英国の“渋谷系”ポップのユニット、18年ぶりの来日公演とか。へんな手のフリをつけながら歌う中央に立つサラ・クラックネルに加え、鍵盤や音出し担当の後に地味に立つ2人の男性陣。3人ともオリジナル・メンバーで、クラックネル嬢が産休したときはあったものの、これまで解散はしていないのだとか。クラックネルはそんなに容色おとろえず、そしてバッキング・コーラス(一部、ピアニカや鳴り物も)の女性は1990年代から彼女たちやザ・ポーグスのレコーディングに参加しているようだが、あまりうまくなかった。

 でも、うまさで売る人たちではないし、あまり気にならず。ちょっとしたところから、愛らしさや趣味の良さを出し、聞き手をふふふとさせるユニットでしょう? それもまた、ポップ・ミュージックのあり方と言えるし、実際お客さんは皆幸せそうだった。なお、熱心なファンによれば、旧曲のトラックも少しリファインされているらしい。なるほど、彼女たち、ほんわかした音楽性を持っているのに、意外なくらい四つ打ちのビートを採用する曲が多いと再認識した。MCによればニール・ヤングのカヴァーもやったようだが、ぜんぜん分らなかった。六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。

<今日の、映像>
 ステージ背後には、いろんなところから引っ張ってきたレトロでポップでどこかミステリアスな映像が流される。松田聖子が出てくるウォークマンのTV-CF映像とか、古い「セサミ・ストリート」の映像とか、どれも許諾は得ていないんじゃないかと思わせる。昔のヒット・チャートを伝えるTV映像も流されたが、1960年代にヒットを出したレゲエ歌手のデスモンド・デッカー(ボブ・マーリーとは刎頸の友)とザ・セックス・ピストルズが一緒にそこに入っていて、それは英国のそれらしいと頷く。