近藤等則+レック他
2007年1月8日 1週間強、コンピューターを開けないで(まあ、手元になかったんだけど
)惚けまくり。で、暫くぶりにメールをチェックして、うーむ。ぼくは二つ
のプロヴァイダーを併用しているだが、メインじゃない方の昔から使ってい
るアドレスの受信メール・ボックスのほうが大変なことになっている。米国
発信のスパムが山ほど。やれ、ヴァイアグラだのロレックスだのオンライン
・カジノだの、愚にもつかない勧誘メールが500 通強。普段はイヤだなあや
っかいだなあと思いつつ日に何度も事あるごとに消しているので、常軌を逸
した負担にはなってないので見逃していたが、さすがにこれだけ山になって
いると……。新年早々や〜な、感じ。きっと、必要な内容のメールも流れで
一緒に消しちゃってるな。うーむ、そろそろアドレス変えるとか対策したほ
うがいいのか。でも、それも面倒臭い。
新年第二週から、わりかしフツーの日常が開始といった感じ。いまいち、
調子でないけど。吉祥寺・スターパインズ・カフェ。5年前の新年最初のコ
ンサートもここだったな。99年5月以降、“ライヴ三昧”をずっと書いてい
るが、昔よりだいぶ細かく公演内容を書き留めるようになっているのは間違
いない。それは、後から使える事が少なくなく、便利だからそうなったのだ
が。まあ、昔みたいな他愛ない文章を書くのも嫌いじゃないのだけど。
近藤等則(2006年4月28日)、レック(2005年4月26日)、高田宗紀(
ターンテーブル)、湊雅史(ドラム)という布陣のセッション。近藤が80年
代に鋭意やってたIMAバンドの流れを組む編成(ドラマー以外は当時のメ
ンバーみたい)によるもの。プリセット音も用いつつ、わりと整合感のある
インタープレイ演奏を聞かせる。終わり方なんかにしても手探りでというよ
りはシャキっと終わるので、けっこリハをやってこの実演に臨んでいるよう
。レックのベースはとてもビル・ラズウェル(2005年7月30日、2006年1
月21日、2006年11月26日、他)ぽいなと思わせるもので、おおこんな弾き
方もするんだ、という感じ。それにしても近藤は昔よくレックに声をかけた
し、レックもそれに応じたよな。近藤の演奏は例によって全編、電気を通し
てのもの。ばくは、バック音が電気臭が強いのだから生で疾走したほうがカ
ッコいいと思うが。
)惚けまくり。で、暫くぶりにメールをチェックして、うーむ。ぼくは二つ
のプロヴァイダーを併用しているだが、メインじゃない方の昔から使ってい
るアドレスの受信メール・ボックスのほうが大変なことになっている。米国
発信のスパムが山ほど。やれ、ヴァイアグラだのロレックスだのオンライン
・カジノだの、愚にもつかない勧誘メールが500 通強。普段はイヤだなあや
っかいだなあと思いつつ日に何度も事あるごとに消しているので、常軌を逸
した負担にはなってないので見逃していたが、さすがにこれだけ山になって
いると……。新年早々や〜な、感じ。きっと、必要な内容のメールも流れで
一緒に消しちゃってるな。うーむ、そろそろアドレス変えるとか対策したほ
うがいいのか。でも、それも面倒臭い。
新年第二週から、わりかしフツーの日常が開始といった感じ。いまいち、
調子でないけど。吉祥寺・スターパインズ・カフェ。5年前の新年最初のコ
ンサートもここだったな。99年5月以降、“ライヴ三昧”をずっと書いてい
るが、昔よりだいぶ細かく公演内容を書き留めるようになっているのは間違
いない。それは、後から使える事が少なくなく、便利だからそうなったのだ
が。まあ、昔みたいな他愛ない文章を書くのも嫌いじゃないのだけど。
近藤等則(2006年4月28日)、レック(2005年4月26日)、高田宗紀(
ターンテーブル)、湊雅史(ドラム)という布陣のセッション。近藤が80年
代に鋭意やってたIMAバンドの流れを組む編成(ドラマー以外は当時のメ
ンバーみたい)によるもの。プリセット音も用いつつ、わりと整合感のある
インタープレイ演奏を聞かせる。終わり方なんかにしても手探りでというよ
りはシャキっと終わるので、けっこリハをやってこの実演に臨んでいるよう
。レックのベースはとてもビル・ラズウェル(2005年7月30日、2006年1
月21日、2006年11月26日、他)ぽいなと思わせるもので、おおこんな弾き
方もするんだ、という感じ。それにしても近藤は昔よくレックに声をかけた
し、レックもそれに応じたよな。近藤の演奏は例によって全編、電気を通し
てのもの。ばくは、バック音が電気臭が強いのだから生で疾走したほうがカ
ッコいいと思うが。
ディーヴァ・グレイ&ザ・ソウル・サーチャーズ
2007年1月9日 目黒・ブルースアレイ。ディーヴァ・グレイは70年代中期ぐらいからNY
のシーンで活躍している、バックグランド・ヴォーカルのスペシャリスト。
現在、渋谷の学校で歌を教えるために滞日中なのだとか。で、この晩はその
百戦錬磨のその喉を思う存分に披露してもらいましょうという出し物(オー
ガナイズは吉岡正晴さん)。バック・バンドも現在は日本に住むアメリカ出
身者が主体になるもので6人編成、それに二人の女性コーラス。
故ルーサー・ヴァンドロスと一緒にバック・コーラスを付けたシックのも
ろもろのヒット曲をはじめ、ジョージ・ベンソン、チェンジ、ナタリー・コ
ール、BBQバンド、セリーヌ・ディイオン&R・ケリーなど、歌われる曲
はすべて彼女がオリジナル・レコーディングに参加したもの。また、ディー
ヴァ・グレイ&オイスターという名前で出した自己作からも歌う。さらに、
スティーリー・ダンの「バビロン・シスターズ」も! なるほど、実はトー
キング・ヘッズ、デイヴィッド・ボウイ、スクリッティ・ポリッティなど、
ロック系レコーディング参加が多い人とうイメージをぼくは彼女に持つ。そ
んな事実は実演を聞いても、なんとなく納得させられるか。こってりギトギ
トだけでない、洗練やまろみを彼女は持っており、だからこそ洒脱都会派を
目指したシック(その後のプロデュース仕事にも表れていたように、彼らは
ロック派でもありましたよね)からも望まれる人材であったし、ロック系や
デイヴィッド・サンボーンやマーカス・ミラーをはじめフュージョン系セッ
ションからもひっぱりだこになったのだナと……。
2部構成で、計2時間を超えるパフォーマンス。お客の反応もすごいもの
で、送る側の気持ちと受け取る側の気持ちがとってもいい感じで交錯。いろ
んな意味で、暖かく、熱い。両者を繋いでいたのは、ソウルという表現が積
み重ねてきたフィーリングやストーリーを愛でる気持ちであったはず。
のシーンで活躍している、バックグランド・ヴォーカルのスペシャリスト。
現在、渋谷の学校で歌を教えるために滞日中なのだとか。で、この晩はその
百戦錬磨のその喉を思う存分に披露してもらいましょうという出し物(オー
ガナイズは吉岡正晴さん)。バック・バンドも現在は日本に住むアメリカ出
身者が主体になるもので6人編成、それに二人の女性コーラス。
故ルーサー・ヴァンドロスと一緒にバック・コーラスを付けたシックのも
ろもろのヒット曲をはじめ、ジョージ・ベンソン、チェンジ、ナタリー・コ
ール、BBQバンド、セリーヌ・ディイオン&R・ケリーなど、歌われる曲
はすべて彼女がオリジナル・レコーディングに参加したもの。また、ディー
ヴァ・グレイ&オイスターという名前で出した自己作からも歌う。さらに、
スティーリー・ダンの「バビロン・シスターズ」も! なるほど、実はトー
キング・ヘッズ、デイヴィッド・ボウイ、スクリッティ・ポリッティなど、
ロック系レコーディング参加が多い人とうイメージをぼくは彼女に持つ。そ
んな事実は実演を聞いても、なんとなく納得させられるか。こってりギトギ
トだけでない、洗練やまろみを彼女は持っており、だからこそ洒脱都会派を
目指したシック(その後のプロデュース仕事にも表れていたように、彼らは
ロック派でもありましたよね)からも望まれる人材であったし、ロック系や
デイヴィッド・サンボーンやマーカス・ミラーをはじめフュージョン系セッ
ションからもひっぱりだこになったのだナと……。
2部構成で、計2時間を超えるパフォーマンス。お客の反応もすごいもの
で、送る側の気持ちと受け取る側の気持ちがとってもいい感じで交錯。いろ
んな意味で、暖かく、熱い。両者を繋いでいたのは、ソウルという表現が積
み重ねてきたフィーリングやストーリーを愛でる気持ちであったはず。
コン・ファンク・シャン
2007年1月10日 丸の内・コットンクラブ。セカンド・ショウ。メンフィスで結成され、70
年代初頭から活動しているセルフ・コンテインド・グループ。……彼ら、フ
ァンク的な男っぽさとブラコンっぽいちゃらさを上手く併せ持ってるんだな
。ミディアムはどこかトッド・ラングレン(2001年11月9日。2002年9月
19日。2002年9月28日)調だなと仄かに思わせる曲も。彼らけっこう、
メロディアスな曲をやっていたことも了解。
前列に5人。白いスーツを来た管楽器担当の3人(ショウ冒頭、吹きなが
ら出てきてステージに上がった。掴みはばっちり)を挟む感じで、黒い服を
来たギタリストとベーシスト(痩身で、ええカッコしいな感じが良い)が両
側に立つ。彼らはもちろん、いろんな美学が反映されたフリをつける。そし
て、ステージ後列にはキーボード、ドラム、パーカッション奏者。リード・
ヴォーカルはオリジナル・メンバーのギタリスト(マイケル・クーパー。彼
は主に進行役の担う)とトロンボニスト(フェルトン・パイレイト。彼はキ
ーボードを少し弾いたりも)が取る。
70年代中期から約10年間マーキュリーからバリバリとアルバムを出してい
たころが一応全盛期となるのかもしれないが、現役感覚もたっぷり。間違い
なし、のソウル・ショーを展開。
年代初頭から活動しているセルフ・コンテインド・グループ。……彼ら、フ
ァンク的な男っぽさとブラコンっぽいちゃらさを上手く併せ持ってるんだな
。ミディアムはどこかトッド・ラングレン(2001年11月9日。2002年9月
19日。2002年9月28日)調だなと仄かに思わせる曲も。彼らけっこう、
メロディアスな曲をやっていたことも了解。
前列に5人。白いスーツを来た管楽器担当の3人(ショウ冒頭、吹きなが
ら出てきてステージに上がった。掴みはばっちり)を挟む感じで、黒い服を
来たギタリストとベーシスト(痩身で、ええカッコしいな感じが良い)が両
側に立つ。彼らはもちろん、いろんな美学が反映されたフリをつける。そし
て、ステージ後列にはキーボード、ドラム、パーカッション奏者。リード・
ヴォーカルはオリジナル・メンバーのギタリスト(マイケル・クーパー。彼
は主に進行役の担う)とトロンボニスト(フェルトン・パイレイト。彼はキ
ーボードを少し弾いたりも)が取る。
70年代中期から約10年間マーキュリーからバリバリとアルバムを出してい
たころが一応全盛期となるのかもしれないが、現役感覚もたっぷり。間違い
なし、のソウル・ショーを展開。
ベースメント・ジャックス
2007年1月11日 英国のDJミュージック派生の娯楽ポップ・デュオ、今回の公演は10人を
超える陣容でのもの。DJ/オペレイション・ブースを中央に、左右にギタ
ー、ドラム、パ─カッション、3本のブラス隊。そして、複数の女性シンガ
ーや男性DJ(ラッパー)やダンサーなんかがいろいろと曲に合わせて出た
りひっこんだり。それら出演者は恰好やフリなんかにも留意したパフォーマ
ンスをする。場所は、青海・ゼップ東京。
ときに眼鏡のフィリックスは前に出てきてラップし、大いに煽ったりも。
一部ツメの甘さやちゃらさもあるのだがそれも含めて、親しみやすい、聞き
手になんの構えも要求しない破顔一笑的なエンターテインメント表現をまっ
とう。興味深いなあと思ったのは、DJ系アクトというと映像に凝る傾向に
あるものだが、今回の彼らの場合は照明は派手なものの、いっさい映像の類
は用いず流さずの姿勢を貫いていたここと。それは、本人たちが音に自信を
持っていたからか。それとも、生身の人間たちの視覚効果だけで十分な娯楽
効果が獲得できていると判断したからか。確かに、十分に楽しかったです。
超える陣容でのもの。DJ/オペレイション・ブースを中央に、左右にギタ
ー、ドラム、パ─カッション、3本のブラス隊。そして、複数の女性シンガ
ーや男性DJ(ラッパー)やダンサーなんかがいろいろと曲に合わせて出た
りひっこんだり。それら出演者は恰好やフリなんかにも留意したパフォーマ
ンスをする。場所は、青海・ゼップ東京。
ときに眼鏡のフィリックスは前に出てきてラップし、大いに煽ったりも。
一部ツメの甘さやちゃらさもあるのだがそれも含めて、親しみやすい、聞き
手になんの構えも要求しない破顔一笑的なエンターテインメント表現をまっ
とう。興味深いなあと思ったのは、DJ系アクトというと映像に凝る傾向に
あるものだが、今回の彼らの場合は照明は派手なものの、いっさい映像の類
は用いず流さずの姿勢を貫いていたここと。それは、本人たちが音に自信を
持っていたからか。それとも、生身の人間たちの視覚効果だけで十分な娯楽
効果が獲得できていると判断したからか。確かに、十分に楽しかったです。
リリー・アレン
2007年1月12日 85年ロンドン生まれのおきゃんなキャラ立ち小娘で、デビュー早々UKで
は好成績を収めたニューカマー。きっちり、バンド(キーボード、ギター、
ベース、ドラム、3人のブラス隊によるパフォーマンス)。力まかせなその
音はけっこうレトロな感覚を増幅させる。今っぽい作りの音盤のほうがいろ
んな歌い方してるし、曲趣も広がりがあってぼくは好みだけど、魅力的なタ
レントであるのは間違いない。彼女の曲はスカっぽいビートの曲も少なくな
いが、アンコールではザ・スペシャルズの曲をカヴァー。ステージでけっこ
う煙草をプカプカやってた彼女は、「フジ・ロック・フェスティヴァルに出
た〜い。誰か、招待してよ」と中盤で屈託なくアピール。なんでも、芸人を
やっている彼女の父親はフジ・ロックのパレス・オブ・ワンダーに出演した
ことがあるそうで、彼女はそのとき同行し、フジ・ロックが大好きになった
らしい。ちょっと、いい話かも。恵比寿・リキッドルーム.
は好成績を収めたニューカマー。きっちり、バンド(キーボード、ギター、
ベース、ドラム、3人のブラス隊によるパフォーマンス)。力まかせなその
音はけっこうレトロな感覚を増幅させる。今っぽい作りの音盤のほうがいろ
んな歌い方してるし、曲趣も広がりがあってぼくは好みだけど、魅力的なタ
レントであるのは間違いない。彼女の曲はスカっぽいビートの曲も少なくな
いが、アンコールではザ・スペシャルズの曲をカヴァー。ステージでけっこ
う煙草をプカプカやってた彼女は、「フジ・ロック・フェスティヴァルに出
た〜い。誰か、招待してよ」と中盤で屈託なくアピール。なんでも、芸人を
やっている彼女の父親はフジ・ロックのパレス・オブ・ワンダーに出演した
ことがあるそうで、彼女はそのとき同行し、フジ・ロックが大好きになった
らしい。ちょっと、いい話かも。恵比寿・リキッドルーム.
E.S.T.。渋さ知らズ
2007年1月13日 6時から渋谷・オーチャードホールでスウェーデンのジャズ・トリオ、E.
S.T.。寒空のもと、会場前はすごい列。空席もそれなりにあったE.S.T.公演
を見る人ではなく、もちろん向かいのエッシャー展を見ようとする人達なり
。1時間半待ちですと、案内人が言っていたっけ。へー休日とはいえ、エッ
シャーってそんなに人気があるの? そういう列に並ぶことを拒否/回避し
ないメンタリティを持っていたなら、ぼくの人生はだいぶ違っほうに行って
いるかもなあと、ふと思う。
前にぼくがE.S.T.のことを見たのは初来日時の2003年6月17日だったの
で、4年近くぶりに見る。彼らは04年と05年にも来ているはずだが、日本に
いなかったり外せない用事があったりして、見ることができなった。その間
の彼らはいくつかのプロダクツを出しているわけだが(ぼくもCDとDVD
の解説を書いているなあ)、基本的に<リアルなピアノ・ジャズ・トリオ表
現>と<今ならではの音響処理やビートの感覚>の効果的なかみ合わせとい
うのは、後者の項目はその比率が減じられつつも維持されてきたわけだ。
やはり、質の高いの高い、魅力的なピアノ・トリオ。電気処理音が少なく
なったぶん、旧来のジャズ文脈にはあまりないメロディや曲構成で彼ららし
さを出そうとしているところがあると、今回ぼくは感じたが。いくつかの美
意識に富んだ曲を聞きながら、3人はシガー・ロス(2003年4月14日、20
06年4月5日)を知っているだろうか、なんて思ったりも。
約1時間のセットを二つ。プラスして、アンコール。純朴そうな本人たち
は普段着で演奏していたが、ステージ美術が格調高く、綺麗。
そして、近くのO・イーストでやっている(横のデュオの前あたり、混ん
でいたが、何をやっていたんだろ?)レコ発をフォロウする渋さ知らズ公演
を覗く。こっちのほうが開演時間が遅かったのと丸3時間パーフォーマンス
したお陰で、「ウィ・アー・フィッシャーマンズ・バンド」以降のアゲアゲ
の部分をばっちり楽しんだ。ステージからは小さな出道がちょい出ていて、
ダンサーの数も多い。音の暴れ具合と比例するように演奏者たち(お酒を回
し飲みしてたりしてたな)がいろいろ前に出てきたり、なによりあんな元気
そうに振る舞う不破大輔は初めて見るような。奔放、壊れ気味。なかなかに
新鮮でした。
S.T.。寒空のもと、会場前はすごい列。空席もそれなりにあったE.S.T.公演
を見る人ではなく、もちろん向かいのエッシャー展を見ようとする人達なり
。1時間半待ちですと、案内人が言っていたっけ。へー休日とはいえ、エッ
シャーってそんなに人気があるの? そういう列に並ぶことを拒否/回避し
ないメンタリティを持っていたなら、ぼくの人生はだいぶ違っほうに行って
いるかもなあと、ふと思う。
前にぼくがE.S.T.のことを見たのは初来日時の2003年6月17日だったの
で、4年近くぶりに見る。彼らは04年と05年にも来ているはずだが、日本に
いなかったり外せない用事があったりして、見ることができなった。その間
の彼らはいくつかのプロダクツを出しているわけだが(ぼくもCDとDVD
の解説を書いているなあ)、基本的に<リアルなピアノ・ジャズ・トリオ表
現>と<今ならではの音響処理やビートの感覚>の効果的なかみ合わせとい
うのは、後者の項目はその比率が減じられつつも維持されてきたわけだ。
やはり、質の高いの高い、魅力的なピアノ・トリオ。電気処理音が少なく
なったぶん、旧来のジャズ文脈にはあまりないメロディや曲構成で彼ららし
さを出そうとしているところがあると、今回ぼくは感じたが。いくつかの美
意識に富んだ曲を聞きながら、3人はシガー・ロス(2003年4月14日、20
06年4月5日)を知っているだろうか、なんて思ったりも。
約1時間のセットを二つ。プラスして、アンコール。純朴そうな本人たち
は普段着で演奏していたが、ステージ美術が格調高く、綺麗。
そして、近くのO・イーストでやっている(横のデュオの前あたり、混ん
でいたが、何をやっていたんだろ?)レコ発をフォロウする渋さ知らズ公演
を覗く。こっちのほうが開演時間が遅かったのと丸3時間パーフォーマンス
したお陰で、「ウィ・アー・フィッシャーマンズ・バンド」以降のアゲアゲ
の部分をばっちり楽しんだ。ステージからは小さな出道がちょい出ていて、
ダンサーの数も多い。音の暴れ具合と比例するように演奏者たち(お酒を回
し飲みしてたりしてたな)がいろいろ前に出てきたり、なによりあんな元気
そうに振る舞う不破大輔は初めて見るような。奔放、壊れ気味。なかなかに
新鮮でした。
ベン・シドラン、リオ・シドラン、ジョイ・ドラグランド。ザ・ルーツ。ホリー・コール
2007年1月15日 まず、3時から丸の内・コットンクラブ。 モーニング娘。の事務所がベ
ン・シドランのレーベル“ナルディス”をライセンス、日本盤をリリースし
て行きますよ(配給はソニー)というお披露目会がそこで。ベン・シドラン
と息子のリオ・シドラン、そしてリオとジョイ・アンド・ザ・ボーイという
洒脱ポップ・ユニットを組んでいるジョイ・ドラグランドの3人が少しパフ
ォーマンス。シドラン親子は昨年に来て(2006年4月9日)いて、そのとき
リオ(30才だそう)はドラムを叩いていたが、今回はピアノを弾いたり、ボ
サ調の生ギターを弾いたり。器用ね。
他に、映像でナルディス在籍アーティストが紹介されたが、興味深かった
のはそのなかの一人、JBファミリーの出身の名ドラマーであるクライド・
スタブルフィールド(1999年10月25日、2006年7月26日)の発言。家で大
きなチクタク音が出る時計があって夜寝ている時にそれがうるさくて、云々
。なるほど、その時計の音が彼の美味刻みドラミングを生み出したものか。
そのコメントを聞いて、ぼくは往年の名門南部ソウル・レーベルのハイ・サ
ウンドのドラム音のことも思い浮かべた。同社のドラム音/ビート感覚はよ
くリズム・ボックス音にそっくりなんて言われるが、それを導いたのも制作
者やドラマーたちがずっと聞き慣れ、体内にしみ込んだ時計音だった……。
なんて考えると、とっても楽しいじゃないか。
ベン・シドランが言うには、70年代初頭に行ったクラブでジェイムズ・ブ
ラウン(2000年8月5日)と喧嘩してスタブルィールドがクビにされる場面
に出くわし、それで彼と一緒にやるようになったのだとか。で、リオのドラ
ムの先生はスタブルフィールドであるそう。スタブルフィールドはベンと同
じウィスコンシン州マディソンに在住し、リオは現在NYに住んでいる。
次の公演まで少し時間が余ったので、奥さんのために夕食を作らなきゃい
けないんですうと言う先輩を拉致、有楽町のガード下の飲み屋に。疑似、サ
ラリーマン気分。ホッピー他、ぐびぐび。
そして、渋谷・Oイーストへ。案の定、少し開演時間におくれてしまった
。フィリーの生演奏ヒップホップ・バンド、ザ・ルーツ(2002年12月29日
、2003年12月2日。2004年9月19日)の公演を見る。相変わらずでっかい
アフロ・ヘアのドラマーのクエストラヴを中心に、ギター、ベース、キーボ
ード、パーカッションという編成のバンドだったか。そして、ブラックソウ
トが肉声を噛ます。他の楽器担当者も烏合の衆的な声は出す。切れ目なしで
続けられたそれは、今までで一番バンドぽいパフォーマンスだなあと思わせ
るもの。これまでで一番まとまっているせいもあって、フュージョンぽいか
も、と思えた局面もあったか。ヒップホップらしく、シュガーヒル・ギャン
グ曲他有名曲リフ引用もいくつか。「移民の歌」だったか、レッド・ツェッ
ペリンの曲も。
さらに南青山・ブルーノート東京へ行って、カナダ出身の洒脱系ジャジー
・シンガーの(セカンド・)ショウ。何度も日本に来ているがずだが、ぼく
は初めて見る。たぶんこんな感じかなあと予想していた感じのものながら、
バックの演奏(ピアノ、ベース、ドラム、リードという顔ぶれ)のためか、
よりジャジーかもと感じさせもしたか。ちゃんと、人に見せる回路を会得して
いるなとも感じる。実は翌日に取材をすることになっいたのだが、体調不
良とかでそちらは直前に飛んじゃう。カナダ人であることに焦点を絞ったイン
タヴューをしようと思ったのだが。この晩のパフォーマンスに触れる分には、
なんか体調に不都合がある感じはなかったが。
そのアップライト・ベース奏者は終盤で取ったソロでシカゴの「長い夜」
と、ディープ・パープル(2005年8月13日、2006年5月21日)の「スモー
ク・オン・ザ・ウォーター」を引用。どちらも日本でヒットした曲なはずだ
し、双方とも70年代前半に武道館公演をやっている人気バンドの楽曲。だが
、シカゴ曲のほうには一切、客は沸かず。その温度差は奇異に感じる。なん
にせよ、この日は70年代にシーンを賑わせた大ロック・バンドの有名曲断片
を3曲も聞いたことになるのだなあ。
ン・シドランのレーベル“ナルディス”をライセンス、日本盤をリリースし
て行きますよ(配給はソニー)というお披露目会がそこで。ベン・シドラン
と息子のリオ・シドラン、そしてリオとジョイ・アンド・ザ・ボーイという
洒脱ポップ・ユニットを組んでいるジョイ・ドラグランドの3人が少しパフ
ォーマンス。シドラン親子は昨年に来て(2006年4月9日)いて、そのとき
リオ(30才だそう)はドラムを叩いていたが、今回はピアノを弾いたり、ボ
サ調の生ギターを弾いたり。器用ね。
他に、映像でナルディス在籍アーティストが紹介されたが、興味深かった
のはそのなかの一人、JBファミリーの出身の名ドラマーであるクライド・
スタブルフィールド(1999年10月25日、2006年7月26日)の発言。家で大
きなチクタク音が出る時計があって夜寝ている時にそれがうるさくて、云々
。なるほど、その時計の音が彼の美味刻みドラミングを生み出したものか。
そのコメントを聞いて、ぼくは往年の名門南部ソウル・レーベルのハイ・サ
ウンドのドラム音のことも思い浮かべた。同社のドラム音/ビート感覚はよ
くリズム・ボックス音にそっくりなんて言われるが、それを導いたのも制作
者やドラマーたちがずっと聞き慣れ、体内にしみ込んだ時計音だった……。
なんて考えると、とっても楽しいじゃないか。
ベン・シドランが言うには、70年代初頭に行ったクラブでジェイムズ・ブ
ラウン(2000年8月5日)と喧嘩してスタブルィールドがクビにされる場面
に出くわし、それで彼と一緒にやるようになったのだとか。で、リオのドラ
ムの先生はスタブルフィールドであるそう。スタブルフィールドはベンと同
じウィスコンシン州マディソンに在住し、リオは現在NYに住んでいる。
次の公演まで少し時間が余ったので、奥さんのために夕食を作らなきゃい
けないんですうと言う先輩を拉致、有楽町のガード下の飲み屋に。疑似、サ
ラリーマン気分。ホッピー他、ぐびぐび。
そして、渋谷・Oイーストへ。案の定、少し開演時間におくれてしまった
。フィリーの生演奏ヒップホップ・バンド、ザ・ルーツ(2002年12月29日
、2003年12月2日。2004年9月19日)の公演を見る。相変わらずでっかい
アフロ・ヘアのドラマーのクエストラヴを中心に、ギター、ベース、キーボ
ード、パーカッションという編成のバンドだったか。そして、ブラックソウ
トが肉声を噛ます。他の楽器担当者も烏合の衆的な声は出す。切れ目なしで
続けられたそれは、今までで一番バンドぽいパフォーマンスだなあと思わせ
るもの。これまでで一番まとまっているせいもあって、フュージョンぽいか
も、と思えた局面もあったか。ヒップホップらしく、シュガーヒル・ギャン
グ曲他有名曲リフ引用もいくつか。「移民の歌」だったか、レッド・ツェッ
ペリンの曲も。
さらに南青山・ブルーノート東京へ行って、カナダ出身の洒脱系ジャジー
・シンガーの(セカンド・)ショウ。何度も日本に来ているがずだが、ぼく
は初めて見る。たぶんこんな感じかなあと予想していた感じのものながら、
バックの演奏(ピアノ、ベース、ドラム、リードという顔ぶれ)のためか、
よりジャジーかもと感じさせもしたか。ちゃんと、人に見せる回路を会得して
いるなとも感じる。実は翌日に取材をすることになっいたのだが、体調不
良とかでそちらは直前に飛んじゃう。カナダ人であることに焦点を絞ったイン
タヴューをしようと思ったのだが。この晩のパフォーマンスに触れる分には、
なんか体調に不都合がある感じはなかったが。
そのアップライト・ベース奏者は終盤で取ったソロでシカゴの「長い夜」
と、ディープ・パープル(2005年8月13日、2006年5月21日)の「スモー
ク・オン・ザ・ウォーター」を引用。どちらも日本でヒットした曲なはずだ
し、双方とも70年代前半に武道館公演をやっている人気バンドの楽曲。だが
、シカゴ曲のほうには一切、客は沸かず。その温度差は奇異に感じる。なん
にせよ、この日は70年代にシーンを賑わせた大ロック・バンドの有名曲断片
を3曲も聞いたことになるのだなあ。
ジェイソン・モラン&ザ・バンドワゴン
2007年1月16日 99年のアルバム・デビュー以降、ずっと米国ブルーノートが自社アーティ
ストとして抱えつづける俊英ジャズ・ピアニスト(1975年生まれ)。その
デビュー作以外、日本盤はリリースされていないが、それなのにコットンク
ラブはよく招聘したな(彼の来日しての演奏は、97年のカサンドラ・ウィル
ソン公演に同行して以来)。演奏の味は異なるものの、グレッグ・オズビー
に親身に可愛がってもらったり他、ちょいマイケル・ケイン(2003年11月
18日、同22日)と立ち位置が重なる部分があるかも。丸の内・コットンクラ
ブ。ファースト・セット。
お洒落な、一癖ありそうな3人(ピアノ、ベース、ドラム。3人はもう7
年ほど一緒にやっている)がステージに登場。冒頭、ヒップホップ的な効果
音が流されてビックリ。確かに新作『Artist In Residence 』で一部つかっ
ていたりはするものの。翌日インタヴューした際、凄く悩んだ末に自分と対
比して並べるべき人の名前としてチャック・D(パブリック・エネミー:20
05年8月14日)を挙げたのにはビックリ。奥さんはオペラ歌手だし、本人
もクリオール系なのか肌の色はかなり薄いんだけど、アフリカン・アメリカ
ンとしての自負は山ほど。そんな彼、ウータン・クランのゴーストフェイス
・キラーとデュオ・アルバムを作る予定もあるそうだ。そのアルバムをブル
ーノートは歓迎する?と問うと、もちろん。が、しばらくして、そう願う
よとポツリ。でも、クロスオーヴァー/大衆趣味迎合路線をおおいに取るブ
ルーノートは喜んでそれを受け入れるとぼくは思うが。あ、そういえば、も
うすぐリトル・フィートのロウエル・ジョージの娘の清新ポップ・ユニット
、ザ・バード・アンド・ザ・ビーのフル・アルバムがブルーノートから出ま
す。
演奏の内容は、和みや寛ぎを与えるためのピアノ・トリオ表現ではなく、自
らの強い自我や美意識を流し込もうとする研ぎ澄まされたピアノ・トリオ表
現。モランはジャズ初期のストライド調からフリーっぽいものまでいろん弾
き方をしながら、俯瞰する感覚を持つ、美味しい相互作用を孕んだ演奏を凛
として送りだしていた。手応えと感慨アリ、今年のジャズ公演上位入り、間
違いなし。
2〜3曲で、グランド・ピアノ演奏に続いてパっと身体の向きを変えてエ
レクトリック・ピアノを弾いたりも。それは、よく判らない。そんなに効果
的な使用法をしているとは思えず。自分の顔を客に正面から見てもらうため
に、時にエレピに向かうのだと思うことにした。
テレンス・ブランチャード(2002年7月3日、2005年8月21日)やスタン
リー・カウエルらのバックもやってきたベース奏者のターラス・マティーン
(アトランタの大学を出ていて、アウトキャストやグッディ・モブ表現にも
関与)は4弦の電気フレットレス・ベースを使用しているだが、その音には
うわー。それ、ブラインドで聞くぶんには、音がちょい硬めでエフェクター
を通しぎみの縦ベースの音にしか聞こえない。それ、不毛とは感じず、凄い
と素直にぼくはなぜか思った。弾いている楽器はスペイン製であるとか。で
も、本人の弾き方がモノを言っているようにも思えたが。ベースやっている
人は必見と思う。
ストとして抱えつづける俊英ジャズ・ピアニスト(1975年生まれ)。その
デビュー作以外、日本盤はリリースされていないが、それなのにコットンク
ラブはよく招聘したな(彼の来日しての演奏は、97年のカサンドラ・ウィル
ソン公演に同行して以来)。演奏の味は異なるものの、グレッグ・オズビー
に親身に可愛がってもらったり他、ちょいマイケル・ケイン(2003年11月
18日、同22日)と立ち位置が重なる部分があるかも。丸の内・コットンクラ
ブ。ファースト・セット。
お洒落な、一癖ありそうな3人(ピアノ、ベース、ドラム。3人はもう7
年ほど一緒にやっている)がステージに登場。冒頭、ヒップホップ的な効果
音が流されてビックリ。確かに新作『Artist In Residence 』で一部つかっ
ていたりはするものの。翌日インタヴューした際、凄く悩んだ末に自分と対
比して並べるべき人の名前としてチャック・D(パブリック・エネミー:20
05年8月14日)を挙げたのにはビックリ。奥さんはオペラ歌手だし、本人
もクリオール系なのか肌の色はかなり薄いんだけど、アフリカン・アメリカ
ンとしての自負は山ほど。そんな彼、ウータン・クランのゴーストフェイス
・キラーとデュオ・アルバムを作る予定もあるそうだ。そのアルバムをブル
ーノートは歓迎する?と問うと、もちろん。が、しばらくして、そう願う
よとポツリ。でも、クロスオーヴァー/大衆趣味迎合路線をおおいに取るブ
ルーノートは喜んでそれを受け入れるとぼくは思うが。あ、そういえば、も
うすぐリトル・フィートのロウエル・ジョージの娘の清新ポップ・ユニット
、ザ・バード・アンド・ザ・ビーのフル・アルバムがブルーノートから出ま
す。
演奏の内容は、和みや寛ぎを与えるためのピアノ・トリオ表現ではなく、自
らの強い自我や美意識を流し込もうとする研ぎ澄まされたピアノ・トリオ表
現。モランはジャズ初期のストライド調からフリーっぽいものまでいろん弾
き方をしながら、俯瞰する感覚を持つ、美味しい相互作用を孕んだ演奏を凛
として送りだしていた。手応えと感慨アリ、今年のジャズ公演上位入り、間
違いなし。
2〜3曲で、グランド・ピアノ演奏に続いてパっと身体の向きを変えてエ
レクトリック・ピアノを弾いたりも。それは、よく判らない。そんなに効果
的な使用法をしているとは思えず。自分の顔を客に正面から見てもらうため
に、時にエレピに向かうのだと思うことにした。
テレンス・ブランチャード(2002年7月3日、2005年8月21日)やスタン
リー・カウエルらのバックもやってきたベース奏者のターラス・マティーン
(アトランタの大学を出ていて、アウトキャストやグッディ・モブ表現にも
関与)は4弦の電気フレットレス・ベースを使用しているだが、その音には
うわー。それ、ブラインドで聞くぶんには、音がちょい硬めでエフェクター
を通しぎみの縦ベースの音にしか聞こえない。それ、不毛とは感じず、凄い
と素直にぼくはなぜか思った。弾いている楽器はスペイン製であるとか。で
も、本人の弾き方がモノを言っているようにも思えたが。ベースやっている
人は必見と思う。
ジェイソン・モラン&ザ・バンドワゴン
2007年1月17日 丸の内・コットンクラブ。ファースト。その直前に楽屋でモランに取材し
、そのままこの日も見る。演目や流れは、前日とだいたい同じ(この日のほ
うが、ちょっと長かったか?)。たぶん、セカンドは違う感じでやっている
と思うが。実は、モランは親日家で今回の出し物は坂本龍一の「ラスト・エ
ンペラー」をやるなど、日本向きのもの。けっこう、構成を練って来たもの
と思われる。彼はこの日の昼間に歌舞伎座に行って、大好きな玉三郎に会っ
て涙が出たなんて言っていた。そんなに簡単に会えるものなのか、間に入る
人がいたのかな。知り合いのアートの展示物を見にいくなんても言っていた
し、いろいろ芸術関連に対する興味は深く強そう。この日は昨日と全然違う
格好していてお洒落ですねと振ると、衣服も好きなんだと答える。そして、
彼はテキサス州ヒューストン生まれ、ゆえにヒューストンの空港はジョー
ジ・ブッシュ・エアポートっていうんだよねと振ると、苦笑しつつ本当にイ
ヤそうな顔をする人物でもある。
モランはNYに戻ると、ジョン・ゾーン(1999年9月24日、2006年1月
21日)が作った小さな箱であるザ・ストーン(昨年暮れに、梅津和時:20
01年、9月21日、2005年7月29日、2006年1月21日他がソロのギグをこ
こでやってるはず)のカサンドラ・ウイルソン(1999年8月27日、1999年9
月2日、2001年2月12日、2004年9月7日)が唐突に一回だけやる変則編
成ライヴをサポートするという。同会場、スティーヴ・コールマン&ザ・フ
ァイヴ・エレメンツがこの1月は箱バンで入っている。モランはそれには加
わらないが、ザ・ファイヴ・エレメンツのレコーディングには何枚か参加し
ている。
、そのままこの日も見る。演目や流れは、前日とだいたい同じ(この日のほ
うが、ちょっと長かったか?)。たぶん、セカンドは違う感じでやっている
と思うが。実は、モランは親日家で今回の出し物は坂本龍一の「ラスト・エ
ンペラー」をやるなど、日本向きのもの。けっこう、構成を練って来たもの
と思われる。彼はこの日の昼間に歌舞伎座に行って、大好きな玉三郎に会っ
て涙が出たなんて言っていた。そんなに簡単に会えるものなのか、間に入る
人がいたのかな。知り合いのアートの展示物を見にいくなんても言っていた
し、いろいろ芸術関連に対する興味は深く強そう。この日は昨日と全然違う
格好していてお洒落ですねと振ると、衣服も好きなんだと答える。そして、
彼はテキサス州ヒューストン生まれ、ゆえにヒューストンの空港はジョー
ジ・ブッシュ・エアポートっていうんだよねと振ると、苦笑しつつ本当にイ
ヤそうな顔をする人物でもある。
モランはNYに戻ると、ジョン・ゾーン(1999年9月24日、2006年1月
21日)が作った小さな箱であるザ・ストーン(昨年暮れに、梅津和時:20
01年、9月21日、2005年7月29日、2006年1月21日他がソロのギグをこ
こでやってるはず)のカサンドラ・ウイルソン(1999年8月27日、1999年9
月2日、2001年2月12日、2004年9月7日)が唐突に一回だけやる変則編
成ライヴをサポートするという。同会場、スティーヴ・コールマン&ザ・フ
ァイヴ・エレメンツがこの1月は箱バンで入っている。モランはそれには加
わらないが、ザ・ファイヴ・エレメンツのレコーディングには何枚か参加し
ている。
映画『ドリームガールズ』
2007年1月18日 ジェイミー・フォックス(2004年11月15日参照)、ビヨンセ(2006年9
月4日)、エディ・マーフィーらブラック・スターたちが出る、81年初演の
ブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品を東銀座の試写場で見る。盛況
。それにしても、『ドリ─ムガ─ルズ』というミュージカルがあるのは知っ
ていたが、こんなにモータウンのもろもろに沿ったもの(端的に書けば、ベ
リー・ゴーディJr. とダイアナ・ロス&スプリームスの成功の光の影をなぞ
ることで、音楽産業を舞台とするダイナミックな人間物語を作ろうとしてい
る)であるとは。けっして正の存在としては描かれてはおらず、さぞや当事
者はムカついたことと思う。差し止め訴訟とか、なかったのかな。
繰り返すが、本当に巧みにモータウンのいろんな事が入れられていて、そ
れを知っているといないとでは大分感じ方が違うんじゃないだろうか。あー
、このエピソードはこうこうでと推測しつつ、ドキドキしながら見れちゃう
。が、一方ではあまりモータウンの事を知らないほうが生々しくないぶん、
楽にドラマティックなストーリーを楽しめるような気もする。どーいうもの
か。なんにせよ、各人のパフォーマンスは見応え/聞き応えがある、きらび
やかな娯楽映画。でもって、どんな醜いサイドストーリーがあろうともソウ
ルっていいな、とも素直に思える。
さすがエディ・マーフィー(ジャッキー・ウイルソンとマーヴィン・ゲイ
を兼ねたような役柄)は一時は音楽活動に邁進した(そのとき、バック・コ
ーラスをしていたのがmimi:2001年4月18日、2003年2月13日、2006年
12月18日) のも伺える好演。時代ごとに容姿やファッションを変えるビヨン
セは本当に綺麗で、スターだァと感激させる。そして何より、重要な脇役の
エフィー役の新人ジェニファー・ハドソンの歌は訴求力抜群で、必ずや見る
者の感情移入を誘うだろう。米国の映画賞に彼女がノミネートされまくって
いるというのも非常に納得。元の曲を作ったのは白人だが楽曲もちゃんとし
ている。監督/脚本のビル・コンドンをはじめやはり、スタッフの多くは白
人のよう。
60年代初頭は、まだブルースとR&B(最初のタレント・ショウの部分
で示唆) 、ジャズとR&B(クラブでジャズ・マンとともに曲作りをしてい
く部分でやはり示唆) が共存していること。黒人が出したネタを白人がパ
クってヒットさせ一般化すること(乱暴に言えば、それは事実だ)。ヒット
させるにはペイオラ(ラジオ局DJの買収)が不可欠なこと。なんかも、映
画では描かれる。上映後、久しぶりに会った、年長ながらぼくは強気に出
れる映画評論家O(音楽好きだが、ソウルはあまり聞いていない)とお茶。
O味な映画、とのお言葉。そういうもんすかあ。ぼくはこの映画を見て、
ここ数年いい米国音楽映画が多いなあという実感を新たにしたのだが。そ
れを言うと、ケケケと笑いやがった。
月4日)、エディ・マーフィーらブラック・スターたちが出る、81年初演の
ブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品を東銀座の試写場で見る。盛況
。それにしても、『ドリ─ムガ─ルズ』というミュージカルがあるのは知っ
ていたが、こんなにモータウンのもろもろに沿ったもの(端的に書けば、ベ
リー・ゴーディJr. とダイアナ・ロス&スプリームスの成功の光の影をなぞ
ることで、音楽産業を舞台とするダイナミックな人間物語を作ろうとしてい
る)であるとは。けっして正の存在としては描かれてはおらず、さぞや当事
者はムカついたことと思う。差し止め訴訟とか、なかったのかな。
繰り返すが、本当に巧みにモータウンのいろんな事が入れられていて、そ
れを知っているといないとでは大分感じ方が違うんじゃないだろうか。あー
、このエピソードはこうこうでと推測しつつ、ドキドキしながら見れちゃう
。が、一方ではあまりモータウンの事を知らないほうが生々しくないぶん、
楽にドラマティックなストーリーを楽しめるような気もする。どーいうもの
か。なんにせよ、各人のパフォーマンスは見応え/聞き応えがある、きらび
やかな娯楽映画。でもって、どんな醜いサイドストーリーがあろうともソウ
ルっていいな、とも素直に思える。
さすがエディ・マーフィー(ジャッキー・ウイルソンとマーヴィン・ゲイ
を兼ねたような役柄)は一時は音楽活動に邁進した(そのとき、バック・コ
ーラスをしていたのがmimi:2001年4月18日、2003年2月13日、2006年
12月18日) のも伺える好演。時代ごとに容姿やファッションを変えるビヨン
セは本当に綺麗で、スターだァと感激させる。そして何より、重要な脇役の
エフィー役の新人ジェニファー・ハドソンの歌は訴求力抜群で、必ずや見る
者の感情移入を誘うだろう。米国の映画賞に彼女がノミネートされまくって
いるというのも非常に納得。元の曲を作ったのは白人だが楽曲もちゃんとし
ている。監督/脚本のビル・コンドンをはじめやはり、スタッフの多くは白
人のよう。
60年代初頭は、まだブルースとR&B(最初のタレント・ショウの部分
で示唆) 、ジャズとR&B(クラブでジャズ・マンとともに曲作りをしてい
く部分でやはり示唆) が共存していること。黒人が出したネタを白人がパ
クってヒットさせ一般化すること(乱暴に言えば、それは事実だ)。ヒット
させるにはペイオラ(ラジオ局DJの買収)が不可欠なこと。なんかも、映
画では描かれる。上映後、久しぶりに会った、年長ながらぼくは強気に出
れる映画評論家O(音楽好きだが、ソウルはあまり聞いていない)とお茶。
O味な映画、とのお言葉。そういうもんすかあ。ぼくはこの映画を見て、
ここ数年いい米国音楽映画が多いなあという実感を新たにしたのだが。そ
れを言うと、ケケケと笑いやがった。
カナディアン・ロックンルール
2007年1月19日 カナダのロック系アクトを4組紹介するショーケース・イヴェント。渋谷
・Oイースト。渋味系シンガー・ソングライターのジェイソン・コレット(
トロンボーン奏者をむ5人編成バンドを率いる)、スターズやブロークン・
ソーシャル・シーンにも係わるシンガーのエイミー・ミラン(コレットのバ
ンドを流用)、ザ・ポリスやザ・クラシュの影響大の3人組ベドウィン・サ
ウンド・クラッシュ(ベースは黒人ね)、そしてオルタナ・カントリー歌手
として独り立ちもしているニーコ・ケイス(2004年9月16日)を含む男女7
人のパワー・ポップ・バンドのザ・ニュー・ポルノグラファーズ(みんな分
別ありそうでそんなに若い感じではなく、経験豊かそう。男性鍵盤奏者は日
本語を勉強している?)、という順で登場。7時7分に始まり、終わったの
は11時ぐらいだったか。ザ・ニュー・ポルノグラファーズはびっくりするぐ
らい良かった。今年のロック・ライヴのなかでもきっと上位に入るはず。観
客の反応も大きく、来ていたファンの多くは彼ら目当てであったよう。CB
誌のライヴ・レヴューと重なるのでこのぐらいにしておく。
・Oイースト。渋味系シンガー・ソングライターのジェイソン・コレット(
トロンボーン奏者をむ5人編成バンドを率いる)、スターズやブロークン・
ソーシャル・シーンにも係わるシンガーのエイミー・ミラン(コレットのバ
ンドを流用)、ザ・ポリスやザ・クラシュの影響大の3人組ベドウィン・サ
ウンド・クラッシュ(ベースは黒人ね)、そしてオルタナ・カントリー歌手
として独り立ちもしているニーコ・ケイス(2004年9月16日)を含む男女7
人のパワー・ポップ・バンドのザ・ニュー・ポルノグラファーズ(みんな分
別ありそうでそんなに若い感じではなく、経験豊かそう。男性鍵盤奏者は日
本語を勉強している?)、という順で登場。7時7分に始まり、終わったの
は11時ぐらいだったか。ザ・ニュー・ポルノグラファーズはびっくりするぐ
らい良かった。今年のロック・ライヴのなかでもきっと上位に入るはず。観
客の反応も大きく、来ていたファンの多くは彼ら目当てであったよう。CB
誌のライヴ・レヴューと重なるのでこのぐらいにしておく。
シザー・シスターズ
2007年1月25日 青海・ゼップ東京。NYベースの、人気の新進バンド。男女のシンガーに、ギ
ター、ベース、キーボード、ドラム。(今井裕が入った後の)ミカ・バンド
と同じなんだな、と思う。しかし、すごいな。あそこまで、娯楽精神に徹す
ることができるのは。格好にしろ、フリにしろ。見ながら、ぼくが頑な10代
だったら、ちゃらくて引いちゃうかもなあ、と感じる。で、楽曲は万人を相
手にできるだろう、ときにソウルっぽくもあるポップ・ロック調、彼らは
それを屈託なく披露していく。なるほど。そうした、捨て身の娯楽精神はR
&Bの世界では特別なことではない。クレバーな彼らはR&B的お客様は神サ
マです的価値観をロックという枠のなかで開こうという意思は持っていると、
ぼくは確信するが。回りに外国人客が多く、そいつらがぐいぐいビールを飲
んでいて、車で行って飲めないぼくは非常にひもじい思いナリ。
ター、ベース、キーボード、ドラム。(今井裕が入った後の)ミカ・バンド
と同じなんだな、と思う。しかし、すごいな。あそこまで、娯楽精神に徹す
ることができるのは。格好にしろ、フリにしろ。見ながら、ぼくが頑な10代
だったら、ちゃらくて引いちゃうかもなあ、と感じる。で、楽曲は万人を相
手にできるだろう、ときにソウルっぽくもあるポップ・ロック調、彼らは
それを屈託なく披露していく。なるほど。そうした、捨て身の娯楽精神はR
&Bの世界では特別なことではない。クレバーな彼らはR&B的お客様は神サ
マです的価値観をロックという枠のなかで開こうという意思は持っていると、
ぼくは確信するが。回りに外国人客が多く、そいつらがぐいぐいビールを飲
んでいて、車で行って飲めないぼくは非常にひもじい思いナリ。
OKI DUB AINU BAND
2007年1月26日 代官山・ユニット。トンコリ奏者のOKI(2004年8月27日。2006年
8月11日、2006年9月24日)に加え、もう一人トンコリ奏者、ベース奏者、
ドラマー(沼澤尚)、卓(内田直之)という顔ぶれによる。休憩をいれて2
部構成にて。セカンド・セットのほうがよりレゲエ・ダブ色が強かったか。
いろんな属性の絡み合い。アンコールもたっぷりやる。終演後、外に出ると
、ちょっと雨がちらついていてびっくり。一緒に流れた知人に合わせて、最
後にラーメンを食べたのは失敗だった。
8月11日、2006年9月24日)に加え、もう一人トンコリ奏者、ベース奏者、
ドラマー(沼澤尚)、卓(内田直之)という顔ぶれによる。休憩をいれて2
部構成にて。セカンド・セットのほうがよりレゲエ・ダブ色が強かったか。
いろんな属性の絡み合い。アンコールもたっぷりやる。終演後、外に出ると
、ちょっと雨がちらついていてびっくり。一緒に流れた知人に合わせて、最
後にラーメンを食べたのは失敗だった。
鈴木正人。アイアン&ワイン、キャレキシコ
2007年1月27日 リトル・クリーチャーズのメンバーであり、アップライト・ベーシストと
してもいろんなギグで活躍中の鈴木正人(2003年12月4日、2004年7月
6日、2004年11月30日、2005年10月30日、2005年11月15日)の、リーダ
ー作リリースをフォロウする公演。原宿・クエストホール、5時から。
まず、鈴木(縦ベース)、内橋和久(ギター)、外山明(ドラム)という
、UAのバッキングで一緒になってもいる3人にて冒険的即興と浮遊感と情
緒を併せ持つ演奏を30分強やる。以下、ドラムの芳垣安洋(けっこう、この
後はツイン・ドラムで)、クラリネット/サックスの塩谷博之、トロンボー
ンの青木タイセイ(2006年11月14日、他)、ペダル・スティールの高田漣、バ
ンジョーと歌の青柳拓次、歌のUAが曲により加わる。
UA(2004年7月6日、2004年8月12日。そういや、去年インタヴュー
したとたき、声が大きくて歌がうまそうでね、と彼女から言われた。照れく
さかった)はなんとセーラー服を着て登場。それ、鈴木と同級生という理由
で着用とのこと。彼女は2曲歌う。とくにより難しい旋律を持つ2曲目の歌
唱はぼぼ完璧。びっくりした。また、最後のほうには、チャールズ・ミン
ガスの有名曲「ベター・ゲット・ヒット・イン・ユア・ソウル」(実は、渋
さのエイベックス第2弾に入っている「ダスト・ソング」もこの曲を彷彿と
させる。それを指摘すると、不破大輔も同意)を演奏する。怒れる黒人ベー
ス巨人のミンガスと洒脱で飄々とした鈴木はあまり結びつかないが、やはり
鈴木はジャズ好きなのネ。ただ、この晩のこの曲の演奏は芸がないものでぼ
くはバツ印を与えるが。だが、総じては美意識と新鮮な目が随所に顕れてい
た、聞きどころのある公演だったと思う。
鈴木の本編が終わったときに、渋谷・クラブクアトロに移動。
キャレキシコとの共演作を昨年出したアイアン&ワイン(サミュエル・ビ
ームのソロ・プロジェクト)のショウが始まっていた。アルペジオ系の生ギ
ターの調べの上に澄んでて柔和な声を乗せる。そして、けっこう随時と書き
たくなるぐらい女性シンガーがハモリの歌声を重ねる。なるほど、地味では
あるが、それなりに質のあるシンプルな弾き語り表現。老成したような表現
を披露し、立派な髭をたくわえているが、ビームさんはけっこう若そうな感
じも。途中で、キャレキシコのジョーイ・バーンズが2曲で助演。
少し間を開けて、キャレキシコ(2001年12月18日、2004年2月15日)の
面々が登場。実は、彼らの昨年出た新作『ガーデン・ルーイン』は可能な限
りメキやん〜国境ノリを排して王道の(?)現代ロック・バンドとして勝負
しようした一作だったが、中盤はそこに収められていた曲を続けたか。普通
のロック・バンドとしても、彼らは多大な輝きを持つ。そして、エキゾな方
に戻るとやっぱしこれじゃのう、とも思わせる。やはり得難い、美味しいバ
ンドですね。人間的にこなれたうれしい妙味が伝わってくるのも、彼らの美
点。最後はビームとバック・コーラスのおねいちゃんも加わる。
してもいろんなギグで活躍中の鈴木正人(2003年12月4日、2004年7月
6日、2004年11月30日、2005年10月30日、2005年11月15日)の、リーダ
ー作リリースをフォロウする公演。原宿・クエストホール、5時から。
まず、鈴木(縦ベース)、内橋和久(ギター)、外山明(ドラム)という
、UAのバッキングで一緒になってもいる3人にて冒険的即興と浮遊感と情
緒を併せ持つ演奏を30分強やる。以下、ドラムの芳垣安洋(けっこう、この
後はツイン・ドラムで)、クラリネット/サックスの塩谷博之、トロンボー
ンの青木タイセイ(2006年11月14日、他)、ペダル・スティールの高田漣、バ
ンジョーと歌の青柳拓次、歌のUAが曲により加わる。
UA(2004年7月6日、2004年8月12日。そういや、去年インタヴュー
したとたき、声が大きくて歌がうまそうでね、と彼女から言われた。照れく
さかった)はなんとセーラー服を着て登場。それ、鈴木と同級生という理由
で着用とのこと。彼女は2曲歌う。とくにより難しい旋律を持つ2曲目の歌
唱はぼぼ完璧。びっくりした。また、最後のほうには、チャールズ・ミン
ガスの有名曲「ベター・ゲット・ヒット・イン・ユア・ソウル」(実は、渋
さのエイベックス第2弾に入っている「ダスト・ソング」もこの曲を彷彿と
させる。それを指摘すると、不破大輔も同意)を演奏する。怒れる黒人ベー
ス巨人のミンガスと洒脱で飄々とした鈴木はあまり結びつかないが、やはり
鈴木はジャズ好きなのネ。ただ、この晩のこの曲の演奏は芸がないものでぼ
くはバツ印を与えるが。だが、総じては美意識と新鮮な目が随所に顕れてい
た、聞きどころのある公演だったと思う。
鈴木の本編が終わったときに、渋谷・クラブクアトロに移動。
キャレキシコとの共演作を昨年出したアイアン&ワイン(サミュエル・ビ
ームのソロ・プロジェクト)のショウが始まっていた。アルペジオ系の生ギ
ターの調べの上に澄んでて柔和な声を乗せる。そして、けっこう随時と書き
たくなるぐらい女性シンガーがハモリの歌声を重ねる。なるほど、地味では
あるが、それなりに質のあるシンプルな弾き語り表現。老成したような表現
を披露し、立派な髭をたくわえているが、ビームさんはけっこう若そうな感
じも。途中で、キャレキシコのジョーイ・バーンズが2曲で助演。
少し間を開けて、キャレキシコ(2001年12月18日、2004年2月15日)の
面々が登場。実は、彼らの昨年出た新作『ガーデン・ルーイン』は可能な限
りメキやん〜国境ノリを排して王道の(?)現代ロック・バンドとして勝負
しようした一作だったが、中盤はそこに収められていた曲を続けたか。普通
のロック・バンドとしても、彼らは多大な輝きを持つ。そして、エキゾな方
に戻るとやっぱしこれじゃのう、とも思わせる。やはり得難い、美味しいバ
ンドですね。人間的にこなれたうれしい妙味が伝わってくるのも、彼らの美
点。最後はビームとバック・コーラスのおねいちゃんも加わる。