ヨ・ラ・テンゴ

2012年11月6日 音楽
 ラフォーレ・ミュージアム六本木(2009年12月17日)で、ニュージャージー拠点の洒脱技アリ3人組ロック・バンドの実演を見る。

 こりゃ、おもしろい。“ザ・フリーウィーリング(freewheeling)・ヨ・ラ・テンゴ”と題された企画ライヴで、すでに米国や欧州ではそれでツアーをしているよう。で、その意味する事は、観客と質疑応答をし、その題材から思いつく曲を気軽にパフォーマンスしていく、というもの。たとえば、今回はニュージャージーのハリケーン・サンディ被害の質問に答えて水にまつわる新旧曲を披露したり、昨年の惨事の際はあなたたちの「ニュークリアー・ウォー」(サン・ラーのカヴァー。かつて、両者が共にフジ・ロックに出演した際はヨ・ラ・テンゴのショウで、その曲を一緒に披露した。2003年7月25〜27日の項を参照されたし)に勇気づけられましたという発言を受けて、「ニュークリアー・ウォー」をやったり。

 そんな感じなので、ショウの半分近くは質疑応答の時間で、通訳が入る、その通訳陣、ヨ・ラ・テンゴと同様に女性1人男性2人であったのは、彼らの洒落か。ゆえに、会話の時間は海外でのそれより長くなったと思われ、アンコールを含め2時間と少し、彼らはステージ上にいたかな。

 会場は全椅子席であり(けっこう、広い会場だった)、質疑応答のときは場内の灯りもつけられる。わきあいあい、率直にして臨機応変、自在闊達なアコースティック気味のパフォーマンス。彼らは持ち楽器を曲によって代えるバンドであるが、この晩はアンコールでの1曲いがい、それをしなかった。

 当然、セットリストは用意されていないわけで、質疑応答の流れ(客に媚びを売ることはせず)のもと普段ライヴではやっていないヨ・ラ・テンゴ曲や、カヴァー曲なんかも披露。デイヴ・クラーク5のカヴァーのときは、学祭のバンドに触れたキブンになったかな。物事の持って行き方や、見方はいろいろ。機智の効いたその音楽性と横並びの飄々とした“態度”を彼らは存分に出していたと思う。あ、そのウィットに富んだ気ままなノリは、少しフランク・ブラックのギター漫談弾き語りライヴ(2007年5月10日)を思い出させたかな。


<今日の、アクセス>
 久しぶりにラフォーレ・ミュージアム六本木に行ったけど、ぼくの生理としては変な感じで駅から離れていて、初めて行く海外の都市だったら最寄り駅から徒歩でたどり着くのは難儀かもと、ふと思う。まあ、そういうときのために、タクシーはあるわけだが。しかし今回、六本木一丁目駅から森ビルの会場建物に行ったのだが、延々とエスカレーターで坂を上って行く風景/感覚はなかなかに凄い。まじ、欧米の映画のシーンみたいと感じる。この会場辺りにつながる神谷町駅からの長〜い山登り遊歩道もあるはずで、不便だからこそ、ここらへん変なところが整備されているんだなーと思った。だから、どーしたということもないが。