まず、ブルーノート東京で、アルゼンチンとアフリカの血を引く米国人シンガー/ギタリスト(2003年7月20日、2005年10月24日、2007年9月1日、2007年11月26日、2009年10月8日、2011年9月2日、2013年12月2日)を見る。

 前回の来日はリチャード・ボナ(2000年12月6日、2002年1月9日、2002年9月19日、2002年12月14日、2004年12月15日、2006年2月16日、2008年10月19日、2010年2月5日、2010年6月6日、2011年1月25日、2012年5月14日、2012年12月15日、2013年12月2日)たちとのパフォーマンスだったが、今回は通常のようにソロでの実演。過剰な変化は出るはずもないが、どこか輝やかしいミドンの“人ギター一体”の実演はやはり訴求力アリ。実は1ヶ月前のホセ・フェリシアーノの公演(2014年11月11日)を見て、ミドンの偉大な先達であり影響源という感想を得たが、改めて彼のショウに触れると、それぞれに別の味と美点を持つと実感できたりも。←多忙な時期で、細かくそれを指摘する余裕なし。トホホ。この来日で、彼の今年のライヴ日程は終了。来年2月にはチリ、アルゼンチン、ウルグアイでライヴをする予定が入っている。

▶過去の、ラウル・ミドン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200511130010390000/
http://43142.diarynote.jp/200709041842400000/
http://43142.diarynote.jp/200711290931440000/
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/201109121438367147/
http://43142.diarynote.jp/201312171132096072/
▶過去の、リチャード・ボナ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200412212102130000/
http://43142.diarynote.jp/200602171950040000/
http://43142.diarynote.jp/200810211839169096/
http://43142.diarynote.jp/201002072246423695/
http://43142.diarynote.jp/201006071818281946/
http://43142.diarynote.jp/201102081256565179/
http://43142.diarynote.jp/201205221056242128/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201312171132096072/

 その後は、渋谷・プレジャープレジャーでサム・リー&フレンズと雅楽の奏者との協調ライヴを途中から見る。日本人奏者は、東野珠実(笙)と稲葉明徳(篳篥)。お2人はそれが雅楽のスタンダードであるのか、“麻呂”みたいな(雑な例えだな)格好をしている。

 一体どんな感じになるのかと思っていたら、うわあ、これはなかなか。サム・リー(2013年6月20日、2014年9月22日、2014年12月4日、2014年12月6日、12月10日)は元々バンドに琴を弾く人を入れたりして日本の伝統表現に多大な興味を持っているとしても、またちゃんと前準備に時間をかけているにせよ、ぜんぜん違和感のないことになかば驚く。とともに、そのいい感じの重なりはちゃんと発展や萌芽を抱えていて、その様にもうなる。これは、意義あるコラボレーションではないか。リーたちの出来たばかりの2作目『ザ・フェイド・イン・タイム』はアーサー・ジェフス(2014年9月27日)の制作だが、この様に触れたら彼の父親のサイモン・ジェフスも滅法刺激を受けたに違いない(父サイモンは京都にちょい住んだため、ロンドンの家には日本の伝統楽器がいくつも置いてあった)。すごいぞ、和楽器! とともに、その日本人奏者たちがきっちり広い音楽観や技巧を持ってもいるのも大きいのだろう。

 とくに、笙の音は無敵と、頭をたれた。それは天から降ってくる光の音と形容したいものであり、浮世離れを通り越してモダン。笙を入れれば、誰でもレイディオヘッド(2001年10月4日、2004年4月18日、2008年10月4日)なるものが出来ちゃうなんて軽口を叩きたくなっちゃう? 実際、リーの新作に収められているイングランドのトラッド曲「ブラックバード」(もちろん、ザ・ビートルズ曲とは別)はアルバムのなかでもコンテンポラリーな手触りを持っていたのだが、笙が効いたこの晩のヴァージョンはレイディオヘッド的と説明していい聞き味を持っていたはず。いやはや。なお、この共演公演は東京都から援助が出ていたとのこと(だからか、入場料も3000円と低目だった)。

▶過去の、リー
http://43142.diarynote.jp/201306241438288191/
http://43142.diarynote.jp/201409261634155792/
http://43142.diarynote.jp/201412151250144917/
http://43142.diarynote.jp/201412221527313725/
▶過去の、ジェフス
http://43142.diarynote.jp/201409291720019557/
▶過去の、レディオヘッド
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-10.htm
http://43142.diarynote.jp/200404180058130000/
http://43142.diarynote.jp/200810061856366600/


<今日の取材と、2番目の会場>
 ライヴ前に楽屋で、全然構えるところのないミドンさんにインタヴュー。身体のでっかいマネージャー(白人、30歳ぐらい)はいい奴そう。2人で、動いているのかな。で、質疑応答した所感は、答えが冗長にならず、的をいたことを返してきて、かなり客観的な見方ができる人物であると判断。その様に接し、彼が通常ソロでライヴをやっているのは、目が見えないハンデやストレスを一人でやることで軽減させるというよりは、一人でパフォーマンスしてこそ、自らの魅力は最大に発揮されると考えているからかと思った。その感想はインタヴュー終了後に出てきたもので、彼に尋ねることはかなわなかったが。なお、ラリー・クライン制作の前作はオーヴァー・プロデュースであるということで、お互いの見解は一致。そして、その所感が自己プロデュースによる新作『ドント・ヘジテイト』には反映されてもいる。なんか、クラインはアダルト&都会派の担い手のプロデュース仕事が途切れない感じだが、“元妻(ジョニ・ミッチェル)の七光り”というところはあると思う。というのが、意地悪なぼくの見解デス。
 渋谷のほうの映画館を改装したハコの正式名称はマウントレーニアホール渋谷プレジャープレジャーというが、なんと頭のマウントレーニアというのはネーミング・ライツを森永乳業が買い取り、自社コーヒーの名を掲げているからのよう。かつてサントリーが権利をとって、渋谷公会堂をC.C.レモンホールと名乗らせていたのと同じか。ともあれ、ここの売店はとってもいろんなフレイヴァーのポップコーンを販売していてびっくり。それは買わなかったが、お酒をたっぷりついでくれて、ニッコリ。←そういう単純なことで好感度があがるという、単純な性格はどうしたものか。