ルーマニアの大所帯バンド。というと、タラフ・ハイドゥークス(2000年
5月21日、2001年9月2日、2004年10月19日)やファンファーレ・チョカリ
ーア(2004年8月28日)ら同国のジプシー・ブラス・バンドを思い出すが、
彼らはタラフと同じマネイジャーが仕切り、ここでのメンバーでもあるとい
う。六本木ヒルズ・アリーナ。

 ホーン隊、ヴァイオリン、いろんな打楽器隊、ダンサーなど、最高でいっ
たいステージ上には何人いたのだろう。照明も綺麗な野外会場にそれは非常
に映え、本当に嬉しい祭祀的空間が生まれていたのではないか。なるほどと
思わせられたのは、古い世代と新しい世代の混成バンドであるという触れ込
みであったが、メンバーにちゃんとベース(ほんとんど、エレクトリック・
ベース)とドラマーがいること。それは上出の二つの先輩には見当たらない
部分で、それだけでも彼らがもう少し西側のポップ環境に近い集団であるこ
とが了解できる。しかも、そのリズム隊が腕が立つ。でもって、嬉しいメリ
ハリやグルーヴを加味する。

 てなわけで、彼らは先の二つグループと繋がっていても、聞き味はモダン
で相当に視野が広い。それは次々と趣向の違う曲が送りだされる(それにな
らい、曲ごとにステージでパフォーマンスする人間は自在に変えられる)ス
テージの進め方を見ても一目瞭然。とにかく、それらはいろんな要素が見て
とれる(ジャンベ似の打楽器2本が活躍する時もあったが、そんなのも彼らの根っ
こには本来ないものだろう)ものであり、それらを適正なバランス感覚のも
と処理していると思わされるのだ。であるのに、こじんまりとした感じはせ
ず、非常に奔放で下世話な感じも与えるのだから素晴らしい。

 総じては、非常に混合している、実のある民族フュージョンという感じ。
4人いた女性ダンサーの一人であり、2、3曲リード・ヴォーカルもとった
ローナ・ハートナー(トニー・ガトリフ監督の『ガッチョ・ディーロ』に主
演もしている)はDJを伴ったアルバムを出したばかりだが、この日の彼ら
の実演を見ると、そういう発展した行き方も当然アリだろうと思わされた。

 そして、渋谷・デュオに移動。そのマハラ・ライ・バンダと一緒にレコー
ディングするという、女性シンガー二人と楽曲/サウンド担当男性からなる
日本の3人組を見る。バッファアウト誌が仕切るイヴェントで、トリとして
数曲パフォーマンス。短いながら、ちゃんとバンド付きの実演。プリセット
音にうまく生音を重ねたところに、二人のシンガーが声を重ねる。アルバム
で聞くよりぜんぜん魅力的に聞こえる。もっと明るく聞こえるし、弾む感じ
も受けたし、曲自体もよりキャッチーに聞こえた。エスニック要素を巧みに
取り入れる方向性を持つポップ・ユニットだが、いい意味でもっと一般受け
する要素も持っているナと思わせられました。

 その後、三軒茶屋・DUNEの<bring the noise >というパーティでD
J。昼間に選曲考えていたらなんとなく全部ライヴ盤にしちゃえとなり、ラ
イヴ盤だけをかける。