ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラー
2013年4月10日 音楽 ぶいぶい言わせていたのは2000年前後、そしてスパっと(かどうかは知らぬが)解散。したものの、2010年から活動を再開したカナダの変種ロック・インストゥメンタル・バンドを恵比寿・リキッドルームで見る。ま、ロックの世界ではポスト・ロックとかエクスペリメンタル・ロックという呼称が、彼らには用いられたりもする。再活動後でも、2度目の来日。大昔に見た事があるような気もし、この項でも触れたことがあったと思っていたのだが、見つからない。その記憶は幻なのか。
始まり方、趣あり。構成員がバラバラに出て来てそれぞれに楽器整備や音を出し始めるうちに、全員がそろい、轟音サウンドの体をなす。電気ギター3、電気ベース1、電気ベース/コントラバス1、ヴァイオリン1(女性)、ドラム/打楽器2という布陣なり。前のほうに位置するギター奏者ややドラマーや1人の電気ベーシストは弧を描くような形でステージ上の椅子に座る。2人のドラマーはときに魅力的な絡みを見せ、リズムは平板なものを採用するバンドが多い、この手の担い手のなかではアドヴァンテージを獲得している。
背後に映像を流すなか、起承転結のある(アルバム収録曲もそうだが、彼らの曲は1曲がかなり長い。ライヴだと余計に……)、響きや重なりの妙に留意した、具象性と抽象性を兼ね備える、インスト表現を淡々と送り出して行く。そこらへん、字義以上の訴求力を持つ場合もあるか。昔から、妙なところで民俗音楽的な手触りを入れていたりした彼らだが、今回のパフォーマンスも中近東っぽかったり雅楽を思わせるような響き/音の流れを覚えさせられる局面も。そこらへんの視野の広さは今様と思わせられるか。音の棘や揺らぎが、波のように、自在の音圧とともにステージから広がっていた。
<今日の、番組>
昼間、2級殺人罪で収監されている大レコーディング・プロデューサーのフィル・スペクター(72歳)の転落を扱った、どこか低俗な米ドキュメンタリー番組を光通信のTVチャンネルでやっていて、つい見てしまう。それ、駄目な悪人としてスペクターのことを描いている。彼は近年もリッチで御殿のような家に住んでいたようだ。ぼくはザ・ビートルズ以前の白人の音楽関連者についてはかなり暗いのだが、なかなか性格の歪んだ変人であったのはよく伝わって来た。スペクターは『レット・イット・ビー』の制作にかかわり、レノンやハリソンなどはかなり信頼をおいたわけだが。で、強引に今日のライヴに結びつけるが、今日のゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーの皆さんはまっとうそうな人たちで、だからこそ、ミュージシャンシップを発露していこうとするなかで陰影や傷を抱えた表現を送り出しているのだと思えたか。素は、どんな人たちであるのだろう。
始まり方、趣あり。構成員がバラバラに出て来てそれぞれに楽器整備や音を出し始めるうちに、全員がそろい、轟音サウンドの体をなす。電気ギター3、電気ベース1、電気ベース/コントラバス1、ヴァイオリン1(女性)、ドラム/打楽器2という布陣なり。前のほうに位置するギター奏者ややドラマーや1人の電気ベーシストは弧を描くような形でステージ上の椅子に座る。2人のドラマーはときに魅力的な絡みを見せ、リズムは平板なものを採用するバンドが多い、この手の担い手のなかではアドヴァンテージを獲得している。
背後に映像を流すなか、起承転結のある(アルバム収録曲もそうだが、彼らの曲は1曲がかなり長い。ライヴだと余計に……)、響きや重なりの妙に留意した、具象性と抽象性を兼ね備える、インスト表現を淡々と送り出して行く。そこらへん、字義以上の訴求力を持つ場合もあるか。昔から、妙なところで民俗音楽的な手触りを入れていたりした彼らだが、今回のパフォーマンスも中近東っぽかったり雅楽を思わせるような響き/音の流れを覚えさせられる局面も。そこらへんの視野の広さは今様と思わせられるか。音の棘や揺らぎが、波のように、自在の音圧とともにステージから広がっていた。
<今日の、番組>
昼間、2級殺人罪で収監されている大レコーディング・プロデューサーのフィル・スペクター(72歳)の転落を扱った、どこか低俗な米ドキュメンタリー番組を光通信のTVチャンネルでやっていて、つい見てしまう。それ、駄目な悪人としてスペクターのことを描いている。彼は近年もリッチで御殿のような家に住んでいたようだ。ぼくはザ・ビートルズ以前の白人の音楽関連者についてはかなり暗いのだが、なかなか性格の歪んだ変人であったのはよく伝わって来た。スペクターは『レット・イット・ビー』の制作にかかわり、レノンやハリソンなどはかなり信頼をおいたわけだが。で、強引に今日のライヴに結びつけるが、今日のゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーの皆さんはまっとうそうな人たちで、だからこそ、ミュージシャンシップを発露していこうとするなかで陰影や傷を抱えた表現を送り出しているのだと思えたか。素は、どんな人たちであるのだろう。