サマーソニック05

2005年8月14日
 まあ、晴天。アズテック・カメラを率いたいたロディ・フレーム(ソニック
)からちゃんと見る。生ギターの弾き語り。ちゃんと聞き手に届く歌声、しっ
かりしたギター演奏……、実にまっとう。でっかいステージでも問題なし(そ
りゃ、もっと小さいほうが有り難みは伝わるとは思うが)。ちゃんとした才と
ともに音楽をやっていることをさりげなく、しっかりと伝える。横で聞いてい
た知り合いが、「昨日のイアン・ブラウンとはえらい違い、彼は本来はミュー
ジシャンになる才能を有していない」とのたまう。でも、そういう人がなりゆ
きによってはスターになっちゃうというのもポップ・ミュージックなんだよな
あ。

 バスに乗って球場横のダンス・テントへ。こっち行きのバスのほうが球場行
きより、すぐに乗れたから。ここも意外とノンビリした風情を持つ“場”なの
だな、と思う。DJ音に合わせて、舞台両袖にはストリッパー風ダンサーが出
ていた。でも、すぐにいなくなった。それ、キャバレー・ダンサーズという出
し物だった。

 ビーチ・ステージに。やっぱり、ここは気持ち良くて、好きだなあ(あまり
、混んでいないというのも重要であるのかな?)。フジ・ロックとサマー・ソ
ニック、あらゆるステージのなかでここが一番ぼくは和める。過剰に海好きじ
ゃないのにね。一時ヒップホップ・グループにいたことがあり、今はシンガー
・ソングライター表現にDJミュージック的な色付けをしたアルバムを出して
いるシチズン・コープが登場。生ギターを弾きながら歌う本人に加え、キーボ
ードとベースとドラムが付く。リズム・セクションは黒人の奏者。アルバムは
良さそうでなんか少女趣味的なところもあってかったるく感じたぼくだが、実
演の印象も似たようなもの。でも、環境がいいところで、より生っぽい音で聞
くとこれでもいいかと思えたりする度合いはかなり強い。昨日、触れている海
側の柵の内側から涼を誘うミストが出ていたりも。でも、やっぱり柵はないほ
うがいいはず。とにかく、ここの場はもっと効果的に使うことが可能。来年以
降のリファインを楽しみにしたい。かえりに、マリーン球場のカサビアンをち
ょい覗く。

 幕張メッセに戻り、チャック・Dやプロフェサー・グリフがいるパブリック
・エネミー(マウンテン)。まずおおっとなったのはバンド付きのPEだった
こと。3人のMCに加え、ギター、ベース、ドラムス(キーボードいたかどう
かはもう忘れた)、DJ。で、闊達で、ときにロッキッシュでもある生ヒップ
ホップ・サウンドに太い肉声をのせる。昔のようなちょっと芝居がかった舞台
設定もなければ、親衛隊のような存在もそこにはいない。しかし、生音と肉声
が拮抗する様に触れていて、ぼくは大いに満足。最後はアイズリー・ブラザー
ズ(2001年12月6日、2004年3月1日)の「ファイト・ザ・パワー」
をやる。それ、歌付きパートを含む。

 続いて、ザ・スペシャルズとジ・イングリッシュ・ビート、二つの黒白混合
UKパンク/ニュー・ウェイヴ・スカ・バンドが合体したスペシャル・ビート
。10年ぐらい前に日本に来たような気もするが、やはり見たくなるな。ステー
ジ上に人がいっぱい、多いときには10人強。どららかが叩くことも多かった
が、ツイン・ドラムにて。途中で、ランキン・ロジャーの息子が呼ばれて歌う
場面もあった。新しいものは何も出されていなかったが、かつての不況時の英
国の“持たざる”若者たちが生み出したイナセなビート・ミュージックの断片
を再体験できるだけでぼくはにんまり、でした。

 そして、ザ・ラーズ(ソニック)。おお、懐かしい。90年にゴー・ディスク
ス!から1枚だけ正規盤を出していた英国バンド。ずっと活動を維持している
のか、メンバーは不動なのか、ぜんぜんそうした情報は持たぬまま、昔の印象
がそんなに悪くないので見る。ステージ上の4人が広いステージの中央に、貧
乏くさく固まって位置している。で、非常に大人な、手作り感覚に満ちた、背
伸びのないロック表現を聞かせる。ときに50年代っぽい感じのものから、イギ
リスのキャレキシコ(2004年2月15日、他)と称したくなるような曲調のも
のもやっていたな。なんとなく、ひかれる含みもあったような。彼らってこん
な感じだったけという思いも得たが、悪くない。単独で来ても、何もなきゃま
た見にいくと思う。

 その途中で、隣(マウンテン)でやってるブラック・クロウズを見にくいく
。うわあ、客少ねえ。夕方ぐらいから、幕張メッセ側会場がすきだしたような
感じがあったが、なるほど多くの人はオアシス(2000年2月29日)を見に
球場に行ったのだナと実感。じっさい、そのマリーン・ステージは始まる前に
入場規制がしかれたようだ。大阪会場の客の8割はオアシス目当てだったとい
う話を伝え聞いたが、本当にオアシスって人気があるんだなあ。話はズレたが
、ブラック・クロウズの実演は入りは別として、非常に充実。前回見たとき(
2001年7月25日)より、この日のほうがいい感じじゃとぼくは思った。昨
年出た、フロント・マンのクリス・ロビンソンのソロ作も質が高い仕上がりだ
ったよなあ……。ストーンズがこういうサウンドで実演をやってくれたら最高
なんだけどとも思う。ただ、かなり演奏時間が短かったのではないか。で、ま
たやっていたザ・ラーズを再び見る。