リトル・マン・テイト。サム・ムーア
2006年11月14日 まず、代官山・ユニットで、英国シェフィールド出身の新鋭リトル・マン
・テイトを見る。モッズぽいと言い方もあるだろう、サクっとしたビート・
バンド。みんな格好良くないが、妙な媚びや甘さもなく、なかなかの好印象
。が、次のライヴ時間が迫り、途中退出。
そして、南青山・ブルーノート東京。オーティス・レディングとともにア
トランティッック・ソウルを代表したサム&デイヴの片割れサム・ムーアの
ライヴ。通常ブルーノートは2部入替え制が取られているが、彼の場合は1
日1回とういう仕様にて。それも、大御所らしいか。ムーアは1時間30分強
、無敵のソウル・ショウを繰り広げたのだった。
バンドはベース(唇にピアスしていた彼が音楽監督なのかな?)、キーボ
ード、ギター、ドラム、パーカッション(デュエット役を担ったりも)、女
性バッキング・コーラス二人(そのなかの一人、エレイン・キャスエルはジ
ョー・ジャクソン絡みとかで知られる人らしい)、ホーンが4人(うち、二
人日本で雇っているようで、トロボーン奏者はヴィンセント・アトミクスや
デートコースに在籍する青木タイセイだったみたい)で、ドラマー以外はみ
な非アフリカン。横できっちり見守る、マネイジャーをしている彼の奥さん
も白人だ。
スプリングスティーンやマライア・キャリー他スター満載だった新作は36
年ぶりのアルバムという触れ込みだったが、とにかく歌えていて、おおっ。
なんで、そんなに出さなかった? 70歳を過ぎているし、それほどライヴを
やっていないという話もあるが、もうバリバリ。張りのあるちょい甲高目の
声がでてくるだけで、目茶引き込まれる。もちろん、客は随時熱烈反応。で
、サム&デイヴ時代の珠玉の名曲から新作曲まで、さらにアトランティック
の他人の名曲やスライ・ストーン曲までいろいろと歌う。結果、口惜しいぐ
らいに、ソウルの味わい深さ、威厳が溢れ出る。もう大充実のソウル・ショ
ー、満たされた気持と高揚した気持ちが入り交じった、なんとも最高の心持
ちをぼくは得た。
最後の「ユー・アー・ソー・ビューティル」(ビリー・プレストンやズッ
ケロを迎えて新作でカヴァーしていた、プレストン曲)を歌っていたとき、
ムーアは涙を流していた。それは今年1月に亡くなってしまったビリー・プ
レストンの事を思ってか。また、とんでもなく熱狂的でココロのあるオーデ
ィエンス反応を受けた事も働いてる? そして、そんなサムの様子とは関係
なくぼくの目もたっぷり潤んでいた。ああ、なんと嬉しい夜!
・テイトを見る。モッズぽいと言い方もあるだろう、サクっとしたビート・
バンド。みんな格好良くないが、妙な媚びや甘さもなく、なかなかの好印象
。が、次のライヴ時間が迫り、途中退出。
そして、南青山・ブルーノート東京。オーティス・レディングとともにア
トランティッック・ソウルを代表したサム&デイヴの片割れサム・ムーアの
ライヴ。通常ブルーノートは2部入替え制が取られているが、彼の場合は1
日1回とういう仕様にて。それも、大御所らしいか。ムーアは1時間30分強
、無敵のソウル・ショウを繰り広げたのだった。
バンドはベース(唇にピアスしていた彼が音楽監督なのかな?)、キーボ
ード、ギター、ドラム、パーカッション(デュエット役を担ったりも)、女
性バッキング・コーラス二人(そのなかの一人、エレイン・キャスエルはジ
ョー・ジャクソン絡みとかで知られる人らしい)、ホーンが4人(うち、二
人日本で雇っているようで、トロボーン奏者はヴィンセント・アトミクスや
デートコースに在籍する青木タイセイだったみたい)で、ドラマー以外はみ
な非アフリカン。横できっちり見守る、マネイジャーをしている彼の奥さん
も白人だ。
スプリングスティーンやマライア・キャリー他スター満載だった新作は36
年ぶりのアルバムという触れ込みだったが、とにかく歌えていて、おおっ。
なんで、そんなに出さなかった? 70歳を過ぎているし、それほどライヴを
やっていないという話もあるが、もうバリバリ。張りのあるちょい甲高目の
声がでてくるだけで、目茶引き込まれる。もちろん、客は随時熱烈反応。で
、サム&デイヴ時代の珠玉の名曲から新作曲まで、さらにアトランティック
の他人の名曲やスライ・ストーン曲までいろいろと歌う。結果、口惜しいぐ
らいに、ソウルの味わい深さ、威厳が溢れ出る。もう大充実のソウル・ショ
ー、満たされた気持と高揚した気持ちが入り交じった、なんとも最高の心持
ちをぼくは得た。
最後の「ユー・アー・ソー・ビューティル」(ビリー・プレストンやズッ
ケロを迎えて新作でカヴァーしていた、プレストン曲)を歌っていたとき、
ムーアは涙を流していた。それは今年1月に亡くなってしまったビリー・プ
レストンの事を思ってか。また、とんでもなく熱狂的でココロのあるオーデ
ィエンス反応を受けた事も働いてる? そして、そんなサムの様子とは関係
なくぼくの目もたっぷり潤んでいた。ああ、なんと嬉しい夜!
アンドレア・マルチェリ・トリオ。ボストン・ホーンズ
2006年11月13日 九段下・イタリア文化会館で、まずアンドレア・マルチェリ(ドラム)の
トリオを見る。リーダーはイタリア人で、ピアニストはデンマーク人。演目
はマルチェリの曲を中心にやっていたようで、途中で彼はピアノとベースを
バックに粛々とクラリネットを吹いたりも。薄口気味ながらも、含みとある
種の美意識を持つジャズ演奏を披露。実はマルチェリには15年前ぐらいに、
当時彼が居住していたLAで取材したことがあった。そのときフランク・ザ
ッパ好きを公言していて、LAでは突撃精神で有名プレイヤーにアタックし
て自分のレコーディングに参加してもらっている、なんてことも言っていた
っけ。そんな彼、現在はベルリンに居住し、ちょい小綺麗にもなり、こんな
こともするようなっているわけだ。
その後 渋谷・クアトロ。P-ヴァインが送りだす英・米の温故知新型ジャ
ズ・ファンク・グループをカップリングした出し物で、" JAZZ FUNK EX
PO 2006"と題されている。会場入りすると、先発のベイカー・ブラザースの
最後の曲だった。前(2004年4月27日)に見たときよりも,とってもサバけ
た感じが増してて、より親しみやすくなっている印象を得たが……。
で、米国ボストンをベースとする、ホーン付きインスト・バンドのボスト
ン・ホーンズをしっかり見る。ドラマーはキック・ドラムもスネアも弱く、
ベース奏者も一瞬フレットレスを使っているのかと思わせるぐらいに音の輪
郭が甘いなど不備に感じるところもあるが、難しいことぬきに快楽的に行き
、客から受けまくっている様に触れるうちにまいいかという気になった。ア
ンコールではベイカー・ブラザースが混ざって一緒にやる。
トリオを見る。リーダーはイタリア人で、ピアニストはデンマーク人。演目
はマルチェリの曲を中心にやっていたようで、途中で彼はピアノとベースを
バックに粛々とクラリネットを吹いたりも。薄口気味ながらも、含みとある
種の美意識を持つジャズ演奏を披露。実はマルチェリには15年前ぐらいに、
当時彼が居住していたLAで取材したことがあった。そのときフランク・ザ
ッパ好きを公言していて、LAでは突撃精神で有名プレイヤーにアタックし
て自分のレコーディングに参加してもらっている、なんてことも言っていた
っけ。そんな彼、現在はベルリンに居住し、ちょい小綺麗にもなり、こんな
こともするようなっているわけだ。
その後 渋谷・クアトロ。P-ヴァインが送りだす英・米の温故知新型ジャ
ズ・ファンク・グループをカップリングした出し物で、" JAZZ FUNK EX
PO 2006"と題されている。会場入りすると、先発のベイカー・ブラザースの
最後の曲だった。前(2004年4月27日)に見たときよりも,とってもサバけ
た感じが増してて、より親しみやすくなっている印象を得たが……。
で、米国ボストンをベースとする、ホーン付きインスト・バンドのボスト
ン・ホーンズをしっかり見る。ドラマーはキック・ドラムもスネアも弱く、
ベース奏者も一瞬フレットレスを使っているのかと思わせるぐらいに音の輪
郭が甘いなど不備に感じるところもあるが、難しいことぬきに快楽的に行き
、客から受けまくっている様に触れるうちにまいいかという気になった。ア
ンコールではベイカー・ブラザースが混ざって一緒にやる。
モグワイ、ラタタット
2006年11月11日 新木場・スタジオコ−スト。前回のホール公演(2004年10月4日)のとき
と同じように、前座がついてのもの。
その前座は、在NYのインスト・デュオ、ラタタット。大味なトラック音
を流しつつ、当人たちはギターとベース(だと、思う。あまりに混んでてス
テージが見づらいのと照明が暗いのとで、一人のほうの持っている楽器がギ
タ−かベースかいまいち判別できず)を弾く。で、これがセンチなマイナー
・キー基調の泣き曲のもと、大泣きのメロデイ/フレイズを見栄を切りつつ
まったりと綴って行くのだ。あまりバックトラックとの有機的な絡みはなく
、印象としてはカラオケをバックに自慰的にブライアン・メイ(クイーン)
ぽいギター・ソロを弾いているという印象。ビョークもファンでその2作目
となる新作は彼女のスタジオで録音されたとういう触れ込みだが、ぼくには
そのアルバム同様に古臭くチープな音の面白さが分からなかった。このあと
、彼らはオセアニア・ツアーに出向くようだ。
で、モグワイ・フロム・スコッランド。繰り返しになるが、都内スタンデ
ィング系ヴェニューのなかでも最も広いだろう会場はぱんぱん。明日もリキ
ッドルームでやるし、本当に支持者がついているのだナと実感する。でもっ
て、観客のマナーにも感心。淡々と送り出される幽玄インストを息をひそめ
てじっくり聞いて、サイケに音が沸き上がるときには大いに沸く。海外では
なかなかそうは行かないだろう。モグワイにとって日本のオーディエンスは
最良の客ではないのか。肝心の演奏も、大き目のハコに見合う威厳のような
ものがありスケールがデカくなっているな。照明も凝ってはいないが大バコ
に合うもので、ミラーボールを使用したときもあるがここのミラーボールは
デカいので映えてた。ここのところの新機軸である、ときに披露されるヴォ
ーカル曲もちゃんと歌えていて、魅力的に思えた。
と同じように、前座がついてのもの。
その前座は、在NYのインスト・デュオ、ラタタット。大味なトラック音
を流しつつ、当人たちはギターとベース(だと、思う。あまりに混んでてス
テージが見づらいのと照明が暗いのとで、一人のほうの持っている楽器がギ
タ−かベースかいまいち判別できず)を弾く。で、これがセンチなマイナー
・キー基調の泣き曲のもと、大泣きのメロデイ/フレイズを見栄を切りつつ
まったりと綴って行くのだ。あまりバックトラックとの有機的な絡みはなく
、印象としてはカラオケをバックに自慰的にブライアン・メイ(クイーン)
ぽいギター・ソロを弾いているという印象。ビョークもファンでその2作目
となる新作は彼女のスタジオで録音されたとういう触れ込みだが、ぼくには
そのアルバム同様に古臭くチープな音の面白さが分からなかった。このあと
、彼らはオセアニア・ツアーに出向くようだ。
で、モグワイ・フロム・スコッランド。繰り返しになるが、都内スタンデ
ィング系ヴェニューのなかでも最も広いだろう会場はぱんぱん。明日もリキ
ッドルームでやるし、本当に支持者がついているのだナと実感する。でもっ
て、観客のマナーにも感心。淡々と送り出される幽玄インストを息をひそめ
てじっくり聞いて、サイケに音が沸き上がるときには大いに沸く。海外では
なかなかそうは行かないだろう。モグワイにとって日本のオーディエンスは
最良の客ではないのか。肝心の演奏も、大き目のハコに見合う威厳のような
ものがありスケールがデカくなっているな。照明も凝ってはいないが大バコ
に合うもので、ミラーボールを使用したときもあるがここのミラーボールは
デカいので映えてた。ここのところの新機軸である、ときに披露されるヴォ
ーカル曲もちゃんと歌えていて、魅力的に思えた。
フアネス
2006年11月9日 渋谷・アックス。ほぼ定時に出てきたコロンビア出身のスーパースターは
髪をバッサリ切っている。なんと、健康的な坊主頭。一瞬、誰かと思った。
でも、デビュ−作のときのPVを見るとけっこう短髪だったりするからなー
。なるほど、スリムで恰好いい。控え目な感じもあるが華をしかと持つ。ち
ょっと斜めな(?)ギターの持ち方はさぞや小僧のとき鏡の前でポーズをと
ったんではと思わせるか。声もちゃんと出ているし、とてもまっすぐな風情
を与えもして、すぐに信頼できる人だなあとも感じる。実際はどうか知らな
いが、それをあっさりと出せるのも才能なはずだ。ギタ−2、ベース、キー
ボード、ドラム、パーカッションという編成のバンドはちゃんと腕が立つ。
とくに、ドラム、パーカッションは効いている。本人はギターを持たないと
きもあるが、結構ソロをとったりもする。
いいエスノ・ロックを送っているナ。米欧ロックに対する憧れと自分の出
自をうまく重ねた曲群は独特な臭みを持ち、コロンビアという属性を確実に
感じさせ、そこがいいのダと思わせる。が、その臭みのある表現を聞きなが
ら、彼がフツーの米国人だったらどう感じるのかなともふと思う。ドン臭
いと感じるか。ましてや日本人だったら? だって、日本的な臭みを持つロ
ックにぼくは往々にして拒否反応を示すはずだから。ウ−ム。頭や耳を柔ら
かくしなきゃと、ふと自戒。とともに、日本人の根を持つロック表現とは、
という問いに約53秒アタマを悩ます。が、目の前の好演にすぐにそんなクエ
スチョンも吹っ飛ぶ。マジ、質と味と気持ちのあるパフォーマンスだったと
思う。ぼくは多大な満足感を得た。
客のラティーノ度数はなかなか高い。コロンビアの国旗を持参している人
、散見。へえ、カラフルな国旗なんだ(無知を恥じる)。で、あれれれえっ
てぐらいみんなフアネスに合わせて歌う。すごいっ。後半、客側からステー
ジに下着がぽんぽん投げ入れられる。ほほえましいっ。それ、彼のコンサー
トの倣わしのよう。最後はラテン濃度が高い曲をやり、クラーベの手拍子を
要求。みんな、それなりに応える。いいなっ。
なお、この文章は富士通独自の親指シフト変換(ぼく、大愛好者なんです
う)ではなく、通常のローマ変換のキーで四苦八苦しながら打っている。普
段の5倍ぐらいは時間が掛かっているか。とともに、勢いで書けないので、
どうも文章のリズムがつかめない。もともと、気分でころころと文体が変わ
る人間だが、やはり違いは出ているだろうか。知人の感想求む。
髪をバッサリ切っている。なんと、健康的な坊主頭。一瞬、誰かと思った。
でも、デビュ−作のときのPVを見るとけっこう短髪だったりするからなー
。なるほど、スリムで恰好いい。控え目な感じもあるが華をしかと持つ。ち
ょっと斜めな(?)ギターの持ち方はさぞや小僧のとき鏡の前でポーズをと
ったんではと思わせるか。声もちゃんと出ているし、とてもまっすぐな風情
を与えもして、すぐに信頼できる人だなあとも感じる。実際はどうか知らな
いが、それをあっさりと出せるのも才能なはずだ。ギタ−2、ベース、キー
ボード、ドラム、パーカッションという編成のバンドはちゃんと腕が立つ。
とくに、ドラム、パーカッションは効いている。本人はギターを持たないと
きもあるが、結構ソロをとったりもする。
いいエスノ・ロックを送っているナ。米欧ロックに対する憧れと自分の出
自をうまく重ねた曲群は独特な臭みを持ち、コロンビアという属性を確実に
感じさせ、そこがいいのダと思わせる。が、その臭みのある表現を聞きなが
ら、彼がフツーの米国人だったらどう感じるのかなともふと思う。ドン臭
いと感じるか。ましてや日本人だったら? だって、日本的な臭みを持つロ
ックにぼくは往々にして拒否反応を示すはずだから。ウ−ム。頭や耳を柔ら
かくしなきゃと、ふと自戒。とともに、日本人の根を持つロック表現とは、
という問いに約53秒アタマを悩ます。が、目の前の好演にすぐにそんなクエ
スチョンも吹っ飛ぶ。マジ、質と味と気持ちのあるパフォーマンスだったと
思う。ぼくは多大な満足感を得た。
客のラティーノ度数はなかなか高い。コロンビアの国旗を持参している人
、散見。へえ、カラフルな国旗なんだ(無知を恥じる)。で、あれれれえっ
てぐらいみんなフアネスに合わせて歌う。すごいっ。後半、客側からステー
ジに下着がぽんぽん投げ入れられる。ほほえましいっ。それ、彼のコンサー
トの倣わしのよう。最後はラテン濃度が高い曲をやり、クラーベの手拍子を
要求。みんな、それなりに応える。いいなっ。
なお、この文章は富士通独自の親指シフト変換(ぼく、大愛好者なんです
う)ではなく、通常のローマ変換のキーで四苦八苦しながら打っている。普
段の5倍ぐらいは時間が掛かっているか。とともに、勢いで書けないので、
どうも文章のリズムがつかめない。もともと、気分でころころと文体が変わ
る人間だが、やはり違いは出ているだろうか。知人の感想求む。
ハッピー&アーティ・トラウム
2006年11月5日 下北沢のラ・カーニャ。60年代後期以降、ウッドストックにずっと住みつ
づけているという、39年生まれと43年生まれの兄弟フォーク・チーム。それ
ぞれに、味ある活動も残している。そんな二人はともに生ギターを持ち、曲
ごとにどちらかがリード・ヴォーカルを取る。自分たちの曲、ボブ・ディラ
ンら仲間うちの曲、ミシシッピ・ジョン・ハートのブルース曲、トラッド曲
などを阿吽の呼吸のもと自由自在に。円満、ほのぼの。なんか、温和なアメ
リカがそこにはあったな。枯れた二人はいまだ音楽を続けていて、多数では
なくてもそれを熱心に愛好する人がいる。幸せなことだと思う。
づけているという、39年生まれと43年生まれの兄弟フォーク・チーム。それ
ぞれに、味ある活動も残している。そんな二人はともに生ギターを持ち、曲
ごとにどちらかがリード・ヴォーカルを取る。自分たちの曲、ボブ・ディラ
ンら仲間うちの曲、ミシシッピ・ジョン・ハートのブルース曲、トラッド曲
などを阿吽の呼吸のもと自由自在に。円満、ほのぼの。なんか、温和なアメ
リカがそこにはあったな。枯れた二人はいまだ音楽を続けていて、多数では
なくてもそれを熱心に愛好する人がいる。幸せなことだと思う。
銀座ジャズ(ステファノ・ボラーニ、他)。レ・ポム・ドゥ・マ・ドゥーシュ
2006年11月3日 祝日の銀座は人が気持ち悪いぐらいにいっぱい。正式名称、銀座インター
ナショナル・ジャズ・フェスティヴル2006。去年から秋に二日間行われてい
るジャズ・フェス。百貨店の屋上からホールまで、いくつも組まれているラ
イヴの場はどれも無料なのが売り(ホール公演は事前に応募することが必要
となるようだが)。ブランド店たちがお金を出し合っているらしいが、さす
が銀座は景気がいいのだナ。
時事通信ホールに行く。新しい立派な通信社のビル内にあるホールで、向
かいは日産の本社ビル。昔はモダンな建物だったのだろうが、妙に煤けて見
える。なるほど、横浜に移転するまでの辛抱ということか。ここでまず、カ
イル・イーストウッドのグループを見る。クリント・イーストウッドの息子
(親父の作った映画の音楽に、彼は毎度係わっている)で現在はパリ在住。
フランス人主体で2管、ピアノ兼キーボード、ギター兼プリセット音担当者
、そして電気/アップライト両刀の彼という内訳。そんな編成にあらわれて
いるように、ジャズ〜フュージョン〜ポップを重ねたような表現を志向する
。本人もカッコいいし、ジャズの入門版としては大ありでしょう。数曲ゲス
ト・ヴォーカルが出てきて、それなてりにポップなヴォーカル曲もやる。そ
のゲストはジェイミー・カラム(2004年6月13日、2006年6月13日)の兄の
ベン・カラム。友達だそうで、新譜にも参加している。実は最新CDではや
はり仲良しらしいマヌ・カチェが叩いていて本人も日本に来たがったそうだ
が、現在彼はフランスのTV番組の素人タレント発掘番組の審査員を毎週し
ており、そのため来ることができなかったらしい。
その後、同じホールでイタリアのジャズ・ピアニスト、ステファノ・ボラ
ーニのグループを見る。最新CDとなるECM発のソロ・ピアノ作(やっぱ
、優れたソロ作が同社から出ているのでビビったそう)はまあまあだが、そ
の前作の仏ラベル・ブリュから出たグループ作『ヴィジョンズ』は相当いい
コンテンポラリー・ジャズ盤で勧める。そんな彼はジャズだけでなく、ロッ
ク(かつては、ジョヴァノッティ〜2002年6月1日〜のバッキングもやって
いたそう。彼は歌うのも好き)やクラシックなどいろんな音楽を別け隔てな
く愛好している人で、それは彼の『ヴィジョンズ』を聞けば自然に納得でき
る。で、この日のライヴはリード二人とベースとドラムを率いて、そのノリ
の演奏を繰り広げる。
やっぱり、素晴らしい。腕も十分たつが、コンセプトも相当にいけてる。
ちょっと切れ気味のグループ表現を基調にいろんな曲が出てくるのだが、と
きにユーモアたっぷりにシアトリカル。ベース奏者以外みんな引っ込んでベ
ース単独演奏が始まり、少しするとリード奏者が左右から出てきて吹きはじ
め、最後にはグループ演奏に戻ったり……。全員で歌い出す局面もあったし
、演奏中に発せられるボラーニのイタリア語をリード奏者の一人が片言の日
本語で言いなおしたり……。アーティスティックなのに、一方でユーモアや
娯楽精神もたんまり持っている。それ、カーラ・ブレイの「歌うのなんか好
きじゃない」のころのあり方とも似ているか。隣の隣の席にはこのフェスの
出演者であるオースティン・ベラルタ(2006年9月3日)が。非常に喜ん
で聞いていたよーだが、ボラーニのような人にたくさん触れさらに視野を
広げて、立派なプロのピアニストになってネと切に思う。それにしても、ボ
ラーニ(サイドマンたちも)は見かけはカッコ悪い。服装もほとんど気にして
いる感じがないし。だが、その冴えに触れると、彼はすべての興味を音楽
に注ぎ込んでいるんだろうなと思わずにはいられないナ。実は彼、文章を
書くことも好きで本国では小説を上程したそうだが。今、若いまっとうな耳
を持つ人が聞くべきジャズ・ピアニストはブラッド・メルドーではない、ボラー
ニだ! と、ブチ上げておく。
続いて、バーバリーのショップ・ビル(階段に張られていた絨毯も、バー
バリー柄)のホールで、日野晧正(2005年6月5日)のクインテット。100
人ぐらいの会場で、リズム隊はマイクで音を拾っているが、トランベットと
アルトは生音にての実演。こんな小さな所でやるのとムクれてもおかしくな
い規模の会場だが、“スター日野”は嬉しそうに誠心誠意全力投球。かつての
銀座の思い出話も飛び出す。新作からの曲を中心に、客層のことも考えてか
、少し前のアルバムでやっていたミーシャの「エヴリシング」も披露。CD
のときは非常にどんくさいステディなビートを採用していたが、この日はブ
ラシを使ってスモーキィなヴァージョンになっていて良かった。なんにせよ
、非常に重みとストロングさのあるジャズを聞かせていた。
どの出演者もちゃんとメンバーを揃え、十分な尺を持つ演奏時間で、実に
まっとうな演奏をする。いろんな出演者がいるフェスだし、無料でもあるか
ら多少は簡素版演奏になるのかと思ったら、そうであらず。人が出入り自由
でガサつくだろうオープンな会場(ショップ内ステージとか)の場合はどう
なんだろうか。へえ、と感心した次第。
そして、その銀座ジャズの出演者でもあったフランスのレ・ポム・ドゥ・
マ・ドゥーシュのシークレット・ギグを見に、池袋のブルードラッグという
店に行く。デカいジャンゴの写真とかが飾ってあって、ジプシー(マヌーシ
ュ)・スウィング系を聞かせるお店らしい。5人組のレ・ポム・ドゥ・マ・
ドゥーシュは非マヌーシュながら、飄々とヌーシュ・スウィングをやるグル
ープ。ただし、アコーディンオン奏者とヴァイオリン奏者がいてミューゼッ
トやシャンソン系のナンバー、ジャズ・スタンダード等もそれ風に洒脱にや
るのがポイントか。日本人奏者も出入りしての、開かれたパフォーマンス。
アフターアワーズではとキヨシ小林(2004年2月1日、2005年2月4日)周
辺にいる人達のグループ演奏にメンバーが混ざったり、尺八奏者(で、スタ
ンダードを吹く。けっこう、上手かった)とアコーディオン奏者の場当たり
セッションがあったり。その様子は、日常と隣り合わせで伝承されてきたマ
ヌーシュ・スウィングの現場の楽しまれ方を彷彿とさせるところがありまし
た。
ナショナル・ジャズ・フェスティヴル2006。去年から秋に二日間行われてい
るジャズ・フェス。百貨店の屋上からホールまで、いくつも組まれているラ
イヴの場はどれも無料なのが売り(ホール公演は事前に応募することが必要
となるようだが)。ブランド店たちがお金を出し合っているらしいが、さす
が銀座は景気がいいのだナ。
時事通信ホールに行く。新しい立派な通信社のビル内にあるホールで、向
かいは日産の本社ビル。昔はモダンな建物だったのだろうが、妙に煤けて見
える。なるほど、横浜に移転するまでの辛抱ということか。ここでまず、カ
イル・イーストウッドのグループを見る。クリント・イーストウッドの息子
(親父の作った映画の音楽に、彼は毎度係わっている)で現在はパリ在住。
フランス人主体で2管、ピアノ兼キーボード、ギター兼プリセット音担当者
、そして電気/アップライト両刀の彼という内訳。そんな編成にあらわれて
いるように、ジャズ〜フュージョン〜ポップを重ねたような表現を志向する
。本人もカッコいいし、ジャズの入門版としては大ありでしょう。数曲ゲス
ト・ヴォーカルが出てきて、それなてりにポップなヴォーカル曲もやる。そ
のゲストはジェイミー・カラム(2004年6月13日、2006年6月13日)の兄の
ベン・カラム。友達だそうで、新譜にも参加している。実は最新CDではや
はり仲良しらしいマヌ・カチェが叩いていて本人も日本に来たがったそうだ
が、現在彼はフランスのTV番組の素人タレント発掘番組の審査員を毎週し
ており、そのため来ることができなかったらしい。
その後、同じホールでイタリアのジャズ・ピアニスト、ステファノ・ボラ
ーニのグループを見る。最新CDとなるECM発のソロ・ピアノ作(やっぱ
、優れたソロ作が同社から出ているのでビビったそう)はまあまあだが、そ
の前作の仏ラベル・ブリュから出たグループ作『ヴィジョンズ』は相当いい
コンテンポラリー・ジャズ盤で勧める。そんな彼はジャズだけでなく、ロッ
ク(かつては、ジョヴァノッティ〜2002年6月1日〜のバッキングもやって
いたそう。彼は歌うのも好き)やクラシックなどいろんな音楽を別け隔てな
く愛好している人で、それは彼の『ヴィジョンズ』を聞けば自然に納得でき
る。で、この日のライヴはリード二人とベースとドラムを率いて、そのノリ
の演奏を繰り広げる。
やっぱり、素晴らしい。腕も十分たつが、コンセプトも相当にいけてる。
ちょっと切れ気味のグループ表現を基調にいろんな曲が出てくるのだが、と
きにユーモアたっぷりにシアトリカル。ベース奏者以外みんな引っ込んでベ
ース単独演奏が始まり、少しするとリード奏者が左右から出てきて吹きはじ
め、最後にはグループ演奏に戻ったり……。全員で歌い出す局面もあったし
、演奏中に発せられるボラーニのイタリア語をリード奏者の一人が片言の日
本語で言いなおしたり……。アーティスティックなのに、一方でユーモアや
娯楽精神もたんまり持っている。それ、カーラ・ブレイの「歌うのなんか好
きじゃない」のころのあり方とも似ているか。隣の隣の席にはこのフェスの
出演者であるオースティン・ベラルタ(2006年9月3日)が。非常に喜ん
で聞いていたよーだが、ボラーニのような人にたくさん触れさらに視野を
広げて、立派なプロのピアニストになってネと切に思う。それにしても、ボ
ラーニ(サイドマンたちも)は見かけはカッコ悪い。服装もほとんど気にして
いる感じがないし。だが、その冴えに触れると、彼はすべての興味を音楽
に注ぎ込んでいるんだろうなと思わずにはいられないナ。実は彼、文章を
書くことも好きで本国では小説を上程したそうだが。今、若いまっとうな耳
を持つ人が聞くべきジャズ・ピアニストはブラッド・メルドーではない、ボラー
ニだ! と、ブチ上げておく。
続いて、バーバリーのショップ・ビル(階段に張られていた絨毯も、バー
バリー柄)のホールで、日野晧正(2005年6月5日)のクインテット。100
人ぐらいの会場で、リズム隊はマイクで音を拾っているが、トランベットと
アルトは生音にての実演。こんな小さな所でやるのとムクれてもおかしくな
い規模の会場だが、“スター日野”は嬉しそうに誠心誠意全力投球。かつての
銀座の思い出話も飛び出す。新作からの曲を中心に、客層のことも考えてか
、少し前のアルバムでやっていたミーシャの「エヴリシング」も披露。CD
のときは非常にどんくさいステディなビートを採用していたが、この日はブ
ラシを使ってスモーキィなヴァージョンになっていて良かった。なんにせよ
、非常に重みとストロングさのあるジャズを聞かせていた。
どの出演者もちゃんとメンバーを揃え、十分な尺を持つ演奏時間で、実に
まっとうな演奏をする。いろんな出演者がいるフェスだし、無料でもあるか
ら多少は簡素版演奏になるのかと思ったら、そうであらず。人が出入り自由
でガサつくだろうオープンな会場(ショップ内ステージとか)の場合はどう
なんだろうか。へえ、と感心した次第。
そして、その銀座ジャズの出演者でもあったフランスのレ・ポム・ドゥ・
マ・ドゥーシュのシークレット・ギグを見に、池袋のブルードラッグという
店に行く。デカいジャンゴの写真とかが飾ってあって、ジプシー(マヌーシ
ュ)・スウィング系を聞かせるお店らしい。5人組のレ・ポム・ドゥ・マ・
ドゥーシュは非マヌーシュながら、飄々とヌーシュ・スウィングをやるグル
ープ。ただし、アコーディンオン奏者とヴァイオリン奏者がいてミューゼッ
トやシャンソン系のナンバー、ジャズ・スタンダード等もそれ風に洒脱にや
るのがポイントか。日本人奏者も出入りしての、開かれたパフォーマンス。
アフターアワーズではとキヨシ小林(2004年2月1日、2005年2月4日)周
辺にいる人達のグループ演奏にメンバーが混ざったり、尺八奏者(で、スタ
ンダードを吹く。けっこう、上手かった)とアコーディオン奏者の場当たり
セッションがあったり。その様子は、日常と隣り合わせで伝承されてきたマ
ヌーシュ・スウィングの現場の楽しまれ方を彷彿とさせるところがありまし
た。
ブロック・パーティ。スティーヴ・キューン(・トリオ)&カーリン・クローグ
2006年11月2日 取材を2本やって、その合間に打合せとCDの探し物……。ちょいヘロっ
て、代官山・ユニット。
日本に紹介されたのは04年ながらフェスを含めすでに何度も来日している
UKロック4人組、ぼくは初めて見る。なんでも、東京1か所だけのライヴ
で来ているんだとか。すごい混んでて、後からだとあまり見えず。ぼくは場
内設営モニターを主に見ていた。今のUK温故知新型バンドのなかではけっこ
う好印象のバンド。実演も、リズム設定をはじめあまり突出している所はな
いものの、言いたいことを主張している=音の端々に輝きがあるバンドと感
じる。なんか、表現が響いていると感じさせるところがあるんだよなあ。1
時間ちょいのパフォーマンス。最後はドラムを蹴飛ばしたり、床にギターを
持っていったり。これまでのライヴはどーだったんだろ。
その後、渋谷・Jzブラットで、デュオ・アルバムを出して間もない米国人
ピアニストのスティーヴ・キューンとノルウェー人シンガーのカーリン・ク
ローグが重なる公演のセカンド・ショウを見る。両者とも確かな個性を持つ
人だが、ぼくのお目当てはカーリーン・クローグ。彼女のような人がいるか
ら、今のノルウェーの音楽的先進性をアイデンティファイするジャズランド
も存在するのだと思わせるアドヴァンテージとココロをしかと持つ異才。実
験的なことからしっとり系までなんでもこなす人だが、ここではわりと素直
な感じで品格あるジャズ・ヴォーカリスト像を出す。1曲はそれなりにスキ
ャットをかました。歌った曲数も少なかったし、いたって普通だったが、見
れて良かったと思わせるところは絶対にあった。
で、クローグが出てくるまでの1時間近くはキューンのトリオ演奏(ビリ
ー・ドラモンドらリズム隊も名のある人達)だったのだが、これがあらら。
思索派、内側に刃もあるというイメージもある彼なのだが、スタンダード曲
をなんともまったりとやってくれちゃってて。もったいねー。確かに軟弱な
アルバムも出している人だが、「ブルー・ボッサ」なんて手垢にまみれた曲
も出てきたときには虚脱しました。だが、最後のほうで少しではあるが、右
手にマイクを持ち、左手でピアノを爪弾きながら歌を歌う(!)。うっひょ
ー。それで、なんか全てが許せてしまった。
て、代官山・ユニット。
日本に紹介されたのは04年ながらフェスを含めすでに何度も来日している
UKロック4人組、ぼくは初めて見る。なんでも、東京1か所だけのライヴ
で来ているんだとか。すごい混んでて、後からだとあまり見えず。ぼくは場
内設営モニターを主に見ていた。今のUK温故知新型バンドのなかではけっこ
う好印象のバンド。実演も、リズム設定をはじめあまり突出している所はな
いものの、言いたいことを主張している=音の端々に輝きがあるバンドと感
じる。なんか、表現が響いていると感じさせるところがあるんだよなあ。1
時間ちょいのパフォーマンス。最後はドラムを蹴飛ばしたり、床にギターを
持っていったり。これまでのライヴはどーだったんだろ。
その後、渋谷・Jzブラットで、デュオ・アルバムを出して間もない米国人
ピアニストのスティーヴ・キューンとノルウェー人シンガーのカーリン・ク
ローグが重なる公演のセカンド・ショウを見る。両者とも確かな個性を持つ
人だが、ぼくのお目当てはカーリーン・クローグ。彼女のような人がいるか
ら、今のノルウェーの音楽的先進性をアイデンティファイするジャズランド
も存在するのだと思わせるアドヴァンテージとココロをしかと持つ異才。実
験的なことからしっとり系までなんでもこなす人だが、ここではわりと素直
な感じで品格あるジャズ・ヴォーカリスト像を出す。1曲はそれなりにスキ
ャットをかました。歌った曲数も少なかったし、いたって普通だったが、見
れて良かったと思わせるところは絶対にあった。
で、クローグが出てくるまでの1時間近くはキューンのトリオ演奏(ビリ
ー・ドラモンドらリズム隊も名のある人達)だったのだが、これがあらら。
思索派、内側に刃もあるというイメージもある彼なのだが、スタンダード曲
をなんともまったりとやってくれちゃってて。もったいねー。確かに軟弱な
アルバムも出している人だが、「ブルー・ボッサ」なんて手垢にまみれた曲
も出てきたときには虚脱しました。だが、最後のほうで少しではあるが、右
手にマイクを持ち、左手でピアノを爪弾きながら歌を歌う(!)。うっひょ
ー。それで、なんか全てが許せてしまった。
ジ・エモーションズ
2006年10月30日 丸の内・コットンクラブ。スタックス/ヴォルトからデビューしたゴスペ
ル界隈出身のシカゴ発の3人姉妹コーラス・グループで、EW&F(2006
年1月19日)のモーリス・ホワイトのファミリーに入り洗練された70年代中
期から数年の間がピーク時となる人達か。80年代中期にはモータウンからア
ルバムをリリースしたこともあった。……なんて、能書きはそれなりに知っ
ていても、そんなに彼女たちのことを熱心に聞いたことはないワタシ。が、
張り切って行きました。ここに出るヴェテラン・ソウル勢はみんな充実した
ライヴを聞かせてくれることに加え、彼女たちご一行のツアー・マネイジャ
ーが知人(日本人)であったから。彼のシンガーの奥さんがエモーションズ
と同じ事務所に所属してて、その流れで今回同行したらしい。元ベーシスト
(かつてラリー・グラハムが持っていたような、マイク付き特殊をベース持っ
ていたっけなあ)で、一時は大手レコード会社のディレクターもしていた人
。年は離れていたけど仲良くさせていただいて、LAに行ってから(きっか
けはクジでグリーン・カードが当たったから、だったけか。来年は同様の理
由でハワイに移住する知り合いもいるなー)も複数回家庭訪問し御馳走して
もらったりしている。人間的で魅力的な人物、元気悠々なのもいい感じで、
見習わなきゃナと感じるところあるよなー。東京に住む、とっくに成人して
いる彼の息子を紹介された。
長女のジーネット・ハッチンソンが出産で抜け、末妹のパメラが参加し、
同じく三姉妹で活動している。ステージに登場した彼女たちはとても小
柄、コロコロした感じの小太り(格好は銀色のキラキラ)。圧倒的な喉の力
で聞く者の息を飲ませるという所はなかったが、嬉しそうに彼女たちは声を
重ねる。リードを取るのはオリジナル・メンバーのシーラかワンダのようで、
成熟した姿を伝えるようとするかのようにスタンダード系楽曲をそれぞれがソ
ロでしっとり歌ったりもした。4人編成のバンドの腕はなかなか、リズム隊は
アフリカン(とくに、ベースは素晴らしい)で、ギターはアルゼンチン人、キ
ーボード奏者はホワイト・ストライプス(2006年3月5日)のジャック・ホワ
イトを少し痩せさせたような感じの人。最後は彼女たちも関与したEW&F
の「ブギーワンダーランド」(モーリス・ホワイトの歌部分はギタリストが
代行)、彼女たち当たり曲「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」を連発。客、熱狂。
ル界隈出身のシカゴ発の3人姉妹コーラス・グループで、EW&F(2006
年1月19日)のモーリス・ホワイトのファミリーに入り洗練された70年代中
期から数年の間がピーク時となる人達か。80年代中期にはモータウンからア
ルバムをリリースしたこともあった。……なんて、能書きはそれなりに知っ
ていても、そんなに彼女たちのことを熱心に聞いたことはないワタシ。が、
張り切って行きました。ここに出るヴェテラン・ソウル勢はみんな充実した
ライヴを聞かせてくれることに加え、彼女たちご一行のツアー・マネイジャ
ーが知人(日本人)であったから。彼のシンガーの奥さんがエモーションズ
と同じ事務所に所属してて、その流れで今回同行したらしい。元ベーシスト
(かつてラリー・グラハムが持っていたような、マイク付き特殊をベース持っ
ていたっけなあ)で、一時は大手レコード会社のディレクターもしていた人
。年は離れていたけど仲良くさせていただいて、LAに行ってから(きっか
けはクジでグリーン・カードが当たったから、だったけか。来年は同様の理
由でハワイに移住する知り合いもいるなー)も複数回家庭訪問し御馳走して
もらったりしている。人間的で魅力的な人物、元気悠々なのもいい感じで、
見習わなきゃナと感じるところあるよなー。東京に住む、とっくに成人して
いる彼の息子を紹介された。
長女のジーネット・ハッチンソンが出産で抜け、末妹のパメラが参加し、
同じく三姉妹で活動している。ステージに登場した彼女たちはとても小
柄、コロコロした感じの小太り(格好は銀色のキラキラ)。圧倒的な喉の力
で聞く者の息を飲ませるという所はなかったが、嬉しそうに彼女たちは声を
重ねる。リードを取るのはオリジナル・メンバーのシーラかワンダのようで、
成熟した姿を伝えるようとするかのようにスタンダード系楽曲をそれぞれがソ
ロでしっとり歌ったりもした。4人編成のバンドの腕はなかなか、リズム隊は
アフリカン(とくに、ベースは素晴らしい)で、ギターはアルゼンチン人、キ
ーボード奏者はホワイト・ストライプス(2006年3月5日)のジャック・ホワ
イトを少し痩せさせたような感じの人。最後は彼女たちも関与したEW&F
の「ブギーワンダーランド」(モーリス・ホワイトの歌部分はギタリストが
代行)、彼女たち当たり曲「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」を連発。客、熱狂。
オマール・ソーサ
2006年10月28日 毎年といっていいほどやってくる(2001年8月24日、2002年7月22日、
2004年8月2日、2005年9月24日)、南青山・ブルーノート東京に近しい、
キューバ出身の自由世界人。今回はピアノ(ときに、キーボードもさわる)
の本人に加え、電気ベース奏者、ドラマー、シンガー(ときに、変な弦楽器
を手にする)という布陣。今回は手に鳴り物を持ちつつ、皆でチャントしな
がら出てきて、ステージに上がる。前回の項でも書いているが、いつ見ても
、行き方なり演奏内容が違う。ふふふふ。で、またなかなか説明に困るジャ
ズ派生表現を聞かせる。一言で言えば、グルーヴィに、人間的に自由であれ
ということになるかな。ときにサンプリング音やプリセット音を下敷きにす
るときもあったが(ドラマーの横にも装置があってどっちが出しているのか
は判明がつかない。ま、どっちでもいいけど)アンコールを終えるとプリセ
ット音をそのまま流しつつ、陽気に声を出しながら楽屋に彼らは引き上げる
。1時間40分近く。あー、ぼくはあと何度、彼を見ることになるのだろう?
2004年8月2日、2005年9月24日)、南青山・ブルーノート東京に近しい、
キューバ出身の自由世界人。今回はピアノ(ときに、キーボードもさわる)
の本人に加え、電気ベース奏者、ドラマー、シンガー(ときに、変な弦楽器
を手にする)という布陣。今回は手に鳴り物を持ちつつ、皆でチャントしな
がら出てきて、ステージに上がる。前回の項でも書いているが、いつ見ても
、行き方なり演奏内容が違う。ふふふふ。で、またなかなか説明に困るジャ
ズ派生表現を聞かせる。一言で言えば、グルーヴィに、人間的に自由であれ
ということになるかな。ときにサンプリング音やプリセット音を下敷きにす
るときもあったが(ドラマーの横にも装置があってどっちが出しているのか
は判明がつかない。ま、どっちでもいいけど)アンコールを終えるとプリセ
ット音をそのまま流しつつ、陽気に声を出しながら楽屋に彼らは引き上げる
。1時間40分近く。あー、ぼくはあと何度、彼を見ることになるのだろう?
ニック・ベルチュ
2006年10月26日 かつてチューリッヒ市の援助で奈良に半年住んだことがあるという、スイ
スのピアニスト/作曲家。彼はローニン(浪人、から来ているんだろーな。
かつてワディ・ワクテルやリック・マロッタらが組んだグループも浪人と名
乗ったナ)というグループを組んでいて、その名義で今年ECMから出して
いる。同作はミニマルっぽい反復構成を広げていくような行き方を通して、
現代的な綻びや強迫観念をすうっと開いていくようなアルバム。ときに、ヴ
ァイタルな変則ビートを伴い、それはプログレシッヴ・ロックやある種のフ
ュージョンと重なったりもする(と、ゆーか、なんとなく既知感を抱かせる
)。だが、この晩はソロ・パフォーマンスにて。ぼくはECM盤より、薄口
のこっちのほうが気に入ったナ。時に見せるピアノの弦の抑え方(手をピア
ノのお腹の中にに伸ばして、抑えるわけですね)がかなり上手で、あれれエ
フェクター使っているのと思わせるような場面も。
広尾・スイス大使館大使公邸。大使はかなりのジャズ・ファン。8月に着
任したばかりだそうだが、ブルーノートにもコットンクラブに行っていると
のこと。一番好きなアーティストメはジョン・コルトレーンや黄金期ブルー
ノートのハード・バップ。また、来日して3年とかいう文化官は日本語ペラ
ペラ。スイスの大学で日本語を学んだそうだが、5か国語を喋れるという。
そのことに、一番スイスを実感したかな。
スのピアニスト/作曲家。彼はローニン(浪人、から来ているんだろーな。
かつてワディ・ワクテルやリック・マロッタらが組んだグループも浪人と名
乗ったナ)というグループを組んでいて、その名義で今年ECMから出して
いる。同作はミニマルっぽい反復構成を広げていくような行き方を通して、
現代的な綻びや強迫観念をすうっと開いていくようなアルバム。ときに、ヴ
ァイタルな変則ビートを伴い、それはプログレシッヴ・ロックやある種のフ
ュージョンと重なったりもする(と、ゆーか、なんとなく既知感を抱かせる
)。だが、この晩はソロ・パフォーマンスにて。ぼくはECM盤より、薄口
のこっちのほうが気に入ったナ。時に見せるピアノの弦の抑え方(手をピア
ノのお腹の中にに伸ばして、抑えるわけですね)がかなり上手で、あれれエ
フェクター使っているのと思わせるような場面も。
広尾・スイス大使館大使公邸。大使はかなりのジャズ・ファン。8月に着
任したばかりだそうだが、ブルーノートにもコットンクラブに行っていると
のこと。一番好きなアーティストメはジョン・コルトレーンや黄金期ブルー
ノートのハード・バップ。また、来日して3年とかいう文化官は日本語ペラ
ペラ。スイスの大学で日本語を学んだそうだが、5か国語を喋れるという。
そのことに、一番スイスを実感したかな。
橋本一子Ub−X、BOZO
2006年10月25日 まるまる二日間降り続いた雨があがり、非常に晴天。日が差し込み、青空が広がる。気持ちいい。で、夜は六本木・スイートベイジル139。
まず、橋本一子のトリオ。リズムは井野信義(2004年8月20日、2004年10月10日、2005年8月19日)と藤本敦夫。前回見たとき(2001年5月3日)とも同じ毎度の顔ぶれながらUb−Xと名乗っているのは、全編で橋本が淡く漂うハナモゲラ調の歌を聞かせるから? ぼく、彼女の歌も大好きなはずだがなんとなく全面的に感情移入できない部分も。たまたま、だと思いたい。オリジナル(なのかな?)に交じって、「イパネマの娘」、「マシュケナダ」(途中で、「フロッグ」の諧謔フレーズの差し込みあり)といったセルジオ・メンデスで広く知られるボサノヴァ曲アダプテイションもやった。そんなにがんがん弾かないが、随所でするっと行くピアノの指裁きはやはり素晴らしいっ。井野信義はほとんどエレクトリック・アップライト・ベースを使っていた。
2部はONJQ関連(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2006年1月21日、他)やデートコースペンタゴンロイヤルガーデン(2001年9月22日、他)でも吹いているリード奏者の津上研太を中心に、南博(2001年10月29日、2005年6月9日)、やはりONJQや芳垣安洋のエマージェンシーやヴィンセント・アトミクスや山下洋輔グループのベースの水谷浩章(2004年1月21日、2005年2月19日、他)、UA他の外山明(2004年8月20日、他)からなるBOZO。ぼくには、とても王道に感じられる、まっとうなジャズ。用事ありで、途中退出したが。
まず、橋本一子のトリオ。リズムは井野信義(2004年8月20日、2004年10月10日、2005年8月19日)と藤本敦夫。前回見たとき(2001年5月3日)とも同じ毎度の顔ぶれながらUb−Xと名乗っているのは、全編で橋本が淡く漂うハナモゲラ調の歌を聞かせるから? ぼく、彼女の歌も大好きなはずだがなんとなく全面的に感情移入できない部分も。たまたま、だと思いたい。オリジナル(なのかな?)に交じって、「イパネマの娘」、「マシュケナダ」(途中で、「フロッグ」の諧謔フレーズの差し込みあり)といったセルジオ・メンデスで広く知られるボサノヴァ曲アダプテイションもやった。そんなにがんがん弾かないが、随所でするっと行くピアノの指裁きはやはり素晴らしいっ。井野信義はほとんどエレクトリック・アップライト・ベースを使っていた。
2部はONJQ関連(2002年3月17日、2003年6月28日、2004年2月6日、2004年10月10日、2006年1月21日、他)やデートコースペンタゴンロイヤルガーデン(2001年9月22日、他)でも吹いているリード奏者の津上研太を中心に、南博(2001年10月29日、2005年6月9日)、やはりONJQや芳垣安洋のエマージェンシーやヴィンセント・アトミクスや山下洋輔グループのベースの水谷浩章(2004年1月21日、2005年2月19日、他)、UA他の外山明(2004年8月20日、他)からなるBOZO。ぼくには、とても王道に感じられる、まっとうなジャズ。用事ありで、途中退出したが。
PE’Z
2006年10月24日 なんと渋谷公会堂が、渋谷C.C.LEMON ホールと名前を変えた。正面にレモ
ンをかたどった同商品のロゴ看板がどかーんと据えられている。おお。で、
リフォームされ、少し明るい感じになっていた。渋谷区はサントリーからど
のぐらいのふんだくっているのか。
例によって、定時ぴったり開始。PE’Z(2005年5月2日、9月21日
、2006年5月29日、他)の面々はドリフの「8時だよ、全員集合!」の公開
撮影会場だったことで感無量の場とか。前半は日本の名曲をカヴァーした『
日本のジャズ』から8曲。ちょっと窮屈そうというか、お行儀良く聞こえる
感じもある。意義はたっぷりあるけど。後半はPE’Zのオリジナル曲が並
ぶ。おお、やっぱ勢いある、アイデアあると痛感。お客のノリも全然違う。
1時間30分のパフォーマンス。キーボードのヒイズミはすべてグランド・ピ
アノを演奏。
ンをかたどった同商品のロゴ看板がどかーんと据えられている。おお。で、
リフォームされ、少し明るい感じになっていた。渋谷区はサントリーからど
のぐらいのふんだくっているのか。
例によって、定時ぴったり開始。PE’Z(2005年5月2日、9月21日
、2006年5月29日、他)の面々はドリフの「8時だよ、全員集合!」の公開
撮影会場だったことで感無量の場とか。前半は日本の名曲をカヴァーした『
日本のジャズ』から8曲。ちょっと窮屈そうというか、お行儀良く聞こえる
感じもある。意義はたっぷりあるけど。後半はPE’Zのオリジナル曲が並
ぶ。おお、やっぱ勢いある、アイデアあると痛感。お客のノリも全然違う。
1時間30分のパフォーマンス。キーボードのヒイズミはすべてグランド・ピ
アノを演奏。
G・ラヴ&ザ・スペシャル・ソース。ジャッキー・ネイラー
2006年10月23日 雨が降る日、まずは渋谷・アックス。今回のG・ラヴ(2000年1月25日
、2004年11月17日、2005年5月25日、2005年6月2日)はキーボード奏
者を伴ってのもの。それ、初めてのこととなる。もう少し腕の立つ人を雇っ
てもいいのではと思わせる、常識的なサポートを鍵盤奏者はしていた。また
、フェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」(72年)とルー・リードの「ウォ
ーク・オン・ザ・ワイルド・サイド」(72年)を自分の曲にくっつける形で
やったりも。
現在、ジャック・ジョンソンのブラッシュファイアー入りしている彼。音
楽的な妙味はそれほど変わらないものの、受け手側はジャック・ジョンソン
(2003年9月30日、2005年5月25日、2005年6月2日)やベン・ハーパ
ー側(2001年6月18日、2004年3月4日、2006年6月3日)からも入り込
み、デビュー後10年強を来てかなり変わっているんじゃないかとも感じさせ
られた。CB誌レヴューと重なるといけないので、このぐらいにしておく。
そして、南青山・ブルーノート東京に移動して、サンフランシスコ在住の
、米国の若手女性ジャズ歌手のジャッキー・ネイラーを聞く。やはり全員シ
スコ在住というピアノ・トリオをバックに歌う。キース・ジャレットやハー
ビー・ハンコックら定番が好きというピアノ奏者はときにギターも弾く。あ
んまし、うまくない(ローディがピアノやギターを弾いたときもあった)。
当のネイラー(30少し超えぐらいかな?)は突き抜けた歌い方をする人では
ない。だが、ロックとジャズが横並びになれる時代のジャズ・ヴォーカルを
意識的に押し出そうとしている人と言えるだろう。ときに、彼女は著名ジャ
ズ曲とロック曲を騙し絵的に重ねたようなことをやったりもするが(オリジ
ナル曲もけっこう歌う)、この日はトーキング・ヘッズの「ワンス・イン・
ア・ライフタイム」とウェザー・リポートの「バードランド」を巧みに重ね
たブツをやっていた。また、ジミ・ヘンドリックスの「エンジェル」(ぼく
は何よりフェイセズのヴァージョンで親しんでいるナ)のジャジーな処理も
良かった。
そういえば、夕方にスティング・バンドに長年在籍するギタリストのドミ
ニク・ミラー(韓国で人気で、トリオで2回ライヴやったあと東京に来たと
か)にインタヴューしたのだが、ソロ作ではアコースティック・ギターを用
いる彼をして「ジミになりたいと思わないギタリストがいると思うかい?」
。スティング・バンドに入る直前にフィル・コリンズのレコーディングに起
用されたとたん、噂が広がり仕事が殺到するようになったとのこと。彼は現
在、自己バンドに元レヴェル42のキーボード奏者のマイク・リンダップの才
を買い、起用している。リンダップの89年ポリドール盤のなかに入っている
メロディアス曲を現在組んでいるコンピレーションに入れたくてユニバーサ
ル本家に願い出ているのだが許諾がなぜか降りないんですと、思わずミラー
に言ってしまった。彼は、ニコっと心に留めておくよ。そこから、アプルー
ヴに発展しないかな。
話はだいぶとんだが、あんましアルバムを聞かずにライヴに触れたんだけ
ど、ネイラーさんの行く路線はアリでしょう。
、2004年11月17日、2005年5月25日、2005年6月2日)はキーボード奏
者を伴ってのもの。それ、初めてのこととなる。もう少し腕の立つ人を雇っ
てもいいのではと思わせる、常識的なサポートを鍵盤奏者はしていた。また
、フェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」(72年)とルー・リードの「ウォ
ーク・オン・ザ・ワイルド・サイド」(72年)を自分の曲にくっつける形で
やったりも。
現在、ジャック・ジョンソンのブラッシュファイアー入りしている彼。音
楽的な妙味はそれほど変わらないものの、受け手側はジャック・ジョンソン
(2003年9月30日、2005年5月25日、2005年6月2日)やベン・ハーパ
ー側(2001年6月18日、2004年3月4日、2006年6月3日)からも入り込
み、デビュー後10年強を来てかなり変わっているんじゃないかとも感じさせ
られた。CB誌レヴューと重なるといけないので、このぐらいにしておく。
そして、南青山・ブルーノート東京に移動して、サンフランシスコ在住の
、米国の若手女性ジャズ歌手のジャッキー・ネイラーを聞く。やはり全員シ
スコ在住というピアノ・トリオをバックに歌う。キース・ジャレットやハー
ビー・ハンコックら定番が好きというピアノ奏者はときにギターも弾く。あ
んまし、うまくない(ローディがピアノやギターを弾いたときもあった)。
当のネイラー(30少し超えぐらいかな?)は突き抜けた歌い方をする人では
ない。だが、ロックとジャズが横並びになれる時代のジャズ・ヴォーカルを
意識的に押し出そうとしている人と言えるだろう。ときに、彼女は著名ジャ
ズ曲とロック曲を騙し絵的に重ねたようなことをやったりもするが(オリジ
ナル曲もけっこう歌う)、この日はトーキング・ヘッズの「ワンス・イン・
ア・ライフタイム」とウェザー・リポートの「バードランド」を巧みに重ね
たブツをやっていた。また、ジミ・ヘンドリックスの「エンジェル」(ぼく
は何よりフェイセズのヴァージョンで親しんでいるナ)のジャジーな処理も
良かった。
そういえば、夕方にスティング・バンドに長年在籍するギタリストのドミ
ニク・ミラー(韓国で人気で、トリオで2回ライヴやったあと東京に来たと
か)にインタヴューしたのだが、ソロ作ではアコースティック・ギターを用
いる彼をして「ジミになりたいと思わないギタリストがいると思うかい?」
。スティング・バンドに入る直前にフィル・コリンズのレコーディングに起
用されたとたん、噂が広がり仕事が殺到するようになったとのこと。彼は現
在、自己バンドに元レヴェル42のキーボード奏者のマイク・リンダップの才
を買い、起用している。リンダップの89年ポリドール盤のなかに入っている
メロディアス曲を現在組んでいるコンピレーションに入れたくてユニバーサ
ル本家に願い出ているのだが許諾がなぜか降りないんですと、思わずミラー
に言ってしまった。彼は、ニコっと心に留めておくよ。そこから、アプルー
ヴに発展しないかな。
話はだいぶとんだが、あんましアルバムを聞かずにライヴに触れたんだけ
ど、ネイラーさんの行く路線はアリでしょう。
“テイスト・オブ・ケイオス”ツアー。ザ・レッド・クレイオラ、他
2006年10月22日 まず夕方、新木場・スタジオ・コースト。“テイスト・オブ・ケイオス”
と題された今様な激情を抱えるロック・バンドがいろいろと出る催しをチェ
ック。ハーレイというアパレル・メイカーのスポンサードのもと昨年からス
タートし世界中を回っているパッケージ・ツアー、日本に来る前はオセアニ
アを回り、日本の後は欧州をいろいろと巡業するようだ。
まず、日本のバンドのニュースターティングオーヴァーが演奏。ちゃんと
自分たちの表現に対する自覚的な問い掛けを持つ連中(なよーな気がした)
で悪くないなと思って聞いていたが、次の米国カリフォルニア5人組( 歌、
ギター2 、リズム隊) のセイオシンが出てきたらパワーが違う。エンジニア
/機材などの問題もあるのだろうが、音圧がまるで違う。うひょー。とくに
感心したのはドラム。別にグルーヴはないが、すばらしくパワフルで、切れ
のある叩き方をする。そして、それはバンドに確実に今をもたらしていると
思った。うんうん。メジャーと契約を持っているバンドながらまだ日本盤は
出ていないが、(だからこそ?)客への働きかけ風情もとてもケナゲ。続く
米国東海岸出身のセンシズ・フェイルも同じ編成で突っ走る。見てくれはフ
ツーのロック・バンドみたい、と感じたっけか。音楽自体はぼくはずっとセ
イオシンのほうに共感が持てた。みんな30分前後の演奏時間なり。
米国フロリダ出身のアンダーオースのパフォーマンスは笑えた。もう、み
んなちゃらく動き回り、見栄を切ったポーズを一生懸命に取る。ギャグ、見
事なコメディ……。このバンドにはキーボード奏者がいるがあんまり演奏に
は集中せずに(?)、夢中で身体を揺すっている(笑)。はははは。あと二
つは最低出たはずだが、それで新木場を後にする。この日、ぼくが見たバン
ドでヒッフホップ要素が入っていたバンドはゼロ。たまたまなのか、そうい
う選択基準があるのか。でも、だからこそ、彼らはフツーのハード・ロック
・バンドの今様版なのだと、思える部分はあったか。客も実に健全そうな風
体の若者だらけだった。
そして、渋谷のO・ネストに向かう。アメリカの不可解、その素敵を体感
するために……。日本人前座複数、あり。あぶらだこ からちゃんと見る。
いや、聞く。だって、混みまくりだし、ここはステージ高がないから後方か
らだとステージがあまり見えないので、ドアの外に出て漏れる音を知人と話
ながら聞いていた。なんか、久しぶりにそのライヴに接するような気もする
が、あぶらだこをメインで見に来ている人もいるのかな。そうであっても不
思議はないゾと思わせるしっかりした内実とキャリアを持つバンド。壁を隔
てた音に触れる分には、依然として確かなテンションを維持、正義を感じた。
そんなわけだから、ザ・レッド・クレイオラのパフォーマンスは上階のバ
ー・フロアでゆったりお酒を飲みながら当初は接した。そこでも、ぼやっと
した場内映像が映され、かなり小さいながら演奏音が流れるから。これぞ、
オトナ聞き、なんっちって。今回のメンバーは主体者メイヨ・トンプソン(
歌とギター)に加えて、ここ10年ぐらいつるんでいるベースのトム・ワトソ
ン、90年代中期のメイヨ・トンプスソン復活に尽力したトータス/シー・ア
ンド・ケイクのジョン・マッキンタイア(ドラム。2001年11月7日、2003
年1月30日、2005年1月7日)、新作でフィーチャーされているスコット
ランド在住のロックを全然知らないらしいアコーディオン奏者のチャーリー
・アヴェルという布陣。加えて、やはり90年代中期のトンプソン復活を手伝
った東京在住のジム・オルーク(2001年2月20日、2006年4月18日)も
ギターで全面的にからむ。彼が歌い、ハーモニカを吹いた曲もあった。
で、途中からはたまらず場内に入って見たのだが、驚いたのは音の聞こえ
方がまるで違うこと。バー・フロアでは非常に非ロック的言語と言っていい
だろうアコーディオン音がしっかりと聞こえたのに、下だとあんまり聞こえ
ない。よく聞こえるともう一つの不思議なロックに聞こえ(お馬鹿に乱暴に
言ってしまえば、ワールド・ロック?)、会場内だともっとロックっぽい、
本来イメージできるトンプソン表現に近いように感じた。それぞれに感興を
与えるものであり、一度で二度おいしい……。
まあ、そんなことは些細なこと、か。どう行こうと、どう聞こえようと、
それらは前代未聞な個体の才や持ち味と直結したものであり、だからこそ、
生理的に自由な、歌心も持つロックとなっていたもの。そこには、閃きから
嵐やエラーの感覚まで、澄んだ何かが口惜しいほど埋め込まれている。そう
いう部分では、トンプソン表現は見事に外れたロックと言える。でも、だか
らこそ、ロックなんだよなあ。なんか、禅問答みたいになっちゃうけど。彼
の表現はオルタナティヴとも言われるが、本当はロックの道理としてはまっ
とうというか基本となるべきものであり、エヴァーグリーンなものであるの
だと、ぼくは思わずにはいられなかった。
と題された今様な激情を抱えるロック・バンドがいろいろと出る催しをチェ
ック。ハーレイというアパレル・メイカーのスポンサードのもと昨年からス
タートし世界中を回っているパッケージ・ツアー、日本に来る前はオセアニ
アを回り、日本の後は欧州をいろいろと巡業するようだ。
まず、日本のバンドのニュースターティングオーヴァーが演奏。ちゃんと
自分たちの表現に対する自覚的な問い掛けを持つ連中(なよーな気がした)
で悪くないなと思って聞いていたが、次の米国カリフォルニア5人組( 歌、
ギター2 、リズム隊) のセイオシンが出てきたらパワーが違う。エンジニア
/機材などの問題もあるのだろうが、音圧がまるで違う。うひょー。とくに
感心したのはドラム。別にグルーヴはないが、すばらしくパワフルで、切れ
のある叩き方をする。そして、それはバンドに確実に今をもたらしていると
思った。うんうん。メジャーと契約を持っているバンドながらまだ日本盤は
出ていないが、(だからこそ?)客への働きかけ風情もとてもケナゲ。続く
米国東海岸出身のセンシズ・フェイルも同じ編成で突っ走る。見てくれはフ
ツーのロック・バンドみたい、と感じたっけか。音楽自体はぼくはずっとセ
イオシンのほうに共感が持てた。みんな30分前後の演奏時間なり。
米国フロリダ出身のアンダーオースのパフォーマンスは笑えた。もう、み
んなちゃらく動き回り、見栄を切ったポーズを一生懸命に取る。ギャグ、見
事なコメディ……。このバンドにはキーボード奏者がいるがあんまり演奏に
は集中せずに(?)、夢中で身体を揺すっている(笑)。はははは。あと二
つは最低出たはずだが、それで新木場を後にする。この日、ぼくが見たバン
ドでヒッフホップ要素が入っていたバンドはゼロ。たまたまなのか、そうい
う選択基準があるのか。でも、だからこそ、彼らはフツーのハード・ロック
・バンドの今様版なのだと、思える部分はあったか。客も実に健全そうな風
体の若者だらけだった。
そして、渋谷のO・ネストに向かう。アメリカの不可解、その素敵を体感
するために……。日本人前座複数、あり。あぶらだこ からちゃんと見る。
いや、聞く。だって、混みまくりだし、ここはステージ高がないから後方か
らだとステージがあまり見えないので、ドアの外に出て漏れる音を知人と話
ながら聞いていた。なんか、久しぶりにそのライヴに接するような気もする
が、あぶらだこをメインで見に来ている人もいるのかな。そうであっても不
思議はないゾと思わせるしっかりした内実とキャリアを持つバンド。壁を隔
てた音に触れる分には、依然として確かなテンションを維持、正義を感じた。
そんなわけだから、ザ・レッド・クレイオラのパフォーマンスは上階のバ
ー・フロアでゆったりお酒を飲みながら当初は接した。そこでも、ぼやっと
した場内映像が映され、かなり小さいながら演奏音が流れるから。これぞ、
オトナ聞き、なんっちって。今回のメンバーは主体者メイヨ・トンプソン(
歌とギター)に加えて、ここ10年ぐらいつるんでいるベースのトム・ワトソ
ン、90年代中期のメイヨ・トンプスソン復活に尽力したトータス/シー・ア
ンド・ケイクのジョン・マッキンタイア(ドラム。2001年11月7日、2003
年1月30日、2005年1月7日)、新作でフィーチャーされているスコット
ランド在住のロックを全然知らないらしいアコーディオン奏者のチャーリー
・アヴェルという布陣。加えて、やはり90年代中期のトンプソン復活を手伝
った東京在住のジム・オルーク(2001年2月20日、2006年4月18日)も
ギターで全面的にからむ。彼が歌い、ハーモニカを吹いた曲もあった。
で、途中からはたまらず場内に入って見たのだが、驚いたのは音の聞こえ
方がまるで違うこと。バー・フロアでは非常に非ロック的言語と言っていい
だろうアコーディオン音がしっかりと聞こえたのに、下だとあんまり聞こえ
ない。よく聞こえるともう一つの不思議なロックに聞こえ(お馬鹿に乱暴に
言ってしまえば、ワールド・ロック?)、会場内だともっとロックっぽい、
本来イメージできるトンプソン表現に近いように感じた。それぞれに感興を
与えるものであり、一度で二度おいしい……。
まあ、そんなことは些細なこと、か。どう行こうと、どう聞こえようと、
それらは前代未聞な個体の才や持ち味と直結したものであり、だからこそ、
生理的に自由な、歌心も持つロックとなっていたもの。そこには、閃きから
嵐やエラーの感覚まで、澄んだ何かが口惜しいほど埋め込まれている。そう
いう部分では、トンプソン表現は見事に外れたロックと言える。でも、だか
らこそ、ロックなんだよなあ。なんか、禅問答みたいになっちゃうけど。彼
の表現はオルタナティヴとも言われるが、本当はロックの道理としてはまっ
とうというか基本となるべきものであり、エヴァーグリーンなものであるの
だと、ぼくは思わずにはいられなかった。
JAZZTODAY06"bodyelectric"
2006年10月19日 渋谷・デュオ。電気効果とジャズ的素養/語彙をかみ合わせようとする、
3つのアクトが出た“ボディエレクトリック”と題された催し。それぞれに
40分、35分、60分の流動演奏を1曲づつ披露する。
まず、ギター/ラップトップの大島輝之率いる6人編成のoshima teruy
uki’into the black’ ensemble force001。リーダーにプラスして、ツイン
・ドラムス、ウッド・ベース、キーボード、シンセ、そして前に出るフル
ート/バリトン・サックスという面々。音が効果的に重ならない局面もあ
ったが十分に面白い。リズムの処理に関しては菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日。そーいえば、今来日中らしく
2006年10日11日の会場にいました)の『ススト』から多大な薫陶を受け
ているという感じもあったかな。
続いて、元PHAT(2003年3月6日、他)の藤原大輔(2003年6月
28日、2003年8月8日)のquartz-head01。テナーとシンセ系機材の藤原(
サックスも例によってサンプリング効果付き。だがサックスを吹いているよ
りもシンセを弄っている時間のほうが長い)ともう一人シンセ系機材担当者
に加え、アフリカ出身だろうジャンベ/肉声担当者が加わる。ヴィヴィッド
なようでいまいち画一的と感じたというか、ぼくは藤原が求める面白さがい
まいち判らない。
3番目は、東京ザヴィヌル・バッハ(2002年12月27日)の坪内昌恭とN
UMBの丁々発止パフォーマンス。基本はNUMBの繰り出す変化していく
ビートに、坪内が自在にエレピ音やシンセ音/効果を重ねるというもの。こ
れはキカイと人間力の興味深い拮抗があるなーと思う。フムフム。
3つのアクトが出た“ボディエレクトリック”と題された催し。それぞれに
40分、35分、60分の流動演奏を1曲づつ披露する。
まず、ギター/ラップトップの大島輝之率いる6人編成のoshima teruy
uki’into the black’ ensemble force001。リーダーにプラスして、ツイン
・ドラムス、ウッド・ベース、キーボード、シンセ、そして前に出るフル
ート/バリトン・サックスという面々。音が効果的に重ならない局面もあ
ったが十分に面白い。リズムの処理に関しては菊地雅章(1999年11月3日、2002年9月22日、2003年6月10日。そーいえば、今来日中らしく
2006年10日11日の会場にいました)の『ススト』から多大な薫陶を受け
ているという感じもあったかな。
続いて、元PHAT(2003年3月6日、他)の藤原大輔(2003年6月
28日、2003年8月8日)のquartz-head01。テナーとシンセ系機材の藤原(
サックスも例によってサンプリング効果付き。だがサックスを吹いているよ
りもシンセを弄っている時間のほうが長い)ともう一人シンセ系機材担当者
に加え、アフリカ出身だろうジャンベ/肉声担当者が加わる。ヴィヴィッド
なようでいまいち画一的と感じたというか、ぼくは藤原が求める面白さがい
まいち判らない。
3番目は、東京ザヴィヌル・バッハ(2002年12月27日)の坪内昌恭とN
UMBの丁々発止パフォーマンス。基本はNUMBの繰り出す変化していく
ビートに、坪内が自在にエレピ音やシンセ音/効果を重ねるというもの。こ
れはキカイと人間力の興味深い拮抗があるなーと思う。フムフム。
ザ・バーケイズ
2006年10月18日 オーティス・レディングのバック・バンドをやっていて、67年にオーティ
スがツアー中に飛行機事故で亡くなったときも同乗していたメンフィス出身
のバンド。が、運良く飛行機に乗っていなかったベーシストのジェイムズ・
アレクサンダーらを中心にその後もバンドを維持。ブラック・ロック的スタ
ンスを打ち出したスタックス/ヴォルト時代を経て、マーキューリーと契約
していた70年代中期からの約10年間がシングル・ヒットもいろいろと出て、
バンドの黄金期ということが出来るのか。この晩やった演目はほんとんどそ
の時期の曲だったはず。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。
派手な格好をした二人、アレクサンダーと事故後にバンド入りたラリー“
D”ドッドソンの古参(意外に、二人ともそんなに爺に見えない)を中心に
、もう一人のヴォーカル、ギター、ベース、キーボード二人、ドラムが一丸
となってサウンドと歌を送りだす。けっこうがちんこなノリ、ぐいぐい感あ
り。なんか、無条件に鼓舞するところもありましたね。客(ぼくも男友達と
見にいったのだが、なんか男性占有率がとても高かったような……)が立ち
上がる速さと頻度はコットンクラブのソウル・ショーのなかでもトップクラ
スではなかったか。
曲はほとんど切れ目なしに。また、曲によってはフロントに立つ4人が一
緒にポーズを付けたりして、それでまた客が沸く。先にゴツゴツと書いたが
、屈強であってもちゃんとメロディを持っているのが黄金期ザ・バー・ケイ
ズ・ファンクのポイント。そこらへんが、JBに代表される王道ファンクと
は大きく異なる。かつ、ビートが前のめりにカツカツと進んでいく曲も少な
くなく、それはプリンスのポップ・ファンク・ビートとのほのかな近似性を
感じさせたりもする。という具合で、やっぱり偉大な個性を有したバンドで
あることも再確認でき、うふふ。そういえば、この日は初日だったのだが、
ステージ横にはコワそうなオヤジ(マネージャーか)が座ってしっかり演奏
にチェック入れつつ、見守っていたな。それもショービズのまっとうな側面
ですね。芸人らしくしっかり物販をMCでアピール、メンバーたちは終演後
しっかりと御買上の方々相手にサイン会をやっていた。
終わって上機嫌。銀座のすずらん通りにある二つのソウル・クラブに流れ
る。他にもソウル・バーみたいなのもあったし、普段はあまり縁がないけど
銀座にもいっぱいそーゆーのあるのだなー。
スがツアー中に飛行機事故で亡くなったときも同乗していたメンフィス出身
のバンド。が、運良く飛行機に乗っていなかったベーシストのジェイムズ・
アレクサンダーらを中心にその後もバンドを維持。ブラック・ロック的スタ
ンスを打ち出したスタックス/ヴォルト時代を経て、マーキューリーと契約
していた70年代中期からの約10年間がシングル・ヒットもいろいろと出て、
バンドの黄金期ということが出来るのか。この晩やった演目はほんとんどそ
の時期の曲だったはず。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。
派手な格好をした二人、アレクサンダーと事故後にバンド入りたラリー“
D”ドッドソンの古参(意外に、二人ともそんなに爺に見えない)を中心に
、もう一人のヴォーカル、ギター、ベース、キーボード二人、ドラムが一丸
となってサウンドと歌を送りだす。けっこうがちんこなノリ、ぐいぐい感あ
り。なんか、無条件に鼓舞するところもありましたね。客(ぼくも男友達と
見にいったのだが、なんか男性占有率がとても高かったような……)が立ち
上がる速さと頻度はコットンクラブのソウル・ショーのなかでもトップクラ
スではなかったか。
曲はほとんど切れ目なしに。また、曲によってはフロントに立つ4人が一
緒にポーズを付けたりして、それでまた客が沸く。先にゴツゴツと書いたが
、屈強であってもちゃんとメロディを持っているのが黄金期ザ・バー・ケイ
ズ・ファンクのポイント。そこらへんが、JBに代表される王道ファンクと
は大きく異なる。かつ、ビートが前のめりにカツカツと進んでいく曲も少な
くなく、それはプリンスのポップ・ファンク・ビートとのほのかな近似性を
感じさせたりもする。という具合で、やっぱり偉大な個性を有したバンドで
あることも再確認でき、うふふ。そういえば、この日は初日だったのだが、
ステージ横にはコワそうなオヤジ(マネージャーか)が座ってしっかり演奏
にチェック入れつつ、見守っていたな。それもショービズのまっとうな側面
ですね。芸人らしくしっかり物販をMCでアピール、メンバーたちは終演後
しっかりと御買上の方々相手にサイン会をやっていた。
終わって上機嫌。銀座のすずらん通りにある二つのソウル・クラブに流れ
る。他にもソウル・バーみたいなのもあったし、普段はあまり縁がないけど
銀座にもいっぱいそーゆーのあるのだなー。
アメル・ラリュー
2006年10月13日 元グルーヴ・セオリー(10年前以上のグループ、どのぐらい人が記憶に止
めているか。なんて書くのは、ぼくにとってあまりピンと来るグループでは
なかったからか)の、才気走った流動系R&B表現を追求しているオルタナ派
の黒人女性シンガー。過去の項(2000年6月13日、2004年5月10日)で
はアメール・ラリューと記してきたけど、新譜表記(その『モーニング』は
かなりの出来と思う)とかアメルになっているので今回はそれに従う。丸の
内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。
おお、相変わらず、スキャットかましまくり。いや、その全体表現に占め
る割合は過去以上か。歌う曲もぬめぬめしたメロディ/質感を持つものゆえ
、そういう印象はより増幅される。彼女は普通に歌っている場合も肉声の多
重効果を求めるために、バッキング・コーラス担当者との絡みを鋭意求めた
りもする。繰り返すが、スキャット活用頻度は普通のジャズ・シンガー以上
だろう。だが、彼女は今のビート、今のネオ・ソウル的感性と繋がりを持っ
た設定のなかで、それを延々としようとする。だからこそ、ジャズ・ヴォー
カルとは一線を画す妙味や今の先鋭R&Bとしての輝きが出る……というわけ。
00年のときのように不可解なエフェクトをヴォーカルにかますこともなかっ
たし、04年時のように過剰に気張って聞く者を退かせることもなく、そうし
た彼女のクールな目論見はかなりいい感じで出されていたのではないか。
そんな好印象を引き出したのはバッキング・ミュージシャンの質が高か
ったせいもあったと思う。バンドはベース、ドラム、キーボードという簡素
な編成ながらきっちりとグルーヴと間(ま)を併せ持つサウンドを出してい
たし、多少年配の女性バッキング・シンガーも確かな音程でラリューをサポ
ートしていた。多彩な音色や奏法により小人数であることをカヴァーしよう
としていたベース奏者(ジェフリー・コナー)はかつてのスティーヴィ・サ
ラス(2004年8月3日参照)のアルバムに名前が見られる人だが、あまり名
前は有名ではないものの、それぞれに確かな仕事をしてきている人達であろ
うと推測する。
めているか。なんて書くのは、ぼくにとってあまりピンと来るグループでは
なかったからか)の、才気走った流動系R&B表現を追求しているオルタナ派
の黒人女性シンガー。過去の項(2000年6月13日、2004年5月10日)で
はアメール・ラリューと記してきたけど、新譜表記(その『モーニング』は
かなりの出来と思う)とかアメルになっているので今回はそれに従う。丸の
内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。
おお、相変わらず、スキャットかましまくり。いや、その全体表現に占め
る割合は過去以上か。歌う曲もぬめぬめしたメロディ/質感を持つものゆえ
、そういう印象はより増幅される。彼女は普通に歌っている場合も肉声の多
重効果を求めるために、バッキング・コーラス担当者との絡みを鋭意求めた
りもする。繰り返すが、スキャット活用頻度は普通のジャズ・シンガー以上
だろう。だが、彼女は今のビート、今のネオ・ソウル的感性と繋がりを持っ
た設定のなかで、それを延々としようとする。だからこそ、ジャズ・ヴォー
カルとは一線を画す妙味や今の先鋭R&Bとしての輝きが出る……というわけ。
00年のときのように不可解なエフェクトをヴォーカルにかますこともなかっ
たし、04年時のように過剰に気張って聞く者を退かせることもなく、そうし
た彼女のクールな目論見はかなりいい感じで出されていたのではないか。
そんな好印象を引き出したのはバッキング・ミュージシャンの質が高か
ったせいもあったと思う。バンドはベース、ドラム、キーボードという簡素
な編成ながらきっちりとグルーヴと間(ま)を併せ持つサウンドを出してい
たし、多少年配の女性バッキング・シンガーも確かな音程でラリューをサポ
ートしていた。多彩な音色や奏法により小人数であることをカヴァーしよう
としていたベース奏者(ジェフリー・コナー)はかつてのスティーヴィ・サ
ラス(2004年8月3日参照)のアルバムに名前が見られる人だが、あまり名
前は有名ではないものの、それぞれに確かな仕事をしてきている人達であろ
うと推測する。
ロブ・ヴァン・バヴェル・トリオ
2006年10月11日 オランダ人たちによるピアノ・トリオを、南青山・ボディ&ソウルで見る
。リーダーのバヴェルは40才ちょいで、オランダでは教鞭業でも活躍してい
るらしているらしい。なるほど、適切に指が動き、適切にスウィンギンで奔
放な演奏はジャズ・ピアニスト予備軍にはかなり“有り難い参考書”となる
のではないか。生理的に優しく、明解。演目は有名スタンダードが主、それ
をきちんと自分たちであらんと崩して演奏する。左利き(のセットを組んで
いた)ドラマーは71才らしいが、とっても興味深い。なんか音の感じが違う
なあと思ったら、4枚使っているシンバルのうち3枚が鋲打ち。そんな設定
にもあらわれているように、叩き出すビートもオイラの主張に富んだもので
、普段ロックしか聞かない人にはジャズ・ドラムとしか聞こえないだろうが
、ジャズを知っている人にはかなり異なる感触を与えるものだったに違いな
い。音響的(笑い)でもあり、けっこう“立った”感触もあるドラミングを
披露する彼は、ピアノ奏者とベース奏者(彼もピアノと同年代か)が丹精で
生真面目そうな人達だけに対比もあってやんちゃな人に見えた。なんか、ハ
ンス・ダルファーと同じ匂いを発するというか。……ジャズはドラムで決ま
る。ジャズにはそんな格言もあるが、そういう意味でもバヴェルの表現はジ
ャズ入門者への適切なメッセージを含んでいたかもしれない。
。リーダーのバヴェルは40才ちょいで、オランダでは教鞭業でも活躍してい
るらしているらしい。なるほど、適切に指が動き、適切にスウィンギンで奔
放な演奏はジャズ・ピアニスト予備軍にはかなり“有り難い参考書”となる
のではないか。生理的に優しく、明解。演目は有名スタンダードが主、それ
をきちんと自分たちであらんと崩して演奏する。左利き(のセットを組んで
いた)ドラマーは71才らしいが、とっても興味深い。なんか音の感じが違う
なあと思ったら、4枚使っているシンバルのうち3枚が鋲打ち。そんな設定
にもあらわれているように、叩き出すビートもオイラの主張に富んだもので
、普段ロックしか聞かない人にはジャズ・ドラムとしか聞こえないだろうが
、ジャズを知っている人にはかなり異なる感触を与えるものだったに違いな
い。音響的(笑い)でもあり、けっこう“立った”感触もあるドラミングを
披露する彼は、ピアノ奏者とベース奏者(彼もピアノと同年代か)が丹精で
生真面目そうな人達だけに対比もあってやんちゃな人に見えた。なんか、ハ
ンス・ダルファーと同じ匂いを発するというか。……ジャズはドラムで決ま
る。ジャズにはそんな格言もあるが、そういう意味でもバヴェルの表現はジ
ャズ入門者への適切なメッセージを含んでいたかもしれない。
横浜ジャズプロムナード
2006年10月8日 毎年、行われている地域空間型ジャズ・フェスティヴァル(2001年10月
6日、2004年10月10日)。パンフを見ると本当に演奏の場所と出演者、
多いものなあ。今回はみなとみらい駅で降りたが、あっちこちでフリー・ラ
イヴをやっている。ちょっと覗いた横浜みなとみらいホールはクラシック用
途のそれでとても立派。でも、今年はホール公演群はパスにして、ジャズ・
クラブをまわる。出入り自由の提携店もいろいろあり(25店)、横浜にもジ
ャズ・ライヴを見せる場がけっこうあるのにはびっくり。エアジンなんかは
それに混ざっていないから、実際はもっとあるのだろうけど。
ちなみに、この日は競馬をやっている日。野毛にあるドルフィーとダウン
ビートに行こうと思ったのだが、場外馬券場があるためおっさんどもが昼間
から溢れていて(競馬とはなんの縁もない者にとっては)なかなかに強烈。
昔、何度かこの辺で飲んだことはあるがこんなにディープだったっけか?
うひょ。奥のほうにあるドルフィーでは井上淑彦(リード)とつの犬(ドラ
ム)のデュオを見る。まあ、見やすい感じのハコ。歴史ありそうな感じもあ
ったが、パンフを見たら1990年開店なので、そんなに古いハコではないのだ
ナ。1曲目にやった曲は二人が組んでいるフューズというグループの曲らし
いが、BS&Tの「スピニング・ホイール」に似ていると思った。MCのマ
イク以外は生音だったのか。
そして、少し桜木町駅のほうに戻って、ダウンビート。とっても場所が見
つからなくて困ったが、なかなかに感興を与えるハコ(パンフ見たら、1956
年開店とある。まさかこの場所から始まったのではないだろうが……)。か
なり小さなハコながらちゃんとグランド・ピアノが置いてあり、狭いステー
ジに向かって椅子とテーブルが横に並んでいる。なんか、古い良き時代のジ
ャズ・クラブという感じはむんむん、且つ無条件で日々の営業ごくろう様で
すと言いたくなる雰囲気を持っている。出演はNY在住のピアニストである
早間美紀が若い日本人リズム・セクションとチャック・スティーヴンスとい
う白人ギタリストを伴ってのもの。真摯なジャズ。早間はもっとリズムに鋭
敏なセンスを出せればとも思うが、秀でた弾き手に必要な自覚を持つ奏者だ
と思う。近く出る、トリオによる新作もそう思わせられる。演奏の始まりと
終わりにおじさんが出演者のどうってことない、でもなんか和める紹介をす
る。それも、(日本的に)老舗らしい?
ご飯を食べたあと、もう一軒。馬車道にあるKAMOME live matters という
お店へ。こちらは開店して2年とかで、今様。広さもそこそこあり、飲み物
や食べ物もいろいろサーヴするようだし、テーブル席のほかにソファー席も
あったりする。店の外に演奏音が漏れていたが、夜のオフィス街だとそれで
も問題ないのか。出演者はハーモニカ奏者の今出宏のグループ。で、ジャズ
/フュージョン的なハーモニー感覚を少し経由した、笑える歌謡ラテンをや
っててびっくり。演目は「伊勢佐木町ブルース」、他。アゲアゲのパートになる
とサンタナ濃度が強まったりも。前はジャミロクワイ的とも少し言えそうな
ファンク・ポップをやっていたという記憶があるが、最近はこういう路線で
行っているの? MCで28才と紹介されていた和泉聡志というギタリストは
ソロでやるパートを与えられていたが、ベタな歌謡ムード曲をもろなジミヘ
ン・マナーで炸裂させて大笑い。こういうギタリストがいるからこそのグル
ープの方向性?
いろんなライヴ・ヴェニューをハシゴできて有意義でした。
6日、2004年10月10日)。パンフを見ると本当に演奏の場所と出演者、
多いものなあ。今回はみなとみらい駅で降りたが、あっちこちでフリー・ラ
イヴをやっている。ちょっと覗いた横浜みなとみらいホールはクラシック用
途のそれでとても立派。でも、今年はホール公演群はパスにして、ジャズ・
クラブをまわる。出入り自由の提携店もいろいろあり(25店)、横浜にもジ
ャズ・ライヴを見せる場がけっこうあるのにはびっくり。エアジンなんかは
それに混ざっていないから、実際はもっとあるのだろうけど。
ちなみに、この日は競馬をやっている日。野毛にあるドルフィーとダウン
ビートに行こうと思ったのだが、場外馬券場があるためおっさんどもが昼間
から溢れていて(競馬とはなんの縁もない者にとっては)なかなかに強烈。
昔、何度かこの辺で飲んだことはあるがこんなにディープだったっけか?
うひょ。奥のほうにあるドルフィーでは井上淑彦(リード)とつの犬(ドラ
ム)のデュオを見る。まあ、見やすい感じのハコ。歴史ありそうな感じもあ
ったが、パンフを見たら1990年開店なので、そんなに古いハコではないのだ
ナ。1曲目にやった曲は二人が組んでいるフューズというグループの曲らし
いが、BS&Tの「スピニング・ホイール」に似ていると思った。MCのマ
イク以外は生音だったのか。
そして、少し桜木町駅のほうに戻って、ダウンビート。とっても場所が見
つからなくて困ったが、なかなかに感興を与えるハコ(パンフ見たら、1956
年開店とある。まさかこの場所から始まったのではないだろうが……)。か
なり小さなハコながらちゃんとグランド・ピアノが置いてあり、狭いステー
ジに向かって椅子とテーブルが横に並んでいる。なんか、古い良き時代のジ
ャズ・クラブという感じはむんむん、且つ無条件で日々の営業ごくろう様で
すと言いたくなる雰囲気を持っている。出演はNY在住のピアニストである
早間美紀が若い日本人リズム・セクションとチャック・スティーヴンスとい
う白人ギタリストを伴ってのもの。真摯なジャズ。早間はもっとリズムに鋭
敏なセンスを出せればとも思うが、秀でた弾き手に必要な自覚を持つ奏者だ
と思う。近く出る、トリオによる新作もそう思わせられる。演奏の始まりと
終わりにおじさんが出演者のどうってことない、でもなんか和める紹介をす
る。それも、(日本的に)老舗らしい?
ご飯を食べたあと、もう一軒。馬車道にあるKAMOME live matters という
お店へ。こちらは開店して2年とかで、今様。広さもそこそこあり、飲み物
や食べ物もいろいろサーヴするようだし、テーブル席のほかにソファー席も
あったりする。店の外に演奏音が漏れていたが、夜のオフィス街だとそれで
も問題ないのか。出演者はハーモニカ奏者の今出宏のグループ。で、ジャズ
/フュージョン的なハーモニー感覚を少し経由した、笑える歌謡ラテンをや
っててびっくり。演目は「伊勢佐木町ブルース」、他。アゲアゲのパートになる
とサンタナ濃度が強まったりも。前はジャミロクワイ的とも少し言えそうな
ファンク・ポップをやっていたという記憶があるが、最近はこういう路線で
行っているの? MCで28才と紹介されていた和泉聡志というギタリストは
ソロでやるパートを与えられていたが、ベタな歌謡ムード曲をもろなジミヘ
ン・マナーで炸裂させて大笑い。こういうギタリストがいるからこそのグル
ープの方向性?
いろんなライヴ・ヴェニューをハシゴできて有意義でした。
マイケル・フランティ
2006年10月5日 シスコをベースとする、男気あふれるアーティスト。2000年8月12日、同
16日、2003年7月27日に続いて、彼のライヴは見る。あと、90年代中期に
プロモーション来日したことがあって(格好良かった。当時、キャピトルと
スピアヘッドとして契約した彼は同社の社長マターの一推しアーティストだ
った。まるで、それはアリスタ設立時のギル・スコット・ヘロンの扱いのよ
うに、と言う事が出来るか)、インタヴューしたことがあった。そのとき、
小さなライヴ・ハウスに飛び入りしてちょいパフォーマンスした、なんて話
も聞いたことがあるような気もするが、ぼくは見ていない。
ギター、ベース(超レゲエ仕様の弾き方)、ドラム、キーボードを従えて
のパフォーマンス。本人はギター(生ギターも)を持ったりもたなかったり
。途中にしっかりと、「上を向いて歩こう」を日本語中心でやったりも。よ
り、レゲエっぽく、多少ロックぽくという行き方は、アンタイと契約しての
新作と同じ行き方ですね。
恵比寿・リッキッドルーム。前回のフジ・ロック出演時ほどは凄くなかっ
たが、やっぱり今トップ級に訴求力のあるライヴ・パフォーマンスをする人
物。どーしてぼくは音楽を愛好し続けているのかという問いに対する答えを
しっかりと返しているような実演ではあったもの。ポップ・ミュージックべ
ったりという感じでかなり歪んだ人生をこれまで歩んできているワタシだが、
それでもいいんぢゃんとも思わさせられたかな? かつてぼくは現役で絶対
服従のバンドはフィッシュボーンと言っていた(彼らを見捨てたわけではな
いけど。アンジェロ・ムーアの05年ソロ・アルバムは本当に素晴らしい出来
だ)が、今なら、それはまずフランティになるかな、な〜んてこともぼくは
発汗した頭のなかで思った。
16日、2003年7月27日に続いて、彼のライヴは見る。あと、90年代中期に
プロモーション来日したことがあって(格好良かった。当時、キャピトルと
スピアヘッドとして契約した彼は同社の社長マターの一推しアーティストだ
った。まるで、それはアリスタ設立時のギル・スコット・ヘロンの扱いのよ
うに、と言う事が出来るか)、インタヴューしたことがあった。そのとき、
小さなライヴ・ハウスに飛び入りしてちょいパフォーマンスした、なんて話
も聞いたことがあるような気もするが、ぼくは見ていない。
ギター、ベース(超レゲエ仕様の弾き方)、ドラム、キーボードを従えて
のパフォーマンス。本人はギター(生ギターも)を持ったりもたなかったり
。途中にしっかりと、「上を向いて歩こう」を日本語中心でやったりも。よ
り、レゲエっぽく、多少ロックぽくという行き方は、アンタイと契約しての
新作と同じ行き方ですね。
恵比寿・リッキッドルーム。前回のフジ・ロック出演時ほどは凄くなかっ
たが、やっぱり今トップ級に訴求力のあるライヴ・パフォーマンスをする人
物。どーしてぼくは音楽を愛好し続けているのかという問いに対する答えを
しっかりと返しているような実演ではあったもの。ポップ・ミュージックべ
ったりという感じでかなり歪んだ人生をこれまで歩んできているワタシだが、
それでもいいんぢゃんとも思わさせられたかな? かつてぼくは現役で絶対
服従のバンドはフィッシュボーンと言っていた(彼らを見捨てたわけではな
いけど。アンジェロ・ムーアの05年ソロ・アルバムは本当に素晴らしい出来
だ)が、今なら、それはまずフランティになるかな、な〜んてこともぼくは
発汗した頭のなかで思った。