取材を2本やって、その合間に打合せとCDの探し物……。ちょいヘロっ
て、代官山・ユニット。

 日本に紹介されたのは04年ながらフェスを含めすでに何度も来日している
UKロック4人組、ぼくは初めて見る。なんでも、東京1か所だけのライヴ
で来ているんだとか。すごい混んでて、後からだとあまり見えず。ぼくは場
内設営モニターを主に見ていた。今のUK温故知新型バンドのなかではけっこ
う好印象のバンド。実演も、リズム設定をはじめあまり突出している所はな
いものの、言いたいことを主張している=音の端々に輝きがあるバンドと感
じる。なんか、表現が響いていると感じさせるところがあるんだよなあ。1
時間ちょいのパフォーマンス。最後はドラムを蹴飛ばしたり、床にギターを
持っていったり。これまでのライヴはどーだったんだろ。

 その後、渋谷・Jzブラットで、デュオ・アルバムを出して間もない米国人
ピアニストのスティーヴ・キューンとノルウェー人シンガーのカーリン・ク
ローグが重なる公演のセカンド・ショウを見る。両者とも確かな個性を持つ
人だが、ぼくのお目当てはカーリーン・クローグ。彼女のような人がいるか
ら、今のノルウェーの音楽的先進性をアイデンティファイするジャズランド
も存在するのだと思わせるアドヴァンテージとココロをしかと持つ異才。実
験的なことからしっとり系までなんでもこなす人だが、ここではわりと素直
な感じで品格あるジャズ・ヴォーカリスト像を出す。1曲はそれなりにスキ
ャットをかました。歌った曲数も少なかったし、いたって普通だったが、見
れて良かったと思わせるところは絶対にあった。

 で、クローグが出てくるまでの1時間近くはキューンのトリオ演奏(ビリ
ー・ドラモンドらリズム隊も名のある人達)だったのだが、これがあらら。
思索派、内側に刃もあるというイメージもある彼なのだが、スタンダード曲
をなんともまったりとやってくれちゃってて。もったいねー。確かに軟弱な
アルバムも出している人だが、「ブルー・ボッサ」なんて手垢にまみれた曲
も出てきたときには虚脱しました。だが、最後のほうで少しではあるが、右
手にマイクを持ち、左手でピアノを爪弾きながら歌を歌う(!)。うっひょ
ー。それで、なんか全てが許せてしまった。