ジェフリー・オズボーン
2006年2月21日 良かったなあ。お酒、とまらなかったなあ(次の日、取材入ってなかった
ら、間違いなく朝までコースだったなー)。L.T.D.というA&Mと契約して
いたセルフ・コンテインド・グループにいて(そのときはドラマーだった
) 、80年代前半からソロとして活動しているソウル・シンガーの素晴らしい
ショウにニッコリ。ちゃんと声が出ていて、歌に訴求力があるし、進め方も
余裕があってうまい。身体もそれほど太っておらず(格好も、大人っぽくこ
ざっぱり)、さほど過剰に老けている感じはないし、現役感たっぷりのその
パフォーマンスはいいなあいいぞおと心の中で連呼させるに十分なものだっ
た。
丸の内・コットンクラブ(セカンド)。ちゃんと入っている客の大半はラ
フな格好の(オズボーン目当てで来ているだろう)人達。途中でお客3人に
歌わせたのだが上手すぎ、歌の道を進んでいる/進もうとしている人達もけ
っこういたのだろう。コチ発の新作『From The Soul 』はカヴァー曲集だっ
たのでカヴァーもやるのかと思ったら、L.T.D.時代の曲をふくめ、持ち歌で
起伏を付けながら勝負。アンコールはザ・スピナーズ「アイル・ビー・アラ
ウンド」。この曲をぼくが嫌いな予定調和的フュージョン・バンドのザ・リ
ッピントンズのアルバムに客演して彼が歌っていたとは。
バンドもよろしい。キーボード2台、ギター、ベース、ドラムス、男女ひ
とりづつのバッキング・ヴォーカル。ギターと音楽監督のほうのキーボード
は白人、もう一人のキーボード奏者はネイティヴ・アメリカンみたいに見え
る外見の持ち主。ドラマーはジェリー・ブラウンと紹介されていたがすると
ブルーノート末期(70年代中期)にジョン・リーとの双頭リーダー作を2枚
出した人だろうか。見た目はそほど老けてないよう見えたが、あの音は全盛
期のスタンリー・クラークが大お気に入りでもあったあの彼(70年代中期に
録られたマーヴィン・ゲイのロンドンでのライヴ盤にもクレジットされてい
た)だと、ぼくは高揚した頭で思うことにした。そのほうがもっと親近感を
持って見ることができる。
なお、ここの座席配置はステージに向かって右側は横に並んで座るような
カウンター式の座席が2列に渡って配置されている(それは、移転する前の
ブルーノート大阪を思い出させる。移転後もそうなっているのかは、行って
ないので知らぬが)。今回、その中列のけっこうステージ寄りの所に座った
のだが、これがなかかなか。ちょうど前の列に熱心な反応を示すお客さんが
いたこともあってか、オズボーンはけっこうこっち側を見て歌うし、意外に
ステージ上の人をみんな見ることができたし(それは、出演者のセッティン
グによっても異なるだろうけど)、キーボードの弾き方は手に取るように分
かるし(同)、一方ではお客の反応の様子も手に取るように分かりアーティ
スト側の視点も味わえるし(最後に、後部のソファー席にいたスーツ族が立
ち上がりギンギンになっている様子を見てジェフリーが大喜びする様も直截
に感知することができました)、うわあ、この席こんなにいい感じで見れち
ゃうのとびっくり。このポジション、大ありです。
ら、間違いなく朝までコースだったなー)。L.T.D.というA&Mと契約して
いたセルフ・コンテインド・グループにいて(そのときはドラマーだった
) 、80年代前半からソロとして活動しているソウル・シンガーの素晴らしい
ショウにニッコリ。ちゃんと声が出ていて、歌に訴求力があるし、進め方も
余裕があってうまい。身体もそれほど太っておらず(格好も、大人っぽくこ
ざっぱり)、さほど過剰に老けている感じはないし、現役感たっぷりのその
パフォーマンスはいいなあいいぞおと心の中で連呼させるに十分なものだっ
た。
丸の内・コットンクラブ(セカンド)。ちゃんと入っている客の大半はラ
フな格好の(オズボーン目当てで来ているだろう)人達。途中でお客3人に
歌わせたのだが上手すぎ、歌の道を進んでいる/進もうとしている人達もけ
っこういたのだろう。コチ発の新作『From The Soul 』はカヴァー曲集だっ
たのでカヴァーもやるのかと思ったら、L.T.D.時代の曲をふくめ、持ち歌で
起伏を付けながら勝負。アンコールはザ・スピナーズ「アイル・ビー・アラ
ウンド」。この曲をぼくが嫌いな予定調和的フュージョン・バンドのザ・リ
ッピントンズのアルバムに客演して彼が歌っていたとは。
バンドもよろしい。キーボード2台、ギター、ベース、ドラムス、男女ひ
とりづつのバッキング・ヴォーカル。ギターと音楽監督のほうのキーボード
は白人、もう一人のキーボード奏者はネイティヴ・アメリカンみたいに見え
る外見の持ち主。ドラマーはジェリー・ブラウンと紹介されていたがすると
ブルーノート末期(70年代中期)にジョン・リーとの双頭リーダー作を2枚
出した人だろうか。見た目はそほど老けてないよう見えたが、あの音は全盛
期のスタンリー・クラークが大お気に入りでもあったあの彼(70年代中期に
録られたマーヴィン・ゲイのロンドンでのライヴ盤にもクレジットされてい
た)だと、ぼくは高揚した頭で思うことにした。そのほうがもっと親近感を
持って見ることができる。
なお、ここの座席配置はステージに向かって右側は横に並んで座るような
カウンター式の座席が2列に渡って配置されている(それは、移転する前の
ブルーノート大阪を思い出させる。移転後もそうなっているのかは、行って
ないので知らぬが)。今回、その中列のけっこうステージ寄りの所に座った
のだが、これがなかかなか。ちょうど前の列に熱心な反応を示すお客さんが
いたこともあってか、オズボーンはけっこうこっち側を見て歌うし、意外に
ステージ上の人をみんな見ることができたし(それは、出演者のセッティン
グによっても異なるだろうけど)、キーボードの弾き方は手に取るように分
かるし(同)、一方ではお客の反応の様子も手に取るように分かりアーティ
スト側の視点も味わえるし(最後に、後部のソファー席にいたスーツ族が立
ち上がりギンギンになっている様子を見てジェフリーが大喜びする様も直截
に感知することができました)、うわあ、この席こんなにいい感じで見れち
ゃうのとびっくり。このポジション、大ありです。
リチャード・ボナ。Salt,Toku,Gen
2006年2月16日 どんどん支持者を増やしているように思える、カメルーン出身の電気ベー
シスト/シンガー(2000年12月6日、2002年1月9日、2002年9月1
9日、2002年12月14日、2004年12月15日)。喋り好きで、耳が確
かな人(確かなイントネーションで、日本語の単語をすぐに覚える)。かつ
てユニヴァーサル・フランスに移籍した際に取材したとき、「ソニーのA&
Rはスティングの曲をカヴァーしろと言いやがった。なんで、昨日まで車の
セールスをやってような人間にそんなことを言われなきゃいけないのか。だ
から、俺は言ってやったんだよ。俺のなかにスティングなんかはない。ある
のは、アフリカとジャコ(・パストリアス)だけだ!って」。
そんな人だから、フュージョンぽい何かをはらむのはしょうがない。でも
、全員国籍が異なるプレイヤーを従えてのパフォーマンスはいい音を出して
いた。小気味よくも温かく、いいインタープレイもあったし。MCによれば
、サックス奏者は米国シアトル出身、黒人キーボード奏者はオランダのロッ
テルダム出身、ドラマーはキューバのハバナ(だったっけかな?)出身、パ
ーカッションはコロンビアのボゴタ出身、ギター奏者はブラジルのリオ出身
とか。ただ、「アフリカの人間にとって歌うことと楽器を弾くこととは同義
語なんだ」と言うわりには、今回は歌パートが少なかったような。リーダー
作においては、歌の比重はどんどん増しているというのに。例によってジャ
コ在籍時のウェザー・リポートのカヴァーもあり。曲は「ティーン・タウン
」だったか(ウェザーのファンじゃないので自信ありません)。
あと、ボナはやっぱり音を出している風情がよい。それが、マル。ブルー
ノート東京・ファースト。
そのあと六本木・スイートベイジル139 で、塩谷哲(ピアノ)、TOKU
(フリューゲルホーン)、大儀見元(パーカッション)の3人ユニットを見
る。当人たち曰く、ヴォーカル・グループだそうだが、なるほど。皆、リー
ド・ヴォーカルをとったりハモったりする。大儀見とTOKUはちょい生ギ
ターを触るときもあった。ああ、塩谷と大儀見はオルケスタ・デ・ラ・ルス
にいたのか。89年にマディソン・スクェア・ガーデンでのサルサ・フェステ
ィヴァルを見たことがあったが、そのとき二人はあの華やかな舞台にいたん
だろうな。ともあれ、ときどきこの顔ぶれでライヴをやっているらしい。今
回この場所は三日間通し、客は女性が多い。
まず楽曲ありきのグループか。ザ・ビートルズの「ブラック・バード」か
らオリジナル曲まで、まず歌いたかったり紐ときたかったりするネタを出し
合い、それをジャズやラテン他いろんな素養を持つ彼らが持ち味を軽妙に交
換しあいながら、やんわりと広げるといった感じ。聞き味は優しく、明快
。いろんな小業は効いているが、そうじては大人のもう一つのポップスとい
う感じも。へえ。
シスト/シンガー(2000年12月6日、2002年1月9日、2002年9月1
9日、2002年12月14日、2004年12月15日)。喋り好きで、耳が確
かな人(確かなイントネーションで、日本語の単語をすぐに覚える)。かつ
てユニヴァーサル・フランスに移籍した際に取材したとき、「ソニーのA&
Rはスティングの曲をカヴァーしろと言いやがった。なんで、昨日まで車の
セールスをやってような人間にそんなことを言われなきゃいけないのか。だ
から、俺は言ってやったんだよ。俺のなかにスティングなんかはない。ある
のは、アフリカとジャコ(・パストリアス)だけだ!って」。
そんな人だから、フュージョンぽい何かをはらむのはしょうがない。でも
、全員国籍が異なるプレイヤーを従えてのパフォーマンスはいい音を出して
いた。小気味よくも温かく、いいインタープレイもあったし。MCによれば
、サックス奏者は米国シアトル出身、黒人キーボード奏者はオランダのロッ
テルダム出身、ドラマーはキューバのハバナ(だったっけかな?)出身、パ
ーカッションはコロンビアのボゴタ出身、ギター奏者はブラジルのリオ出身
とか。ただ、「アフリカの人間にとって歌うことと楽器を弾くこととは同義
語なんだ」と言うわりには、今回は歌パートが少なかったような。リーダー
作においては、歌の比重はどんどん増しているというのに。例によってジャ
コ在籍時のウェザー・リポートのカヴァーもあり。曲は「ティーン・タウン
」だったか(ウェザーのファンじゃないので自信ありません)。
あと、ボナはやっぱり音を出している風情がよい。それが、マル。ブルー
ノート東京・ファースト。
そのあと六本木・スイートベイジル139 で、塩谷哲(ピアノ)、TOKU
(フリューゲルホーン)、大儀見元(パーカッション)の3人ユニットを見
る。当人たち曰く、ヴォーカル・グループだそうだが、なるほど。皆、リー
ド・ヴォーカルをとったりハモったりする。大儀見とTOKUはちょい生ギ
ターを触るときもあった。ああ、塩谷と大儀見はオルケスタ・デ・ラ・ルス
にいたのか。89年にマディソン・スクェア・ガーデンでのサルサ・フェステ
ィヴァルを見たことがあったが、そのとき二人はあの華やかな舞台にいたん
だろうな。ともあれ、ときどきこの顔ぶれでライヴをやっているらしい。今
回この場所は三日間通し、客は女性が多い。
まず楽曲ありきのグループか。ザ・ビートルズの「ブラック・バード」か
らオリジナル曲まで、まず歌いたかったり紐ときたかったりするネタを出し
合い、それをジャズやラテン他いろんな素養を持つ彼らが持ち味を軽妙に交
換しあいながら、やんわりと広げるといった感じ。聞き味は優しく、明快
。いろんな小業は効いているが、そうじては大人のもう一つのポップスとい
う感じも。へえ。
アトミック
2006年2月12日 たとえば、陽光を受けてジャンプして水に飛び込んだとき。まず、ふっと
身体が宙に浮き、そしてざっぷ〜んと水に入り、肌に触る感触や見える世界
、外音の聞こえ方、すべてがさあっと変わる。たとえば、新雪つもっている
なか、エッジをきかせて雪をけちらし滑降するとき。これも、自分が知って
いる感触や世界はちっぽけなもので、自分の知らないものが鬼のようにすぐ
横にあるんだと痛感させられよう。それは素敵な食事や美味しいワインでも
、もしかすると恋愛関係初期の所感だって同様かもしれない。なんか、それ
まで自分がいるところと違うところにぐわりと入り込む感覚。それまで自分
が持っていた世界とはぜんぜん違うものに触れる感覚。それはとても刺激的
で、抗しがたく快楽的で、人生に確かなスパイスとなるのは間違いない……。
なんか、ワケが判らないことを書いているが、ぼくはこのスウェーデン〜
ノールウェーの合体ジャズ・コンボを聞きながら、ふとそんなことを思った
りしていたのだ。彼らの精気と野心とジャズへの愛着たっぷりの演奏には、
違うところを行き来する、異なるスピード感や間の感覚、情緒を移行したり
、するりと重ねたりる感覚がある。いや、リアルな(よりフリー寄りの)ジ
ャズという表現は……と書いたほうが適切か。いいや、ジャズだけでなく、
ロックにせよ、ファンクにせよ、テクノせよ、秀でた音楽(だけではないん
だよな……)はそうした、いろんな事象を飛び越える力を持つはずだ。だが
、ジャズという表現はもっとも人間力に則したかたちで、もっともシンプル
にそれを出そうとする器なのではないのか。オーネット・コールマンやレニ
ー・トリスターノら“ワープの天才”たちのツボを知り尽くした彼らは、今
現存するジャズ・バンドとしては最高級のものをやっていると言わざるをえ
ない。
前回(2005年4月12日)より、もっといいと思った。ぶっちゃけると
ころはぶっちゃけ、ジャズ的美意識のもと構成された感じで流れていくとこ
ろもより味を持ってストーリー性豊か。共通のゴールを見つめつつ、インタ
ープレイしあいながら5人が絡み昇華していく様を、いろんな思いを誘発さ
れながら堪能。ゲキ混みだった前回と違い、ゆったり座って見ることができ
たせいもあるし、今回は寒さにおののいて車で行ってしまったので、飲まず
に見ていたという違いはあるが。でも、後者のほうが妄想はより誘発するは
ずだよなあ。1時間半強の演奏。新宿・ピットイン。
身体が宙に浮き、そしてざっぷ〜んと水に入り、肌に触る感触や見える世界
、外音の聞こえ方、すべてがさあっと変わる。たとえば、新雪つもっている
なか、エッジをきかせて雪をけちらし滑降するとき。これも、自分が知って
いる感触や世界はちっぽけなもので、自分の知らないものが鬼のようにすぐ
横にあるんだと痛感させられよう。それは素敵な食事や美味しいワインでも
、もしかすると恋愛関係初期の所感だって同様かもしれない。なんか、それ
まで自分がいるところと違うところにぐわりと入り込む感覚。それまで自分
が持っていた世界とはぜんぜん違うものに触れる感覚。それはとても刺激的
で、抗しがたく快楽的で、人生に確かなスパイスとなるのは間違いない……。
なんか、ワケが判らないことを書いているが、ぼくはこのスウェーデン〜
ノールウェーの合体ジャズ・コンボを聞きながら、ふとそんなことを思った
りしていたのだ。彼らの精気と野心とジャズへの愛着たっぷりの演奏には、
違うところを行き来する、異なるスピード感や間の感覚、情緒を移行したり
、するりと重ねたりる感覚がある。いや、リアルな(よりフリー寄りの)ジ
ャズという表現は……と書いたほうが適切か。いいや、ジャズだけでなく、
ロックにせよ、ファンクにせよ、テクノせよ、秀でた音楽(だけではないん
だよな……)はそうした、いろんな事象を飛び越える力を持つはずだ。だが
、ジャズという表現はもっとも人間力に則したかたちで、もっともシンプル
にそれを出そうとする器なのではないのか。オーネット・コールマンやレニ
ー・トリスターノら“ワープの天才”たちのツボを知り尽くした彼らは、今
現存するジャズ・バンドとしては最高級のものをやっていると言わざるをえ
ない。
前回(2005年4月12日)より、もっといいと思った。ぶっちゃけると
ころはぶっちゃけ、ジャズ的美意識のもと構成された感じで流れていくとこ
ろもより味を持ってストーリー性豊か。共通のゴールを見つめつつ、インタ
ープレイしあいながら5人が絡み昇華していく様を、いろんな思いを誘発さ
れながら堪能。ゲキ混みだった前回と違い、ゆったり座って見ることができ
たせいもあるし、今回は寒さにおののいて車で行ってしまったので、飲まず
に見ていたという違いはあるが。でも、後者のほうが妄想はより誘発するは
ずだよなあ。1時間半強の演奏。新宿・ピットイン。
ノーマン・ブラウン&ピーボ・ブライソン
2006年2月9日 モータウンのジャズ・レーベル=モージャズから90年代初頭にデビューし
、現在はワーナー・ブラザーズに所属するジョージ・ベンソン・フォロワー
・タイプのギタリストと、映画主題歌がらみでグラミー賞とアカデミー賞を
ともに受賞しているビッグ・ネーム歌手のジョイント公演(昨年、アメリカ
でやっているらしい)。キーボード2(うち、音楽ディレクターは女性)、
ベース、ドラム、女性バッキング・ヴォーカル(ほぼ、消えていた)というバ
ンドはブラウンのもののよう。ブラウンは最初から最後まで出っぱなし。ブ
ライソンは出たり入ったり(本編で3度。そのたびに、ジャケットを変えた)
、という流れをショウは持っていた。
ブラウン、なかなか良かったナ。もう嬉しそうに弾いたり、声を出したり
する風情がいいし、演奏自体も思っていた以上に実があり、アトラクティヴ
。個人的趣味としてはフュージョン傾向にある表現というのは70パーセント
は駄目なのだが、彼の場合はしっかり伝統と繋がりつつ、今の都会的な黒人
感覚を出していると思わせるものがしっかりとあって全面的にOK。ときに
、ゴツゴツとした側面も見えるし。感じとしては、歌のないアーバンR&B
という感じもあり、ときどきブラウンは歌ったりもするし、アイズレー曲な
どのカヴァーの断片もピタリと決まる。ソウル派フュージョン・ギタリスト
としては、トップ・クラスにいい感じの人ではないかと思った。
一方のブライソンはそのかっこわるいルックスもあり(受付カウンターの
横にロバータ・フラックとのデュオ・アルバムのCDが置いてあったが、い
ろんな意味で外見が相当に変化しているのを了解)、喉の力だけでのし上が
ってきた人なんだなと思わせる。もう、朗々。口とマイクの距離、たっぷり
。サントラ曲他、いくつかの曲はアマアマ。彼はメモを見ながらではあった
ようだが、MCで何度も長目の日本語を話す。また、最初と最後のほうは観
客と執拗に握手をする。……お客様は神様デス。もう本当に、エンターテイ
ンメントどっぷりの人だとも痛感。そういやあ、彼は1曲は生ギターを弾きなが
ら、歌った。へえ、彼もカーティス・メイフィールドやボビー・ウーマック
のように、ギターで物事を考えるソウル・マンなの? 彼の肉声とブラウン
のギターとの掛け合いはちょっと子供ぽくてぼくにはNG。
アンコールは一緒に、「ホワッツ・ゴーイン・オン」。それが始まる前に
だったか、二人は一緒に女性客に赤い薔薇を配る。これもまた、ソウル・シ
ョウ。計1時間半のパフォーマンス。南青山・ブルーノート東京、セカンド
。
、現在はワーナー・ブラザーズに所属するジョージ・ベンソン・フォロワー
・タイプのギタリストと、映画主題歌がらみでグラミー賞とアカデミー賞を
ともに受賞しているビッグ・ネーム歌手のジョイント公演(昨年、アメリカ
でやっているらしい)。キーボード2(うち、音楽ディレクターは女性)、
ベース、ドラム、女性バッキング・ヴォーカル(ほぼ、消えていた)というバ
ンドはブラウンのもののよう。ブラウンは最初から最後まで出っぱなし。ブ
ライソンは出たり入ったり(本編で3度。そのたびに、ジャケットを変えた)
、という流れをショウは持っていた。
ブラウン、なかなか良かったナ。もう嬉しそうに弾いたり、声を出したり
する風情がいいし、演奏自体も思っていた以上に実があり、アトラクティヴ
。個人的趣味としてはフュージョン傾向にある表現というのは70パーセント
は駄目なのだが、彼の場合はしっかり伝統と繋がりつつ、今の都会的な黒人
感覚を出していると思わせるものがしっかりとあって全面的にOK。ときに
、ゴツゴツとした側面も見えるし。感じとしては、歌のないアーバンR&B
という感じもあり、ときどきブラウンは歌ったりもするし、アイズレー曲な
どのカヴァーの断片もピタリと決まる。ソウル派フュージョン・ギタリスト
としては、トップ・クラスにいい感じの人ではないかと思った。
一方のブライソンはそのかっこわるいルックスもあり(受付カウンターの
横にロバータ・フラックとのデュオ・アルバムのCDが置いてあったが、い
ろんな意味で外見が相当に変化しているのを了解)、喉の力だけでのし上が
ってきた人なんだなと思わせる。もう、朗々。口とマイクの距離、たっぷり
。サントラ曲他、いくつかの曲はアマアマ。彼はメモを見ながらではあった
ようだが、MCで何度も長目の日本語を話す。また、最初と最後のほうは観
客と執拗に握手をする。……お客様は神様デス。もう本当に、エンターテイ
ンメントどっぷりの人だとも痛感。そういやあ、彼は1曲は生ギターを弾きなが
ら、歌った。へえ、彼もカーティス・メイフィールドやボビー・ウーマック
のように、ギターで物事を考えるソウル・マンなの? 彼の肉声とブラウン
のギターとの掛け合いはちょっと子供ぽくてぼくにはNG。
アンコールは一緒に、「ホワッツ・ゴーイン・オン」。それが始まる前に
だったか、二人は一緒に女性客に赤い薔薇を配る。これもまた、ソウル・シ
ョウ。計1時間半のパフォーマンス。南青山・ブルーノート東京、セカンド
。
オマー、キャロル・トンプソン
2006年2月5日 UK発新感覚のコンテンポラリー・ソウルの今後を担う男と言われてもう
15年がたつオマー(2001年3月25日、2004年6月28日)と、UKラ
ヴァーズ・ロック(スウィート・レゲエ)の美声実力者キャロル・トンプソン
が一緒の出し物。南青山・ブルーノート東京。セカンド・ショウ、最終日の
、最終公演。
まず、トンプソンが登場。バッキング・バンドは、キーボード(日本にこ
れてとても嬉しいという感じで、一生懸命日本語でMCしようとしていた)
、ギター(ほとんど、存在を感じさせず)、ドラム(かなりイケる。気に入
った。ソロのときはダブっぽい音処理がなされたりも)、ベース(ソロ・パ
ートを与えられたときだけ、電気アップライト・ベースを手にする)、そし
て太っちょの男女コーラスという布陣。凛としつつ、しなやかに。まず、高
潔な人間性ありきと思わす、歌い口。大昔、取材したときも人間ができた人
だと思ったよなあ。そんな彼女の出番は25分弱、もう少し歌ってほしかった
ナ。
そして、すぐに入れ代わりでオマーのパフォーマンス。バンドは彼のもの
で、白い肌した女性バック・シンガーはオマーの妹なのだという。顔つきも
、肌の色も、体格も(まあ、オマーも太り気味ではあるが)、どれも似てい
ない(が、名前を見てみたら、ライ・フックというファミリー・ネームは同
じ)。彼は喉を傷めていたという話も聞いたが、とっても声が出ていて、ぼ
くはそんなの気づかなかった。歌いつつ、合いの手を入れるような感じのシ
ンセ単音演奏も非常に存在感あり。デビュー時と根本的なものは何も変わっ
ていないが、彼が現在充実していること、彼がひどく美味しい個性の持ち主
であることを痛感。中盤以降はボサっぽい曲が並んだが、それもまた彼のデ
ビュー時からの持ち味。そういえば、フォーキーなオマーという感じも少し
あるヴィクター・デイヴィス(2001年3月19日、2003年7月17日)に
半月前に取材したとき、「ボサノヴァの要素を愛好するようになったのは、
スティーヴィ・ワンダーの表現を聞いてから。そのときはそれがブラジル音
楽の要素とは知らずに、そのテイストにひかれた」みたいなことを言ってい
たが、オマーも似た経路はあるかもしれない。話はズレるが、そのスティー
ヴィやEW&F(2006年1月19)のブラジル味はセルジオ・メンデス(
2005年8月9日)&ザ・ブラジル66から来ているというのがぼくの持論
だが。
実は3月に出る彼の新作はスティーヴィ・ワンダー(2005年11月3日)
との共作曲が収められている。そこで、ワンダーは歌い、キーボード・ソロ
も弾いている。そのアルバム『シング』の解説を書いたから散々聞いた。だ
が、その後、レコード会社のA&Rからもしかするとワンダーの歌パートだ
け差し替えになるかもという連絡を受けたのだが、どーなるんだろうか。ア
ンコール時には、オマーとトンプソンが仲良く手を繋いで出てくる。些細な
ことだけど、そういうの良いな。そして、歌ったのはウィリアム・デヴォー
ンのカヴァー「ビー・サンクスフル」。アルバム(前作の『ベスト・バイ・
ファー』)ではエリカ・バドゥ(2000年11月19日)がデュエット役で
参加し、シングルのヴァージョンではアンジー・ストーン(2005年3月22
日)が歌っていた曲。ワンダーとの関わりや、そんな贅沢な事実が示すよう
に、オマーは大きな評価は得ていないが、アメリカの才ある今の本格派のR
&Bの担い手からは厚い支持を受けているのだ。
15年がたつオマー(2001年3月25日、2004年6月28日)と、UKラ
ヴァーズ・ロック(スウィート・レゲエ)の美声実力者キャロル・トンプソン
が一緒の出し物。南青山・ブルーノート東京。セカンド・ショウ、最終日の
、最終公演。
まず、トンプソンが登場。バッキング・バンドは、キーボード(日本にこ
れてとても嬉しいという感じで、一生懸命日本語でMCしようとしていた)
、ギター(ほとんど、存在を感じさせず)、ドラム(かなりイケる。気に入
った。ソロのときはダブっぽい音処理がなされたりも)、ベース(ソロ・パ
ートを与えられたときだけ、電気アップライト・ベースを手にする)、そし
て太っちょの男女コーラスという布陣。凛としつつ、しなやかに。まず、高
潔な人間性ありきと思わす、歌い口。大昔、取材したときも人間ができた人
だと思ったよなあ。そんな彼女の出番は25分弱、もう少し歌ってほしかった
ナ。
そして、すぐに入れ代わりでオマーのパフォーマンス。バンドは彼のもの
で、白い肌した女性バック・シンガーはオマーの妹なのだという。顔つきも
、肌の色も、体格も(まあ、オマーも太り気味ではあるが)、どれも似てい
ない(が、名前を見てみたら、ライ・フックというファミリー・ネームは同
じ)。彼は喉を傷めていたという話も聞いたが、とっても声が出ていて、ぼ
くはそんなの気づかなかった。歌いつつ、合いの手を入れるような感じのシ
ンセ単音演奏も非常に存在感あり。デビュー時と根本的なものは何も変わっ
ていないが、彼が現在充実していること、彼がひどく美味しい個性の持ち主
であることを痛感。中盤以降はボサっぽい曲が並んだが、それもまた彼のデ
ビュー時からの持ち味。そういえば、フォーキーなオマーという感じも少し
あるヴィクター・デイヴィス(2001年3月19日、2003年7月17日)に
半月前に取材したとき、「ボサノヴァの要素を愛好するようになったのは、
スティーヴィ・ワンダーの表現を聞いてから。そのときはそれがブラジル音
楽の要素とは知らずに、そのテイストにひかれた」みたいなことを言ってい
たが、オマーも似た経路はあるかもしれない。話はズレるが、そのスティー
ヴィやEW&F(2006年1月19)のブラジル味はセルジオ・メンデス(
2005年8月9日)&ザ・ブラジル66から来ているというのがぼくの持論
だが。
実は3月に出る彼の新作はスティーヴィ・ワンダー(2005年11月3日)
との共作曲が収められている。そこで、ワンダーは歌い、キーボード・ソロ
も弾いている。そのアルバム『シング』の解説を書いたから散々聞いた。だ
が、その後、レコード会社のA&Rからもしかするとワンダーの歌パートだ
け差し替えになるかもという連絡を受けたのだが、どーなるんだろうか。ア
ンコール時には、オマーとトンプソンが仲良く手を繋いで出てくる。些細な
ことだけど、そういうの良いな。そして、歌ったのはウィリアム・デヴォー
ンのカヴァー「ビー・サンクスフル」。アルバム(前作の『ベスト・バイ・
ファー』)ではエリカ・バドゥ(2000年11月19日)がデュエット役で
参加し、シングルのヴァージョンではアンジー・ストーン(2005年3月22
日)が歌っていた曲。ワンダーとの関わりや、そんな贅沢な事実が示すよう
に、オマーは大きな評価は得ていないが、アメリカの才ある今の本格派のR
&Bの担い手からは厚い支持を受けているのだ。
ベニー・グリーン・トリオ
2006年1月26日 米国人俊英ピアニスト。シカゴ音響系とも接点を持つ白人ベーシストと、
メジャーからのリーダー作を持つ黒人ドラマーを従えてのもの。丸の内・コ
ットンクラブ。まず、ステージに登場した彼にビックリ。だって、髪形や顔
の感じとかベック(2000年5月29日、2003年4月1日)みたいなんだ
もの。ぼくが持っていた彼のイメージは、刈り上げで口髭をちょこんと伸ば
したとってもとっぽい感じのもの。えーい、全然違うじゃん。こりゃ、両者
ともユニヴァーサル系にいるし、一緒に共演しちゃえば大笑いなのに、なん
ても思う。ベックって、そういうお茶目なところないかなあ。とともに、今
のグリーンのルックス/風情ならイケ面ジャズ・マンとして売ることも可能
と思った。少なくてもブラッド・メルドーよりは数段、いけるでしょう。と
、話は完全に別のほうに飛んだが、パフォーマンスは実にジャズとしてまっ
とう。こなれてて、洒脱でもあり、門外漢の人が見ても、ジャズ・ピアノっ
ていいなと素直に思えるものではなかったか
メジャーからのリーダー作を持つ黒人ドラマーを従えてのもの。丸の内・コ
ットンクラブ。まず、ステージに登場した彼にビックリ。だって、髪形や顔
の感じとかベック(2000年5月29日、2003年4月1日)みたいなんだ
もの。ぼくが持っていた彼のイメージは、刈り上げで口髭をちょこんと伸ば
したとってもとっぽい感じのもの。えーい、全然違うじゃん。こりゃ、両者
ともユニヴァーサル系にいるし、一緒に共演しちゃえば大笑いなのに、なん
ても思う。ベックって、そういうお茶目なところないかなあ。とともに、今
のグリーンのルックス/風情ならイケ面ジャズ・マンとして売ることも可能
と思った。少なくてもブラッド・メルドーよりは数段、いけるでしょう。と
、話は完全に別のほうに飛んだが、パフォーマンスは実にジャズとしてまっ
とう。こなれてて、洒脱でもあり、門外漢の人が見ても、ジャズ・ピアノっ
ていいなと素直に思えるものではなかったか
クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー
2006年1月24日 D.I.Y.なノリでアルバムを出し、けっこうなセールスを挙げてしまったこ
とで話題の米国5人組バンド。みんな、20代半ばちょいとか。音は(あまり
グルーヴ方面に眼を向けない場合の)トーキング・ヘッズをまず思い出させ
るが、妙な脱力感もふくめて<聞きどころある、風のあるギター・ロック>
と説明できるものだし、売れていいバンドであるのは間違いない。実演のほ
うも基本的にはアルバムのまんま。正直に録られているということもよく判
った。作曲とリード・ヴォーカルは中央に立つ、アックス・オンスワース一
人が行う。なんでも、彼が作ったデモ・テープを基にどういうふうにしよう
かとか一切決めずにバンドで録音していったら、こーなったとのことだが(
翌日、メンバーにインタヴューしたが、実に地味な、いい意味で自然体な人
達だった)。彼らの来日公演はこの日だけ、さすがにお酒が買いにいけない
ぐらいの込み具合。渋谷・クラブクアトロ。1時間ちょい。
とで話題の米国5人組バンド。みんな、20代半ばちょいとか。音は(あまり
グルーヴ方面に眼を向けない場合の)トーキング・ヘッズをまず思い出させ
るが、妙な脱力感もふくめて<聞きどころある、風のあるギター・ロック>
と説明できるものだし、売れていいバンドであるのは間違いない。実演のほ
うも基本的にはアルバムのまんま。正直に録られているということもよく判
った。作曲とリード・ヴォーカルは中央に立つ、アックス・オンスワース一
人が行う。なんでも、彼が作ったデモ・テープを基にどういうふうにしよう
かとか一切決めずにバンドで録音していったら、こーなったとのことだが(
翌日、メンバーにインタヴューしたが、実に地味な、いい意味で自然体な人
達だった)。彼らの来日公演はこの日だけ、さすがにお酒が買いにいけない
ぐらいの込み具合。渋谷・クラブクアトロ。1時間ちょい。
トリスタン・プリティマン。ウィル・コナー
2006年1月23日 渋谷・クラブクアトロ。まず、ジャック・ジョンソン(2005年5月25
日、同6月2日)〜ドノヴァン・フランケンレイター(2003年9月12
日)系の味を持つ柔和系シンガー・ソングライター(オーストラリア人で、
サーファーでもあるという)が、べーシストとドラマー(二人とも良質)を
従えてパフォーマンス。訥々、なるほどの味であり、人前でやっていい人と
感じる。
続いて、ジャック・ジョンソンの妹分みたいな売られ方もしている、女性
シンガー・ソングライターのプリティマン。サポート・ギタリスト(ときに
ギター・バンジョーも)を勤めるのはなんとジェシー・ハリス(2002年12月
21日、2005年9月7日)、そして演奏内容に合わせてパーカョション
的な演奏を主にする女性ドラマーも付く。最初は、レコードよりもかいいか
もと思ったのだが……何曲か聞くうちに、ぼくは退屈してしまったのだなあ
。なんか、聞き手に訴えてくるものが少ない。拍手や歓声も小さ目で、それ
はぼく以外の人も感じたのではないのか? 基本的な能力は持つ人と思うが
、現実の場での自分の開き方がびっくりするぐらい下手だと感じた。
日、同6月2日)〜ドノヴァン・フランケンレイター(2003年9月12
日)系の味を持つ柔和系シンガー・ソングライター(オーストラリア人で、
サーファーでもあるという)が、べーシストとドラマー(二人とも良質)を
従えてパフォーマンス。訥々、なるほどの味であり、人前でやっていい人と
感じる。
続いて、ジャック・ジョンソンの妹分みたいな売られ方もしている、女性
シンガー・ソングライターのプリティマン。サポート・ギタリスト(ときに
ギター・バンジョーも)を勤めるのはなんとジェシー・ハリス(2002年12月
21日、2005年9月7日)、そして演奏内容に合わせてパーカョション
的な演奏を主にする女性ドラマーも付く。最初は、レコードよりもかいいか
もと思ったのだが……何曲か聞くうちに、ぼくは退屈してしまったのだなあ
。なんか、聞き手に訴えてくるものが少ない。拍手や歓声も小さ目で、それ
はぼく以外の人も感じたのではないのか? 基本的な能力は持つ人と思うが
、現実の場での自分の開き方がびっくりするぐらい下手だと感じた。
新宿ピットイン40周年コンサート
2006年1月21日 40年も続いているというのは凄いナ。素晴らしい。大昔は、朝の部、昼の
部、夜の部とあり、1日3度もアーティストがブッキングされていたんだよ
なー。二日続けて行われる記念公演の初日のほう。二日目はもう少し、大御
所系の人達が出るが、この日のほうがチケットは売れているという。実は、
この日はかなり降雪模様。ぼくは一瞬出掛けるのをためらったのだが、いざ
会場に入ってみれば相当な入りでした。新宿厚生年金会館。
まず、渋さ知らず。なんと、怪我で前回ライヴを欠席していた(2006
年1月14日)赤ふんどしのお兄さんがしっかり、ギブス/松葉杖つきで登場
。わわわ。いろいろあらーな。
2番目は、ギタリストの三好“3吉”巧郎スペシャル・ユニット。井上陽
介(縦ベース)、村上秀一(ドラム)、原朋直(トランペット)、村田陽一
(トロンボーン)という編成で、比較的ストレートに且つイマジネイティヴに
。最後に、オーネット・コールマンの曲をやってびっくり。ぜんぶ、コール
マン・ナンバーで纏めたら良かったのに。
3番目は梅津和時KIKI BAND。鬼怒無月と今掘恒雄の2ギターに
て。梅津和時は本当に頭をさげたくなる人。でも、ぼくはKIKI BAND
の、彼の非ジャズ的表現の面白さがわからない。
4番目はビル・ラズウェル(2005年7月30日、同8月20日)率いる
ペイン・キラー。ジョン・ゾーン、吉田達也、近藤等則がつく。さらに日本
人ギタリストも入っていたが誰だったのだろう。
5番目はONJO、菊地成孔入り。カヒミ・カリイもけっこうフィーチャ
ーされる。ずいぶん、抑制された音の重なりを求めているのだなと思う。
この後、山下洋輔の特別編成バンドが出たはずだが、用事ありで退館。そ
して、あまりに印象に残る、最良に入る夜。
部、夜の部とあり、1日3度もアーティストがブッキングされていたんだよ
なー。二日続けて行われる記念公演の初日のほう。二日目はもう少し、大御
所系の人達が出るが、この日のほうがチケットは売れているという。実は、
この日はかなり降雪模様。ぼくは一瞬出掛けるのをためらったのだが、いざ
会場に入ってみれば相当な入りでした。新宿厚生年金会館。
まず、渋さ知らず。なんと、怪我で前回ライヴを欠席していた(2006
年1月14日)赤ふんどしのお兄さんがしっかり、ギブス/松葉杖つきで登場
。わわわ。いろいろあらーな。
2番目は、ギタリストの三好“3吉”巧郎スペシャル・ユニット。井上陽
介(縦ベース)、村上秀一(ドラム)、原朋直(トランペット)、村田陽一
(トロンボーン)という編成で、比較的ストレートに且つイマジネイティヴに
。最後に、オーネット・コールマンの曲をやってびっくり。ぜんぶ、コール
マン・ナンバーで纏めたら良かったのに。
3番目は梅津和時KIKI BAND。鬼怒無月と今掘恒雄の2ギターに
て。梅津和時は本当に頭をさげたくなる人。でも、ぼくはKIKI BAND
の、彼の非ジャズ的表現の面白さがわからない。
4番目はビル・ラズウェル(2005年7月30日、同8月20日)率いる
ペイン・キラー。ジョン・ゾーン、吉田達也、近藤等則がつく。さらに日本
人ギタリストも入っていたが誰だったのだろう。
5番目はONJO、菊地成孔入り。カヒミ・カリイもけっこうフィーチャ
ーされる。ずいぶん、抑制された音の重なりを求めているのだなと思う。
この後、山下洋輔の特別編成バンドが出たはずだが、用事ありで退館。そ
して、あまりに印象に残る、最良に入る夜。
ザ・デッド・60s
2006年1月20日 リヴァプールの新進ダブ・パンク・バンド。そのデビュー作を聞いて初期
ジョー・ジャクソンを思い出させるところがあって、JJの大ファンだった
ぼくは気になっていた。実演に触れると、ザ・クラッシュ、ギターの絡みか
ら『ドラムス&ワイヤーズ』のころのXTC、さらには2トーン系までを
思い出せる。新しい要素は何もないが、いい要素をちゃんと見渡し自分の中
に取りいれて、それをけれん味なく、伸び伸びと開いている様には大層好感
をいだく。けっこう、実演能力も持つし。やっぱし、いいバンドでした。恵
比寿・リキッドルーム。
ジョー・ジャクソンを思い出させるところがあって、JJの大ファンだった
ぼくは気になっていた。実演に触れると、ザ・クラッシュ、ギターの絡みか
ら『ドラムス&ワイヤーズ』のころのXTC、さらには2トーン系までを
思い出せる。新しい要素は何もないが、いい要素をちゃんと見渡し自分の中
に取りいれて、それをけれん味なく、伸び伸びと開いている様には大層好感
をいだく。けっこう、実演能力も持つし。やっぱし、いいバンドでした。恵
比寿・リキッドルーム。
アース・ウィンド&ファイア
2006年1月19日 アースというと、関西大震災を思い出す。今から11年前の春に彼らは日本
ツアーをやったことがあり、そのときぼくはツアー同行取材というオファー
を受け、時間の許すかぎり彼らと一緒に動いたことがあったのだ。で、大阪
公演に向かう羽田からの飛行機が伊丹空港に下りるとき、青いビニール・シ
ーツで覆ってある建物をたくさん眼下に見て、その被害の様/ヤバさをリア
ルに感じたのだ。
そのときのツアーは相当に豪華だった。詳細は忘れたが、メイクや衣服担
当の人まで、ご一行はかなりな人数だったよなー。いいホテルにもいろいろと
泊まった。春なのに札幌では雪が降ったし、名古屋は生まれて初めて行った
。馴染みの深い日本武道館の初めて足をふみいれる裏側には感慨を覚えたり
もした。そのとき彼らがライヴ盤を録ったヴェルファーレでは東京に戻って
きてホっとしたのもあったのかしこたま飲みけっこう酔っぱっちゃって、そ
れで逆にあちらのスタッフに顔を覚えてもらったり打ち解けたりもした。あ
あ飲める人間で良かったと、そのとき痛感したかなー。
メンバーのなかで、モーリス・ホワイトだけが別格で、校長先生のような
存在。彼だけ楽屋が別で、各会場でのサウンド・チェックは弟のヴァーディ
ン・ホワイトが中心にやっていた。そして、彼が出てくるととどこかみんな
のなかにピリっとした空気が流れる。へえ。とかなんとか、巨大バンドの表
と裏や大型コンサート/ツアーの様々な内側までを見ることができた、あの
ときの経験はとっても得難いものだと今も思っている。
ライヴはもちろん、ツアーをするのを引退しているモーリス抜きによるも
の。ヴァーディン(取材したけど、受け答えが本当にクールな、且つおしゃ
れな人)やフィリップ・ベイリー(2003年10月12日)ら3人のコア・メンバ
ーに加え、ヴォーカル、2ギター、ドラム、トランペット、サックス、トロ
ンボーン、ドラムスという計11人によるパフォーマンス。近年のアース表現
にも関与しているキーボードのマイロン・マッキンレイ(ぼくが大好きだっ
たチェロキーの99年作をプロデュースしてもいる)が音楽監督とか。
日本武道館。7時にきっかり客電が落ち、始まる。アンコール1曲を含め
20曲強をやって、終わったのは8時46分ごろ。前日はアンコールがなく、し
かもセットリストの最後にあった有名曲2、3曲をはしょったという。一部
はプリセット音を使い、音と照明を連動させていると思うのだが、けっこう
臨機応変にやっているのかなあ。で、前半はけっこう切れ目なく短めで楽曲
を続けたりも。とうぜん、有名曲中心の曲揃えで、若干キレがなくなったり
とか思うところはあるのだがやはりパブロフの犬になりますね。ブラック・
アイド・ピーズ(2001年2月7日、2004年2月11日)のウィル・アイ・
アム他が関与した新作『イルミネーション』からも5曲ぐらいはやったかな
。けっこう、ヴォーカル陣はパーカッションを叩いたりもし、EW&Fのサ
ウンドってラテン・ファンクでもあったのだよなあと実感。
ツアーをやったことがあり、そのときぼくはツアー同行取材というオファー
を受け、時間の許すかぎり彼らと一緒に動いたことがあったのだ。で、大阪
公演に向かう羽田からの飛行機が伊丹空港に下りるとき、青いビニール・シ
ーツで覆ってある建物をたくさん眼下に見て、その被害の様/ヤバさをリア
ルに感じたのだ。
そのときのツアーは相当に豪華だった。詳細は忘れたが、メイクや衣服担
当の人まで、ご一行はかなりな人数だったよなー。いいホテルにもいろいろと
泊まった。春なのに札幌では雪が降ったし、名古屋は生まれて初めて行った
。馴染みの深い日本武道館の初めて足をふみいれる裏側には感慨を覚えたり
もした。そのとき彼らがライヴ盤を録ったヴェルファーレでは東京に戻って
きてホっとしたのもあったのかしこたま飲みけっこう酔っぱっちゃって、そ
れで逆にあちらのスタッフに顔を覚えてもらったり打ち解けたりもした。あ
あ飲める人間で良かったと、そのとき痛感したかなー。
メンバーのなかで、モーリス・ホワイトだけが別格で、校長先生のような
存在。彼だけ楽屋が別で、各会場でのサウンド・チェックは弟のヴァーディ
ン・ホワイトが中心にやっていた。そして、彼が出てくるととどこかみんな
のなかにピリっとした空気が流れる。へえ。とかなんとか、巨大バンドの表
と裏や大型コンサート/ツアーの様々な内側までを見ることができた、あの
ときの経験はとっても得難いものだと今も思っている。
ライヴはもちろん、ツアーをするのを引退しているモーリス抜きによるも
の。ヴァーディン(取材したけど、受け答えが本当にクールな、且つおしゃ
れな人)やフィリップ・ベイリー(2003年10月12日)ら3人のコア・メンバ
ーに加え、ヴォーカル、2ギター、ドラム、トランペット、サックス、トロ
ンボーン、ドラムスという計11人によるパフォーマンス。近年のアース表現
にも関与しているキーボードのマイロン・マッキンレイ(ぼくが大好きだっ
たチェロキーの99年作をプロデュースしてもいる)が音楽監督とか。
日本武道館。7時にきっかり客電が落ち、始まる。アンコール1曲を含め
20曲強をやって、終わったのは8時46分ごろ。前日はアンコールがなく、し
かもセットリストの最後にあった有名曲2、3曲をはしょったという。一部
はプリセット音を使い、音と照明を連動させていると思うのだが、けっこう
臨機応変にやっているのかなあ。で、前半はけっこう切れ目なく短めで楽曲
を続けたりも。とうぜん、有名曲中心の曲揃えで、若干キレがなくなったり
とか思うところはあるのだがやはりパブロフの犬になりますね。ブラック・
アイド・ピーズ(2001年2月7日、2004年2月11日)のウィル・アイ・
アム他が関与した新作『イルミネーション』からも5曲ぐらいはやったかな
。けっこう、ヴォーカル陣はパーカッションを叩いたりもし、EW&Fのサ
ウンドってラテン・ファンクでもあったのだよなあと実感。
映画『グッドナイト&グッドラック』。マーク・マーフィ
2006年1月18日 まず、6時から赤坂の試写室で、ジョージ・クルーニーが監督した映画『
グッドナイト&グッドラック』を見る。TV時代の幕開けにあった50年代初
頭の“赤狩り”のころ、それに抵抗したCBSテレビ社員/キャスターのエ
ド・マローの様を描いたもの。当時の白黒の実映像もふんだんに使われ、そ
れもあり全編モノクロによる作品。非常に地味で、生真面目な社会派映画。
そういうものが出てくるのは、なにげに今のご時世らしい? 音楽はダイア
ン・リーヴス(2001年4月24日)による録り下ろしの純ジャズ・ヴォーカ
ル・パフォーマンスだけ(ちょっと、実演シーンもある。そういえば、黒人
の登場人物は彼女だけだな)。他に、効果音的な音楽はいっさい使われない
。映画はノスタルジックな思いも誘発するかもしれないアメリカの希望や
良心を描いているが、ジャズもまた自由を感じさせる音楽として使われてい
るのだなと実感できるところがある。とともに、やはり50年前後の一番粋で
力があった音楽がジャズであるということも。それから、タバコを吸ってる
シーンだらけ(放送中も許されたんだなあ)で、それが隔世の感アリじゃの
おと思わせる。あと、当時のCBSって社内結婚がご法度だったんですね。
なお、映画のタイトルはマローが番組の最後にいつも言っていた台詞だ。
その後、丸の内・コットンクラブでマーク・マーフィを堪能。ヴォーカリ
ーズやスキャットなどが大得意の、テクニックや精神的な面でトップクラス
にジャズ・ヴォーカルらしいジャズ・ヴォーカルと言うことができそうなこ
とをずっとやっている人。彼の新作をプロデュースしたドイツ人トランペ
ッターのティル・ブレナーを従えてのパフォーマンスとなる。とにかく、ま
ず驚かされたのはその若さ。身体は太くなっているが、とても70才代の人と
は思えない。ほんと、50才代にしか見えないよな。でも、それなりに歳もと
っているし、かなりつくろぐ方向でやるのかと思えば、ぼくのイメージどお
りの洒脱かっとび方向で飄々と行ってくれて嬉しかったし、ぼくは存分に楽
しんだ。バックのピアノ・トリオもソツなく(上品そうな外見もまたよろし
)、なかなか。彼は来週の二日間はピアニストとのデュオでやる。もっと気
儘に、奔放にやってくれそうで、彼の醍醐味はもっとストレートに伝わって
きそうで実に見たい。でも、ロックのライヴ予定と重なってるんだよなー。
なんとか、ならないかなあー。
グッドナイト&グッドラック』を見る。TV時代の幕開けにあった50年代初
頭の“赤狩り”のころ、それに抵抗したCBSテレビ社員/キャスターのエ
ド・マローの様を描いたもの。当時の白黒の実映像もふんだんに使われ、そ
れもあり全編モノクロによる作品。非常に地味で、生真面目な社会派映画。
そういうものが出てくるのは、なにげに今のご時世らしい? 音楽はダイア
ン・リーヴス(2001年4月24日)による録り下ろしの純ジャズ・ヴォーカ
ル・パフォーマンスだけ(ちょっと、実演シーンもある。そういえば、黒人
の登場人物は彼女だけだな)。他に、効果音的な音楽はいっさい使われない
。映画はノスタルジックな思いも誘発するかもしれないアメリカの希望や
良心を描いているが、ジャズもまた自由を感じさせる音楽として使われてい
るのだなと実感できるところがある。とともに、やはり50年前後の一番粋で
力があった音楽がジャズであるということも。それから、タバコを吸ってる
シーンだらけ(放送中も許されたんだなあ)で、それが隔世の感アリじゃの
おと思わせる。あと、当時のCBSって社内結婚がご法度だったんですね。
なお、映画のタイトルはマローが番組の最後にいつも言っていた台詞だ。
その後、丸の内・コットンクラブでマーク・マーフィを堪能。ヴォーカリ
ーズやスキャットなどが大得意の、テクニックや精神的な面でトップクラス
にジャズ・ヴォーカルらしいジャズ・ヴォーカルと言うことができそうなこ
とをずっとやっている人。彼の新作をプロデュースしたドイツ人トランペ
ッターのティル・ブレナーを従えてのパフォーマンスとなる。とにかく、ま
ず驚かされたのはその若さ。身体は太くなっているが、とても70才代の人と
は思えない。ほんと、50才代にしか見えないよな。でも、それなりに歳もと
っているし、かなりつくろぐ方向でやるのかと思えば、ぼくのイメージどお
りの洒脱かっとび方向で飄々と行ってくれて嬉しかったし、ぼくは存分に楽
しんだ。バックのピアノ・トリオもソツなく(上品そうな外見もまたよろし
)、なかなか。彼は来週の二日間はピアニストとのデュオでやる。もっと気
儘に、奔放にやってくれそうで、彼の醍醐味はもっとストレートに伝わって
きそうで実に見たい。でも、ロックのライヴ予定と重なってるんだよなー。
なんとか、ならないかなあー。
渋さ知らズオーケストラ
2006年1月14日 渋谷・Oイースト。フルハウス。客層は本当にフジ・ロックに来てそうな
人々。レコード発売記念のライヴ。ぐびぐび。赤ふんどしの煽り役の人は、
今年明けにあったヨーロッパ・ツアーの記録映像上映会でどってことなく膝
を割ったとかで、不出場。ステージの背景にはその欧州撮映像が流され、と
っても面白い場面もあって、ステージ以上にそれを目で追ったときも。ゲス
トでカルメン・マキ。へえ。なんでもあり。どうにでも行く。だからこその
、強く、濃いコアが透ける。3時間ぐらいやったけ? 深夜、バーから外に
出ると異常にあったかくてびっくり。今度の冬は12月から寒すぎます。
人々。レコード発売記念のライヴ。ぐびぐび。赤ふんどしの煽り役の人は、
今年明けにあったヨーロッパ・ツアーの記録映像上映会でどってことなく膝
を割ったとかで、不出場。ステージの背景にはその欧州撮映像が流され、と
っても面白い場面もあって、ステージ以上にそれを目で追ったときも。ゲス
トでカルメン・マキ。へえ。なんでもあり。どうにでも行く。だからこその
、強く、濃いコアが透ける。3時間ぐらいやったけ? 深夜、バーから外に
出ると異常にあったかくてびっくり。今度の冬は12月から寒すぎます。
ジ・オール・アメリカン・リジェクツ、ティーガン&サラ
2006年1月11日 渋谷・クアトロ。まず前座で、ニール・ヤングに認められ、彼が関与す
るレーベル“ヴェイパー”からアルバムをずっと出している一卵性双生児の
女性デュオであるティーガン&サラ。かつてフジ・ロックに出演したことも
ある二人はギターを持って歌い(曲によりリード・ヴォーカルをそれぞれ
取る。妹のサラのほうが少し魅力的な声だと感じた)、さらにギター、ベー
ス、ドラムがサポート。で、これが繊細な作りのアルバムと比較にならない
ぐらいロックっぽいものでいささか驚く。ドラムがいいこともそう思わせた
要因だが、彼だけが新しいメンバーで、当人は本来R&Bが得意で、ロック
は苦手と言っているのだとか。なんにせよ、若々しい迸りが出ていて、ぼく
はライヴのほうがいいと少し思った。二人はアルバムとライヴは別モノと考
えているという。40分ジャストのパフォーマンス。
彼女たちはカナダ人で現在仕事のないときはヴァンクーバーとモントリオ
ール、別々に住んでいるそうな。アメリカに引っ越す気はないのと問うと、
仕事で過ごす時間は長いけど、あんな姿勢を持つ国には住みたくないときっ
ぱり。側で見ると二人はやはりよく似ている(おねえちゃんのほうが、口ピ
アスをしている)し、ステージに立っているときよりも可愛らしく感じられ
ます。そういえば、契約するときニール・ヤングは「君達の音楽がよく判ら
ない。でも、ザ・ビートルズも最初は良さが判らなかったんだ」と、彼女た
ちに言ったそう。
そしてジ・オール・アメリカン・リジェクツ。おお、ルックスがいいバン
ド。それだけで、受ける理由はあると思えた。生理的に陰りのない、ハード
・ポップ・サウンドをサクっと披露。その音にぼくの居場所を見つけること
はできなかったが……。若い人のための、若いバンド。1時間弱の演奏時間
。なお、両者一緒のツアーは日本だけとか。
るレーベル“ヴェイパー”からアルバムをずっと出している一卵性双生児の
女性デュオであるティーガン&サラ。かつてフジ・ロックに出演したことも
ある二人はギターを持って歌い(曲によりリード・ヴォーカルをそれぞれ
取る。妹のサラのほうが少し魅力的な声だと感じた)、さらにギター、ベー
ス、ドラムがサポート。で、これが繊細な作りのアルバムと比較にならない
ぐらいロックっぽいものでいささか驚く。ドラムがいいこともそう思わせた
要因だが、彼だけが新しいメンバーで、当人は本来R&Bが得意で、ロック
は苦手と言っているのだとか。なんにせよ、若々しい迸りが出ていて、ぼく
はライヴのほうがいいと少し思った。二人はアルバムとライヴは別モノと考
えているという。40分ジャストのパフォーマンス。
彼女たちはカナダ人で現在仕事のないときはヴァンクーバーとモントリオ
ール、別々に住んでいるそうな。アメリカに引っ越す気はないのと問うと、
仕事で過ごす時間は長いけど、あんな姿勢を持つ国には住みたくないときっ
ぱり。側で見ると二人はやはりよく似ている(おねえちゃんのほうが、口ピ
アスをしている)し、ステージに立っているときよりも可愛らしく感じられ
ます。そういえば、契約するときニール・ヤングは「君達の音楽がよく判ら
ない。でも、ザ・ビートルズも最初は良さが判らなかったんだ」と、彼女た
ちに言ったそう。
そしてジ・オール・アメリカン・リジェクツ。おお、ルックスがいいバン
ド。それだけで、受ける理由はあると思えた。生理的に陰りのない、ハード
・ポップ・サウンドをサクっと披露。その音にぼくの居場所を見つけること
はできなかったが……。若い人のための、若いバンド。1時間弱の演奏時間
。なお、両者一緒のツアーは日本だけとか。
ザ・ベース&グルーヴ
2006年1月9日 もう、いろんなエクトリック・ベース音が溢れ、ベース技がてんこもり。
……ベース・マガジンが企画した、同名の日本人ベーシストたちが主役にな
ったコンピ盤発売を記念してのライヴ・イヴェント。新宿ロフト。メインの
ステージとサブ・ステージ(トーク・ショウやソロ・パフォーマンス用)が
交互につかわれる。盛況、かなりな入り。ステージがあんまり見えないよ〜
ん。TOKIEや日野賢二らをフィーチャーするパフォーマンス、その他。音楽
的にはバラバラだが、ベースという楽器を愛でるという軸は共通。なんか、
生理的に健全なイヴェントという感じがしました。
……ベース・マガジンが企画した、同名の日本人ベーシストたちが主役にな
ったコンピ盤発売を記念してのライヴ・イヴェント。新宿ロフト。メインの
ステージとサブ・ステージ(トーク・ショウやソロ・パフォーマンス用)が
交互につかわれる。盛況、かなりな入り。ステージがあんまり見えないよ〜
ん。TOKIEや日野賢二らをフィーチャーするパフォーマンス、その他。音楽
的にはバラバラだが、ベースという楽器を愛でるという軸は共通。なんか、
生理的に健全なイヴェントという感じがしました。
ザ・マンハッタンズ
2006年1月7日 全米No.1ヒット「キス&セイ・グッバイ」他の著名ヒットを持つ、ニュー
ジャージーの大御所ヴォーカル・グループ。場所は、丸の内・コットンクラブ
(セカンド)。オリジナル・メンバーはベース・ヴォーカルのウィンフレッ
ド・ラヴェットだけだが、グループ中興の祖というべき存在であり、ソロと
してのキャリアも輝かしいジェラルド・アルストンがグループに戻っている
のだから、なんの文句もない。バック・バンドはキーボード2、ギター、ベ
ース、ドラムという布陣。若い顔したギタリストをラヴェットは甥と紹介し
てた。また、彼はキーボードの一人をミュージカル・ディレクター、ドラマ
をバンド・リーダーと紹介していました。
リードはすべてアルストンが取る。そして、それを他の3人がコーラスで
ふんわり持ち上げる。もちろん、ソウル・コーラス・グループ特有の振り付
けもあり。ただし、杖をついてステージに出てきた一人だけ年長に見えるラ
ヴェットは座っていて、踊りには交じらず。でも、彼は渋い低音で語りやMC
をし気分を盛り上げ、存在感を出し、それはそれで風情があると思わせる。
曲はけっこう切れ目なしに。終盤、ゴスペルっぽいイントロに導かれて、
アルストンだけがステージに立って歌ったのは、サム・クックの「ア・チェ
ンジ・イズ・ゴナ・カム」。おお。もともとクック・フォロワー濃厚な乗り
を出していた彼ではあるのだが。鬼のような名曲であり、それを彼は見事に
歌いきる。このときが、一番客席側の歓声も高かったかも。いいもの、聞か
せていただきました。
フロントの4人は、それぞれ赤、青、紫、水色と色違いの特殊仕様のスー
ツ(シャツやエナメルの靴も同色でまとめる)を身にまとい、バックは白基
調の衣服でまめとめている。そういう様式って、本当にいいな。その色違い
のスーツはこの日(3日目となる)が初めて披露するとかで、彼らはいくつ
も服を持ってきているよう。昨年末のザ・ウィスパーズ(2005年12月21
日)のほうが充実度は高かったが、この日もウキっとなれるソウル・ショウ
。続けざまに美味しいソウルのもろもろに触れ、ぼくは“ソウル・コーラス
・グループ振り付け同好会”を作りたくなっちゃった。
この会場、ソウル〜大人ポップ系が多いのかと思ったら、この後のしばら
くはジャズ系が続く。1月23日と24日は粋と冒険を重ねられる名ジャズ歌手
マーク・マーフィ(クラブ・ミュージック側からの再評価の機運もあります
ね)と歌モノのバッキングが得意なピアニストのジョシュア・ウルフによる
デュオがあり、26日〜30日はブルーノートやテラーク等からリーダー作を安
定して出している敏腕ピアニストのベニー・グリーンのトリオ、そして31日
から2月5日まではずっとワーナー系に所属しているサイラス・チェスナッ
トのピアノ・トリオと続く。グリーンは白人、チェスナットは黒人という違
いはあれど二人とも1963年生まれで、似た時期に豊穣テクニシャンとして脚
光を浴びたということでは重なりますね。それと二人ともベティ・カーター
(カサンドラ・ウィルソンが土下座しちゃう偉人ジャズ・シンガーね)に雇
われた経験があるというのも。チェスナットのトリオは前に来日したとき
と同じ気心の知れたリズム隊を率いてのもの。一方、グリーンのほうは、ベ
ースはシカゴ音響派系トランペッターのロブ・マズレク(2004年1月20
日他)のバンドにかつていたこともあるジョン・ウェバーで、ドラムスはア
トンクティック他からリーダー作を出し、サイドマンとしても引く手あまた
のカール・アレンだ。チェスナットも、アレンをずっと雇っていたことがあ
った。そして、その後はザ・デューク・オブ・デキシーランドというディキ
シーのグループも出るという。
ジャージーの大御所ヴォーカル・グループ。場所は、丸の内・コットンクラブ
(セカンド)。オリジナル・メンバーはベース・ヴォーカルのウィンフレッ
ド・ラヴェットだけだが、グループ中興の祖というべき存在であり、ソロと
してのキャリアも輝かしいジェラルド・アルストンがグループに戻っている
のだから、なんの文句もない。バック・バンドはキーボード2、ギター、ベ
ース、ドラムという布陣。若い顔したギタリストをラヴェットは甥と紹介し
てた。また、彼はキーボードの一人をミュージカル・ディレクター、ドラマ
をバンド・リーダーと紹介していました。
リードはすべてアルストンが取る。そして、それを他の3人がコーラスで
ふんわり持ち上げる。もちろん、ソウル・コーラス・グループ特有の振り付
けもあり。ただし、杖をついてステージに出てきた一人だけ年長に見えるラ
ヴェットは座っていて、踊りには交じらず。でも、彼は渋い低音で語りやMC
をし気分を盛り上げ、存在感を出し、それはそれで風情があると思わせる。
曲はけっこう切れ目なしに。終盤、ゴスペルっぽいイントロに導かれて、
アルストンだけがステージに立って歌ったのは、サム・クックの「ア・チェ
ンジ・イズ・ゴナ・カム」。おお。もともとクック・フォロワー濃厚な乗り
を出していた彼ではあるのだが。鬼のような名曲であり、それを彼は見事に
歌いきる。このときが、一番客席側の歓声も高かったかも。いいもの、聞か
せていただきました。
フロントの4人は、それぞれ赤、青、紫、水色と色違いの特殊仕様のスー
ツ(シャツやエナメルの靴も同色でまとめる)を身にまとい、バックは白基
調の衣服でまめとめている。そういう様式って、本当にいいな。その色違い
のスーツはこの日(3日目となる)が初めて披露するとかで、彼らはいくつ
も服を持ってきているよう。昨年末のザ・ウィスパーズ(2005年12月21
日)のほうが充実度は高かったが、この日もウキっとなれるソウル・ショウ
。続けざまに美味しいソウルのもろもろに触れ、ぼくは“ソウル・コーラス
・グループ振り付け同好会”を作りたくなっちゃった。
この会場、ソウル〜大人ポップ系が多いのかと思ったら、この後のしばら
くはジャズ系が続く。1月23日と24日は粋と冒険を重ねられる名ジャズ歌手
マーク・マーフィ(クラブ・ミュージック側からの再評価の機運もあります
ね)と歌モノのバッキングが得意なピアニストのジョシュア・ウルフによる
デュオがあり、26日〜30日はブルーノートやテラーク等からリーダー作を安
定して出している敏腕ピアニストのベニー・グリーンのトリオ、そして31日
から2月5日まではずっとワーナー系に所属しているサイラス・チェスナッ
トのピアノ・トリオと続く。グリーンは白人、チェスナットは黒人という違
いはあれど二人とも1963年生まれで、似た時期に豊穣テクニシャンとして脚
光を浴びたということでは重なりますね。それと二人ともベティ・カーター
(カサンドラ・ウィルソンが土下座しちゃう偉人ジャズ・シンガーね)に雇
われた経験があるというのも。チェスナットのトリオは前に来日したとき
と同じ気心の知れたリズム隊を率いてのもの。一方、グリーンのほうは、ベ
ースはシカゴ音響派系トランペッターのロブ・マズレク(2004年1月20
日他)のバンドにかつていたこともあるジョン・ウェバーで、ドラムスはア
トンクティック他からリーダー作を出し、サイドマンとしても引く手あまた
のカール・アレンだ。チェスナットも、アレンをずっと雇っていたことがあ
った。そして、その後はザ・デューク・オブ・デキシーランドというディキ
シーのグループも出るという。
リッキー・リー・ジョーンズ(29日)
2005年12月31日 素晴らしい。彼女がサポートのミュージシャンとともにパフォーマンスを
始めたとたん、すぐに思った。前回の来日公演(2004年3月26日)とバ
ッキング陣の編成(もちろん、顔ぶれも)がぜんぜん違うんだもの。前回は
キーボード奏者やサックス奏者がいた。当然のことながら、求める音の感じ
も大きく違う。どういう経緯でそうなったかもちろん知らないが、いろんな
表情を受けられるというのは嬉しいものだ。事実、彼女は出すべき様々な内
実を持っているわけだし。
バックはトニー・シェアー(セックスモブ、ジェシー・ハリスのザ・フェ
ルディナンドス、ノラ・ジョーンズ、ビル・フリゼール)をはじめとする、
弦楽器奏者3人。ジョーンズもギターを手にしたりする(生と電気をそれ
ぞれ。歌だけのときも)ので、多いときには3本のギターと電気ベースとい
う編成でやるのだが、鷹揚ながらちゃんとギター陣の住み分けがなされてい
て、感心。ジョーイ・マランバという若いベース奏者はボウを用いて演奏す
る時もあったしなあ。前回のようにジャズ的広がりを介する部分はなかった
が、くだけた笑顔があるこちら(男性陣はコーラスをしたりも)はこちらで
大いなる味あり。というか、昔からのファンは今回の設定のほうが嬉しく、
親しみやすく感じたのではないか。
途中でリトル・フィートの人気曲「ウィーリン」もやる。フィートは超大
好きなグループではあったが、リズム/グルーヴ志向の強いぼくにとって、
フォークなこの曲は彼らの中ではどーでもいい曲。ではあったけど、彼女た
ちのそれはとってもフフフとなれた。それにしても、こんな曲も聞けるとは
! 作者の故ローエル・ジョージの尽力で彼女はワーナーと契約したんだっ
けか。そのカヴァー、ぜんぜん感傷的なところはあまりせんでした(それも
良かった)。
実は今回のパフォーマンス、上出の弦楽器奏者に加えてドラムのアントン
・フィアー(元ザ・フィーリーズ、マテリアル、ザ・ゴールデン・パロミノス
)が加わるはずだった。実際、日本にはやってきたのだが、東京の前に京都
でやったライヴかなんかでジョーンズと意見が合わず、彼は米国に帰ってし
まったらしい。おお。フィアーが入ったらどんなバンド・サウンドになった
だろうかと夢想しちゃうところはあるが、なあなあで行かずにお互いのミュ
ージシャンシップをぶつけ合った結果なのだろうから十分に納得がいく。フィ
アーはマシュウ・スウィートやロリ・カーソンなど、シンガー・ソングライタ
ー作品のプロデューサーとしてもかなりの腕を奮った人。マケイル・スタイ
プ他いろんなゲスト・シンガーを擁したザ・ゴールデン・パロミノス表現も
当初はパンク・ジャズ・ユニットだったが、イマジネイティヴで歌心あふれ
る大人のアメリカン・ロックを紡ぎだそうとした名バンドであったし。そん
な彼は彼なりに、いろいろ思うところはあったのだろう。
それからもう一つ書き留めておかなければならないのは、ベーシスト(主
にアコースティック)ととして活躍しているシェアーがギタリストとしてここには参加していたという事実。けっこうスライド・バーを多用したりして、リーに
寄り添う。二人だけでパフォーマンスするときもあったし、なかなかジョー
ンズとシェアーの関係はうまくいっているように見えた。ミュージシャンの
ネットワークっておもしろい。ジョーンズはLAなはずだけど、シェアー(
フィアーもだが)はNYだしな。
最後のほう、ジョーンズはピアノを弾き語りする。そのとき、シェアーは
アコースティック・ベースを手にしたりもしたのだが、どうやら知らない曲
だったようで、ほとんど彼女のピアノを弾く指を追いながら、非常におぼつ
かない感じで弾く。そういう面に顕著なように、気儘に曲を選んでいたと
ころもあったのかもしれない。
なんかいろいろあった一年だったけど、いい締めくくりと思えたライヴ。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。明後日は彼女、カウントダ
ウンもするのか。関係ないけど、ブルーノートNYのニューイアーズ・イヴ
(と、元旦)はカサンドラ・ウィルソンの出演。バックはブランドン・ロス
とマーヴィン・スーウェルの二大個性派ギタリストの揃い踏みなんだよなあ
。
始めたとたん、すぐに思った。前回の来日公演(2004年3月26日)とバ
ッキング陣の編成(もちろん、顔ぶれも)がぜんぜん違うんだもの。前回は
キーボード奏者やサックス奏者がいた。当然のことながら、求める音の感じ
も大きく違う。どういう経緯でそうなったかもちろん知らないが、いろんな
表情を受けられるというのは嬉しいものだ。事実、彼女は出すべき様々な内
実を持っているわけだし。
バックはトニー・シェアー(セックスモブ、ジェシー・ハリスのザ・フェ
ルディナンドス、ノラ・ジョーンズ、ビル・フリゼール)をはじめとする、
弦楽器奏者3人。ジョーンズもギターを手にしたりする(生と電気をそれ
ぞれ。歌だけのときも)ので、多いときには3本のギターと電気ベースとい
う編成でやるのだが、鷹揚ながらちゃんとギター陣の住み分けがなされてい
て、感心。ジョーイ・マランバという若いベース奏者はボウを用いて演奏す
る時もあったしなあ。前回のようにジャズ的広がりを介する部分はなかった
が、くだけた笑顔があるこちら(男性陣はコーラスをしたりも)はこちらで
大いなる味あり。というか、昔からのファンは今回の設定のほうが嬉しく、
親しみやすく感じたのではないか。
途中でリトル・フィートの人気曲「ウィーリン」もやる。フィートは超大
好きなグループではあったが、リズム/グルーヴ志向の強いぼくにとって、
フォークなこの曲は彼らの中ではどーでもいい曲。ではあったけど、彼女た
ちのそれはとってもフフフとなれた。それにしても、こんな曲も聞けるとは
! 作者の故ローエル・ジョージの尽力で彼女はワーナーと契約したんだっ
けか。そのカヴァー、ぜんぜん感傷的なところはあまりせんでした(それも
良かった)。
実は今回のパフォーマンス、上出の弦楽器奏者に加えてドラムのアントン
・フィアー(元ザ・フィーリーズ、マテリアル、ザ・ゴールデン・パロミノス
)が加わるはずだった。実際、日本にはやってきたのだが、東京の前に京都
でやったライヴかなんかでジョーンズと意見が合わず、彼は米国に帰ってし
まったらしい。おお。フィアーが入ったらどんなバンド・サウンドになった
だろうかと夢想しちゃうところはあるが、なあなあで行かずにお互いのミュ
ージシャンシップをぶつけ合った結果なのだろうから十分に納得がいく。フィ
アーはマシュウ・スウィートやロリ・カーソンなど、シンガー・ソングライタ
ー作品のプロデューサーとしてもかなりの腕を奮った人。マケイル・スタイ
プ他いろんなゲスト・シンガーを擁したザ・ゴールデン・パロミノス表現も
当初はパンク・ジャズ・ユニットだったが、イマジネイティヴで歌心あふれ
る大人のアメリカン・ロックを紡ぎだそうとした名バンドであったし。そん
な彼は彼なりに、いろいろ思うところはあったのだろう。
それからもう一つ書き留めておかなければならないのは、ベーシスト(主
にアコースティック)ととして活躍しているシェアーがギタリストとしてここには参加していたという事実。けっこうスライド・バーを多用したりして、リーに
寄り添う。二人だけでパフォーマンスするときもあったし、なかなかジョー
ンズとシェアーの関係はうまくいっているように見えた。ミュージシャンの
ネットワークっておもしろい。ジョーンズはLAなはずだけど、シェアー(
フィアーもだが)はNYだしな。
最後のほう、ジョーンズはピアノを弾き語りする。そのとき、シェアーは
アコースティック・ベースを手にしたりもしたのだが、どうやら知らない曲
だったようで、ほとんど彼女のピアノを弾く指を追いながら、非常におぼつ
かない感じで弾く。そういう面に顕著なように、気儘に曲を選んでいたと
ころもあったのかもしれない。
なんかいろいろあった一年だったけど、いい締めくくりと思えたライヴ。
丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。明後日は彼女、カウントダ
ウンもするのか。関係ないけど、ブルーノートNYのニューイアーズ・イヴ
(と、元旦)はカサンドラ・ウィルソンの出演。バックはブランドン・ロス
とマーヴィン・スーウェルの二大個性派ギタリストの揃い踏みなんだよなあ
。
川下直広トリオ
2005年12月22日 川下直広(テナー)、不破大輔(ベース)、岡村太(ドラム)。いやあ、
ジャズ。ストロングなジャズ。尊厳を持つジャズ。川下と不破というと、同
じトリオ編成でやっていたフェダインのことを思い出したりもするが、もっ
と実直な歌心を出していたりもし、それは月日の流れや積み重ねを実感させ
たか。とにもかくにも、川下のテナーは素晴らしい。
早稲田・茶箱(近所の神社はお祭りをやっていた)。セカンド・ショウを
見て、そのあとエイベックス・イオと契約した渋さ知らズ(2004年8月1
日、2004年9月1日、他)率いる不破にインタヴュー。クルマで来てて
飲めない彼に遠慮せず、グビグビ飲みながら楽しくお話。今年の欧州ツアー
を記録した30枚組ボックスは実現化するか(エイベックス発売とは別で)。
ジャズ。ストロングなジャズ。尊厳を持つジャズ。川下と不破というと、同
じトリオ編成でやっていたフェダインのことを思い出したりもするが、もっ
と実直な歌心を出していたりもし、それは月日の流れや積み重ねを実感させ
たか。とにもかくにも、川下のテナーは素晴らしい。
早稲田・茶箱(近所の神社はお祭りをやっていた)。セカンド・ショウを
見て、そのあとエイベックス・イオと契約した渋さ知らズ(2004年8月1
日、2004年9月1日、他)率いる不破にインタヴュー。クルマで来てて
飲めない彼に遠慮せず、グビグビ飲みながら楽しくお話。今年の欧州ツアー
を記録した30枚組ボックスは実現化するか(エイベックス発売とは別で)。
ザ・ウィスパーズ
2005年12月21日 素晴らしいソウル・ショウを堪能。ソウルっていいな、ちゃんとツアー・
サーキットをやっているソウル・バンドって受け取り所ありすぎるなと思わ
ずにはいられなかった晩。これ、たぶん05年でいちばんぼくがニコニコしち
ゃった公演だと思う。丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ。
前回の来日公演の項(1999年5月20日)でもかなり褒めたことを書いて
いるが、すべての面でもっともっと魅力的なショウを彼らは繰り広げた。バ
ック・バンドが8人(前回より多いぞ。みんな腕が立つ人達でした)で、ス
コット兄弟をはじめフロントに立つシンガーが4人。シンガー陣はディープ
なピンク色のスーツ(靴も同色)でまとめ、演奏陣は黒基調。スコット兄弟
はスーパー・マリオ・ブラザーズそっくりらしいし、立派な髭のベース奏者
をはじめ、みんなけっこう見かけだけでキャラが立つ。で、音楽だけでなく
、進め方とか動きとかが本当にソウルの積み重ねられたきた様式を口惜しい
ぐらい内包していて、うわあいいいなあとなってしまう。
ほぼ、完璧。で、それが余裕ある環境のもと酒を飲みながら見れるわけで
、本当に気持ちよく高揚できた。向こうではワン・オブ・ゼムの出演者にな
ってしまうかもしれないが、東京では滅多に来日しない実力派グループとい
うことになり、見にきている人も一期一会的な感覚でやんやの喝采を贈る。
そりゃ、出演者も張り切るよなあ。受け手と送り手の素敵な相乗効果がそこ
にはありました。
サーキットをやっているソウル・バンドって受け取り所ありすぎるなと思わ
ずにはいられなかった晩。これ、たぶん05年でいちばんぼくがニコニコしち
ゃった公演だと思う。丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ。
前回の来日公演の項(1999年5月20日)でもかなり褒めたことを書いて
いるが、すべての面でもっともっと魅力的なショウを彼らは繰り広げた。バ
ック・バンドが8人(前回より多いぞ。みんな腕が立つ人達でした)で、ス
コット兄弟をはじめフロントに立つシンガーが4人。シンガー陣はディープ
なピンク色のスーツ(靴も同色)でまとめ、演奏陣は黒基調。スコット兄弟
はスーパー・マリオ・ブラザーズそっくりらしいし、立派な髭のベース奏者
をはじめ、みんなけっこう見かけだけでキャラが立つ。で、音楽だけでなく
、進め方とか動きとかが本当にソウルの積み重ねられたきた様式を口惜しい
ぐらい内包していて、うわあいいいなあとなってしまう。
ほぼ、完璧。で、それが余裕ある環境のもと酒を飲みながら見れるわけで
、本当に気持ちよく高揚できた。向こうではワン・オブ・ゼムの出演者にな
ってしまうかもしれないが、東京では滅多に来日しない実力派グループとい
うことになり、見にきている人も一期一会的な感覚でやんやの喝采を贈る。
そりゃ、出演者も張り切るよなあ。受け手と送り手の素敵な相乗効果がそこ
にはありました。
渋谷毅エッセンシャル・エリントン
2005年12月20日 名ピアニストがデューク・エリントンのエッセンスを管楽器奏者を巧みに
操りながら、彼なりに香りたたせるというグループ。峰厚介(テナー)、松
風鉱一(リード)、関島岳郎(チューバ)、外山明(ドラム)に、ときに清
水秀子というシンガーが入る。2部は、さらに林栄一(アルト)も加わる。
名手たちのテンコもり。余裕の、芳しい一夜……。新宿・ピットイン。
操りながら、彼なりに香りたたせるというグループ。峰厚介(テナー)、松
風鉱一(リード)、関島岳郎(チューバ)、外山明(ドラム)に、ときに清
水秀子というシンガーが入る。2部は、さらに林栄一(アルト)も加わる。
名手たちのテンコもり。余裕の、芳しい一夜……。新宿・ピットイン。