渋さ知らズ

2015年6月15日 音楽
 わー。オレ、もしかして、渋さ知らズ(2004年9月1日、2006年1月14日、2006年1月21日、2006年8月27日、2006年11月15日、2006年12月1日、2007年1月13日、2007年6月13日、2008年7月6日、2009年7月26日、2009年9月27日、2010年4月22日、2010年9月19日、2013年5月19日)って、野外フェスか大きめのホールにおける公演しか見た事がないのかー。新宿・ピットインでの公演を見ながら、そう思った。

 約30人のミュージシャン、ダンサーがステージにあがる。場内、満員。お客はなにげに中年以上の男性が多い。休憩なしで、切れ目を入れず伸縮性に富みつつ2時間強をパフォーマンス。曲は、どれも耳馴染みの渋さ曲なり。

 小さな場でのその公演を見ていて、はっきりと分ったことが一つ。大きな会場で見ていたこれまでは、視覚的にもスペクタクルなショウを俯瞰するかのように“面”で接していたところ、今回は“点”、もしくは“線”を追うように実演を見る感じになるということ。その違いにより、よりジャズ〜即興表現として渋さ知らズの実演に接するスタンスが強くなったのは間違いない。そして、そうすると、代わり映えのしないレパートリーだからこそ、その場のもろもろで演奏がどうにでも動いていく(本当に、そう!)様が手に取るように分るわけで……。総体やソロを自在にコントロールする不破(2005年12月22日、2007年6月3日)のダンドリスト手腕と無頼漢的な佇まいの中からにじみ出る“いい人”っぽさもリアルに感じることができた。

 笑えたのは、なんかの曲で引っ張っているとき、不破がケルトっぽく行きたいみたいなデイレクションを発したのだが、演奏陣が誰も対応できず、仕切り直しになってしまったところ。そういうのも含め、超臨機応変なジャズ・ビッグ ・バンドとしての渋さ知らズ表現を堪能したナ。そうした部分を楽しむためには楽曲が固定されるのもまるでスタンダードを独創的に料理しているかのようになり、マイナスにならないと思った。実は渋さは、こことかエアジンとかジャズ・クラブでも公演も持っているが、そいうときに集まる客はこういう部分に着目する人が多いんだろうなとも思えた。

 驚いたのは、肉声担当者は渡部真一の参加はなし(彼は大会場限定なのかな?)で、器楽的歌唱〜自在インプロヴィゼーション性に富む女性シンガー2人で事にあたり、大活躍していたこと。玉井夕海と、なんと蜂谷真紀((2008年8月24日、2009年1月8日、2010年9月11日、2014年7月22日、2014年9月25日、2015年5月20日)。2人は掛け合いの、じゃれ合いのようなパートもぐいぐい持った。ずっとやっているように入っていた蜂谷、近年ピットインみたいなところでやるときはたまに参加しているらしい。それから、肝硬変で入院し冥土の土産のつもり(?)で快ソロ作『HAPPY HOPUR』(パンク・ジャズ的な行き方をする曲もあり)を出したテナー・サックスの片山広明(2004年8月20日、2004年10月10日、2005年7月29日、2008年11月14日)はやはりとてもやせていた。彼は飲んでいなかったかもしれないが、パフォーマンスの最中にカウンターにお酒を買いに行ったり、トイレに行くメンバーは散見されました。って、そんなライヴ、滅多にねえ。

▶過去の、渋さ
http://43142.diarynote.jp/200409010713470000/
http://43142.diarynote.jp/200601161256540000/
http://43142.diarynote.jp/200601271857530000/
http://43142.diarynote.jp/200609031311580000/
http://43142.diarynote.jp/200611190320370000/
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http://43142.diarynote.jp/200701141431470000/
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http://43142.diarynote.jp/200807081247190000/
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http://43142.diarynote.jp/201004231559516550/
http://43142.diarynote.jp/201009231554333481/
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
▶過去の、不破大輔
http://43142.diarynote.jp/200512231
http://43142.diarynote.jp/200706061351450000/
▶過去の、蜂谷真紀
http://43142.diarynote.jp/200808260821260000/
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http://43142.diarynote.jp/?day=20100911
http://43142.diarynote.jp/201407231341189225/
http://43142.diarynote.jp/201409261635554506/
http://43142.diarynote.jp/201410310931316189/
http://43142.diarynote.jp/201505211022511238/
▶過去の、片山広明(渋さ以外)
http://43142.diarynote.jp/?day=20040820
http://43142.diarynote.jp/200410162220330000/
http://43142.diarynote.jp/200508042335560000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20081114

<今日の、新譜>
 何でもアリの渋さ知らズは、市民ワークショップをやることもある。それをもとにしたいわき公演はhttp://43142.diarynote.jp60923241736//2013052 で、触れているが、それに端を発する、いわき市の市民グループである十中八九のデビュー作が8月20日に、渋さ関連作リリースでお馴染みの地底レコードからリリースされる。全てオリジナル曲だが、渋さの好奇心や混沌を受け継ぐような楽曲の質の高さにはびっくり。もちろん、不破大輔が制作/段取りしていて、彼の愛の人ぶりも明解に伝わる。