2009年6月16日の項で絶賛している在仏アメリカ人歌手のパフォーマンス。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ(といっても、日曜のセカンドは7時から)。今回は側近のラファエル・ルモニエ(ピアノ)に加え、ウッド・ベース奏者、ドラマー(なんと、まだとっても若い女性)、トランぺッターを従えてのもの。かつてのジャズ歌手はショービズの世界で与えられた役を演じるようにやっていたはずという所感のもと、それゆえ自身もジャズ路線においてはダイナ・ワシントンという役を演じるようにやっているそうで(だから、ドレッドだった髪型も現在はレトロ調にまとめている)、それはイヤミなく澄んだ姿勢としておおいに伝わってくるのではないか。で、その奥から、本人の陽性で情熱的でフランクな人間性が浮き上がってくる様がなんともいい感じなのだ。

 実は前日夜に知り合いから電話があったものの出れなかったので遅くにメールをしたら、午前中に以下のような返信……。「昨日母とブルーノートに行こうかと迷ってて、アーティストがいいかどうか聞きたかっただけでした! 結局行って、すごい良かったです(ダイヤ二つマーク)」。まったくもって。全然その個体を知らなくても、ジャズを聞いてなくても、接した人をばっちり鼓舞し、魅了しゃう。それがチャイナ・モーゼスなり(もちろん、母親のディー・ディー・ブリッジウォーターも)。