/201712131709468312/
▶過去の、ジェフ・パーカー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm シカゴ・アンダーグラウンド・デュオ、サム・プレコップ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-10.htm ブロークバック、シカゴ・アンダーグラウンド、アイソトープ217
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm トータス
http://43142.diarynote.jp/?day=20040120 ロブ・マズレク、ジェフ・パーカー・トリオ、ブロークバック、シカゴ・アンダーグラウンド・カルテット
http://43142.diarynote.jp/200501170151560000/ トータス
http://43142.diarynote.jp/201111251250189885/ トータス
http://43142.diarynote.jp/201405081408031505/ トータス
http://43142.diarynote.jp/201705140938439184/ スコット・アメンデラ
http://43142.diarynote.jp/201705161314529397/ トータス
http://43142.diarynote.jp/201708161337599841/ ザ・ニュー・ブリード

<翌日の、マクレイヴン>
 取材をしたが、好人物で、つぶらな瞳の持ち主だった。いま、改めてピアノから大きな編成のアレンジまでいろいんなことを学んでいて、全部一人でやったレコードも出したいそう。彼はパリ生まれで、母親がハンガリー人音楽家であるといった、普通のアメリカ人ではない複数の要件を抱えていることに自負を抱いている。その両親はパリで出会い、父親は今もパリ在住でドラマー活動をしているそう。彼は現行シカゴ・ジャズ界の中心人物といった感じがもあるが、実はもともとシカゴとは無縁で、同所に住んで12年経つ。どうしてシカゴに住むようになったのと問えば、奥さんがシカゴの大学で教えているからだそう。実は、昨年のベスト1ジャズ公演とぼくが絶賛しているマーキス・ヒル(2016年9月17日、2017年1月7日、2017年1月16日、2018年5月24日)のコットンクラブ公演に、彼は誘われていた。マーキス・ヒルの名を出したら、コットンクラブの名前を彼はすぐに出してきて、なんで知っているのと問うたら、だって行きたかったんだもんとニコリ。
▶︎過去の、マーキス・ヒル
http://43142.diarynote.jp/?day=20160917
http://43142.diarynote.jp/201701091247527188/
http://43142.diarynote.jp/201701171118107802/
http://43142.diarynote.jp/201805250930363191/