クリセット・ミシェル。デューク・エリントン・オーケストラ+ニコール・ヘンリー
2009年11月18日 音楽 ステージに出てきたときの一声で、これは本物と思わせるものがあったな。輝いて、弾んでいて、それは特別なものと感じずにはいられなかった!
六本木・ビルボードライブ東京(ファースト・ショウ)。82年生まれでデフ・ジャムから2作品をリリースしているニューヨーカーのショウは、キーボード2、ギター、ベース(部分的には鍵盤を弾く)、ドラムというサポートを得てのもの。いい歌声と歌い口を無理なくアピールしていて、どんな曲を歌おうと聞き手はけっこう魅了させられるはずと思う。顔はそんなに丸くないが(髪型はジャケット・カヴァーがそうであるように、オール・バックっぽいもの)、体型は意外に太目。ではあったけど、それも余裕と艶のある歌い口に触れるとソレデイイノダと思っちゃいますね。ステージ前方にもキーボードが置いてあり、自身の弾き語りから始められた曲もあった。大学では音楽を専攻し、ジャズなんかにも触れていきているようだが、なるほど急に4ビートっぽくなって少しスキャットを噛ます場面もありました。
その後は、丸の内・コットンクラブで、ジャズ界きっての偉人(1899〜1974年)の名を引き継ぐビッグ・バンドの公演を見る。前回来日(2005年4月13日)のときと同じ15人編成(正装デス)だが、少し顔ぶれは変わっているのかな。今回、ベーシストは男性だった。で、何よりの違いはコンダクターとして、孫のポール・エリントンが同行していること(他に、メルセデスという孫もいるらしい)。スキンヘッドで両耳にピアスを付けたポールさんはまだ30歳前後か。で、肌の色がかなり白く、あまりアフリカ系には見えない。指揮の様子はいてもいなくてもいい感じとぼくには思えたが、まあ縁起モンみたいなものですね。他の中年奏者たちもピアスを付けているのが数人。楽曲はエリントン楽団絡みの有名曲で、一部アレンジは初老ピアニストのトミー・ジェイムズがやっているようだ。ちょっと酩酊キブンという風情(あくまで風情で、飲んではいなかったかな)を持つジェイムズさんは要所を気分屋っぽく押さえる演奏で、それはまさにリズム・ギターならぬ“リズム・ピアノ”という感じ。ポール・エリントンがファースト・ショウにもいた人はと問い、お客に挙手させたら、ジェイムズも子供のようにハーイと手を挙げる。ハハ。ともあれ、肩のこらないビッグ・バンドの醍醐味はいろいろで、ふふふ。
晴れの娯楽の場のために存在し続けてきたジャズのビッグ・バンドに女性シンガーが帯同するというのはなかば決まり事だが、今回同行したシンガーはぼくがかなり好きなニコール・ヘンリー(2008年4月25日)。うれしい。コンテンポラリーな柄のドレスを来て登場した彼女は身長が高いのでとても見栄えがする。アルバムだと余分な澱をいっさいつけないニュートラルな歌い方がポイントとなる彼女だが、ここでは厚いバンド音に負けずにエモーショナルに、ときにけっこう気張ったスキャットなども見せ、確かな地力があることをあっさりアピール。感心。歌ったのは4曲ほどだったか、もっとフィーチャーしてほしかったな。
ヘンリーは、フィリー生まれ。6年間チェロを学び、マイアミ大学で建築を専攻し、女優業(けっこう、マックやアムトラックなど大クライアントのTV-CFにも次々出ていたよう)やダンス・ミュージック経験も持つ彼女は、ジャズ一直線ではない人。実はジャズに邁進するようになって、まだ7年たらずで、いまだ新鮮にジャズに恋をしているという人物である。話を聞くと快活にしてクール、マイアミに住みつつちゃんとレコードを出して行くために自分のレコード会社(バニスターという)を運営してもいるとか。そんな彼女は、クリスマス・シーズンに自分のワーキング・バンドを伴って再び来日する。
タイプもやっていることも異なるが(ジャズは豊かなアメリカの文化という認識を持っているというのは重なるかも)、実力も姿勢も秀でた二人のアフリカ系米国人女性歌手の実演に触れることができてうれしい夜……。
六本木・ビルボードライブ東京(ファースト・ショウ)。82年生まれでデフ・ジャムから2作品をリリースしているニューヨーカーのショウは、キーボード2、ギター、ベース(部分的には鍵盤を弾く)、ドラムというサポートを得てのもの。いい歌声と歌い口を無理なくアピールしていて、どんな曲を歌おうと聞き手はけっこう魅了させられるはずと思う。顔はそんなに丸くないが(髪型はジャケット・カヴァーがそうであるように、オール・バックっぽいもの)、体型は意外に太目。ではあったけど、それも余裕と艶のある歌い口に触れるとソレデイイノダと思っちゃいますね。ステージ前方にもキーボードが置いてあり、自身の弾き語りから始められた曲もあった。大学では音楽を専攻し、ジャズなんかにも触れていきているようだが、なるほど急に4ビートっぽくなって少しスキャットを噛ます場面もありました。
その後は、丸の内・コットンクラブで、ジャズ界きっての偉人(1899〜1974年)の名を引き継ぐビッグ・バンドの公演を見る。前回来日(2005年4月13日)のときと同じ15人編成(正装デス)だが、少し顔ぶれは変わっているのかな。今回、ベーシストは男性だった。で、何よりの違いはコンダクターとして、孫のポール・エリントンが同行していること(他に、メルセデスという孫もいるらしい)。スキンヘッドで両耳にピアスを付けたポールさんはまだ30歳前後か。で、肌の色がかなり白く、あまりアフリカ系には見えない。指揮の様子はいてもいなくてもいい感じとぼくには思えたが、まあ縁起モンみたいなものですね。他の中年奏者たちもピアスを付けているのが数人。楽曲はエリントン楽団絡みの有名曲で、一部アレンジは初老ピアニストのトミー・ジェイムズがやっているようだ。ちょっと酩酊キブンという風情(あくまで風情で、飲んではいなかったかな)を持つジェイムズさんは要所を気分屋っぽく押さえる演奏で、それはまさにリズム・ギターならぬ“リズム・ピアノ”という感じ。ポール・エリントンがファースト・ショウにもいた人はと問い、お客に挙手させたら、ジェイムズも子供のようにハーイと手を挙げる。ハハ。ともあれ、肩のこらないビッグ・バンドの醍醐味はいろいろで、ふふふ。
晴れの娯楽の場のために存在し続けてきたジャズのビッグ・バンドに女性シンガーが帯同するというのはなかば決まり事だが、今回同行したシンガーはぼくがかなり好きなニコール・ヘンリー(2008年4月25日)。うれしい。コンテンポラリーな柄のドレスを来て登場した彼女は身長が高いのでとても見栄えがする。アルバムだと余分な澱をいっさいつけないニュートラルな歌い方がポイントとなる彼女だが、ここでは厚いバンド音に負けずにエモーショナルに、ときにけっこう気張ったスキャットなども見せ、確かな地力があることをあっさりアピール。感心。歌ったのは4曲ほどだったか、もっとフィーチャーしてほしかったな。
ヘンリーは、フィリー生まれ。6年間チェロを学び、マイアミ大学で建築を専攻し、女優業(けっこう、マックやアムトラックなど大クライアントのTV-CFにも次々出ていたよう)やダンス・ミュージック経験も持つ彼女は、ジャズ一直線ではない人。実はジャズに邁進するようになって、まだ7年たらずで、いまだ新鮮にジャズに恋をしているという人物である。話を聞くと快活にしてクール、マイアミに住みつつちゃんとレコードを出して行くために自分のレコード会社(バニスターという)を運営してもいるとか。そんな彼女は、クリスマス・シーズンに自分のワーキング・バンドを伴って再び来日する。
タイプもやっていることも異なるが(ジャズは豊かなアメリカの文化という認識を持っているというのは重なるかも)、実力も姿勢も秀でた二人のアフリカ系米国人女性歌手の実演に触れることができてうれしい夜……。