雨が降る日、まずは渋谷・アックス。今回のG・ラヴ(2000年1月25日
、2004年11月17日、2005年5月25日、2005年6月2日)はキーボード奏
者を伴ってのもの。それ、初めてのこととなる。もう少し腕の立つ人を雇っ
てもいいのではと思わせる、常識的なサポートを鍵盤奏者はしていた。また
、フェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」(72年)とルー・リードの「ウォ
ーク・オン・ザ・ワイルド・サイド」(72年)を自分の曲にくっつける形で
やったりも。

 現在、ジャック・ジョンソンのブラッシュファイアー入りしている彼。音
楽的な妙味はそれほど変わらないものの、受け手側はジャック・ジョンソン
(2003年9月30日、2005年5月25日、2005年6月2日)やベン・ハーパ
ー側(2001年6月18日、2004年3月4日、2006年6月3日)からも入り込
み、デビュー後10年強を来てかなり変わっているんじゃないかとも感じさせ
られた。CB誌レヴューと重なるといけないので、このぐらいにしておく。

 そして、南青山・ブルーノート東京に移動して、サンフランシスコ在住の
、米国の若手女性ジャズ歌手のジャッキー・ネイラーを聞く。やはり全員シ
スコ在住というピアノ・トリオをバックに歌う。キース・ジャレットやハー
ビー・ハンコックら定番が好きというピアノ奏者はときにギターも弾く。あ
んまし、うまくない(ローディがピアノやギターを弾いたときもあった)。
当のネイラー(30少し超えぐらいかな?)は突き抜けた歌い方をする人では
ない。だが、ロックとジャズが横並びになれる時代のジャズ・ヴォーカルを
意識的に押し出そうとしている人と言えるだろう。ときに、彼女は著名ジャ
ズ曲とロック曲を騙し絵的に重ねたようなことをやったりもするが(オリジ
ナル曲もけっこう歌う)、この日はトーキング・ヘッズの「ワンス・イン・
ア・ライフタイム」とウェザー・リポートの「バードランド」を巧みに重ね
たブツをやっていた。また、ジミ・ヘンドリックスの「エンジェル」(ぼく
は何よりフェイセズのヴァージョンで親しんでいるナ)のジャジーな処理も
良かった。

 そういえば、夕方にスティング・バンドに長年在籍するギタリストのドミ
ニク・ミラー(韓国で人気で、トリオで2回ライヴやったあと東京に来たと
か)にインタヴューしたのだが、ソロ作ではアコースティック・ギターを用
いる彼をして「ジミになりたいと思わないギタリストがいると思うかい?」
。スティング・バンドに入る直前にフィル・コリンズのレコーディングに起
用されたとたん、噂が広がり仕事が殺到するようになったとのこと。彼は現
在、自己バンドに元レヴェル42のキーボード奏者のマイク・リンダップの才
を買い、起用している。リンダップの89年ポリドール盤のなかに入っている
メロディアス曲を現在組んでいるコンピレーションに入れたくてユニバーサ
ル本家に願い出ているのだが許諾がなぜか降りないんですと、思わずミラー
に言ってしまった。彼は、ニコっと心に留めておくよ。そこから、アプルー
ヴに発展しないかな。

 話はだいぶとんだが、あんましアルバムを聞かずにライヴに触れたんだけ
ど、ネイラーさんの行く路線はアリでしょう。