チャールズ・ロイド

2005年5月11日
 いまや、ジャズ・サックスの大御所。いやあ、良かった。びっくりすぐら
いジャズだった。おそらく、今年のブルーノート東京有数の出し物になるの
ではないのか。ファースト・ショウ。

 ジュリ・アレン(2004年11月3日)他のピアノ・トリオを率いてもの(ベ
ーシスト以外は新作と同じ)だが、まさしく悠々。生理的に思いっきりよく
。不可解な襞をなぞりながら、自在にときにスピリチュアルに流れていく様の
ジャズらしさ、澄んだ風情の美味しさたるや。うまく説明できないが、送り
だす全ての要素が甘さを排しつつ(でも、聞き手を撥ねつけはしない。なん
か包むような情緒も演奏は持っていたのではないか)、良質のジャズ感覚や
美意識に繋がっているんだもの。どれも1曲15分ぐらいの演奏時間で、全部
でちょうど1時間30分ぐらいのパフォーマンス。この15年ほどずっとECM
から作品を発表している彼だが、近年の諸作はいかにも明快に作ってるのだ
なとと了解。アンコールなし、MCも一切なし、というのもシビれた。恰好
もなかなかいいし、いやあジャズっていいなあと痛感(ただし、ジャズにそ
れほど入り込んでいない人には浸れない実演であったそう)。初日のファー
スト・ショウでこれなんだから、少し日を重ねた日のセカンドは一体どーな
ることやら。当然、彼はファーストとセカンド・ショウをまったく別の曲で
やっている。

 不毛な比較を書いておこう。ライヴの聞き味、2004年2月9日のウェイン
・ショーターは大完敗だと思う。それ以前のライヴ(2001年8月3〜5日、
2002年8月25日)はいい勝負。いや、なんかロイドのほうが嬉しい人間味に
あふれていて、ぼくはこっちを取るかもしれない。それぐらい、ロイドの実
演は素晴らしい。