オランダ人たちによるピアノ・トリオを、南青山・ボディ&ソウルで見る
。リーダーのバヴェルは40才ちょいで、オランダでは教鞭業でも活躍してい
るらしているらしい。なるほど、適切に指が動き、適切にスウィンギンで奔
放な演奏はジャズ・ピアニスト予備軍にはかなり“有り難い参考書”となる
のではないか。生理的に優しく、明解。演目は有名スタンダードが主、それ
をきちんと自分たちであらんと崩して演奏する。左利き(のセットを組んで
いた)ドラマーは71才らしいが、とっても興味深い。なんか音の感じが違う
なあと思ったら、4枚使っているシンバルのうち3枚が鋲打ち。そんな設定
にもあらわれているように、叩き出すビートもオイラの主張に富んだもので
、普段ロックしか聞かない人にはジャズ・ドラムとしか聞こえないだろうが
、ジャズを知っている人にはかなり異なる感触を与えるものだったに違いな
い。音響的(笑い)でもあり、けっこう“立った”感触もあるドラミングを
披露する彼は、ピアノ奏者とベース奏者(彼もピアノと同年代か)が丹精で
生真面目そうな人達だけに対比もあってやんちゃな人に見えた。なんか、ハ
ンス・ダルファーと同じ匂いを発するというか。……ジャズはドラムで決ま
る。ジャズにはそんな格言もあるが、そういう意味でもバヴェルの表現はジ
ャズ入門者への適切なメッセージを含んでいたかもしれない。